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(゚∀゚)大腿骨頚部骨折の話


(´;ω;`)題名:大腿骨頚部骨折の話

近年、高齢者人口の増加に伴い、大腿骨頚部骨折も増加の傾向をたどっていて、寝たきり老人の一因である。

若年者でもときに生じるが、60歳以上の高齢者に多い骨折である。

女性に圧倒的に多く、男性の発生率は女性の1/2以下である。

北日本での発生頻度が低く、西日本で高値となり、全体として西高東低の傾向が見られる。

大腿骨頚部外側骨折の発生年齢は、内側骨折に比べて高い。

既に呼吸循環系、神経系に異常を有する患者が多い。

短期間の安静でも老人性痴呆になりやすい。

大腿骨頚部骨折は、人体骨折のなかで最も骨性癒合が得にくい。言い換えれば、骨癒合が満足に得られ、機能障害もなく、解剖学的治療することの最も困難な骨折である。特に外側骨折より内側骨折の方が、癒合しにくい。その理由は以下の通りである。

○癒合しにくい理由

①骨折部に外骨膜が欠如しているため、骨膜性骨形成が起こらず、関節液によって骨折部血腫が固まらないため、仮骨形成が阻害される。また、骨海綿質に乏しい。

②大腿骨骨頭の血行は、主に頚部皮膜を通して供給されているが、骨折によってこの血行が断たれるため骨頭側が阻血状態になり、骨折治癒能は末梢骨片のみにしかない。すなわち、骨頭栄養が極度に悪化する。

③骨切断端面に対し、力学的に不利な条件がある。すなわち、断面に垂直な力、圧迫力が得られにくい。骨折線の走行により、筋牽引力が剪断力的な力、あるいは場合により回転力の作用を及ぼし、骨折治癒に有利に働く圧迫力が得られにくいため、骨折部の離開が生じやすく骨癒合が障害される。

④高齢者に多く、骨粗鬆症があり骨の代謝回転が低下しているため、骨癒合能、骨再生能力が基本的に低下している。

 

大腿骨頚部骨折の分類

大腿骨頚部内側骨折:股関節の関節包内骨折であり、最も骨癒合率の悪い難治な骨折である。

大腿骨頚部外側骨折:股関節の関節包外骨折であり、内側骨折に比べると癒合しやすい骨折である。また、内側骨折よりさらに高齢者に多い。これは内側骨折よりも骨粗鬆症との関連が大きいためで、高齢者ほど骨の脆弱化が進み外側骨折が多発する。

 

○発生因子

・骨塩量の低下

・家庭環境や加齢による筋力低下

・視力、聴力などの低下による転倒

 

○受傷原因

骨粗鬆症を基盤とした大腿骨頚部骨折は、骨の脆弱化のため、つまずいて転倒したというような軽微なものが大半を占め、80歳以上の超高齢者では80歳未満群に比較して、軽微な外力による受傷が有意に多い

若年者では、交通事故や転落などの大きな外力が加わった場合のみ、この骨折を起こす。したがって、高齢者の骨折と同等に考えることはできない。

 

○受傷場所

屋内が半数以上を占め、80歳以上の超高齢者群では、さらに屋内で受傷する割合が高くなる。

廊下での骨折が最も多く、トイレ・玄関の順で、移動・歩行中に受傷する。

 

○受傷時間

半数以上が、早朝および日中の明るい時間に受傷しているが、超高齢者群では夕方、夜の発生が多い。

 

症状

○疼痛

股関節部あるいは大転子部に疼痛を訴える。

・大腿骨頚部内側骨折

自発痛は股関節部にあるが、時には骨盤大腿方面にも放散する。

大腿部の他動的運動や、大転子からの間接的頚部衝撃は、股関節部に強い疼痛を発する。

・大腿骨頚部外側骨折

圧痛は、大転子部に著明である。

 

○機能障害

疼痛のため、起立・荷重歩行不可能となる。内側骨折Garden stageⅠおよびⅡでは、歩行可能なことがあるので注意を要する。高齢者では、脳梗塞などによる片麻痺や老人性痴呆によって、体動が不自由なことがあり、すでにもっているこのような合併症が悪化したために動けないと誤解されることがあるので注意を要する。骨折による場合には必ず疼痛を伴う。

 

○変形

通常、患肢は伸展・外旋位をとり、転位がある場合には短縮する。

・大腿骨頚部内側骨折

下肢は短縮し、上前腸骨棘と内側下縁間の距離は健側より少ない。

・大腿骨頚部外側骨折

下肢は著明に外旋し、短縮する。

 

○腫脹・皮下血腫

・大腿骨頚部内側骨折

骨折部は関節包内にあり、しかも厚い筋層に包まれているため、腫脹が外部に現れるのに時間を要するが、大腿根部を健側と比較すれば明らかにび慢性腫脹をみる。

比較的早く大転子付近に腫脹が起これば、外側骨折、特に転子貫通骨折が考えられる。

関節包内骨折であるため、皮下血腫を認めない。

・大腿骨頚部外側骨折

腫脹は、転子部を中心として、大腿骨部に著しい。

皮下血腫は、転子部、大腿の前後面、殿部にみる。

 

○轢音

他動的に動かすと、骨折部に雑音を感じることができる。

大腿の回旋運動が正常範囲以上に大きく、回旋と共に異常音を感じる。

 

診断

以下のような場合、大腿骨頚部骨折の疑いがある。

①高齢者が転倒後下肢に荷重できなくなれば痛みの有無にかかわらず頚部骨折を疑いX線をとる。また、下肢外旋位と軽度の下肢短縮があれば(必発ではないが)、診断的価値がある。

②大腿骨頚部前面に圧痛が見られ関節外骨折では大転子に圧痛がある・回旋時の疼痛がある。関節外骨折では皮下に溢血が遅れて出現するが急性期には見られない。稀に転位のない骨折では下肢に荷重できることもある。

③X線による診断

・骨盤前後像および患側の股関節側面画像がスクリーニングとしては最善である。骨折線は一般には明瞭であるがはっきりしない場合はShenton線の非対称性、側面像での頚部に対する骨頭の屈曲や骨片がないかをみる。それでなお疑問の残る際は前後の拡大像を撮影する。これでも骨折が明白でなければ、1~2週後に再検査を行う。

 

・内側骨折

転位の程度によってGarden stageⅠ~Ⅳに分類される。

Garden stage分類

stage

X線像

骨性連絡が残っている不完全骨折

完全骨折ではあるが、転位のないもの。外転嵌入骨折(※1)はこれに属する。

骨頭が回転転位した完全骨折

骨頭は回転せず元の位置にあり、末梢骨片が大きく転移したもの

 

 

 

 

 

 

 

※1 外転嵌入骨折:一方の骨折端が他方の骨折端に嵌入し、中枢骨片が外反したもの

stageⅢとⅣの相違は頚部下包のWeitbrechtの頚部皮膜の連絡性が保たれているか否かによる。

すなわち、stageⅢではこの皮膜が残っているために骨頭は末梢骨片の転位に伴って回転する一方、牽引に外転・内旋を加えることによって整復されるのも、この皮膜が蝶番になるためである。一方、皮膜の連絡がなくなると、骨頭と末梢骨片は無関係に動くため、骨頭の回転は起こらず、stageⅣとなる。

・外側骨折

治療法選択の観点からEvansの分類がよく用いられる。これは内側皮質の破砕の程度と整復とその保持の難易度によって大きく安定型(stable type)と不安定型(unstable type)に分類し、さらに骨折線の方向によってgroupに細分する方法である。

Evans分類

Type1

骨折線は内側遠位(小転子付近)から外側近位に向かう。これをさらに4つのGroupに分ける。

安定型

Group1

転位なく、内側皮質の破砕もない。

Group2

転位はあるが、整復容易。

不安定型

Group3

転位、内側皮質の破砕あり、整復位の保持が困難で、内反変形を残しやすい。

Group4

破砕高度で内反変形を残しやすい。

Type2

骨折線は小転子付近から外側遠位に向かい、いわゆる転子下骨折に含めることもある。

 

保存的療法

疼痛が極めて軽微、特に患肢を外旋させてもあまり痛がらないものや、全身状態が観血的治療に耐えられないものは保存療法を行う。90-90tractionを約6週間行い、この後ギプス固定に変更する。

90-90traction:大腿骨顆上部にkirschner鋼線を挿入し、下腿には足関節中間位でギプスを巻く。股関節と膝関節を90°屈曲位で大腿骨を垂直に直達牽引し、下腿ギプスを懸垂する。重量は5~10kgとして牽引下で頻回にX線検査を行う。

mini-spica:股関節を外転・外旋位に保持し骨盤から膝上部までギプスを巻く。このとき、直達牽引に用いたワイヤーを抜去せず、ギプスの中に巻き込んで牽引力を持続するようにする。次に、下腿にもギプスを巻いて両者を膝継手で連結する。ギプスの装用期間は、通常6~10週間である。

 

・大腿骨頚部内側骨折

高齢者に発生することが多いため、保存的療法の適応は少ない。全身状態などから手術不可能な例にのみ牽引療法による保存的療法を行う。

Garden stageのⅠ、Ⅱの骨折は4~6週の床上安静後、約3ヵ月免荷すれば骨癒合可能である。しかし、後療法中に骨折が転位する危険を伴う。

・大腿骨頚部外側骨折

全身状態が極めて悪く手術不能な症例に対しては、やむなく牽引による保存療法が行われる。骨癒合は得られるが、歩行を許可できるまでには長期(約3ヵ月)を要する。

 

観血的療法

○screw and pin法

大転子が破壊されていない安定型の骨折に適応となる。皮膚切開(皮切)も少なく、局所麻酔下でも行える利点がある。術式には2本の螺子により骨折部を引きよせ、Steinmann pinをAdams弓に接して強斜位に刺入し、回旋転位の防止と小転子部の補強を図る。術後は3週より部分荷重を開始する。

 

○nail-plate法

強度的に弱い欠点があり、外固定の追加や長期間免荷など現在の治療法の基本に適合しない。また、プレートの折損が見られ内反変形、遷延癒合などの合併症が問題となった。

現在では、あまり使用しない。しかしAOのangle plateやMeLaughlinのnail-plateを愛用している人もいる。これらのnail plateの欠点は骨折治療過程における頚部の短縮による釘の骨頭穿破である。釘の特性、手技に精通した上で行うべきである。

 

○Compression Hip Screw(CHS)法(Dynamic Hip Screw(DHS)法

Ender法とともに現在最もよく使われている方法である。深い螺子山を持つlag screwとbarrel plateの組み合わせを圧迫螺子で締め付けて中枢骨片を引きよせ、骨折面に強い圧迫力を加え強固な固定が得られる(これは頚部の短縮に適応できるわけで、釘の長さが適切なら、骨吸収による短縮の余分な分だけがプレートの溝から外へ出てくるようになっている)。

術後は翌日より床上座位による大腿四頭筋、下腿三頭筋の訓練を開始し、疼痛が緩和され次第、股関節・膝関節運動を開始する。術後1週より起立、部分歩行を許可し、徐々に全荷重へ移行する。不安定型骨折では状況に応じて荷重時期を決定する。合併症、lag screwの刺入位置不良のため、screwの移動ないし逸脱、plate固定螺子の逸脱により中枢骨片の内反を生じることがある。

 

○Ender法

撓屈性のEnder pinを大腿骨内側顆上部より大腿骨頭まで刺入して骨折部の固定を行う方法であり、手術侵襲が少なく、早期離床が図れる。大腿骨内側顆上部で内側上膝動脈を確認し、その中枢部後方に刺入孔を空ける。術前に計測した適当な長さのピン先端が後方を向くように打ち込んでいき、髄腔の頬部を通過した後、ピン尖端の方向を変え骨頭の内側へ向かって打ち込む。一次圧迫骨梁に突き刺さることと、通常3本のピンを刺入するがそれぞれを扇状に分散させて打ち込むようにあらかじめピンに彎曲をつけておくことが、良好な固定を得るコツである。短いブロッカーピンを数本追加挿入して髄腔を満たし、ピンの沈下を防止する。手術には本特性を熟知し、多少の熟練を要する。

 

○gamma locking nail法

最近導入された新しい骨接合法である。骨髄内に挿入する髄内釘とsliding機構のlag screwとの組み合わせにより、CHS法に比してlever armが短いため荷重に対する安定性が良い。強固な固定性が得られ、早期離床荷重ができる。髄内釘は遠位部で横止めを行い、より固定性を高めている。

 

○Zickel nail固定法

外側進入路で大腿骨転子部および転子下部を展開する遠位大腿骨の髄腔をリーミングした後、試験的に釘を挿入しサイズをあわせ最適の太さの髄内釘を選択する。次に近位側のリーミングに移るが、あらかじめ大転子先端部に孔を穿ちその孔に向かってリーミングする。最終的は直径17mmまで拡大する。骨折部を整復し、横止釘ガイド(tunnel locator)を取り付けた髄内釘を大転子先端より挿入して貫通固定する。大腿骨頚部前捻角に一致した方向でガイドに沿ってワイヤーを挿入し、X線を行う。挿入位置を確認した後、ガイドを取り外しワイヤーに沿って中空ドリルでリーミングする。最後に横止め釘(triflanged nail)を挿入し、髄内釘と結合する。長大な斜骨折や内側骨欠損のため不安定であれば、ワイヤー締結固定や骨移植を追加する。

リーミング(reaming):リーマー(穴の形成や拡大に用いる回転式仕上げまたは切削工具)を使い孔をあける(広げる)こと。

 

○interlocking nail固定法

背臥位で牽引手術台の上に乗せ、牽引下に骨折部を整復する。股関節を内転位とし、転子上の切開を用いて錘で大転子先端部の転子下に孔を穿つ。透視下に孔からガイドワイヤーを近位と遠位の大腿骨髄腔内に貫通挿入する。リーマーで髄腔を段階的に拡大し、最大径に達する。最大系より1段落細い髄内釘を選び、近位の横止め螺ガイド(targeting device)を取り付けたまま挿入して、骨折部を貫通固定する。ガイドに沿ってドリリングし、近位側を横止め螺子(self-tapping screw)で固定する。遠位側の横止め螺子は透視を用いるとガイドなしで挿入することができる。

 

○人工骨頭置換術

従来、Thompson,Austin-Moore型に代表されるmono(unipolar)型人工骨頭に比べてbipolar型人口骨頭は、寛骨臼に及ぼす影響が少ないとされている。bipolar型はfemoral component(stem),bearing(cup)insert、およびouter headからなる。これらのシステムは一種の人工関節とみなされ、関節の可動性は主にfemoral componentと寛骨臼間(外部関節)で働く。適応は頚部内側骨折、骨頭壊死、末梢股関節症である。

進入路としてはMooreの後方進入路、Gibsonの後側方進入路、Watson‐Jones、McFarlandらの側方進入路、Smith‐Petersenの前側方進入路があるが、Moore進入路およびGibson変法が多く用いられている。

 

○Moore後方進入(low posterior approach)

Southern exposureとも呼ばれるこの進入法は解剖的進入法であって、外旋筋の一部を切離して後方から関節に達する方法である。この方法を用いれば、筋に対する障害が少なく、出血もまた少ない。大腿骨髄腔のリーミングも容易であるから高齢者に適している。

一方、この進入法では寛骨臼に十分に観察することができないから、寛骨臼の処理を必要とする疾患に対しては適当でない。また殿部に皮切があるため、術後感染をきたす率が他の進入法に比して高いという欠点がある。

患者を側臥位におき、股関節45°屈曲位におく。皮切は、上後腸骨棘の約5cm下方より始まり大転子の下縁に向かって斜めに下降し、次いで大腿骨の長軸に沿って約10cm下降する。皮切と同じ方向に大腿筋膜を末梢から大転子に向かって切り、上半分では大殿筋前縁に沿って筋膜を切る。露出した大殿筋を下部(第4および第5筋性群の間)筋線維の走向に沿って鈍的に分ける。その際、上殿神経を障害しないように注意し、分離した大殿筋の上筋線維群を上方へ、下筋群線維を大腿骨の殿筋粗面の付着部から切離して下方へ翻転し、外旋筋と坐骨神経を露出する。このさい外旋筋群および関節包に至る細い神経枝が見出されるから、これを切除する(術後の疼痛防止)。両双子筋および内閉鎖筋を停止部で切離して後方に翻転し、坐骨神経を包むように被護する。必要に応じて、大腿方形筋および梨状筋の一部も切離する。露出した後方関節包を頚部軸に沿って切り、さらに頚部付着を切離して、下肢を屈曲、内旋、内転(足を上方に向ける)して股関節を脱臼させる。

 

○Gibson後側方進入

本法は関節の展開が大きいので、関節形成術に広く用いられるが、人工骨頭置換術の際に寛骨臼の改造を必要とする例や頚部の短縮があるため大転子を下降する必要のある例にこの進入路が用いられる。

患者を側臥位におき、皮切は上前腸骨棘の前方約7cmの部で腸骨稜の直下から始まり、大殿筋の前縁に沿って、ゆるい前方凸の曲線を描きながら大転子の前上端に向かって下降し、次いで大腿骨長軸に沿って15cm下降する。腸脛靭帯を末梢側から線維の走向に沿って大転子まで縦切し、殿部では、股関節を外転し筋膜下に指を挿入して大殿筋の前縁を求め、これに沿って筋膜を切開する。切開した筋膜はそれぞれ前方および後方に圧排する。中殿筋および小殿筋を大転子の付着部で後で縫合できるような長さの腱を残して切離し、これを上方に翻転すると、関節内包が広く露出する。関節包の上前方部をコ字型に切開した後、関節を屈曲、外旋、内転して脱臼させる。

 

○Gibson変法

大腿骨頚部内側骨折に対する人工骨頭置換術にはGibson法よりも侵略の小さいMercyのGibson変法が好んで用いられる。この方法ではMoore法に比して股関節を広く展開することができる。また感染率が低いという利点がある。

Gibson法と同じ皮切によって股関節に達するが、Gibson法のように中殿筋および小殿筋を切離することなく、Moore法のように外旋筋群を切離して後方関節包に達し、これを切開し、股関節を屈曲、内旋、内転して脱臼させる。

 

○その他の進入路

側方進入路(McFarland,Watson‐Jones)や前方進入路(Smith‐Petersen)などによっても本手術が行われるが、これら%E


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