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( ゚o゚)脳卒中と筋緊張の話


(~_~;)題名:脳卒中と筋緊張の話

●筋緊張

骨格筋はたえず不随意に緊張した状態にある。安静時に、関節を他動的に屈曲・伸展するとき、わずかな抵抗を感ずることができる。筋固有の粘弾性と、筋伸張反射を介する神経の興奮を反映する張力を合わせたものと考えられる。筋緊張には被動性と伸展性が区別される。その異常には筋緊張の亢進と低下がある。亢進には、さらに筋固縮と痙縮がある。筋緊張の異常には、運動の基本である筋の物理的性質が影響を受けることにより、運動の正確さ(巧緻性)が損なわれることになる。

 

●片麻痺の筋緊張異常

元来、筋緊張が正常に維持されていることで人間は姿勢を保持したり、適切なタイミングで筋を収縮させ、四肢を動かすことができる。急性に錐体路が障害されることで、一時的に麻痺側上下肢の筋緊張低下をきたすことが多い片麻痺患者の筋緊張は、発症後数日から数週間で亢進し始め、痙性麻痺へ移行する。片麻痺患者に見られる筋緊張亢進状態は痙縮が代表的であるが、麻痺側全体が均一に痙縮の状態に陥るわけではなく、逆に筋緊張が低下したまま推移する筋もある。また、姿勢によっても変化するので、筋緊張の分布については注意深く観察と分析を行う必要がある。

筋緊張異常を持つ片麻痺患者の麻痺側の随意運動は、粗大で定型的な運動になりやすい。これは共同運動と呼ばれる。また、努力性の運動時(例えば、非麻痺側上肢で何かを思い切り握る、椅子から立ち上がる、歩く、など)に不随意に動きを生じてしまう。これを連合反応という。痙性筋に出現する病的なものであり、繰り返されることにより、次第に連合反応で常に収縮している筋で、短縮が起こり、関節可動域制限に結びつく場合もある。

筋緊張異常が脳卒中のリハビリテーションにおいて問題となるのは主に筋緊張亢進で痙縮・固縮に伴う随意運動障害・下肢の伸展やクローヌスなどによる歩行障害、関節拘縮や変形になりやすい、疼痛の原因になるなどである。

 

●治療目的

治療の適応は、上位運動ニューロン症候群により、スパズム、疼痛や衛生・皮膚の状態・睡眠などの症候上の問題が生じている場合や、患者のセルフケア・ポジショニングを困難にし、介護時などに問題となっている場合、さらには上肢の巧緻性や歩行、移乗などの動作時の問題の原因になっている場合で、治療によりそれらの問題を改善することが目標となる。一方、脳卒中や脊髄損傷などの運動麻痺患者の中には、筋緊張の亢進を歩行や移乗にうまく利用している場合もあるので、異常な筋緊張が、全ての患者にとって必ずしも不都合であるとは限らない。

<主な治療目的>
①痛みやスパズムなどの症状の軽減 ②ROMの拡大
③装具の装着のしやすさ ④拘縮や変形の予防・矯正
⑤介助のしやすさ ⑥ポジショニングの改善
⑦手指機能の向上 ⑧移動動作の改善

 

●痙縮と固縮に対するアプローチ

対策としては薬物療法、神経ブロック、手術的治療、物理療法、運動療法、装具療法が挙げられるが、理学療法でよく用いられるのは後者の3つである。

①物理療法

運動療法を行う前段階としての痙縮の抑制などに使われる。

・温熱療法

ホットパック、赤外線、パラフィン浴、極超短波、超音波

疼痛の軽減と筋トーヌスを低下させ痙縮を和らげる。その機序については明確ではないが、筋の温度上昇は筋紡錘の発射を減弱させ、筋の痙縮を抑制する。ゴルジ腱器管抑制効果(遠心性γ系の抑制)による筋紡錘興奮性の低下が考えられている。

・寒冷療法

氷水、コールドパック、アイスマッサージ、コールドエア

冷却により局所的な筋弛緩効果を得られる。機序については、筋紡錘活動の抑制、皮膚求心性線維伝導の減少、交感神経活動亢進による筋紡錘興奮性の低下、軟部組織と関節の粘性増加による伸張反射抑制である。

・電気刺激療法

機能的電気刺激(functional electrical stimulation:FES)治療的電気刺激(therapeutic stimulation:TES)に分けられる。

FESは電気刺激で筋を収縮させることにより、歩行時の足関節の背屈や手指の把持などの障害された機能を得て補養などを改善しようとするものである。これらに加え痙縮の抑制、筋力増強の効果もある。

TESは電気刺激により痙縮の抑制、筋萎縮の予防、筋力増強、筋再教育を目的に行われる。

②運動療法

・筋の伸張

痙縮筋に対しては静的な持続伸張が痙縮を抑制する。その機序は脊髄レベルでの反射抑制によるものではなく、筋紡錘の伸張刺激に対する感受性の変化によるものと推定されている。

・筋力増強訓練

痙縮のある筋に対して等尺性収縮を行わせることにより、痙縮を抑制し、拮抗筋の収縮をしやすくする。

・他動的ROM訓練

痙縮のある四肢に対して他動的屈伸を繰り返すと筋緊張が減少する。

これらの他動的ROM訓練を行うにあたり機械を用いる方法がある。長谷川らは関節可動域訓練の方法として空気圧式関節可動域改善装置「Romover」を用いた臨床治験を報告している。田中らは他動的関節可動域訓練の装置(therapeutic exercise machine:TEM)を開発している。

・神経生理学的アプローチ

神経生理学的な法則または神経発達理論を利用した治療的手技で促通(facilitation)、抑制(inhibition)や姿勢反射への影響をも含んでいる。

③装具療法

豊倉らは脳卒中片麻痺を対象にして考えた装具療法の目的を

・関節の自由度を減らすことによる歩行の獲得、改善

・神経生理学的な異常反射の抑制による痙縮の緩和

・物理的な伸張による拘縮や変形の予防改善

の3つに分けているが、どの種類も「痙性抑制」的要素を有すると述べているように装具の目的には筋緊張のコントロールの要素が含まれている。

痙性抑制装具(tone-inhibiting orthosis)は筋緊張を亢進させる刺激を減らし、抑制する入力を増やすように工夫させた装具であり痙性緩和を目的としている。

(*’ー’)/参考文献

医療学習レポート.脳卒中と筋緊張


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