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(;゚∇゚)/中枢性麻痺の本態と障害部位別の症候の話


(^o^)題名:中枢性麻痺の本態と障害部位別の症候の話

●本態と症候

中枢神経損傷後多くが片麻痺を呈し、一般に初期には麻痺側上下肢は弛緩する。その後時間の経過により腱反射の亢進を示し、筋緊張が高まる。そして、共同運動や連合運動、原始的な緊張性姿勢反射などの正常ではみられない異常な現象が出現するようになる。

回復途上では異常な反応や運動パターンが一時は全景を占めるが、回復がさらに進むと次第にその異常な減少が減弱し、徐々に質的に正常な運動様式へと変化していくこととなる。

①正常では上位中枢に抑制されている原始的な現象が開放されて顕在化した症状(筋緊張亢進、共同運動、連合運動など)―陽性徴候

②正常に存在している直接的な神経機構の障害による脱落症状(随意運動の喪失、立ち直り反応・平衡反応の消失など)―陰性徴候

 

●筋緊張の異常

筋緊張―静止時における筋のわずかな収縮状態。主としてγ運動系に制御され、さらにα運動系や筋自体の粘弾性の影響を受けている。

痙性―折りたたみナイフ現象

錐体路の障害で、脳損傷などにより脊髄反射への上位中枢からの抑制が断たれると、動的γ運動ニューロンの活動性が高まる。その状態の持続によりα運動ニューロンの活動も高まる。腱反射の亢進、病的反射、クローヌスのどが伴う。

固縮―鉛管様現象、歯車様現象

基底核や黒質などの錐体外路の障害で、静止状態での活動性が高まっている状態。腱反射の亢進、病的反射、クローヌスなどを伴わないのが普通。

脳血管障害では内包、基底核領域を含む損傷が起こるが、この場合、筋緊張維持機構の混乱を生じ、結果的に伸長反射は機能停止し、運動単位の粘弾性も低下する。そのため、筋弛緩状態を呈することが多い。一般的には時間経過に伴い腱反射の亢進が先行し、筋緊張の亢進が出てくるため、一見弛緩様の状態を経て痙性あるいは痙固縮の状態へと変化する。

 

●連合反応

片麻痺の回復段階に出現する病的現象である。

麻痺側で全く随意的な運動ができない場合でも、非麻痺側に強い随意運動を行わせると、その影響が麻痺側に及んで運動(共同運動)を引き起こすことができる。

これは、運動系の中枢経路には非交叉線維を含み、さらに脳梁を介した左右半球の連絡路が存在する。共同運動が脊髄のニューロンの上下の連絡であるのに対して、連合反応は左右の連絡である結果として出現する。

連合反応の運動パターンは以下に示すとおりである。

1.対側性連合反応・上肢――対称性健肢の屈曲→患肢の屈曲健肢の伸展→患肢の伸展

・下肢

(1)内外転・内外旋――対称性(Raimisteの反応)

健肢の内転→患肢の内転(と内旋)

健肢の外転→患肢の外転(と外旋)

(2)屈曲――相反性

健肢の屈曲→患肢の伸展

健肢の伸展→患肢の屈曲

2.同側性連合反応――対称性・患側上肢の屈曲→患側下肢の屈曲・患側下肢の伸展→患側上肢の伸展        など

●共同運動

片麻痺の回復初期にようやくわずかな随意的運動が可能になった時点で出現するもので、原始的な脊髄レベルの運動統合の表れと考えられている。

自分の意思による運動がある一定の固定したパターンでしか行うことができない。屈筋共同運動パターン、伸筋共同運動パターンの2つに区別される。

麻痺の回復がほぼ完全に回復された後でも誘発されることはある(股・膝の屈曲に抵抗をかけると足背屈・内がえしが出現する:シュツルンペル反射)。

共同運動パターンは以下に示す通りである。

屈筋共同運動 伸筋共同運動
1.上肢肩甲帯肩関節肘関節前 腕手関節*

手 指*

挙上・外転・外旋屈曲屈曲回外(掌屈)

(半ば伸展)

前方突出伸展・内転・内旋伸展回内(背屈)

(屈曲)

2.下肢股関節膝関節足関節足 趾 屈曲・外転・外旋屈曲背屈・内がえし**伸展(背屈) 伸展・内転・内旋伸展底屈・内がえし**屈曲(底屈)

*個人差があるため比較的多い型  **共同運動として外がえしは起こらない

 

●姿勢反射

中枢性の麻痺により出現するもの――原始的姿勢反射(上位頚髄や脳幹レベルで統合)

①非対称性緊張性頚反射(ATNR:asymmetrical tonic neck reflex)

頭を患側に向け頚筋が強く収縮すると、患側上下肢では伸筋が働きやすくなる。

頭を健側に向けると、患側の上下肢は屈筋が促通され、伸展が困難になる。

②対称性緊張性頚反射(STNR:symmetrical tonic neck reflex)

頚部の伸展(後屈)をすると両上肢の伸筋は働きやすくなり、下肢では屈筋の働きが促通される。

③緊張性迷路反射(TLR:tonic labyrinthine reflex)

背臥位では伸展刺激に対する感受性を高め伸筋活動を増大するが、腹臥位では逆に屈筋活動を高める。

 

中枢性麻痺により消失するもの―――高次の姿勢反射

①立ち直り反応(righting reaction)

頭や頚と骨盤や体幹などとの関係を正しく補正・修正して臥位から直立位を獲得し維持するうえで重要。これが出現するためには末梢から赤核レベルまでが温存されていることが必要。

迷路性立ち直り反応:体を上下反対にしても頭部は直立位をとる

頚の立ち直り反応:頭部を他動的にまっすぐすると体幹がそれに次いで反応する

体の頚に対する立ち直り反応:体を非対称におくと頭部は立ち直りまっすぐとなる

体の体に対する立ち直り反応:体が非対称性に地面と接すると頭部は直立位をとる

視性立ち直り反応:体を逆さにつるすと視覚の助けで頭部は直立位をとる

②平衡反応(equilibrium reaction)

前庭系や小脳および錐体外路系がその制御に関係することが必要である。

 

●障害部位別の症候

①優位・劣位半球症状

優位半球症状 言語の障害(失語症)失行症
劣位半球症状 自己内外の空間についての左右差を持った認知、行動異常・左半側の視空間・聴空間障害・空間イメージにおける左側の無視や左半身の運動無視・否認・左半身の自己帰属感の否定 など非言語的記憶の障害

構成障害

motor impersistence(*1)

pacingの障害(*2)

右同側性本態性把握現象

発話量増加

※これらの症状は抑制されるべき行動が抑制されずに勝手にあふれ出してくるというような状態で、適切な速度、量、方向、持続をもって遂行することの障害である。

*1 一定の肢位や運動を自発的に必要な期間、保持することができない症状

*2 何かを行う場合に落ち着いて丁寧に作業することが要求されている場合でもやたら性急に行動し、ゆっくりと行うことができない状態。

 

②障害部位と機能障害

<解剖学的部位> <機能障害>
第一次皮質運動野 筋力低下もしくは麻痺、筋緊張の変化
皮質感覚野 感覚脱失認知障害固有感覚障害運動制御の障害
前運動野 廃用による筋力低下運動課題のプランニングが困難失行
補足運動野 廃用による筋力低下複雑な運動課題が困難
基底核 寡動(無動)傾向廃用による筋力低下不随意運動(舞踏・振戦)異常筋緊張(強剛)
小脳 協調不全廃用による筋力低下バランス障害筋緊張の変化(通常、緊張低下)

 

③大脳半球の障害部位と症状およびリハビリテーションとの関連

前頭葉症状

<障害部位> <症状およびリハビリテーションとの関連>
運動皮質(area4) 弛緩性麻痺、腱反射↓、バビンスキー反射(+)
前運動皮質(area6,8)

不全運動麻痺、腱反射↑または↓、巧緻動作の障害、ロッソリモ反射(+)、強制把握、開扇現象の出現、area8の障害では反対側の眼の外転に障害

前前頭葉皮質(area9,10,11,12,13,24,32, 46,47)

両側の障害で人格・性格の変化、記銘力低下、学習力低下、無気力、感情易変性、自己欠点の欠如(外観・身だしなみに無頓着となる)
両側後上前頭回 尿失禁
両側前帯状回 尿失禁

 

側頭葉症状

<障害部位> <症状およびリハビリテーションとの関連>
一次聴覚中枢(area41,42) 語聾、皮質聾(両側性障害)
聴覚連合野(area21,22) 感覚性失語、失名詞(優位半球)。失音楽症(劣位半球)、聴覚失認(area22および21の一部)
視・聴・体性感覚野 視覚失認、聴覚失認、空間的関係の判断能力低下
側頭葉下端(area20) 側頭・後頭・頭頂葉の連合野からの情報を辺縁系に送る機能の障害(総合情報失認)
前頭葉、辺縁系との連絡部 感情、行為、人格の変化、精神障害
海馬体 コルサコフ症候群、短時間記銘力低下、感情表現の喪失、無関心
側頭葉後上部 眩暈、平衡障害(前庭機能障害)
側頭葉全体

側頭葉てんかん、時間認識の障害(時間が止まったような、あるいは速く過ぎたような錯覚)

視放線

上1/4盲、半盲

 

頭頂葉症状

<障害部位> <症状およびリハビリテーションとの関連>
一次体性感覚中枢(area1,2,3) 表在・深部知覚障害、フィードバックがないための運動失調
二次体性感覚中枢(area40の下部,43) 味覚障害(area43)、知覚障害は一次体性感覚中枢障害と同様であるが両側に出現、頭頂葉性筋萎縮
体性感覚連合野(area5,7,40) 身体失認、触覚失認、視覚失認、病態失認、聴覚失認、地誌的障害、構成失行、着衣失行、観念性失行、観念運動失行、ゲルストマン症候群(優位半球area39) 、味覚・嗅覚障害(area40)
角回 失書、失認、視空間失認

 

後頭葉症状

<障害部位> <症状およびリハビリテーションとの関連>
一次視覚中枢(area17) 盲、同名半盲

視覚連合中枢

(area18,19)

視覚失認、地誌的障害、皮質盲、視覚性錯覚(変形視、巨大視、微小視)、幻視
深部皮質脳梁膨大部 失読、色彩換語困難(左半球障害)、視覚性物体失認、相貌失認、バリント徴候①眼球運動麻痺がないにもかかわらずある点に眼を向けることができない②見ながら物をつかんだり、触ったりすることが上手にできない③視覚的不注意(他の感覚は正常)

 

大脳辺縁系症状

<障害部位> <症状およびリハビリテーションとの関連>
帯状回脳梁下回海馬旁回海馬体歯状回偏桃体

中隔

視床下部

前視床部

上部中脳

1.短時間記銘力の低下2.感情障害を主とする次のような症状を呈する①錯覚、幻覚等に起因する感情障害②感情の不安定、失禁(強迫笑い、泣き)、これに仮性球麻痺が合併しやすい③攻撃的行為、怒り反応④無関心、感情表現の喪失、刺激に対する反応閾値の上昇

⑤間脳てんかん(皮膚充血、涙、汗、頻脈、流涎、呼吸数減少)

⑥不安、恐怖、うつ状態  など

 

 

その他の部位症状

内包障害 反対側の片麻痺(一般に上肢に強い麻痺)、反対側の顔面・舌下神経の中枢性麻痺、顔面を含む半身の感覚鈍麻前脚――――ロッソリーモ反射(+)、筋強剛後脚前2/3-強剛痙縮、バビンスキー反射・ロッソリーモ反射(+)、後脚後1/3-痙縮、バビンスキー反射※片麻痺が軽度で回復傾向に富んでいる時には内包前脚または後脚の前2/3の障害、片麻痺が重症で回復傾向に乏しい時には内包後脚の後1/3の障害であることが多い。
脳幹障害 反対側の片麻痺・同側の脳神経麻痺(交叉性片麻痺)
視床障害 反対側の高度な深部感覚障害、感覚過敏、自発的に起こる異常感覚、自発痛など。視床外側核、後外側腹側核の障害では視床症候群が起きるといわれる。古典的な視床症候群は①片側の表在感覚鈍麻、深部感覚の消失②片側の軽度の運動失調、立体覚障害③片側の激しい自発痛(視床痛)④軽度な一過性の不全片麻痺

⑤片側の舞踏様運動またはアテトーゼ様運動 などである。

 

延髄障害 両側の舌咽神経・迷走神経・舌下神経の核上性障害によって球麻痺症候群(構音障害・咀嚼困難・嚥下困難)が起こる。しかし多くは偽性球麻痺である。

 

④脳血管の閉塞部位と症候

1.内頚動脈―――――――反対側片麻痺・感覚障害失語D、失行、失認2.前大脳動脈主幹部閉塞―――――下肢優位の片麻痺、感覚障害把握反射、吸引反射、自発性低下、無動性無言、歩行失行ホイブナー動脈―――顔面・上肢の麻痺

末梢部―――――――下肢の麻痺と感覚障害

3.中大脳動脈

主幹部閉塞―――――上肢の片麻痺、感覚障害、同名性半盲

失語D、失行、失認、半側空間無視N、ゲルストマン症候群

レンズ核線条体動脈―上肢優位の片麻痺、感覚障害

4.後大脳動脈

主幹部閉塞―――――同名性半盲

健忘DB、失読D、皮質盲B、視覚失認DB、アントン症候群B

視床膝状体動脈―――半身の感覚障害(高度の深部覚低下、自発痛、異常感覚)、運動失調、軽度の片麻痺、不随意運動(舞踏アテトーシス運動)

視床症候群

視床穿通枝―――――動眼神経麻痺

小脳性運動失調、片麻痺、不随意運動(舞踏アテトーシス運動)

ウェーバー症候群

5.脳底動脈

主幹部閉塞―――――眩暈・嘔吐→昏睡(→閉じ込め症候群)、弛緩性四肢麻痺→除脳硬直、縮瞳、呼吸異常、体温血圧上昇(→死)

遠位端閉塞―――――眼球運動障害、幻覚、傾眠、視野欠損、健忘、感覚障害、運動失調など

上小脳動脈―――――小脳性運動失調、ホルネル症候群

顔面を含む半身の温痛覚低下

傍正中枝――――――顔面神経・外転神経麻痺、片麻痺

眩暈、嘔吐

6.椎骨動脈

後下小脳動脈――――小脳性運動失調、顔面の解離性感覚障害、ホルネル症候群、軟口蓋麻痺、咽頭反射消失

解離性感覚障害

眩暈、嘔吐(ワレンベルグ症候群)

(*゚▽゚)ノ参考文献

医療学習レポート.中枢性麻痺の本態と障害部位別の症候


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