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(  ̄▽ ̄)頚髄損傷と外科的治療の話


(^ム^)題名:頚髄損傷と外科的治療の話

頚椎、頚髄損傷に対する治療の原則は保存療法を第1選択とし、適応を選んで手術療法に移行することにある。手術療法の目的は、骨症の整復固定、損傷脊髄の除圧ならびに早期リハビリテーションの3点に絞られる。まず、救命処置と骨症の安静固定に万全を尽くし、ステロイド剤などの投与で二次的脊髄損害の防止に努める。次いで骨症のrearlignment、さらに脊髄除圧、脊椎固定とすすめる。概要について以下に述べる。

1)初期治療

搬送時には脊椎を動かさないようにすることが大切である。CT及びMRIの撮影が終了した時点で、透視下にhalo vestを装着する。

①       呼吸

呼吸麻痺、高度の呼吸障害、つまり窒息、すでにチアノーゼをきたしているときや意識障害などについては気管切開を直ちに行って人工呼吸器を確保する。

肋間筋麻痺により腹式呼吸になっている上に、頚部の軟部組織損傷による血腫や腫脹により、気管ないし喉頭が圧迫偏位されて換気が不十分になっていることが多い。また、肺気腫を発症することもある。

②       循環

血管運動麻痺により末梢血管が拡張し、血圧低下を起こす。また、合併する胸腹部損傷などによる出血がこれを助長する場合もある。

2)保存的療法

③       頭蓋骨直達牽引重錘漸増整復法

損傷程度にもよるが平均的には5~10kg程度の重量にて約8~12週間の牽引が持続される。その後頸椎固定装具を装着し、X線で安定性が得られてから装具を除去する。

④       halo-pelvic traction

⑤       姿勢整復法

3)薬物療法

⑥       ステロイド

過高熱、脊髄浮腫に対し早期大量投与を行う。受傷8時間以内が望ましい。

⑦       マンニトールないしグリセロール

初回、マンニトールないしグリセロール500mlを投与するが、マンニトールを投与する場合には、利尿作用による循環血漿量の低下には細心の注意を要する。その後はグリセロール200~300mlを6時間おきに投与する。

⑧       その他

頚髄の脊髄損傷では、迷走神経優位にあるため、硫酸アトロピンおよびH受容体ブロッカーの投与は必須である。

 

4)観血的療法

頚椎、脊髄損傷の観血的療法では上位頚椎損傷と中・下位頚椎損傷で分類される。上位頚椎損傷での脊髄損傷の合併頻度は10%前後と比較的少ない。また保存療法に奏効するのが多いことも下位頚椎損傷と異なる部分である。ここでは主に中・下位頚椎損傷に対する観血的療法を挙げる。

①     術前準備、処置

骨傷に対しては、halo-ringを装着し、牽引固定をはかる。脱臼骨折に対しては速やかにslow reductionを実施する。

~下位頚椎脱臼骨折の整復法~

ⅰ)頚椎正中位で、10分間隔に重錘を2kgずつ増量する。通常は15kgまで。

ⅱ)牽引の滑車軸を高め、頚椎軽度前屈位にもちきたす。顎を胸につけるよう命ずる。

ⅲ)重錘を徐々に減じ、頚椎を正中位にする。

②     アプローチと体位

アプローチは前方進入法と後方進入法がある。それぞれ背臥位と腹臥位をとらせる。側臥位で体位変換することなく一段階手術を行う方法もある。手術体位の変換及び術中、halo-vestないし牽引固定法により骨傷の安定固定に終始する。

ⅰ)前方進入法

(1)皮切りは、甲状軟骨、C4・C5輪状軟骨C6を目印に胸鎖乳突筋前縁に切開を加える。

(2)皮膚切開線に沿って広頚筋を鋭的に切開し、浅頚筋膜をみる。これを胸鎖乳突筋前縁に沿い、Kelly鉗子で深層より剥離し、切開する。

(3)胸鎖乳突筋を外側に開き、外側で頸動脈鞘を確認し、内側では肩甲舌下筋を筋膜かに透見する。この上後縁ないし、下縁にそって、中頚筋膜を剥離切開する。

(4)椎体前面を指触しながら頸動脈、胸鎖乳突筋を外側へ、肩甲舌下筋、胸骨甲状筋ならびに気管、気道、甲状腺を内側に引き、頚長筋前面を被う深頚筋膜に達する。この両者間の剥離はTupfelガーゼにて鈍的に進める。この際、甲状軟骨中央高位で、上甲状腺動静脈をみることができる。これをKelly鉗子で、丁寧に剥離し、必要に応じて二重結紮切離する。

(5)深頚筋膜を縦切開し、損傷レベルを確認する。外脛骨静脈叢の血管を凝固し、頚長筋を電気メスにて椎体より剥離する。

(6)剥離した頚長筋の下に開窓鉤をかけ、術野を確保する。前縦靭帯損傷部で切開し、損傷椎間板を露出する。

 

 

ⅱ)後方進入法

(1)ランドマークはC2、C7、T1棘突起におき、正中縦切開を加える。

(2)項靭帯も正中縦切開し、棘突起先端を見る。次いで電気メスにて傍脊柱筋を棘突起周囲より剥離する。

(3)傍脊柱筋を棘突起、椎弓より下位より上位に向かい剥離する。損傷椎間関節の剥離は椎間関節の全貌がうかがえるよう、損傷状態を把握しながら慎重に行う。

③     手術的整復法

ⅰ)前方整復術

適応:保存的に整復し得なかった脱臼骨折

手技

①損傷椎間板、椎体は、新鮮例では、損傷病変で肥えられるが、陳旧例ではX線による確認を要す。前縦靭帯、骨膜を電気メスにて剥離切除し、損傷椎間板、椎体を露出する。

②椎間板線維輪を電気メスにて椎体縁より切離し、まず損傷椎間の最外側部椎間板組織を摘出し、ここに、spreaderをかけ、ヘルニア鉗子、鋭匙を用いて、損傷椎間板を摘出する。椎体後縁に達すると、後部椎間板の損傷状態を確認し、脱出組織は全摘する。

③ここで整復を試みる。助手の協力を得て頭蓋骨直達牽引を試みる。この際、軽度頚椎屈曲位になるように調整すれば効果的である。術者は2~3mmの鋭匙を脱臼椎体の中央部に引っかけるようにおき、下位椎体縁鋭匙てこの支点として、脱臼椎体をこじあげると、整復音を放って整復される。

④realignmentを確認し、不十分であれば前方プレート固定の追加ないし外固定を強固する。

 

 

ⅱ)後方整復術

手技

①損傷椎間ならびに隣接上下を部分的に露出し、視野を確              保する。

②損傷椎の棘突起を圧布鉗子で把握し、上下方向に牽引し、徒手整復を試みる。整復が可能であれば下位頚椎関節突起をエアトームにて削除し、嵌合を解除する。

③その後、小Cobb elevatorを脱臼椎椎弓下に入れ前方脱臼を整復する。

④整復の保持はいずれも不確実であり後方固定の追加を要す

る。

 

 

④     脊椎固定術

ⅰ)前方固定術

適応:前方アプローチによる手術的整復および前方進入法による脊髄除圧などの併用手術として実施するほか、慢性期の不安定椎ならびに脊椎変形にも適応される。

手技

①仰臥位、牽引固定下で前方進入法により損傷高位に達する。

②椎間板組織を摘除後外側部にspreaderを入れ開大固定してエアトームを用い椎体掘削し、移植床を作成する。母床は体軸に対して、水平に穿ち、椎体後縁より2,3mmのところに棚をもうける。

③単椎間ではSmith-Robinson法で、腸骨片を採型し、挿入移植する。母床の大きさはspreaderを取った状態で測定し、これよりやや大き 目の移植骨を採型し、移植時にはspreaderを入れ開大挿入する。

④移植骨を被覆するように頚長筋を引きよせ縫合する。

後療法:単椎間固定の場合、6週間のhalo-vest装着後、顎下支柱付き頚椎固定装具またはPhiladelphia型頚椎カラーに変更し、X線検査にて骨癒合判定し適時除去する。

 

ⅱ)後方固定術

適応:早期ないし亜急性期には脱臼骨折の手術整復術の併用療法として採用

する。慢性期では不安定椎や脊柱変形進行例に適応がある。

手技:①腹臥位、halo-vestの前方パーツ固定ないし牽引固定下で、後方進入法で損傷高位に到達する。必要なrealignment操作に引き続き固定処置を加える。

②1椎間固定では上位椎棘突起基部にドリル孔を穿ち、これに22番ワイヤーを通し、このワイヤーを下位椎棘突起基部に引っかけ、締結固定する。隣接複数椎間固定では同じ操作を重複させればよい。

※その他にKirschner wireの閂へのwireの締結、Wire固定+fascet

fusion、Wire棘間固定+fascet fusion+腸骨片graftがある。

後療法:術後処置は前方進入路による諸処置に準ずる。

 

⑤     脊髄除圧術

ⅰ)頚椎椎弓切除術

適応:現在では椎弓切除術はほとんど行われておらず、禁忌と考えられている。

ごく限られた適応と開放性脊髄損傷や頚椎症、OPLLによる多椎間の脊柱管狭窄による麻痺増悪例など、手技的には最近の骨形成的椎弓切除術、すなわち脊柱管拡大術による処置が一般化している。

ⅱ)脊柱管拡大術

適応:多椎間にわたる頚椎症性変化や、後縦靭帯骨化などによる脊柱管狭窄の脊髄除圧に採用する。

手技:①棘突起穿刀にて、棘突起を基部5㎜残して切離する。

②椎間関節内側1/3にlateral gutterを作製する。

椎間はforaminotomyに準じて開窓する。軸椎椎弓の下縁ないしは、下位での隣接椎弓上縁は2,3㎜削除し、黄色靭帯の切離に備える。また、必要に応じて、トランペット型掘削を加え除圧範囲を上下に拡大する。

③Lateral guitter掘削に次いで棘突起縦割に移る。まずφ3㎜ steel burrにて棘突起central gutterの作製。

④次いでφ2㎜diamond burrにて棘突起を縦割する。

⑤拡大は頚椎用spreaderを用いて上位に向かって行う。黄色靭帯下に粘膜ベラを滑り込ませ、硬膜を保護したのち尖メスにて正中切開また下位での黄色靭帯を横切する。順次上位に向かって拡大と黄色靭帯切開を進め、最後に上位での黄色靭帯を横切する。

⑥椎弓下の癒着を検索、剥離を粘膜ベラで行いながら、用手的に下位より、上位に向かい順次椎弓を拡大する。

 

⑦縦割し、拡大した左右の棘突起間には、硬膜上に遊離脂肪移植をした後、スペーサー(自家骨、バイオセラム)を挿入し、ポリエステル糸にて、締結固定する。

後療法:術後は4~5日目より起床し、6週間、顎下支柱付頚椎固定装具を装着、6週間簡易頚椎カラー固定後、2週間目より頚部の傍脊柱筋のisometric trainingを開始する。

(^o^)参考文献

医療学習レポート.頚髄損傷と外科的治療


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