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(。・o・)脳卒中のSTAGE別運動療法の話


(^ム^)題名:脳卒中のSTAGE別運動療法の話

●StageⅠ

短期ゴール

①治療への参加

  • 急性期には意識障害やコニュニケーション障害などのため、治療への参加が困難な場合もあり、意志疎通が可能になれば現在の障害や今後の理学療法プログラムについて患者や家族に説明する。

②身体の認知

  • 脳卒中患者には、寝返りしたあと麻痺側の手が自分の体のしたになっても気づかなかったり、麻痺側の手がどこのあるか分からないなどの症状が出現するため、早期から視覚や非麻痺側を利用し、麻痺側や身体がどのような状態になっているかを確認させる。

③筋緊張の増加

  • この時期には筋緊張が低下しているため、これをいかに高めるかが重要なポイ    ントになる。

治療上のポイント

  • 麻痺側には他動運動を行うが、関節の構造をよく離解し誤用症候群に注意し、 麻痺側の動きを患者に十分認知させるように行う。
  • 他動運動は関節を引き離すように牽引を少なくし、逆に関節に圧迫を加えながら行う。(圧迫は同時収縮を誘発する)
  • 正常可動域を目指すよりADL上必要な最低限を確保するように実施し、特に肩関節は亜脱臼や疼痛を起こしやすいので注意する。

①頚部に対するアプローチ

  • 頭部を正中位に保持することから始め、枕が高すぎると頭部前屈位になり、坐位保持において体幹も前屈位(円背)になりやすいので、なるべく低い枕に慣れさせるようにする。
  • 前屈(屈曲)は可能なことが多く、非麻痺側の筋力だけで行うこともあり、なるべく正中位での前屈を指導する。
  • 背臥位で後屈(伸展)を行うことは困難であるが、早期から伸筋の緊張を高めると頚部の安定性を高めることにもつながるため、背臥位で後頭部とベッドの間に手を置き、圧迫させるように行う。
  • 頚部の動きは寝返りにも必要なため、側臥位になるときに頚部の回旋が少なければ他動的に介助する。
  • ギャッジベッドの許可があれば徐々に長坐位の訓練を行い、はじめて実施するときには、バイタルサインのチェックと起立性低血圧に注意する。
  • ギャッジアップすると頭部の不安定性が増すため、最も頭部を調節しやすい角度で行い、頭部の調節や耐久性が増せば徐々にベッドの角度を増やす。
  • 坐位の耐久性が向上すれば、テーブルを利用しての食事や作業をできるだけ早期に行う。

②体幹に対するアプローチ

  • 頚部と同様に、可動域の維持および増大と正中位の保持が重要になり、背臥位では両膝を屈曲位に保持し、麻痺側および非麻痺側へ倒し体幹の回旋を誘発する。
  • 体幹の動きに関与する姿勢反射にはNOBや「体に作用する体の立ち直り反応(BOB)」などがあり、非麻痺側では比較的早期に再獲得される。
  • これらは寝返りに重要な立ち直り反応になるため積極的に誘発し、上肢に対する介助は麻痺側の肩甲骨部に手を置いて行い、麻痺側上肢を引っ張るように行うと亜脱臼の原因になる。
  • 両手を組み両上肢を挙上位(90°程度)で行うと、麻痺側上肢への認知を高め肩の障害も防げる。
  • 麻痺側への側臥位は指導しなくても可能になることが多く、麻痺側を下にしても次の動作に結びつかないため、非麻痺側への側臥位を積極的に行う。
  • 坐位は体幹の動きを誘発しやすいので、全身状態が良ければ早期に保持させ、頭部が正中位になるように口頭指示や介助を行いながら体幹を前後・左右に動かし、静的バランスから動的バランスへと進める。

③上肢にたいするアプローチ

  • 上腕二頭筋は屈筋共同運動の「強い要素」であり、非麻痺側の屈曲に対し抵抗を加えると、連合反応により緊張を高めることができるが、上腕二頭筋の緊張が高くなりすぎると屈筋共同運動が優位となり、分離動作の獲得が困難になる。
  • 上腕二頭筋に対するアプローチよりも、伸筋共同運動の緊張を高めることが必要になる。
  • 大胸筋の緊張を高めるには非麻痺側の肩関節水平屈曲または肩甲骨挙上筋群に抵抗を加えると、麻痺側同筋群の緊張を高めるとともに肩関節周囲筋群の緊張も高まり、肩の亜脱臼の防止にもつながる。
  • 肩関節周囲の緊張が低いと肩甲上腕リズムを考慮して、関節に圧迫が加わるように可動域訓練を行う。

④下肢に対するアプローチ

  • 臥位において外旋位になりやすく、これをそのまま放置しておくと屈曲・外転・外旋拘縮が出現し、膝の拘縮も生じる。
  • 非麻痺側の内転に抵抗を加えると、麻痺側の内転筋群の緊張が高まる(Reimiste現象)。これを屈曲位で行うと、伸筋共同運動の強い要素を少なくしての運動が可能である。
  • ブリッジが下肢筋群だけでなく体幹伸筋群の緊張を高めるのにも役立ち、麻痺側の股関節周囲筋群は緊張が低く、介助がなければ外転・外旋方向に倒れたり、骨盤が下がった上他でのブリッジとなりやすいので、介助して正しい骨盤の位置を教えながら実施する。
  • 下肢の緊張が低い時には、ティルトテーブルを利用し足底部に荷重が加わるようにすると、下肢の伸筋の緊張が高まりやすくなる(陽性支持反射)。

⑤歩行に対するアプローチ

  • 一般的なものは長下肢装具であり、 両側支柱のため重く、装着にも時間がかかるため、初期には簡易式の膝装具が便利である。
  • 平行棒内では骨盤が後方に引けるのをセラピストが介助して防ぐ
  • 立位保持が可能になればステップの練習を行い、股関節の支持性が悪ければ体重を麻痺側へ移動させる訓練から行う。
  • 股関節の支持性が悪いと体幹の前屈や側屈が出現するため、口頭指示やセラピストの介助により抗重力起立位を保つように指導する。
  • 体幹のバランスが悪く(介助レベル以下)坐位保持が困難なときには、この動作が確立(監視レベル)されるまで歩行を待つ。

 

●StageⅡ

短期ゴール

①共同運動による随意性の獲得

②随意的な筋収縮と弛緩

治療のポイント

  • 麻痺側の連合反応が出現しているため拮抗筋の緊張を高める。
  • 主働筋の緊張が亢進すると拮抗筋は相反神経支配により抑制され、拘縮や共同運動が完成するため、拮抗筋の緊張をいかに促通するかが重要なポイントである。
  • 拮抗筋の緊張を促通するには連合反応、外的刺激としてタッピングやバイブレータ-をれ利用する。

①体幹に対するアプローチ

  • この時期には短時間の端坐位が可能かもしれないが、そのときの肢位は体幹を麻痺側に側       屈し、麻痺側臀部への体重移動が不十分な場合が多く、口頭指示または他動的に抗重力正中位を保持させる。
  • 鏡などを利用し、姿勢のフィードバッグを行うことも有効である。
  • 坐位が監視レベルになれば動的坐位バランス獲得のため体幹の前屈、後屈および麻痺側・非麻痺側への側屈や回旋を行わせ、個々の動きが悪ければ介助する。
  • 坐位バランスの獲得は、立位バランスや歩行に重要な影響を及ぼすため、繰り返し指導しバランスおよび可動域を獲得させる。

②上肢に対するアプローチ

  • 非麻痺側の内転に対し抵抗を加え、連合反応を利用しながら随意運動を誘発し、反応が出現したら抵抗を少なくして最終的には連合反応を使用せずに内転が可能になるようにする。
  • 屈筋・伸筋共同運動の「弱い要素」の緊張を高め、随意性を獲得させる。

③下肢に対するアプローチ

  • 麻痺側内転筋の随意性を高めるには両下肢を屈曲にし、連合反応を利用しながら麻痺側の内転を行い、随意性が出現したら非麻痺側への抵抗を少なくする。
  • 側臥位では麻痺側の膝を屈曲位に保持し下腿部を介助して行い、股関節屈曲は比較的容易に行えるが、伸展は困難であるため大臀筋へのタッピングまたはバイブレーターなどを利用する。
  • 麻痺側の随意性が出現すれば、歩行パターンを考慮し麻痺側の股関節屈曲時には下になっている非麻痺側を伸展させ、麻痺側伸展時には非麻痺側を屈曲させる交互運動を行う。
  • ブリッジは下肢および体幹の緊張を誘発するのに有効な方法であり、麻痺側の膝が倒れないように介助して行い、麻痺側の骨盤が下がる時は介助や促通により骨盤の正しい位置を教える。
  • ヒップアップに対し抵抗を加えると、股関節伸筋群に対する連合反応の誘発や足底感覚の再教育にもつながる。

④歩行に対するアプローチ

  • 筋緊張が亢進しているため膝折れすることは少なく、逆に膝を過伸展した状態になりやす          いため膝を軽度屈曲位にして行う。
  • 膝屈曲が不十分であると「反張膝」となり異常歩行の原因にもなるため、患者の後方からセラピストの膝を利用して行ったり、前方より徒手的に調整し、徒手的な調節が困難な時には装具を利用する。
  • 立位時には下肢だけではなく体幹の麻痺側への側屈や前屈などにも注意し、膝を軽度屈曲位に保持することができれば、体重を麻痺側へ移動させる訓練を行い、患者の恐怖心が強ければ平行棒内で患者の骨盤を介入しゆっくり麻痺側へ移動させ膝が過伸展しないように注意する。
  • 体重を麻痺側に移動するこたが可能になれば非麻痺側のステップ練習を行い、初期には骨盤を介助し体重を麻痺側に移動させながら行う。
  • 麻痺側に陽性支持反射が著明に出現するときには、膝の軽度屈曲位からの屈伸運動を行いこの反射を抑制する。

 

●StageⅢ

短期ゴール

①初期には近位部の随意性を促通する

②近位部の安定性を促通する

③共同運動を利用して可能な運動範囲を広げる

④「弱い要素」の随意調整を促通する

治療のポイント

  • 随意運動は屈筋・伸筋共同運動として体幹近位部に出現する。しかし、過度の努力は異常   な同時収縮を増強するため患者の反応に注意する。
  • 近位部の関節は各動作における「固定筋」としての役割を有し、いくら末梢部の随意運動が可能であったとしても近位部の安定性がなければ協調性のある運動は困難になるため、近位部の安定性を向上させるアプローチが必要になる。

体幹に対するアプローチ

  • 体幹の緊張も著明になり痙性によるROM制限も出現し、拘縮へと移行することもあるた  め、体幹の可動域に十分注意する。
  • 体幹筋の緊張要素が強ければ寝返りを行うとき丸太様の回旋となるため、非麻痺側の動きを利用し分節性の回旋を積極的に誘発する。
  • 体幹伸筋群の緊張が過度になると坐位において後方へ傾いたり倒れたりするため、頚部を

前屈するように指導する。

  • 体幹の緊張が低ければ前屈するため、頚部を後屈するように指導すると体幹伸筋の緊張が高まりやすい

②上肢に対するアプローチ

  • 近位部(肩甲帯)に随意性を認めるか、共同運動の「強い要素」にとる動きが出現する。
  • 近位部の随意性を高めるには肩甲骨の可動性が要求され、特に大・小菱形筋は痙性により筋の短縮を認めることが多く、短縮を改善させるためのROM訓練が必要になる。
  • 亜脱臼の防止には棘上筋の緊張がポイントになるため、連合反応や外転・外旋の「弱い要素」に着目した運動が必要になる。
  • 肩関節亜脱臼用の装具やスリングには種々のものがあり、一般的なものは三角巾であるが、これは肘関節屈曲位・肩内転・内旋位となり、それぞれの共同運動の「強い要素」に短縮が起きやすい。

③下肢に対するアプローチ

  • 原則的には立位が可能であれば立位でのプログラムを考慮し、立位が困難なときは臥位または坐位で行う
  • ブリッジは非麻痺側下肢を麻痺側の上に組み、麻痺側でのヒップアップを行うと麻痺側の支持性を促通させる。
  • 立ち上がり訓練は下肢の支持性を高め重心移動にも役立ち、高い台からの立ち上がりが可能になれば台を低くする。
  • 台が低くなればなるほど体幹の前屈が必要となるため、十分な前屈を獲得させる。

④歩行に対するアプローチ

  • 立位で膝の屈伸運動を行ったり、麻痺側の膝を軽度屈曲位に保持し台を利用してステップ訓練が可能ならば階段昇降なども試みる。
  • 共同運動が出現し下肢筋の選択的調節が困難な場合、足関節背屈と膝の安定性を得るため短下肢装具が必要になる。
  • 多くの患者はこのステージで留まり自立歩行獲得のため杖とAFOが必要になるため、これらを利用してゆっくりした歩行の獲得を目指し、可能なら屋外歩行や階段昇降などの訓練も行う。

 

●StageⅣ

短期ゴール

①基本的共同運動から逸脱した動きの獲得

②主働筋と拮抗筋間のバランスを正常な同時収縮に近づける

③坐位・立位での動的立ち直り反応の誘発

④選択的な筋調節を進める

治療上のポイント

  • 過度な努力、疲労および不安などは筋緊張の増加を促し、不必要な筋群の収縮が起こり共同運動パターンへと逆戻りするため、患者の反応を正しく評価し過度の努力や疲労などを認めたら訓練を中止または休息させる。
  • 分離運動が可能となるのは高位中枢(大脳皮質レベル)からの調整(抑制)が部分的に可能になっていることを示唆しているので、積極的に分離運動の獲得を目指す。

①体幹に対するアプローチ

  • 静的立ち直り反応は発達し動的なものは不十分な場合が多く、体幹の分節的性回旋は非麻痺側では十分に発達しているが、麻痺側では部分的回旋がどうにか可能な状態である。
  • 動的立ち直り反応獲得のため坐位における体幹の回旋や側屈を積極的に行い、立位での体幹運動は困難なことが多いため介助して行う。

②上肢に対するアプローチ

  • この時期には、分離運動が一つ以上可能である。

Ⅰ腰のうしろに手をもっていく

Ⅱ前方水平に腕を挙上する

Ⅲ肘90°で回内・回外

  • Ⅰでは肩関節伸展、内転、内旋およ肘屈曲が必要になり、肩の動きは屈筋共同運動の拮抗  運動パターンとなるため、肩甲骨の下方回旋筋群の促通が必要になり、肘を伸展させながら上肢の長軸方向に圧迫を加え、前方から側方へ徐々に外転し、最終的には後方へ移動させながら行う。
  • Ⅱでは伸筋共同運動の「強い要素」だある大胸筋と「弱い要素」である上腕三頭筋との分離が必要になり、伸筋共同運動の影響が強ければ肩は内転位になり、屈筋共同運度が優位であれば外転・外旋位となる。
  • Ⅲでは肩関節中間位、肘90°屈曲位で行い、肘屈曲位に保持するため回外は屈筋共同運動なので容易に行えが、回内は伸筋共同運動なので困難な場合が多く、努力して行うと肘が伸展する。

③下肢に対するアプローチ

  • 伸筋共同運動が優位になるため腹臥位で膝屈曲の練習を積極的に行い、坐位では体幹を前  屈させながら膝屈曲を行い、屈曲できるようになれば前屈を少なくして単独の膝屈曲を行う

④歩行に対するアプローチ

  • 下腿三頭筋の緊張を抑制するには麻痺側に体重を移動し膝の屈伸運動を行い、もし筋の緊 張が高ければ膝屈曲に伴い踵が持ち上がるため、麻痺側への十分な体重移動を行い荷重しながら膝の運動を行う。
  • 膝屈曲により踵が上がらなくなれば下腿三頭筋の緊張が抑制されていることを意味し、歩行パターンも改善する。

 

●Stage Ⅴ

短期ゴール

  • 共同運動から分離した複合運動の獲得
  • 個々の関節運動の確立
  • 発症前のおける生活様式の再獲得

治療上のポイント

  • 個々の機能は再学習が進んでいるため、各関節の動きを動作に結びつけ巧緻性の獲得を促し、個々の運動が可能になると正常なスピードと協調性による運動を行う。

①体幹に対するアプローチ

  • 体幹の動きは正常に近づいており、個々の動作のなかで不十分なところがあれば、それについて評価し原因となっている問題を解決し正常な動きに近づける

②上肢に対するアプローチ

  • 訓練では優位な共同運動の要素を抑制し拮抗する動きを促通し、それぞれの動きがADLに結びつくように行う。
  • 小さい対象物を操作することが、手指の巧緻動作は皮質レベルからの調節になり疲労しやすいので訓練時間については考慮する。
  • この頃には退院も可能になるため、発症前の生活様式を考慮し社会復帰に向けての指導も行う。

③下肢および歩行に対するアプローチ

  • 歩行における体幹回旋は麻痺側上肢を振って歩くように指導するが、患者が麻痺側を振ることに集中すると手と足のタイミングがずれたり体幹の分節性回旋が困難になるため、上肢の振りを強調するよりも肩甲帯の回旋を指導するほうが分節性回旋を引き出せる。
  • 歩幅が一定しないときや立脚期の骨盤帯~股関節の安定性が悪ければ、麻痺側での片脚起立、横・後方への歩行を行い、もし走行をゴールとする場合には、つま先歩行や踵歩行を試みる。

 

●StageⅥ

短期ゴール

  • 協調性とタイミングを最高に活用
  • 正常な両手動作の獲得
  • 応用動作の獲得

治療上のポイント

  • 正常な日常動作をまねることにより、さらに正常な動きに近づける

①体幹、下肢、歩行に対するアプローチ

  • 毎日の活動を通じて正常なバランス、協調性およびタイミングの獲得を目指し階段昇降、凸凹道や坂道歩行、込み入った場所、エスカレーターへの乗り降りの練習などを経験させる。

②上肢に対するアプローチ

  • 麻痺側の協調性は向上しているので正常な両手動作を促し、患者の家族内における役割を考慮して負担にならない程度の作業を課題として与える。

(/_-。)参考文献

医療学習レポート.脳卒中のSTAGE別運動療法


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