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(  ̄▽ ̄)デュシャンヌ型筋ジストロフィー症と評価の話


(--〆)題名:デュシャンヌ型筋ジストロフィー症と評価の話

デュシャンヌ型筋ジストロフィー症の検査・測定および評価

デュシャンヌ型筋ジストロフィー症(Duchenne muscular dystrophy:DMD)

 

1.一般的検査および所見

 

Ⅰ.血液検査

・          新生児より著明なCPK値の高値が認められる.

 

Ⅱ.遺伝子検査(*4標準P.425)

・          DMDでは,ジストロフィン蛋白が全体的に欠損している.

 

Ⅲ.筋電図検査(*4標準リハP.423)

・          低電位(200~500μV)でNMUの減少しない筋原性パターンを示す.

 

Ⅳ.筋の生検

・          筋束内での筋線維の大小不同や中心核,結合組織の増加,脂肪変性などが観察される.

 

2.               運動機能障害の評価

Ⅰ.機能障害度分類(*2子どものリハP.208)

上記の検査,表1の分類を中心に診療対策を立てる.

 

表1 機能障害度分類

stageⅠ  階段昇降可能                            歩行可能a.手の介助なし

b.手の膝おさえ

stageⅡ  階段昇降可能                            歩行可能

a.片手手摺り

b.片手手摺り,膝手

c.両手手摺り

stageⅢ  いすから起立可能                          歩行可能

stageⅣ  歩行可能                              歩行可能

a.独歩で5m以上

b.一人では歩けないが,物につかまれば歩ける(5m以上)

①歩行器,②手摺り,③手びき

stageⅤ  四つ這い                              歩行不可能stageⅥ  ずり這い                                同上

stageⅦ  座位保持可能                              同上

stageⅧ  座位保持不可能                             同上

この一定の進行過程はDMDに共通であるが各障害段階の通過時間は一様ではない.歩行不能になるのは10歳前後である.運動能力として,

・歩行および走行時間

・階段昇降時間

・床および椅子からの立ち上がり時間

 

・歩行分析(床反力,関節角)

・VTR画像

なども障害の程度,推移を知ることができる

 

表1の問題点としては以下のようなもの(表2)があげられている.   (*5,筋ジスのリハ,pp.28-29)

表2 機能障害度分類の問題点

1)動作能力の評価できるADL,しているADLのいずれのレベルで判断するか?

2)評価方法

① 能力判定(不能・可能の判断)

四つ這い,ずり這い,座位保持などの状態,とくに時間,距離などの条件が不明

② 環境因子

椅子,階段の高さ,トランスファーの高さ(床へ?ベッドへ?)の基準に不明な点が多い.

3)通過期間

① ステージの逆転

階段昇降と椅子からの立ち上がり

歩行可能だが四つ這い不能

② ステージを跳ぶ

階段昇降と椅子からの立ち上がる動作が同時に不能に陥る.

歩行不能と同時に車いす生活となる.

③ ステージの幅

ステージ7,8は幅がありすぎる.

手すりを用いれば2-cの段階が長くなる.

 

 

表2に記した問題点を解消するため,最終的な修正を加えて1995年に障害段階分類の最終改良案が考案された.

その最終改良案を表3に記す。

 

表3 洋式・和式ステージ最終改良案(厚生省筋ジス研究班第4班PT・OT共同研究連絡会)

ステージ    歩行動作(注1) 階段昇降動作(16cm)(注2) 椅子から立ち上がる動作
  1 歩行可能 (優)手すりも要しない
  2 歩行可能 (優)片手手すり,膝まで
  3 歩行可能 両手手すり以上―不能 (優)座面に手をつかないで立ち上がり可能
  4 (優)5m歩行可能 座面を使って立ち上がる以下―不能

注1)歩行動作では車いす,歩行器,手すり,壁などの使用を禁止する.

注2)上り下りでステージに相違がある場合,低いステージで判定する.

(優)は,判定を優先する動作を示す.

ステージ3では椅子から立ち上がり可能とあるが,この動作はステージ2で喪失する場合があり,このステージを跳ぶことがある.

ステージ 洋式ステージ 和式ステージ
  5(注3) 移乗動作自立
  6 (優)ずり這い3m,2分未満(肘這いも含む)
移乗動作介助 介助で四つ這い姿勢をとれる
  7 (優)端座位保持車いす前方駆動可能 (優)座位保持可能ずり這い可能
  8 -a 支持(注4)があれば座位保持可能-b 常時ベッド上で生活

注3)洋式と和式ステージは,動作判定項目の違いから判定ステージは一致しない.

注4)グリソン牽引,ハローベスト,胴ベルト,各種座位保持装置を含む.

動作判定は,測定場所をそれぞれ明記する.

ステージ7は,洋式の端座位,和式の床上座位で結果が異なる場合がある.

ステージ8-aには,車いす自力駆動可能な症例が含まれる.

Ⅱ.上肢機能障害(*1装治マニュアルP.184)

.障害の進み方:上肢の筋力は近位から失われ,肩の安定性と自由度の喪失から肘の伸縮性の喪失へと進み,動作は前腕以下の残存筋により行われるようになる.拘縮は障害度Ⅴ以降目立つようになり,ADLを阻害する.

以下に,上肢挙上を5段階,机上での手の水平移動を4段階に分けた9段階分類を考案し,筋力との関係を検討している(図1).

 

1.              500g以上の重量を利き手にもって前方へ直上挙上する.

2.              500g以上の重量を利き手にもって前方90°まで挙上する.

3.              重量なしで利き手を前方へ直上挙上.

4.              重量なしで利き手を前方90°まで挙上する.

5.              重量なしで利き手を肘関節90°以上屈曲する.

6.              机上で肘伸展による手の水平前方への移動する.

7.              机上で体幹の反動を利用し肘伸展による手の水平前方への移動.

8.              机上で体幹の反動を利用し肘伸展を行ったのち手の運動で水平前方への移動.

9.              机上で手の運動のみで水平前方への移動.

図1. 上肢機能障害段階分類(9段階法)

 

3.        筋力評価(*2子どものリハPP.209―210)

Ⅰ.一般的にMMTが用いられる.

・     MMTの手技はDaniel法に準ずる.

・     厚生省研究班では進行性筋ジストロフィー(PMD)のMMTの手技を統一するためのマニュアルがあり,患児の協力は3歳ごろから可能である.

・     筋力3以下になると代償運動が加わるので検査肢位の確保に留意する.

・     MMTでは伸展が屈曲よりも早く低下する.

・     頚前屈,肩伸展,股伸展,大腿内転などの筋力は早くから低下する.

・     四肢末梢側の筋群は初期では障害が軽い.

・     頚伸展,後脛骨筋,手指固有筋などは長く温存される.

Ⅱ.X線CT画像

・     個々の筋障害の程度を定量化し数値的に知ることができる.

・     下肢CT所見では薄筋,縫工筋,後脛骨筋などの障害は局所の他の筋より軽度で各筋の障害には選択性がある.

Ⅲ.その他

・     MRI,超音波検査などによる筋障害の形態的解析も筋病態を表す.

・     握力は手指の総合的筋力評価として有用である.

・     握力の評価では,スメッドレ,コリン型の握力計が初期には用いられるが,正確には水銀握力計,デジタル力量計が有用である.

・     握力は,初期には発育とともに増加傾向をたどる→12~13歳をピーク(5~6kg)としてその後低下が強くなっていく.

4.        関節拘縮,変形について(*2子どものリハP.210)

機能訓練で最も重要な取り組みは筋力維持と平行して筋力低下に伴なう二次的な関節拘縮の予防および治療である.発生要因として,

・     筋の退縮

・     腱,筋膜の短縮

・     筋力減弱のimbalanceおよび重力

・     習慣的肢位

・     姿勢

Ⅰ.各関節の拘縮

・     最も早く出現する関節拘縮は股関節の屈曲・外転拘縮であり,その検査にあたっては骨盤固定が厳密でないと見逃される.そのため計測は2人で行う.

・     足関節では背屈制限に注目する.

・     膝屈曲拘縮は歩行期には軽度である.

・     ハムストリングス,腸脛靭帯,大腿筋膜腸筋などの短縮は歩行期中にもみられる.

・     拘縮の左右差にも注意する.

①上肢

・     初期には肩および肘関節は弛緩性で動揺関節をみる.

・     肘関節は,過伸展から次第に屈曲拘縮となる.

・     前腕回内拘縮,肘屈曲拘縮などは歩行不能になった頃に出現する.

・     手関節,手指の拘縮は末期に近づくとみられる.

②手指

・     浅指屈筋の短縮,弱化が最も早期にみられる.

・     上記の影響により,指伸展位でスワンネック変形(過伸展位)などをみる.

・     末期になると手指屈曲あるいは伸展の拘縮変形を伴なう.

・     変形を呈していても,手指,特に指先の運動は最後まで可能である.

③体幹

・     脊柱の後彎,前彎,側彎,回旋が加わった姿勢異常が歩行不能になるころに発生する.

・     上記の姿勢異常の中には,側彎の急速な進行と胸郭変形を伴なうものがあるので注目しなければならない.

このように,関節拘縮と脊柱変形は筋力低下と相まって悪循環となり,運動機能障害を助長しADL阻害因子ともなるので,その的確な評価は治療上極めて重要であり早期発見と予防・治療に努める.

 

5.ADLについて(*3日常生活PP.264―267)

厚生省研究班で作成されたADL評価基準法(表2)が一般的に利用されている.

・     5群25項目となっている.

・     1項目は5段階で4~0点の総合100点評価となっている.

・     内容的には起居,移動に関してが18項目あってADL遂行の基本として重視されている.

・     各項目の細目動作はそれぞれの障害の喪失への過程である動作様式,時間的因子,代償運動パターンを表現し,補助具,介助の必要度なども判断される.

・     歩行不能時期(10歳前後)から筋力低下も一層強くなりADLは50%以下となる.

・     歩行不能はセルフケアへの影響が大きく,取り返すことのできない宿命であって心理的動揺は大きい.

 

表4 ADL評価基準法(厚生省,筋ジストロフィー研究班)

25項目,5段階(4~0点)

1.              座位姿勢を保つ.4.バランスが崩れても立ち直る.

(40°以上体幹を傾けても立ち直る)

3.多少のバランスはとれる.

(10~40°体幹を傾けても立ち直る)

2.少しバランスを崩すとすぐに倒れる.

(10°以内の傾きで倒れる)

1.        少しささえれば,座っておれる.

0.        よりかからねば,座っておれない.

2.寝転ぶ.(座位→仰臥位)

4.手を使わずに仰向けにゆっくりと寝転べる.

3.手を支えれば,仰向けにゆっくり寝転べる.

2.一旦腹這いになってから寝転ぶ.

1.        手で支えきれずに,そのまま崩れるように寝転ぶ.

0.        介助なしには,寝転べない.

3.寝返る.

4.ぐるぐる回れる.

3.手と足を使って寝返るが,やや困難を感ずる.

2.時間(15~30秒)をかければ,やっと寝返りができる.

1.        寝返りはできないが,横向きになれる.

0.        横向きにもなれない.

4.這う.

4.四つん這いで早く這える.

3.掌をついて,四つん這いで進むが,指先を外方ないしは後方に回して徐々に這う.

2.床に肘をつけて這う.

1.        床に肘をつけて這おうとするが,進めない.

0.全く言えない.

5.起き上がる.(臥位→座位)

4.手を使わずに起き上がる.

3.手を使って起き上がる.

2.まず,腹這いとなり,起き上がる.

1.まず,腹臥位となり,起き上がるが,時間(20~1分)を要す.

0.起き上がり不能.

6.首の座り.

4.普通にできる.

3.腹這いで,頭をもたげるが,仰向けでは,もたげられない.

2.腹這いでも,頭をもたげられない.

1.座位では,首がすわっているが,少しでも傾けると頭が倒れる.

0.首の座り不能.

7.息が続く.

4.アーと連続発声,20秒以上続く.

3.アーと連続発声,15~20秒続く.

2.アーと連続発声,10~15秒.

1.アーと連続発声,5~10秒.

0.アーと連続発声,5秒以下.

 

 

8.茶碗を持って食事をする.

4.普通の茶碗と,箸を持って楽に食事ができる.

3.肘で支えて,茶碗を持ち食事をする.

2.上記の様に食事をするが,くたびれて中途でやめる.

1.茶碗は持てないが,箸又はさじでやっと食事が出来る.

0.        箸も持てない.

9.顔を洗う.

4.立位で両手で顔を洗う.

3.立位では,片手で身体を支え,他方の手で顔を洗う.

2.座位で両手で顔を洗う.

1.手は顔まで届くが,洗うことができない.

0.顔を洗えない.

10.手拭を絞る.

4.十分に絞りきれる.

3.絞れるが十分でない.

2.絞った手拭から水が落ちる.

1.タオルを持てるが,絞れない.

0.タオルも持てない.

11.字を書く.

4.肘を上げて字ができる.(箸で大きな字ができる)

3.肘をつき,前腕を動かして,中等度の大きさの字を書く.

2.ペン字がすらすら書ける.

1.ペン字がやっと書ける.

0.字が書けない.

12.ズボンをはく.

4.立ってズボンがはける.

3.座って大腿部まではき,立って(あるいは臥位で)腰まではく.

2.大腿部までしかはけない.

1.        座って足先までは,手が届くがはけない.

0.足先までも手が届かない.

13.上肢挙上

4.座位で,バンザイが出来る.

3.座位で,上肢を肩の高さまで,挙上可能.

2.座位で上腕を45°まで挙上可能.

1.臥位で上肢を動かせる.

0.        上肢運動不能.

14.立っている.

4.踵をつけ,気をつけの姿勢で,楽に立っておれる.

3.スタンスを拡げれば,楽に立っておれる.(下肢装具をつければ,楽に立っておれる.)

2.スタンスを拡げても,約30秒位しか立っておれない.(下肢装具をつければ,辛うじて独り立ちが出来る.)

1.大腿部をおさえれば,辛うじて立っておれる.(下肢装具をつけ,手で物を支えれば,立つ事が出来る.胴付き下肢装具で立つ事が出来る.)

0.介助なしでは立っておれない.

 

15.片脚で立つ(便利な脚を使って).

4.片脚で楽に立っておれる.

3.片脚でしばらく(15秒~1分)しか立っておれない.

2.片手で物を支えておれば,しばらく(1分以上)片脚立ちができる.

1.手で物を支えれば,辛うじて片脚立ちが出来る.

0.        他人の介助があっても,片脚では立てない.

16.両脚でよりかかり立ち.

4.介助を要しないで立っておれる.(下肢装具をつければ,楽に立っておれる).

3.片手で支持すれば,立っておれる.(下肢装具をつければ,辛うじて独り立ちが出来る.)

2.両手で支持しなければ,立っておれぬ.(下肢装具をつけ,手で物を支えれば,立つ事が出来る.胴付き下肢装具で立つ事ができる.)

1.物によりかかれば,立っておれる.

0.よりかかっておれない.

17.歩く.

4.普通に歩ける.

3.動揺性歩行をする.(独立装具歩行ができる.)

2.独りでは,歩けないが物につかまれば歩ける.(装具を付け歩行器歩行が10m以上出来る.)

1.物につかまれば10m位歩ける.(装具を付け歩行器歩行が10m以内)

0.介助なしでは歩けない.

18.走る.

4.10mを全力で走る.5秒以内

3.10mを全力で走る.5~10秒を要す.

2.10mを全力で走る.10~15秒を要す.

1.10mを全力で走る.15~20秒を要す.

0.10mを全力で走る.20秒以上.

19.椅子に座る.(椅子は股関節の高さ)

4.普通に座る.尻を浮かして椅子をはずしても,その姿勢を保てる.

3.普通に座るが,尻を浮かして椅子をはずすとその姿勢を保てない.

2.手を膝に当ててゆっくりと座る.

1.支えきれずにドスンと崩れるように座る.

0.介助なしでは,座れない.

20.椅子から立ち上がる.(椅子は股関節の高さ)

4.普通に出来る.

3.膝に手をついて立ち上がる.

2.物につかまって立ち上がる.

1.立ち上がろうと腰を浮かせるが立てない.

0.立ち上がる動作も出来ない.

21.坂道を登る.

4.急な坂でも普通に登れる.(傾斜約15°)

3.緩やかな坂なら普通に登れる.(傾斜約5°)

2.緩やかな坂道をゆっくりと登れる.

1.舗装していない路を歩ける.(10m)

0.舗装路なら歩ける.

 

 

 

 

22.階段を昇れる.

4.普通に昇れる.

3.手で膝を押さえて昇る.

2.片手を手摺りにかければ昇れる.

1.横向きになって両手で手摺りにすがって昇る.

0.        介助なしには昇れない.

 

23.階段を降りる.

4.普通に降りる.

3.手で膝を支えて降りる.

2.片手を手摺りにかけねば降りれない.

1.横向きになって両手で手摺りにすがり降りる.

0.介助なしでは降りれない.

24.床から立ち上がる.

4.普通に立ち上がれる.

3.手を使わず強く前かがみになって立ち上がる.

2.手で膝を押して立ち上がる.

1.四つん這いになってから手で膝を押し徐々に立ち上がる.

0.介助なしには立ち上がれない.

25.しゃがむ.

4.普通に出来る.

3.手で膝を支えてゆっくりとしゃがむ.

2.崩れるように床に手をついてしゃがみこむが,バランスが保てる.

1.崩れるように床に手をついてしゃがみそのまま崩れてしまう.

 

これら現行のADL評価基準法には改良すべき点も含まれているため厚生省研究班で検討された評価表を揚げておく(表3).また,DMDの薬効検定ではADLテストとして,走行あるいは歩行時間,段階昇降の姿勢および時間,床あるいは椅子からの立ち上がり姿勢および時間,起座動作時間などADL遂行の姿勢,所要時間などの追跡が行われる.

 

表5 進行性筋ジストロフィー症,ADL評価表

 

*子どもの評価での注意点

・     一番重視するのは,実生活での日常行動を観察することで,協力性の問題を考慮する.

・     情報源は看護師,保母,指導員,教師,家族などからいろいろと実状を知る.

・     各スタッフ間の情報交換の場を作ることが重要である.

 

6.呼吸,心機能,その他の評価(*2子どものリハPP.211―212,*4標準リハP.430―431)

Ⅰ.呼吸機能

呼吸筋力低下による拘束性換気障害を起こす.肺機能には一般に14,15歳ごろまでは増加傾向にあるが,以後は著明に低下して肺胞性低換気の慢性呼吸不全に移行する.

・     %肺活量(VC)が最もよい指標である.

・     %VCが50%以下まで進行してきたら,PaO2・CO2,特に夜間睡眠時のSaO2などの値が重要な指標となる.

呼吸不全のステージ分類は臨床症状より分類した中島の分類(表6)や動脈血炭酸ガス分圧値を参考にした石原の分類(表7)がある.

表6.DMD呼吸不全のステージ分類(*4標準リハP.431)

Ⅰ期(潜在性呼吸不全)易疲労感

%VC   30~40%

1回換気量    200ml前後

血液ガス分析   正常

Ⅱ期 呼吸不全期(初期)

早朝時の頭重感,チアノーゼ

右心不全(頚静脈怒張,Ⅱ誘導P波の増強)

%VC    20%以下

1回換気量    150~200ml

血液ガス分析   正常下限~軽度異常

(pHは正常)

Ⅲ期 呼吸不全(末期)

傾睡,昏迷,下顎呼吸,チアノーゼ

1回換気量    150ml以下

血液ガス分析:PO2↓,PCO2↑で,明らかな呼吸性アシドーシスを呈す.

Ⅳ期 急性増悪期

喘鳴,咳嗽,チアノーゼ,冷汗,喀痰,呼吸困難

(感染,誤飲などにより誘発)

 

表7.呼吸障害度各期における各パラメーターの推移

潜在期 初期
年齢8度分類

ADL

肺活量(ml)

%VC

1回換気量(ml)

動脈血pH

PCO2(Torr)

PO2(Torr)

13.8±4.85.3±1.5

30.8±21.3

1077.4±361.3

40.3±14.2

279.6±109.4

7.363±0.002

40.8±2.6

88.6±7.1

17.4±3.26.5±1.0

19.2±10.8

1149.6±513.6

32.2±16.5

264.1±120.0

7.360±0.003

47.0±1.5

81.7±9.4

 

中期 末期
年齢8度分類

ADL

肺活量(ml)

%VC

1回換気量(ml)

動脈血pH

PCO2(Torr)

PO2(Torr)

 

17.9±2.87.3±0.5

7.8±1.3

618.6±174.4

15.7±2.9

188.7±45.1

7.357±0.010

51.8±1.1

79.7±7.0

18.6±2.28

5.3±2.8

485.0±79.7

11.8±2.5

182.3±45.6

7.334±0.002

65.1±10.1

69.7±11.6

 

Ⅱ.心機能

・     左室後壁の繊維化が特徴で,14~15歳ごろから問題となる

・     心電図

・     心機図

・     心エコー図

・     胸部X線(CTR値)

などの]検査を定期的に実施し,リスク管理に役立てる.以下に心不全のstage分類を示す(表6).

表6.DMDの心不全の分類

Ⅰ:潜在性心不全期胸部X線写真上肺野にうっ血あり.

ECG上P波の増高なし.

自覚症状なし.

Ⅱ.心不全急性増悪期

悪心,嘔吐,腹部膨満,唾液分泌亢進.

尿量減少(500ml/日以下)

Ⅲ.心不全期

ジギタリスまたは利尿剤あるいは両者の併用内服の必要あり.

Ⅳ.心不全緩解期

ジギタリス,利尿剤を使用しなくても症状なし.

 

福山型先天性筋ジストロフィー(Fukuyama type congenital muscular dystrophy:F-CMD)

 

1.              診断と評価(*2子どものリハPP.229―230)

運動機能の評価的診断がもっとも重要であり,その点で運動能力レベルの判定の基準となる諸動作についてはもちろん,寝返り,起き上がり,しゃがみ,立ち上がり,駆け足などの基本的な動作について初診時までの発達の経過,現状の把握が詳細になされる必要があり,プログラム開始後もその発達,変化を追跡しなければならない.また,

・筋力テスト

・関節可動域

・上肢機能(バンザイができるか,物を握れるか,つまめるか,など)

・日常生活能力

・言語面(構音などのチェック)

・知的面

などの評価もできるだけ詳しく行う.

 

2.運動機能レベル評価(*2子どものリハP.223)

本疾患の経過は,初期の運動発達が優位な時期における機能・能力の上昇と,その後に疾患の進行が優位となった時期におけるその低下との2つの相に分けることができる.そのため,障害が一方向に進行するときに用いるステージという考え方をとらず,レベルという表現を用い,移動機能に重点をおいて,運動機能評価法として

表1に示す.この評価法は正常発達をそのままあてはめたものではなく,本症の詳細な障害学的分析に基づいて作られたものであり,そのため,以下のような特徴がある.例えば,

・     レベル5はつかまり立ちと四つ這い移動との二重規定になっている.これは機能上昇相においてどちらが先に可能になるか,また逆に低下相でどちらが先に不可能となるか一定していないためであり,特に四つ這い移動では下肢のみでなく上肢機能が大きく影響するためと思われる.

・     基本動作として重要な寝返り,起き上がり,立ち上がりなどの動作については,これらを含めると種々の矛盾が起こってくるので,結局レベルとしては加えないこととした.

 

表1.福山型先天性筋ジストロフィーおよびウェルトニッヒホフマン病における運動機能レベル

レベル8-階段昇降可能(装具の要不要を問わない.手摺りの使用可.ただし手引き,体幹支えは除く)レベル7-平地で手放し歩行可能(装具の要不要問わない)

レベル6-平地でつかまり歩行または手引き歩行可能(装具の要不要を問わない)

レベル5-つかまり立ち可能(長下肢装具使用は除く.短下肢または靴型装具は可)または四つ這い移動可能

レベル4-いざり這い移動可能(その方式は問わない)

レベル3-座位でその場回り可能

レベル2-お座り可能(自力で座位保持可能)

レベル1-首の座り一応可能(真の座りであれば必要なく直立位での安定があればよい).自力で座位保持不能

レベル0-首の座り不能

 

Ⅰ.運動機能の最高到達レベル(*2子どものリハP.226)

表1のレベル6,7,8の手引き歩行もしくは伝い歩き以上の,すなわち歩行能力を獲得する症例は少ない.

Ⅱ.運動機能の最高レベル到達時期(*2子どものリハP.226)

・     男子はほとんどが3歳以内に最高レベルに到達する.

・     女子は4歳以後に最高レベルに到達する症例が多い.

 

3.筋力評価(*2子どものリハP.227)

本症の筋力の正確な測定は以下に示す理由から困難である.

・     年齢が低いこと.

・     知能が低いこと

また,全体を通しての平均は意味がなくレベル別の集計を行わねばならない.

 

4.発達検査(*2子どものリハP.230,*5小児MOOK P.200~207)

 

知的面では,心理テストまたは遠城寺式その他の発達テストなどを行う.その他

・     一般行動

・     性格傾向

・     母親などとの関係

・     家族,特に母親の性格,心理状況(家族の診断)

・     家庭の状況,経済状態の把握

についても注意深く観察する.

Ⅰ.発達評価の方法(*5子どものリハP.201)

①保護者面接

・     生育歴の聴取(病歴,発育歴,家庭環境の変遷)

・     家庭の状況(親子関係,兄弟関係,物理的環境条件,近隣関係,友人関係)

・     本人の日常生活の状態

②検査

各種機能の発達検査.後に詳しく述べる.

③観察

・     あそび

・     母子関係

・     友人関係(子ども同志のかかわりあい方)

・     治療者とのかかわりあい方

Ⅱ.発達検査(*5小児MOOK P.201)

発達検査に使われている検査には表2のような種類があり,それぞれが特色を持っている.

 

表2.心理検査一覧

*総合的に知能を表示するもの1.              鈴木ビネー知能検査

2.              田中ビネー知能検査

3.              MCCベビーテスト

4.              乳幼児簡易検査(愛研式)

*機能別に知能を表すもの

5.              WPPSI知能診断検査

 

6.              WISC(R)知能診断検査

7.              WAIS

*知能以外の発達領域も含めているもの

8.              マッカーシー知能発達検査

 

9.              K式発達検査

10.愛研式乳幼児精神発達検査

*発達の各領域が一覧できるもの

11.デンバー式発達スクリーニング検査(日本版JDDST)

12.遠城寺式乳幼児分析的発達検査法

13.津守式乳幼児精神発達質問紙

14.実践と発達の診断表

 

*発達尺度と病理尺度が備わっているもの

15.精研式CLACⅡ(自閉症児行動評定表)

16.精研式CLACⅢ(自閉症児行動評定表)

17.自閉症発達障害児教育診断検査(PEP)

*単独領域(機能)の検査

18.運動機能発達検査

19.S-M社会生活能力検査

20.田研式社会成熟度診断検査

21.大脇式精神薄弱児用知能検査

22.コース立方体組み合わせテスト

23.ピクチャーブロック知能テスト(PBT)

24.コロンビア知的能力検査(CMMS)

25.大脇式盲児用知能検査

26.ITPA言語学習能力検査

27.フロスティグ視知能発達検査

28.グッドイナフ人物画知能検査(DAM)

鈴木治太郎

田中寛一

古賀行義

片島義友

 

D.ウエクスラー,日本心理適性研究所

 

D.ウエクスラー,日本心理適性研究所

D.ウエクスラー,日本心理適性研究所

 

 

D.マッカーシー,小田信夫他

 

京都児童院

愛育研究所

 

上田礼子

 

九州大小児科 遠城寺宗徳

津守 真・稲毛教子

西村章二

 

 

 

梅津耕作

 

 

 

自閉児教育研究会

 

 

荒川勇

三木安正

 

大脇義一

SCコース,大脇義一

榊原清・他

 

B.ブーゲンマイスター,三沢義一・他

 

大脇義一

SAクリック,三木安正・他

M.フロスティグ,飯鉢和子・他

F.L.グッドイナフ,小林重雄・小野敬仁

2歳~成人

2歳~成人

1~30ヶ月

0~8歳

 

3歳10ヶ月~7歳1ヶ月

5~15歳

16歳~

 

 

2歳6ヶ月~8歳6ヶ月

3ヶ月~6歳

0~7歳

 

0~6歳

 

0~4歳8ヶ月

0~7歳

0~7,8歳

 

 

 

幼児・児童

 

 

 

1~7歳

 

 

幼児

6~13歳

幼児・児童

1歳10ヶ月~6歳

6歳~成人

4~9歳

 

3~9歳5ヶ月

 

6歳~成人

3~8歳

4~8歳

3~10歳

 

 

①知能以外の発達領域も含めているもの

「マッカーシー知能発達検査」は,知能検査として測定される能力以外に運動能力が測定できるところを特色としている.一般知能の内容もWISCとは異なり,最近注目されるようになってきた学習障害児の診断に対応できる構成になっている

 

②発達の各領域が一覧できるもの

ⅰ.遠城寺式乳幼児分析的発達検査法

時間があまりかからず道具もわずかですみ,ほとんどすべての障害に対応でき,乳児の運動機能の測定法の訓練を受ける機会もなく現場に立たされた心理判定員にも使えるといった便利さから,急速に普及し,愛研簡易式にとってかわるサブテストの位置を占めるようになった.


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