
森田療法とは、森田正馬によって創始された、禅の思想とかかわりの深い、東洋的・日本的な治療法である。
不安や恐怖に直面し、現在の状況をあるがままに受け入れ、逃げ出さずに、そのなかで不安・恐怖に打ち勝っていくことを目的とする。
手法としては入院治療が主で、次のような段階を踏む。
第1期(絶体臥褥療法期):外部から遮断され、治療者もかかわりをもたぬことで患者は苦悩と対決する。
第2期(隔離療法期):外界の事物の観察、軽作業、日記を書くことなどが許可される。
第3期(作業療法期):重作業、読書が加わるが、他者との接触は制限される。
第4期(生活訓練期):実生活に準じた生活をする。
その期間は第1、2期を1週間以内とし、他は症状に応じて考慮される。
神経症性障害(特に不安神経症)、心身症が対象となる。
森田のいう「神経質」(疾病に対して恐れをもちやすく、そのため自己の身体感覚やふと思いついたことが気になり、それがさらに疾病への恐れを生むという悪循環に陥っている状態)がその治療の中心となる。
上述した入院による定式化された治療だけでなく、外来的には、たとえば症状に対する自分の感じ方を日記風につづり、それを治療者と検討しながら症状の除去を目指すような方法もある。
いずれにしろ、森田の言う「あるがまま」を、単に理解するのではなく、生活のなかで身につけていくことが目標となる。