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(*~ー~)筋萎縮性側索硬化症(ALS)と看護計画の話


(+_+)題名:筋萎縮性側索硬化症(ALS)と看護計画の話

 運動神経のみが選択的に障害される神経変性疾患で、運動神経の変性・脱落のため眼球運動を除く全身の骨格筋が萎縮・麻痺をおこす。一般的に痴呆はない。骨格筋麻痺のため四肢・体幹の運動能力や球麻痺による構語・嚥下機能障害、また、呼吸筋麻痺によって呼吸機能が奪われる。

 有病率は人口10万人当たり2~6人で、平成12年度の特定疾患医療受給者数は5738人であった。発症年齢は10歳代後半から80歳代まで、どの年齢層にもみられるが、50歳代ピークがある。男女比は2:1で男性に多く、5~10%で遺伝性を示すが、多くは弧発例である。

 上位運動ニューロンと下位運動ニューロンが障害され、球麻痺を認めるタイプが典型的なALSで、狭義のALSである。脊髄の下位運動ニューロン障害のみのタイプを脊髄性進行性筋萎縮症(SPMA)、上位運動ニューロン障害のみのタイプを原発性側索硬化症、球麻痺のみを示すタイプを進行性球麻痺(PBP)という。

●症状

 発症は緩徐。典型例では手の巧緻動作ができなくなることから始まる。
初発症状は、上肢遠位部である手や指の筋萎縮・筋力低下が約半数に見られ、球麻痺による構語・嚥下障害が約25%、下肢の筋力低下が約20%である。

筋萎縮・筋力低下

1)上位運動ニューロン障害

 痙性で筋緊張が強く、突っ張って動かしづらい症状となる。顔面に関係する部分の障害では、強制笑い、強制泣きと呼ばれる症状がみられる。下肢では歩行障害となり、こむらがえりを訴えることがある。

2)下位運動ニューロン障害

 筋萎縮と線維束性収縮を伴う筋力低下となり、上肢遠位部の母指球筋、骨間筋の萎縮(猿手、鷲手)が特徴的である。書字障害、箸が持ちにくい、ボタンがかけづらい、タオルが絞れないなどの症状が出る。

構音障害

 鼻に抜ける鼻声となり、言語不明瞭で抑揚のないゆっくりとしたしゃべり方となる。球麻痺だけでなく、両側の顔面に関係する上位運動ニューロン障害による仮性球麻痺も合併していることが多い。進行すると、言語によるコミュニケーションがとれなくなる。

嚥下障害

 初期では、球麻痺が主体の場合には液体よりも固体のほうが飲み込みにくく、仮性球麻痺が主体の場合にはその逆となる。咬筋の筋力低下もきたすため、噛むことができなくなる。流涎を認めることもある。進行すると誤嚥性肺炎を合併しやすくなり、全く飲み込むことができなくなる。

呼吸障害

 肋間筋と横隔膜の筋力低下により、呼吸困難が出現する。誤嚥性肺炎を合併すると呼吸障害は増悪する。

陰性徴候

 1)膀胱直腸障害 2)眼球運動障害 3)感覚障害 4)褥瘡

●検査

ALSを特異的に診断するための検査はなく、検査項目を組み合わせ診断していく。

  1. 筋電図
  2. 筋生検
  3. 血清CK
  4. 血中抗ガングリオシド抗体

●治療

対症療法が中心で、特に有効な治療法はない。

薬物療法

 グルタミン酸拮抗薬であるリルゾール(リルテック)が保険適用となったが、症状の軽減・改善をもたらす薬物ではなく、病勢進展を抑制する薬物として位置づけられている。欧米では有効性が認められたものの、未だ日本では有効性が確認されていない。

 対症療法として、易疲労性に対して抗コリンエステラーゼ薬、痙縮に対してバクロフェンがときに有効である。

運動療法

 リハビリテーションの目標は、可能な限り残存能力を利用し、その維持、変形・拘縮および廃用性筋萎縮などの二次的合併症を最小限に抑えることにある。そのためには、病型と重症度に合わせた指導が必要である。

栄養管理・呼吸管理・合併症の予防と治療

 栄養管理、呼吸管理、運動介助、意思疎通、合併症の予防と治療に加えて、死への看取りが問題となる。社会的、家庭的活動をできるだけ長く維持することが目標となるが、それには患者、家族、医療従事者の連携が不可欠である。

●経過と管理

〈経過〉

 常に進行性の経過を示し、症状の進行は早く、呼吸筋麻痺による呼吸不全が出現するまで2~4年程度である。発症から死亡まで平均3.5年で、5年以内に死亡する例が多い。時に停止性に見えることもあり、10年以上の経過をとる例もある。

 予後に影響する因子として、発症年齢が高いこと、球麻痺を伴うことがあげられる。病型では脊髄性進行性筋萎縮症は進行が遅く、球麻痺や呼吸障害が目立たないこともある。これに対して進行性球麻痺は球麻痺が先行するため、予後は不良である。

〈管理〉

1.対症療法

 廃用性筋力低下も加わり四肢の運動が低下していくが、適度の運動には防止効果がある。易疲労性には抗コリンエステラーゼ薬が時に有効であり、上肢帯筋の筋力低下のために肩関節の亜脱臼が生じる可能性が高い場合には、三角巾などでの処置が必要である。関節痛には能動的・受動的運動を心掛け、有痛性筋攣縮にはバクロフェン、フェニトイン、ジアゼパムなどが有効である。

2.精神的サポート

 根本的な治療法がなく、数年で呼吸筋麻痺による呼吸不全を生じる疾患であるため、精神的サポートは非常に重要である。病名や予後についての認識があっても、病状の進行と共に、精神的不安、不眠、攻撃的態度が見られるようになる。基本的ニードの充足を図ると共に、疾病の受容と適応への援助を行うことも重要である。

3.家族に関する支援

 患者の日常生活全般にわたる介護により、身体的・精神的疲労を伴いやすく、家族の生活と健康に対する配慮が必要である。病状説明に関しては、家族の心理、社会的背景を十分に把握し、理解度に応じ段階的に行っていく。医療的側面だけでなく社会的側面を重視した包括的ケアが求められる疾患であり、患者を取り巻くサポート体制の充実についても重視しなければならない。社会資源の情報提供や、ケア方法、療養環境についての家族指導を行っていく。

●看護計画

  1. 疾患の進行状況、症状や障害の程度、阻害されているニードは何か。
  2. 発病により患者と家族の生活にどのような変化がもたらされたのか、また今後どのように生活を変更していく必要があるのか。
  3. 患者と家族の生活背景の中に、原疾患の増悪因子となるものはないか。
  4. 以上の1~3について、どのような調整が必要か

(* ̄∇ ̄*)参考文献

医療学習レポート.筋萎縮性側索硬化症(ALS)と看護計画


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