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(・∀・)神経筋再教育の話


( ´ ▽ ` )題名:神経筋再教育の話

●はじめに

神経筋再教育は、1940年代より使用されている用語であるが、その治療原則や方法について議論されることは少なくないようである。

PNF、Bobath、Rood、Brunnstromらの方法は、神経生理学的アプローチと呼ばれ、神経筋再教育の一部であるがこれら個々の技術について興味を示すものが多い。

実際には、これら特殊な技術は従来の技術に比して有意な差は認められていない。

諸家の原則は、神経生理学的原則や発達学的法則に共通する所が多く、個々の技術を学ぶよりこれらの共通点を一般的原則として学ぶほうが臨床において有用となる。

 

●神経筋再教育とは

Benettによると、「骨格筋の随意運動の発達、または回復を目的とした運動療法の方法」とされ、具体的には運動の認知および随意運動の発達。

このことにより随意的反応を高め、安全で社会的に受け入れられるような運動形式における筋力および持久力の発達させることであり、つまりは運動麻痺の回復の促進が目的である。

当然、実用的機能を有する為には、筋力や持久力の問題も考慮しておかなければならない。

運動麻痺は、器官機能障害の観点から見れば、脳障害・脊髄障害・神経-筋障害で惹起される。

したがって神経筋再教育は、脳および脊髄の中枢神経障害、さらに神経-筋障害から起こる運動麻痺が対象となる。

 

●治療対象

神経筋再教育の治療対象は歴史的に見て当初ポリオを対象疾患にして治療対象が随意コントロールを失った骨格筋であり、目的は随意コントロールの発達、認知、強化と明確であったが、対象に中枢神経障害が加わってから混乱や混同が生じている。

本来、神経筋再教育の治療対象は解剖学的に連絡があるが刺激の伝達が障害されているMotor unitに対して随意運動の回復を図る治療法であった。

脳に病巣が散在し非損傷部も残存する脳性麻痺や脳卒中では機能の代償の可能性は少なく、成長した後の脳損傷は永続的な障害を残す可能性が大きい。

よって、脳障害に対する神経筋再教育の治療対象は、脳疾患や損傷そのものを治療したり回復を早めることではなく、損傷を免れた部位の機能を最大限に活用することである。

末梢神経損傷に対する神経筋再教育の治療対象は、NeurapraxiaとAxonotmesis、neurotmesisが回復し再神経支配が起こったmotor unitに対して行う。

骨・関節・筋障害に対しては本来中枢神経系や末梢神経系に問題が無く、痛みや安静、固定による不動が原因で筋収縮方法を忘却しているmotor unitに対して行う。

神経筋再教育の治療対象は中枢神経障害、末梢神経障害、骨・関節・筋障害のいずれも器質的損傷に対してではなく、機能的障害に対して行う。

このため治療部位の品質的な回復が重要で疾患や損傷の自然治癒を考慮せずには行えない。

 

●自然経過と治療適応時期

1).中枢神経

ⅰ.脳血管障害

障害度、年齢、合併症、全身状態により回復の差異があるが病状が安定すると回復が起こる。

Newmanによると、脳血管障害後の運動障害に対し賦活を行った結果、反応の出現に3~7週かかり(6週が一番多い)最も遅い例では14週必要だった。

これらは、右損傷、左損傷や失語症の有無には影響されなかった。

また、宇都宮らによれば、回復は発症後の期間折も治療開始後の期間に関係するとされている。

それ故、神経筋再教育の誘発は6~12週に試みるのが適切である。

ただし、回復を阻害する因子があれば適応期間を考慮する。

 

ⅱ.頭部外傷

受傷年齢、程度によって様々な経過を呈する。

一般的に急性期を過ぎると回復が始まるが脳血管障害よりも受傷後長期経過しても回復を続けるものが多く、治療者は経過を観察し回復が始まれば適切な治療手技を選択して対応する。

 

ⅲ.脳性麻痺

脳性麻痺児の運動機能は、神経系の発達によって改善する。

神経系の発達は、6~7歳で最高に達する。

しかし脳性麻痺児の場合、運動が全く不可能なことは少なく、かつ知的能力の問題により神経筋再教育の効果について疑問視する意見が多い。

また、経過が長いため、障害のタイプによって生じやすい二次障害を予防することが運動発達に最も重要なことである。

 

ⅳ.脊髄損傷

不完全損傷

原因によって異なるが、一般的には急性期が過ぎれば回復が始まる。

回復は2~3ヶ月で最高の回復度を示し、1~1年半まで続くものが多い。

回復は一般的に中枢側から末梢側へ起こるので、回復開始後数ヶ月の間に誘発の手技を中枢側の筋から末梢側の筋へ回復を予想しながら行う。

 

2).末梢神経損傷(Seddonの分類による)

ⅰ.Neurapraxia

解剖学的な連絡は存在し通過障害を起こしているもので回復は数日~数週で完全に起こる。

ⅱ.Axonotmesis、neurotmesis

神経鞘を接合しなければ回復が起こらないとされており、処置後の回復はほぼAxonotmesisに準ずる。

Axonotmesisの回復は一日一㎜とされているので回復期間は、損傷部から末梢までの距離に比例する。

経過の長いギランバレー症候群は損傷部位がRootにあり重症例では2~3年間回復を続けるのが普通である。

誘発の手技は、損傷神経における筋支配の順序を考慮し回復している部位を決定し、回復開始筋に行う。

 

3).骨・関節・筋障害

骨・関節・筋障害における神経筋再教育の適応は、収縮を忘却した筋に対して誘発を行う。

誘発で収縮が一回生じれば治療は完了し、筋力の状態により強化の手技に移行する。

 

●原理

脱神経筋で無くなった骨格筋に対して、

1)賦活により筋収縮を得る。

2)筋収縮を得たら筋力増強訓練を行う。

3)筋力増強されたら協調性訓練を行う。

4)協調性を得たら持久力訓練を行う。

の順で行う。

 

●賦活

活力を与えること。

下位運動ニューロンの活動性への刺激、および増大の目的で行われ、方法としては焦点集中、固有受容刺激がある。

 

①焦点集中

患者に治療内容を十分に把握させた上で治療部位に対して意識を集中させること。

方法としては、他動運動、皮膚刺激、電気刺激、筋電計が挙げられる。

 

ⅰ.他動運動

神経筋活動を賦活する試みは他動運動から始まる。

それは、他動運動により固有感覚反射を刺激するからである。

方法としては、動作に意識を集中させ、痛みや拘縮の無い可動範囲で一関節運動から始める。

その後、色々な角度や多くの関節運動へと進める。

他動運動は実生活に必要な運動ほど価値がある。

 

ⅱ.皮膚刺激

皮膚刺激の目的は、患者にその部位に意識を集中させることであり、皮膚刺激により特定筋肉の収縮を患者の視覚に訴えることができ、また固有感覚も刺激される。

方法は、ブラシやスポンジ、ハンマーを使って筋肉や腱を軽打したり、またはマッサージの技術を使った軽擦法、揉捏法、叩打法も用いられる。

 

ⅲ.電気刺激

電気刺激の目的は、筋肉に収縮を起こし、患者に筋収縮を見させ、感じさせることである。

電気刺激による筋収縮は固有感覚刺激に有効である。

ただし筋の一部が脱神経させ一部が残っているような症例では、正常筋への過剰電流に注意する必要がある。

 

ⅳ.筋電計

筋電計によって筋の活動電位を視覚や聴覚にフィードバックすることで、客観的に筋の収縮を認知させる方法である。

 

②固有受容刺激

骨格筋の固有受容器を刺激することで筋収縮を誘発する方法である。

これには、筋の伸張、抵抗あるいは弛緩、更に反射刺激が挙げられる。

Sherringtonは、「随意運動は、固有感覚系の働きが重要で、最初の随意運動を導き出すためには、固有感覚系の知覚感受体を刺激する必要がある。」と述べ、そのためには「伸張」「抵抗」「反射」が有効であり、姿勢、他動運動、自動運動を利用する。

Kabatは、特殊技術とその生理学的基礎の発展に非常な功績をおさめ、それをPNFとして体系づけた。

 

ⅰ.伸張と抵抗

筋組織は伸張され、ある程度の緊張状態におかれたときに一番良く反応する。

つまり、筋肉が少し伸びたときに抵抗に抗して収縮するように命じる。

しかし、急激な筋の伸張または弛緩は活動的反応を促進する。

 

ⅱ.反射刺激

反射は正常なものであれ病的なものであれ、筋収縮を始めるために利用される。

筋肉が、反射運動に反応するとすれば、随意運動を助けるための集中的促進機構として価値がある。

他動運動並びに姿勢の多くは特殊な反射を刺激する。

 

●神経筋再教育における筋力増強

目的とする骨格筋の筋収縮が得られたならば、まずその骨格筋に対し最小限の抵抗から始め、目的とする筋の収縮が強化されるような抵抗をかけていく。

なぜなら、共同筋、固定筋、拮抗筋にも収縮が及べば、目的とする骨格筋の収縮から生じた弱いsensory inputよりも共同筋などの収縮から生じたsensory inputが認知され、より協調された運動のコントロールの学習は不可能となる。

 

●協調性

協調とは正しい筋を、正しいときに使うために、また必要な運動を効果的に行うために筋肉が適当な強さをもって使われている状態をいう。

強調性とは運動を円滑に行う能力を意味し、協調性のある運動とは神経筋系、骨格筋系が最も効果的にかつ安全に機能を発揮できる状態をいう。

協調性の訓練の方法としては、ごく軽い筋収縮で行える運動を頻繁に繰り返す。

抵抗が大きければirradiationにより他の固定筋などが収縮し、運動の正確さは失われる。

したがって、筋力が増強しても運動に対する負荷は大きくしないで、その運動も簡単なものから複雑なものへと段階をおって進めていく。

 

●持久力

持久力とは長時間にわたり運動をする能力をいう。

筋持久力と全身持久力に分類され、持久力は最大筋力の15~40%の比較的小さな負荷で回数を多く反復し、骨格筋が疲労するまで行う。

筋収縮には等尺性収縮が適していて、長時間行うものであるため、動機の維持や不快感を伴わない運動を考えなければならない。

 

●神経筋再教育に必要な基本的条件

①患者の協力がある。

②患者の知的能力に問題が無い。

③神経系の運動路、知覚路が残存する。

④筋・腱に構築学的異常が無い。

⑤神経筋再教育に必要な関節可動域を有する。

⑥疼痛が無い。

(´Д` )参考文献

医療学習レポート.神経筋再教育


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