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(゚∀゚)頚髄損傷と離床期の話


( ´ ▽ ` )題名:頚髄損傷と離床期の話

◆離床期

『離床前期』

1)血管運動神経調節の再教育

患者は長期臥床と麻痺による筋緊張低下、自律神経障害のため起立性低血圧を生じる。特に第5胸髄より上位の損傷では、大内臓神経の離断による頑固な低血圧症候と呈するため、冷汗、眩暈、顔面蒼白、耳鳴り、失神、呼吸困難を起こす。

<対策>

①漸増的坐位、立位訓練

②深呼吸訓練を併用しての上肢挙上訓練→腹部、下肢の静脈還流を促進するのに役立つ

③腹帯装着

④下肢弾力包帯装着

⑤下肢のマッサージ

 

2)姿勢感覚の再教育

脊髄損傷では四肢、体幹の筋肉、表在及び深部感覚のみならず姿勢・運動感覚も損傷レベル以下では欠如する。第12胸髄以上の損傷では、股関節以下の感覚が消失するため立位バランスが、頚髄損傷では坐位バランスが困難となる。長坐位、あぐら座り、端坐位でのバランスコントロールはADLの基本となる。このバランスコントロール獲得に不可欠なものが、bridge muscleと呼ばれる筋群で僧帽筋、広背筋、腹筋群である。

①僧帽筋:C2,3,4の支配と副神経と二重支配を受けている。僧帽筋は肩甲帯を脊椎に懸垂すると共に、上・中・下部の線維は肩甲骨外転、回旋、固定筋として上肢機能に不可欠である。四肢麻痺では常に頭、頚、上部体幹の抗重力補助作用、呼吸補助筋、坐位でのプッシュアップ、いざり動作などの際に、体幹前屈することにより大胸筋を補助して、骨盤帯を前方に押し出す作用を有する。

②広背筋:C6,7,8支配である。体幹の固定と反作用による骨盤挙上、骨盤のコントロールに不可欠な最も重要な筋である。

 

3)坐位バランス訓練

①姿勢鏡での訓練:・Visual-Motor-Feedbackの効果

・肘関節のlockingの要領獲得

※C6以上では上腕三頭筋麻痺のため肩関節外旋、前腕回外、手関節、背屈、MP関節伸展、PIP・DIP屈曲位にて骨盤の両側に支持してlockingする。

②PNFの利用:・頭部より圧迫を加えて脊柱を伸展させる。

・頭部、肩甲帯より、ゆっくりとrhythmic stabilizationを加える。

・坐位でのPNFの応用はバランス獲得、脊柱のアライメントの矯正、頚部・肩甲帯周囲筋強化に好都合である。

③転倒訓練:マット上長坐位での転倒訓練

 

4)自己管理の指導・教育

①車椅子上での除圧訓練

この目的は褥瘡予防のために出来る限り殿部、坐骨部、仙骨部の除圧と、その除圧動作による上肢筋力強化と体幹の可動性訓練である。liftingの方法には、体幹前傾法、体幹後傾法、体幹捻転側屈法などがある。車椅子乗車初期には10分間に1回10秒、後に30分間に1回15秒を原則とする。

②体位交換

残存レベルに応じて可能な限り自己体位交換を指導する。体位交換時の介助量を減らすことを心がけ、オーバーヘッドフレームにてループ、ベッドの柵などの応用法、枕、クッション、ロールなどの併用を学ばせる。四肢麻痺ではかなりの困難を伴うが、残存筋力の維持などの効果もあり重要である。

③皮膚観察と麻痺肢の管理

ちょっとした不注意でが褥瘡の原因になるので厳重な指導が必要である。

④体重のコントロール

四肢麻痺では肥満による体重増加は、種々の活動に重大な問題となる。

 

5)家族・介助者への教育指導

患者に不安を与えず、危険のない、介助者にとっても楽な方法を会得させる。

 

『離床後期』

1)残存筋力強化と代償機能の確立

①関節可動域訓練

麻痺のため筋力に多少問題があっても、充分な関節可動性、柔軟性を得ることにより、てこ作用などの力学的効果を増すことが出来、結果的に動作の代償機能が向上することとなる。

頚 部 ・屈伸、回旋を重視
・疼痛に注意
肩甲帯 ・肩甲骨下制をさせる
肩関節 ・肩甲骨のモビライゼーション
・stiff shoulderの予防
・水平外転、外旋、伸展は可能な限り必要
肘関節 ・伸展制限の予防
・肘関節炎の予防
手関節 ・手関節背屈制限、手指の変形は絶対に予防
手 指   →プッシュアップに制限大
股関節 ・股関節屈曲、外旋、膝関節伸展挙上は可能な限り必要
膝関節
脊 柱 ・屈伸、回旋
 →長坐位で両膝間に頭が入るくらいの可動性が必要

 

 

 

 

 

 

 

②筋力強化訓練

・四肢麻痺では頚部周囲筋群、僧帽筋、広背筋、前鋸筋、大胸筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋、腕橈骨筋、長・短橈側手根伸筋

・対麻痺では背筋、腹筋、腸腰筋、腰方形筋、大腿四頭筋、前脛骨筋に左右差や同一レベルでも個人差があることを念頭にいれ、正しい残存レベルを判定し、筋力 プログラムを設定しなければならない。

・TDBEメカニズム:C6レベルのkey muscle

僧帽筋(trapezius)、三角筋(deltoid)、上腕二頭筋(biceps)

橈側手根伸筋(ext carp radialis)

・PTSLメカニズム:C7レベル以下でのkey muscle

大胸筋胸骨部線維(pectoralis sternal)、上腕三頭筋(triceps)

前鋸筋(serratus anterior)、広背筋(latissimus dorsi)

・PNFによる徒手筋力強化

・スプリング、スリングなどによる漸増抵抗運動

・車椅子駆動、プッシュアップによる強化

 

2)車椅子動作

  四 肢 麻 痺  対 麻 痺
姿勢と坐位 ・障害に応じた、適切な車椅子が処方されること
バランス    シート、フットプレート、バックレスト、アームレスト、ブレーキ、
  体幹ベルト、シートクッション
操 作 ・ブレーキ操作 ・ブレーキ操作
・アームレストの取り外し ・アームレストの取り外し
・フットプレートに手を伸ばす ・床から物を拾う
・殿部を前後にずらす ・フットプレートに手を伸ばす
駆 動 ・頭、肩を大きく使う ・ハンドリムで駆動
・駆動はタイヤを押して
・手袋(ゴム、皮)
  摩擦と擦過傷の予防のため
・ハンドリムはノブ付き、ゴム
 付きなど
・平地面での駆動 ・段差の乗り越え
  頭部前傾、肩下制、肘屈曲 ・キャスター上げての後輪走行
・車椅子の回転 ・階段降り
・低い段差(5cm以下)の
 乗り越え C6で可能
除 圧 ・体幹前傾法 ・プッシュアップ法
・体幹後傾法
・体幹捻転側屈法
・下肢挙上法

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・移乗動作

車椅子-ベッド間の移乗動作には、直角アプローチと側方アプローチによるものがある。

直角アプローチ:Zancolliの分類でC6(ⅠA)~C6(ⅡB2)

側方アプローチ:Zancolliの分類でC7(ⅡB3)以下

 

3)マット上動作

四肢麻痺では、寝返り、起き上がり、座位バランス、いざり動作、プッシュアップ訓練を実施する。

<寝返り>

四肢麻痺の基本的な寝返りは、残存筋を用いて頭頚部肩甲帯を回旋させ、その回旋力を体幹、骨盤を経て下肢まで伝える。

①上肢の振り出しの訓練から始める。振り出しの際、肘折れが起こるような場合には、肘を伸展位で固定し遠心力の損失を防ぐ。肘折れがなく上肢の振り出しが行えるようになってきたら、遠心力の増大による肩甲帯の回旋を狙って、両手関節部に重錘ベルトを付けて振り出しの訓練を行う。

②寝返る側の左上肢を約70゜程度の外旋位とし、手関節部を固定した状態で反対側右上肢の振り出しを行って寝返る。その後、左手関節部に重錘ベルトを付け、固定の代わりとしたり、あるいは実際に両上肢を振り出した寝返りの最後の場面のみ、左手関節部を固定し介助する方法をとる。

③寝返り動作の中で最も重要な、上肢Hの前方突出の促通と強化を行う。寝返る側の上肢は約70゜外転位とし、右上肢を伸展外旋位で前方に突き出す。

 

<起き上がり>

①C6(ⅡB1)

ベッド上でも起き上がりはC6(ⅡB1)レベルでも可能である。上肢でベッド柵など引きながら寝返りをし、頭部をベッド柵の上にのせ、頭部で柵上を伝わらせながら両下肢の間に持っていき起き上がる。

②C6(ⅡB2)

マット上での起き上がりなど、支持物のない状態ではC6(ⅡB2)より可能になる。基本的な方法は、まず寝返りを行い、状態を半臥位から両側肘荷重(on elbow)とし、体幹前屈位を経て坐位とする。この動作におけるポイントは、寝返った側の上肢をon elbowに持っていく事であり、肩関節を約100゜ほど屈曲し、軽度外転した状態から、主に広背筋の作用によって内旋内転を行うことによってon elbowとする。そのため広背筋及び肩関節周囲筋(三角筋、大胸筋、大円筋、小円筋、肩甲下筋など)の筋力は重要である。両側on elbowで下肢の側へ状態を移動させる際には十分な体幹の屈曲と回旋の可動性が要求される。これが不十分だと骨盤の右への回旋が過度となり、さらには骨盤以下が腹臥位になる。

③C6(ⅡB2)以下

上腕三頭筋が機能する場合には寝返りを行わず直線的に起き上がる方法も可能になる。この方法における成否のポイントは、背側でのon elbowの状態をいかに達成するかである。これには肩関節の伸展可動域だけでなく、胸郭、肩甲帯の可動性もが要求される。

 

<坐位保持>

四肢麻痺では、脊柱の椎間関節での骨性、靱帯の可動性の限界によるロッキングメカニズム(制動機構)により、麻痺域(体幹以下)の上に載った非麻痺域(両上肢、頭頚部、肩甲帯)の位置を移動させることにより重心をコントロールして坐位をとる。座位バランスの安定には非麻痺側での調節能力はもちろん、脊柱全体が均一な後彎姿勢となることが重要である。そのため脊柱の柔軟性を保っておく必要である。

①まず両上肢支持による坐位保持を行う。最初は上肢の接地位置を前側方(大腿中央部外側)とし、上肢は外旋回外位で肘を伸展位でロックする(バランスグレード:Trace)。

②徐々に支持位置を近位に寄せ、大腿上に載せる(Poor)。

③上肢の支持を一側ずつ大腿より浮かせ、最終的には両上肢前方挙上位(Fair)をめざす。後方バランスとしては、両上肢後方支持による坐位保持訓練も重要である。

④上肢の保護伸展活動の訓練を行う。PTは患者の上肢を持って一側ずつ前方、側方、後方に向け、最初にゆるやかに放る。徐々に勢いをつけて上肢を放り、両上肢同時に同方向に放る。さらにダイナミックなバランス訓練としては、メディシングボールやビーチボールなどを用いてボールパスを行うことによりより高度なバランスコントロールをめざす。

 

<いざり動作>

C6(ⅡA)およびC6(ⅡB1)レベルではいざり法でそれ以下のレベルではプッシュアップで行う。

①前方:大転子よりやや前外側に肘関節伸展ロック位でついた上肢を押しだし、肘の伸展を保ったまま顎を前方へ突出しながら前方へと倒れ込むようにして殿部を前方へ滑らす。

②後方:左右の上肢に交互に体重移動を繰り返しながら、除圧された側の肩甲帯を後方に引く操作をリズミカルに繰り返すことで行う。

③後方:長坐位にて後方支持位の両上肢にもたれかかるようにして肘関節伸展を保ちながら上肢を支え、殿部を浮かせるようにして殿部を後方へ移動させる。C6(ⅡB2)

 

<プッシュアップ訓練>

初期はセラピストが殿部より支持コントロールしてマスターさせる。また、左右へのpushupにより骨盤移動も指導する。

 

4)立位・歩行訓練

四肢麻痺では立位訓練による全身調整の意義が大きく、少なくとも1日1回は実施するべきである。C6以下であればギプスシーネ装着し、肘ロックとゴム手袋により支持にてセラピストの介助で平行棒内立位可能である。しかし、これは実際的ではなく、通常は起立テーブル、斜面台の利用が有効である。

<目的>

①肺、循環機能改善

②排尿、排便の促通

③腎機能の維持

④骨萎縮予防

⑤痙性の緩和

⑥起立性低血圧の予防

⑦下肢屈曲拘縮の予防

<方法>

①平行棒内位(ギプスシーネ装着など)

②起立テーブル

③斜面台

④PTなどによる介助起立法

(^O^)参考文献

医療学習レポート.頚髄損傷と離床期


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