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(ノ_・。)急性冠症候群(ACS)と冠動脈バイパス術(CABG)の話


(^o^)題名:急性冠症候群(ACS)と冠動脈バイパス術(CABG)の話

●ACCF/AHAガイドライン

アメリカ心臓病学会を中心として作成された2011年ACCF/AHAガイドラインによると、急性冠症候群(ACS)に対する緊急冠動脈バイパス術(CABG)の適応(Class I)は、薬物治療を施行しても虚血改善の効果が得られず(血行動態が不安定で)、カテーテル治療(PCI)が不可能あるいは不成功であったが、解剖学的にCABGが可能である症例、とされている。

ACSに対する治療には時間的制約があるため、PCI がその迅速性において優位であり、初期治療としての第一選択の地位を確立しつつあるのが実情である。

PCIに用いられるDESの改良や併用療法としての抗血小板剤の開発などにより、ACS に対する初期治療成績がさらに良好なものになりつつあり、冠動脈治療ガイドラインの変遷も明らかである。

以前のガイドラインでは左主幹部に対する PCI は禁忌であると考えられていたが、2011 年CCF/AHAガイドラインでは、ST 上昇型心筋梗塞(STEMI)の初期治療は PCI がClass I となっており、左主幹部が責任病変であると判断されたACS、いわゆる非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)や不安定狭心症に対する治療でもPCIが ClassI に位置づけされている。

これらガイドラインの変遷とともに、CABGの手術件数は減少傾向にあり、中でも緊急手術件数の減少は待機手術件数よりも如実である。

PCIの優位性が謳われている現状からして緊急CABGの適応となるのはおのずと以前よりも高度の冠動脈病変を伴う症例が多く、PCIが困難な高度び慢性病変・石灰化病変や左主幹部高度狭窄の比率が多くなっている。

 

●日本胸部外科学会全国アンケート調査データ

2010年に日本胸部外科学会より公表された全国アンケート調査データによると、2008年の本邦におけるCABG全症例のうち、待機手術ではoff-pump CABG(OPCAB)が65%、on-pump beatingCABG が8.5%であったのに対し、緊急手術ではOPCABが53%、on-pump beating CABGが 19.1%であった。

緊急手術ではやはり血行動態が不安定であり、循環補助が必要となる症例が多いことがここからも窺われる。

因みに、OPCABからon-pump beatingへのconversion は、待機手術例で1.8%、緊急手術例で2.4%であった。

2011年のデータをまとめた日本冠動脈外科学会のアンケート調査によると、アンケート調査の対象となった冠動脈バイパス術;12,425例、単独冠動脈バイパス術;8,990例のうち、初回待機手術ではPCAB が66.7%であったのに対し、初回待機以外(再手術,緊急手術)の手術では,OPCABが 55%に行われていた。

2011年の日本冠動脈外科学会のアンケート調査結果では、初回待機手術の手術死亡率は、PCAB群で 2.11%、on-pump beating 群で3.95%であったのに対し、初回待機以外(再手術,緊急手術)の手術での手術死亡率は、OPCAB群で3.42%、on-pump beating群で 11.57%と、やはり待機手術と比較して明らかな差が認められた。

 

●欧州の冠動脈治療ガイドライン

欧州の冠動脈治療に対するガイドラインでは、血行動態不安定な症例に対する血行再建としてPCIを第一選択としている一方で、血行動態の安定している症例に対しては、外科医・内科医を含めたハートチームでの討議のもとに治療方針を決定することが推奨されている。

(。´Д⊂)参考文献

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