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(@_@;)肺癌看護の話


(・.・;)題名:肺癌看護の話

●アセスメント

○既往歴:

①喫煙歴(本人・家族)、②呼吸器疾患の既往歴、③癌の既往歴、④家族の癌の既往歴、⑤発ガン性物質への被曝歴

○呼吸状態:以下の症状・徴候についてアセスメントする。

①せき、たん、②血たん、③胸痛、背部痛、④発熱、⑤胸水貯留、⑥呼吸困難、⑦呼吸パターン、⑧呼吸音の減弱や消失、喘鳴、胸膜摩擦音など

○全身状態:以下の症状・徴候についてアセスメントする。

①発熱、②体重減少、③全身倦怠感、④嚥下障害、⑤嗄声、⑥食欲不振、⑦上腕の痛みあるいは運動障害、⑧顔面や上肢の浮腫、⑨チアノーゼ

○検査所見:転移の可能性も考慮して、以下の項目についてアセスメントする。

①胸部X線検査での異常陰影、腫瘍の大きさ、②喀痰細胞診や気管支鏡を用いた細胞診による癌細胞の種類、③胸部CT検査や胸部MRIによる肺がんの大きさ、胸壁や縦隔への浸潤の有無、縦隔リンパ節への転移を疑わせる腫大の有無、胸水貯留の有無、胸膜播腫巣の有無など、④骨シンチ・MRI・脳CT・腹部CTまたはエコーによる全身への遠隔転移の有無、⑤腫瘍マーカー(CEA、CA19-9、NSE、ProCRP、CYFRA21-1)

○その他:

①病気の受け止め方、予後についての受け止め方、②入院・病状に関する情報収集能力と対処方法、③発達課題と達成状況、④家族あるいはキーパーソンの支援体制

 

●看護目標

肺がんは予後のわるい疾患の1つである。患者は検査を受けて肺がんであると診断され、治療法の1つとして手術あるいは化学療法、放射線治療が行われる。治癒することもあれば、再発して終末期へいたることもある。これらすべての過程にかかわるのが看護師である。ここでは、肺がんの終末期にある患者の看護について述べる。

(1)「死」という問題と直面しつつある患者の個別性や、「ゆらぎ」や「迷い」といった複雑な気持ちを理解する。

(2)患者や家族にとっての最善策をともに考え、必要とするケアを提供する。

(3)合併症や苦痛を防止する。

そして、安楽なときと患者や家族にとって充実したときが過ごせたという満足感、あるいは生きてきた過程への肯定感をもてるように援助する。患者の状況に合わせて以下のように目標を設定する。

(1)心身の調整をはかり、残された時間(月日)を有意義に過ごせる。

(2)苦痛の少ないおだやかな死を迎えられる。

 

●看護活動

日常生活への援助

○疼痛の緩和:

痛みが出現してから鎮痛薬を投与するのではなく、患者の痛みのパターンを見きわめて適切な鎮痛薬の血中濃度を維持し、痛みの出現を予防するほうが効果的な疼痛コントロールができる。

(1)疼痛に関する訴え、言動、表情、部位、痛みのパターン、鎮痛薬の種類・使用量・副作用、睡眠状況、食欲・食事摂取量、活動量、頻脈、不穏、筋肉の緊張などについて観察し、アセスメントする。

(2)疼痛が十分に緩和されていない場合には、医師とともに使用している薬剤について検討する。また、鎮痛薬の使用方法の変更や決定に患者が参加するように援助する。

(3)患者とともに安楽な方法について検討し、くふうする(あてもののかたさ・大きさ・あてる部位、体位変換方法、体位変換の時間など)。

(4)疼痛を増強させている心理的な問題、不安等の軽減をはかる。

(5)頻回なせきによる疼痛の増強を防ぐ

(6)睡眠や休息がとれるように援助する。

(7)気分転換やリラクセーションをはかることができるよう援助する。

(8)温度、湿度、空気の清浄化など、室内環境を整える。

○呼吸:

(1)呼吸状態(呼吸数、呼吸パターン、呼吸音、痰の量と性状・喀出状況、動脈血ガス分析値、動脈血酸素飽和度〔Sao2〕)について観察し、アセスメントする。

(2)医師の指示に従い、酸素を投与する。

(3)室内環境を整え適切な水分を補給して分泌物の喀出をスムーズにし、喀出後に口腔ケアを行う。

(4)効果的な深呼吸・せきが出るように援助する。自力での痰の喀出が困難な場合には呼吸理学療法を行う。必要に応じて吸引を行い、気道の清浄化につとめる。

(5)胸郭の動きが妨げられず安楽に呼吸ができるように体位の工夫を行う。呼吸困難が強い場合には、ゆったりした椅子に座らせたり、前屈みの姿勢をとらせることにより緩和をはかる。

(6)胸郭の動きを妨げず安楽に呼吸ができる寝衣を選択し、身づくろいする。

(7)発熱や感染徴候をアセスメントする。発熱は、酸素消費量の増加、患者の呼吸困難の増強、体力の消耗につながるため、解熱への援助を行う。

○活動:日常生活習慣を維持するための活動を援助する。

(1)セルフケアレベルと達成度をアセスメントする。

(2)不足しているセルフケアへの援助を行う。同時に患者が毎日行ってきた生活習慣を維持する。

(3)患者の目標とすることや生きがいと考えている大切な活動に参加できるように援助する。

(4)病状が進行してからは、転倒、骨折などに注意する。

○栄養:必要栄養量を摂取できるよう援助する。

(1)味覚の変化、腹痛、口腔内の炎症、便秘などの食事摂取を阻害する症状をアセスメントする。

(2)適切なカロリーと必要な栄養素を含んだ食事を提供する。嗜好を考慮した食事については随時、栄養士や家族ならびキーパーソンと相談する。

(3)口腔ケアを行い、口臭や痰が残らないようにすると同時に口内炎を予防する。

(4)歯肉が衰えると義歯の噛み合わせが悪くなるため、義歯の調整が必要な場合は、歯科との連帯がはかれるように調整する。

(5)食事環境を整える。

(6)食事時の誤嚥を予防する。

○不安:患者や家族の不安や恐怖が緩和されるように援助する。

①患者の不安への援助

(1)不安や恐怖の徴候と状態、性格、対処行動などをアセスメントする。

(2)患者や家族に不安や恐怖の感情を表出するように励まし、訴えを傾聴する。

(3)ライフスタイルへ及ぼす影響、病気の特徴・治療予定・治療に伴う副作用に対する理解、治療・回復への期待などをことばで表現するように促す。

(4)静かな環境をつくり患者および家族の話を傾聴する。同時に、患者や家族およびキーパーソンが病状から考えると達成困難と思われる希望を語る場合や、言語的に表現しきれない迷いや苦悩を非言語的に表現していると感じた場合は、看護師はその場を取りつくろったり否定したりせずに、そのようにする心理を受け止め、語っている「場」を共有する。

(5)患者の疼痛や呼吸困難をコントロールする。

(6)自分のケアについての意思決定に参加できることを説明し、患者が積極的に参加できるような雰囲気づくりにつとめる。

(7)必要に応じて治療方針・治療効果・予後などについて、医師の説明が受けられるように調整する。

(8)不安に対する効果的な対処方法について検討する。

②家族およびキーパーソンの予期的不安への援助:近い将来、家族が経験することになる喪失体験に向けての不安を緩和する。

(1)患者を喪失することに関連した家族および重要他者の言動、不安の程度についてアセスメントする。

(2)今後生じてくるであろう身体症状や経過について、医師の説明が受けられるように調整する。

(3)患者のいない場で、正直に感情を表出できる機会をつくり、傾聴する。

(4)やがて迎える喪失、すなわち愛する人の死のもつ意味、喪失の過程において残されたときをどのようにすごしていきたいのか、ケアへの希望などを話し合う機会をつくる。

(5)家族およびキーパーソンがそばにいなかったときの患者の状況を説明する。

(6)病状が悪化したときに家族およびキーパーソンがそばにいること、語りかけること、日常生活の援助に参加することなどに意味があることを説明する。

(7)家族およびキーパーソンのケアへの参加を促し、喪失への過程をともに過ごしたという思いが得られるように援助する。

(8)病状が悪化しても、見苦しくないように身づくろいがされている、シーツや寝衣の清潔が維持されている、あるいは環境が整えられていると、家族およびキーパーソンは、大切にされていると感じる。そうした心情をふまえて看護師は、患者が生きてきた過程を理解した、ていねいで細かなケアを行う。

 

●治療に伴う援助

全身療法:化学療法

○化学療法開始時:

(1)患者・家族の疾患・治療に対する受け止め、治療への期待感あるいは不安、支援体制、キーパーソンの存在、対処能力、経済的問題、発達課題と達成状況などについてアセスメントする。

(2)治療への認識を確認し、理解の不足があった場合には補足説明を行う。とくに上皮成長受容体阻害薬であるゲフィチニブ(イレッサ)を使用する場合には、副作用への注意事項を再確認し、異常の早期発見につながるように指導する。

(3)治療の効果がなかった場合のことや予後についての不安など、患者の具体的な思いを傾聴し、ともに考えて主体的に治療に取り組めるように支援する。

(4)パンフレット等を用いて治療スケジュールや副作用の出現時期、それらへの具体的対処方法について説明する。

○化学療法実施時:

(1)抗がん剤についての正しい知識をもち、薬剤を取り扱う。使用する薬剤の種類・投与量・濃度は誤りのないよう複数の人間で確認する。

(2)静脈内注射・動脈内注射・胸腔内注射といった方法で行われる。その際、抗がん剤はがん細胞だけでなく正常細胞にも作用するため、血管外、胸腔外に漏出しないように細心の注意をはらう。

(3)使用する抗がん剤の代謝・排泄経路を理解して観察を行う。とくにシスプラチンなどのプラチナ製剤使用中は尿量(腎機能)に注意する。

(4)全身性の副作用が出現し苦痛が大きい治療なので、予防的な対処、苦痛の緩和を行い、患者のQOLを考慮した援助を行う。

(5)患者の基本的な生活を整え、セルフケアへの支援をする。

○副作用のマネジメント:

(1)悪心・嘔吐:シスプラチンとの併用の場合は、とくに悪心・嘔吐対策は重要となる。

①制吐薬を使用するなどして極力体力の低下を予防する。

②患者には、悪心・嘔吐は抗がん剤に対する正常な反応であることを説明し、遠慮なく的確に表現するように支援する。

③口腔内汚染、食べ物のにおい、脱水の有無など悪心の増悪因子をアセスメントし、必要に応じて患者のセルフケアをたすける。

④食事の温度や同室者の食事時間の過ごし方などを調整する。

⑤嘔吐があった場合は吐物の観察を行い、すみやかにかたづけ、室内に臭気がこもっていたら換気する。

(2)下痢・便秘:塩酸イリノテカンを使用した場合は、高度の下痢あるいは便秘になることがあるため、患者の状態を十分に観察する。

①従来の排便状況をしり、化学療法前から排便コントロールを行う。

②高度の便秘による努責で、呼吸困難が悪化することがあるため、排便状態を把握する。

③排便の性状にあわせて緩下剤や止痢剤の調整をはかれるように援助する。

(3)腎機能障害:シスプラチンは腎毒性があるため腎機能障害が起こりやすい。悪心・嘔吐、下痢によって水分摂取量が低下し脱水傾向になると、腎機能障害のリスクは非常に高くなる。

①消化器症状をコントロールする。

②適切な水分摂取を促し、出納バランスを経時的に観察する。

③必要に応じて補液の説明を行い、異常の早期発見・予防をはかる。

(4)骨髄障害:抗がん剤の投与後、1~2週間後に白血球(好中球)が減少する。好中球の減少は感染症を引き起こし、生命にかかわることもある副作用なので、注意深い観察と感染予防への支援が必要である。

①経時的な血液データの観察を行う。

②白血球が減少する前から、感染予防行動(含嗽、手洗い、口腔ケア、必要時のマスクの着用など)について指導する。

③血小板が減少した場合には、全身状態を観察し、出血傾向とその危険性、日常生活上の注意事項について指導する。また頭痛などの自覚症状は的確に報告するように伝える。

④努責による直腸粘膜の損傷や脳出血を予防するために、排便のコントロールを行う。

(5)末梢神経障害:パクリタキセルを使用した場合は、末梢神経障害をおこす可能性がある。発現形態には個人差があるため、神経症状の自覚症状に注意し観察する。また症状が出現した場合には、投与が中止される。転倒など事故を防止し、日常生活への影響を最小限にするように援助する。

(6)肺障害:塩酸イリノテカン、パクリタキセル、ゲフィチニブ(イレッサ)を使用した場合は、肺障害の出現の可能性が高い。症状が出現した場合は、不可逆的で死に至ることもある。肺癌の進行に伴う症状の増悪なのか、副作用によるものなのかを判断するために、呼吸状態、倦怠感などを注意深く観察する。また、異常の早期発見のためにも肺障害の副作用について説明し、自覚症状を的確に表現することの重要性の理解を求める。

 

局所療法:放射線療法

○放射線療法開始時:

(1)患者・家族の疾患・治療に対する受け止め、治療への期待感あるいは不安、支援体制、キーパーソンの存在、対処能力、経済的問題、発達課題と達成状況などについてアセスメントする。

(2)治療への認識を確認し、理解の不足があった場合には補足説明を行う。

(3)治療の効果がなかった場合のことや予後についての不安など患者の具体的な思いを傾聴し、とめに考えて主体的に治療に取り組めるように支援する。

(4)パンフレット等を用い、治療体位、スケジュールや有害事象の出現の時期、対処方法について説明する。

○放射線療法実施時:

(1)放射線療法の診察に同席し、患者の理解度を確認する。必要に応じて補足説明を行う。

(2)治療開始に伴う宿酔症状の観察を行う。

(3)治療のための通院や疲労について傾聴する。

(4)宿酔症状の出現をアセスメントし、患者の基本的な生活(食事・睡眠・休息・排泄・清潔)を整え、セルフケアへの支援をする。

○副作用のマネジメント(早期反応):

早期反応を示す副作用として次のものが考えられる。

(1)放射線宿酔:放射線照射直後から数日の間に、上腹部停滞感、食欲不振、嘔気・嘔吐、全身倦怠感、頭重感などの症状が出現する。しだいに消失する。

①患者には、出現する症状には個人差があること、正常な反応であることを説明し、遠慮なく表現するように支援する。

②倦怠感などは他者に理解されにくいため表現しない患者もいることから、表情、動作などに注意して観察する。

③宿酔症状を、「不定愁訴」として対処せずに、精神的な問題と関連していないかをアセスメントする。

④患者の基本的な生活(食事・睡眠・休息・清潔)などを整え、セルフケアへの支援をする。

⑤疼痛や栄養状態がよくない場合に症状が強くでることがあるため、疼痛、消化器症状をコントロールする。

(2)放射線食道炎:照射野に肺門、縦隔が含まれる場合、照射開始から3週目ごろより疼痛(嚥下時)、胸焼け、嚥下困難、食道のつかえ感(閉塞感)を自覚する。

①食事摂取量を観察する。

②粘膜保護剤や消炎鎮痛剤は食前に内服するように説明する。

③食事は、刺激物(香辛料や喫煙)、酸味の強いもの、熱いもの、極度に冷たいものを避ける。

④食事の形態は、やわらかくのど越しがよい食べやすいものをとるように指導する。

⑤食事は、少量ずつ数回に分けて食べる。

⑥食事が摂取できないことによる体力の低下が、闘病意欲の低下にもつながることがあるため、身体症状だけではなく精神的な訴えにも注意し、照射が完了できるように支援する。

(3)放射線皮膚炎:照射開始から3週目ごろより、炎症症状として皮膚発赤、熱感、蚤痒感、疼痛が出現することがある。皮膚表面に炎症症状がみとめられなくても、深部で症状が出現することもあるため注意を要する。皮膚反応は、照射部位と反対側に強く出現することもある。皮膚の基底細胞に障害を受けると微小血管も影響を受け、血管内細胞の崩壊と血管透過性の亢進により浮腫と炎症がおこることもある。

①皮膚への機械的刺激を避けるように指導する。

・こすったり、かいたりしない。

・自己判断でパウダーやローション、市販薬などを使用しない。

・下着はやわらかく吸水性のよい清潔なものを着用する。

・入浴は短時間にし、湯の温度は低めにする。また石鹸は低刺激を使用するように指導する。

○副作用のマネジメント(遅発性反応):

遅発性反応を示す副作用として次のものが考えられる。

(1)放射線肺炎:胸部照射期間中から終了後数ヶ月の間に発症することがある。無症状のこともあるが、せき、発熱、息切れ、呼吸困難を伴う放射線肺炎をおこすことがある。まれに症状が悪化し、死に至ることもあるため注意深い観察が必要である。

①禁煙を徹底する。患者は、治療に伴う副反応と知ると治療継続への不安をいだく。

②症状についての説明を行い、症状出現時にはすみやかに報告するように指導する。

③細菌感染を合併すると症状が重篤化するため、日常生活のなかでの感染予防行動(手洗い、含嗽、加湿器などで空気の乾燥を予防する)について指導する。

(^O^)参考文献

医療学習レポート.肺癌看護


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