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(* ̄ー ̄)脊椎症(頚椎、胸椎、腰椎)の話


( ̄▽ ̄)題名:脊椎症(頚椎、胸椎、腰椎)の話

頚椎・頚髄の機能解剖

頚椎は7個よりなり、C4-5がもっとも前方に突出した前弯を示すのが正常である。

第1頚椎、第2頚椎は第3頚椎以下とは異なった形態と機能をしている。C1椎は環状であり、C2は歯突起がある。

頚椎回旋運動の1/2はC1-2椎間で行われ、残り1/2はC2以下の頚椎で行われる。C1と歯突起の安定性に重要なものは環椎横靭帯である。(図2・3)C1と歯突起前面間、歯突起後面と環椎横靭帯間には、正中環軸関節がある。慢性関節リウマチではC1-2椎間関節のほかに正中環軸関節も病変となる。

C3から7は類似した形態をとり、椎体の鉤状突起(Luschka突起)がある。

 

椎間板は軸椎より仙椎間の各椎体間に線維軟骨性の円板がある。その中央に軟骨性の柔軟な髄核があり、その周囲を強靱な線維輪が取り囲む。(図2・5)椎間板組織は脊柱に加わる外力の吸収をしている。椎間板は椎体の上・下面おおう軟骨終板に密着している。円板の厚さは頚・腰椎では前方が厚く、胸椎部では前後ほぼ一定である。髄核の水分含有率は70%から80%であるが、加齢により髄核の水分が減少し、弾力性を失う。髄核は血管がなく、再生能力がないので加齢現象(脱水)・外力(線維輪周辺部の断裂が髄核変性を誘発するといわれている)などにより髄核変性が進行すれば脊椎へ直接外力が伝達されるようになる。脊椎やその周辺の靭帯には豊富に痛覚性神経組織が存在するので、刺激により疼痛が発生する。また、脊椎変形や靭帯肥厚などが発生する。

椎間板の神経分布に関し、Jacksonは腰椎椎間板の研究で神経終末は髄核内および線維輪内側には存在せず、線維輪外層から後縦靭帯にかけ神経終末が存在すると述べている。椎間板ヘルニア発生過程中、髄核が線維輪外側から後縦靱帯部に移動してきた段階で持続的神経刺激が生じることになる。

脊柱管内壁の感覚は洞脊椎神経である。洞脊椎神経は脊髄神経から分岐し、交感神経からの枝と合したのち、椎間孔内から脊柱管内にはいり、椎体、靭帯、骨膜、静脈叢、硬膜などに分布する。

椎間関節は椎弓の上下の関節突起から構成されるが、その関節面の形状(傾斜、面凸凹など)は頚椎可動性に大きな関係をもつ。頚椎椎間関節面はほぼ全方向に動きうる形態となっているが、腰椎では椎間関節面は垂直に近く、側屈から回旋が制限される。

椎間孔は上下頚椎の椎弓の凹み(下椎切痕および上椎切痕)で形成される。椎間孔内側は鉤状突起、外側は上下の関節突起である。鉤状突起は経年的に肥厚変形し、椎間孔を狭窄化する。

棘突起に付着する靭帯は静的固定作用、棘突起に付着する筋は動的固定作用を有する。棘突起は筋の働きにとってテコの役割を果たす。棘突起に付着する靭帯は棘状靭帯と棘間靭帯に大別される。頚椎の棘状靭帯は項靭帯とよばれ、索状部分と膜状部分よりなる。頚椎棘突起に付着する靭帯は下方ほど強くなり、下位頚椎から胸椎間の棘状靭帯は強靱である。

脊柱管は脊柱が上下に連なって、脊柱を形成し、椎孔部になる。脊柱管の前後径は臨床上大切であり、この値が小さいと脊髄圧迫障害が生じやすい。成人での正常の最小前後径は14mm、横径は17mm程度とされている。

脊柱管狭窄症には、先天性と後天性(変形性)がある。脊柱管の狭窄化は脊椎間のずれや脊柱の動きで生じる。頚椎では前後屈時の最小前後径が12mm以下ならば、脊髄障害が発生する可能性があるとされている。

C1-2間の安定性は臨床的には頚椎側面X線像の環椎前結節と軸椎歯突起間の距離(ADI)で検査する。頚椎中間位で同距離は3mm以下、小児で4mm以下とされ、前後屈で変化しない環椎横靭帯の断裂によるC1-2椎間の不安定がある場合、ADIは頚椎前屈で拡大、後屈で減少する。

 

頚部痛のほとんどは頚椎柱、特にその機能単位としての脊椎運動単位における神経支配と密接に関連している。頚椎の運動単位としての機能は、頭部の支持性と頚椎の運動性という相反する機能を生理的に両立させている点とさらに頚部脊柱内に脊髄神経を保護している点である。

 

胸腰椎

胸椎は12個、腰椎は5個からなる。

胸腰椎の横断面は胸椎がハート形であるのに対し、腰椎は楕円形である。上位胸椎は頚椎に似て左右に長い長方形に近づき、下位胸椎は腰椎に似た楕円形に近づく。

脊柱管の横断面は胸椎で円形、腰椎で三角形である。脊柱管も上位胸椎では頚椎に似て左右径を増し、下位胸椎では胸椎に似た三角形に近づく。また、下位腰椎では斜走する神経根の走行に沿って脊柱管外側が椎弓根部で深く切れ込み、外側窩を形成している。脊柱管の横断面積は腰椎が頚椎に次いで広く、胸椎がもっとも狭い、特に胸椎上位から中位にかけては狭い。これら脊柱管の大きさや形態の違いは、なかに入れる脊髄・神経根の大きさや形態に応じたものである。

椎間関節の形態は、矢状面でみると胸腰椎では頚椎に比べて垂直に近く、横断面でみると胸椎は内後方から外前方に向かう凹形の関節面をもつ下位椎では、上位椎下関節突起の前方に向かう凸形の関節面を、後内方に向かう凹形の関節面をもつ下位椎上関節面が抱え込んでいる。そのために胸椎では回旋運動が、腰椎では前後屈と側屈運動が容易にできる。

椎弓は胸椎で上下幅が広く、その上に棘突起が細長く下方に下垂しているので、椎弓間隙は非常に狭い。腰椎の棘突起は胸椎に比べて上下幅が広く、下方への傾斜もゆるやかとなり、下位腰椎ほど椎弓間隙が広くなる。(図2・1)

胸椎は肋骨と接合して胸郭を形成する。椎体外側面の上下両縁に上肋骨窩と下肋骨窩があり、上下2椎で1つの関節窩をつくり、肋骨頭との間に肋骨頭関節を形成している。ただし、T1、T11、T12では椎体外側面に1つの完全な関節窩が存在する。また、T1~10横突起は第1~10肋骨結節との間に肋骨横突起間関節を形成している。腰椎の横突起は薄く扁平で、普通はL3横突起がもっとも長い。腰椎横突起の前半部は肋骨起源とされ、これが分離したものは腰肋とよばれる。

胸腰椎椎体の前側面には縦走する前縦靭帯が各椎体・椎間板に付着し、特に椎体上下端に強固に付着している。この前縦靭帯は3層からなり、最表層は4~5椎体に及ぶ長い線維で、中間層は2~3椎体に及ぶ。最深層は各椎間に結び、これが椎間板と椎体骨端核にしっかりと付着している。靭帯そのものの厚さは椎体中央部でもっとも厚く、椎体の鼓形のくぼみを埋めるかたちになっている。

脊柱管内にあって椎体と椎間板の後面を覆うかたちで後縦靱帯が縦走している。後縦靱帯は椎体部で幅が狭く厚いが、椎間板部で幅広く薄い。また2層に分けられ、深層は厚く、椎間板線維輪や椎体縁としっかり結びつき、各椎体間をつないでいる。表層は薄い膜状で、2~3椎体間に及び、正中で深層と癒着しているが辺縁では深層と分かれており、硬膜にも線維が移行している。深層と表層の間には毛細血管や動静脈叢が存在し、鈍的に剥離できる。椎体中央部分と後縦靱帯との結びつきは粗で、靭帯下には椎体に出入する動静脈がある。

前縦靭帯と後縦靱帯の間には脊椎側方靭帯があり、脊柱側方部分を覆っている。この靭帯は、椎間板と密に結びついた短い線維からなっている。

この黄色靭帯は、上位椎弓の前面下縁から下位椎弓の後面上縁に付いている。側方は主として椎間関節の前面を覆い椎間孔の内上後壁を形成するが、表層の線維は一部椎間関節後面に及んでいる。椎弓間エラスチンを多量に含んだ黄色弾性線維からなる。厚く強力な黄色靭帯がつないでいる。この靭帯は脊柱管内組織の保護と同時に脊柱の過度の前屈を制御している。

棘突起間部には棘間靭帯が張り、特に腰椎でよく発達している。また、棘突起先端には連続性の強い棘上靭帯が張っている。これらの棘間、棘状靭帯は黄色靭帯と同様に、脊柱の過度の前屈を制御している。

横突起間には薄い膜状の横突起間靭帯が張っているが、比較的弱い靭帯で、臨床的にあまり重視されない。

L4、L5横突起と腸骨稜との間には腸腰靭帯が張り、腹側仙腸靭帯や背側仙腸靭帯ともに腰仙椎の安定化に役立ち、荷重時の仙骨上部の前方回旋を防いでいる。一方、仙尾骨外側縁と腸骨稜から坐骨結節内側縁に張る三角形の幅広い仙結節靭帯と仙尾骨外側縁から坐骨棘に張る仙棘靭帯が、仙骨下部の後方回旋を防いでいる。

なお、胸椎の特殊な靭帯として、肋骨頭関節と肋骨横突起関節の間に内外の肋骨横突起間靭帯が、また肋骨頭と肋骨頭から上位の胸椎横突起との間には上肋骨横突起間靭帯は張っている。椎間板との肋骨頭の間には関節内靭帯が張り、関節包の前面には強靱な放射靭帯が関節包を補強している。

椎間板は線維輪、髄核、軟骨終板の3要素からなり、椎体間にあって脊柱に可動性と弾力性の支持性を与えている。椎体の上下面を覆う軟骨終板は硝子軟骨で、その間を線維軟骨からなる線維輪が連結している。線維輪の中央部分には胎生期脊索の遺残とされ、脊索細胞の増殖とムコイド変性からなる髄核が存在する。

新生児期にあっては、X線像上椎体骨化核の高さと椎体の高さが見かけ上ほぼ同じであるが、椎体の骨化が進むに従って、X線上の椎間は相対的に低くなり、成長終了のころには輪状骨端の骨化とともに椎体縁が完成し、椎体は椎体の1/3~1/4の高さになる。このときに骨化を免れた薄い軟骨が軟骨終板で、椎体縁の輪状骨化部分に囲まれた骨終板を覆っている。この軟骨終板は、石灰化層で椎体骨終板としっかり連結している。

線維輪は横断面でみると輪状の層状構造をしており、主として膠原線維からなる。各層を形成する線維は一定の角度で斜走し、各層で交互に交叉している。この層状構造は椎間板前方部でよく発達している。縦断面でみると線維輪の各層は上下の軟骨終板に付着し、線維輪外層部分は椎体の輪状骨端にしっかりと付着している。この線維輪外層線維をSharpy線維という。

 

髄核はムコ多糖蛋白複合体と水分を主とするゲル状物質で、新生児期には、脊索細胞が多数存在する。少なくとも10代半ばまでは線維輪と髄核の境界は明瞭な球形を呈しているが、その後、加齢とともに髄核は水親和性の強いムコ多糖蛋白複合体が減少し、周囲から線維軟骨で置き換えられて線維輪との境界が判然としなくなる。椎間板の中心にあってゲルの性格をもつ髄核はそれ自体内圧を有し、これが線維輪に張力を及ぼして脊柱に支持性を与えている。したがって、髄核の水分減少、線維化は脊柱の力学的機能に支障を生じる。

椎間関節は上位椎の下関節突起と下位椎の上関節突起で形成され、上下関節突起の関節面は硝子様軟骨で覆われ、関節包と靭帯で囲まれた滑膜関節である。関節内には半月が存在する。(図2・4)荷重を受けることは少なく、椎間の運動をコントロールしている。

 

脊柱管内には髄膜に覆われた脊髄・神経根があり、各神経根が椎間孔から出て脊髄神経となる。

脊髄前角からは前根糸、後角からは後根糸が上下のいある幅をもって出て、椎間孔内で合流して脊髄神経となる。前根と後根が合流する直前の後根に後根神経節が存在する。脊髄における根糸の拡がりの幅が髄節に相当し、頚椎は8髄節、胸髄は12髄節、腰髄は5髄節、仙髄は5髄節、尾髄は1髄にわけられる。

脊髄最下端、すなわち脊髄円錐部の位置は小児と成人で異なり、脊椎との相対的位置関係は発育とともに脊髄円錐部が徐々に上行する。下肢を支配する腰部膨大部は髄節が密集して太く、T10-12脊椎高位に位置している。各髄節から出た前根は前寄りを、後根は後寄りを椎間孔に向かうが、下位にいくほど目的の椎間孔が下方に移動するため脊柱管内を斜走するようになり、腰部膨大部以下では神経根が束になってほとんど垂直に下降しているので馬尾と呼ばれる。脊髄最尾部に位置する脊髄円錐の先端は、神経機能をもたない索状物である脊髄終糸とつながっている。

 

頚椎症

痛みを伴う脊椎疾患の病態は破壊性疾患と変性疾患に大別できる。1つは脊椎の構成要素が破壊されるもので、脊椎の骨折や脱臼などの外傷、化膿性脊椎炎や結核性脊椎炎などの感染症、原発性や転移性脊椎腫瘍などである。他は臨床的に頻度の高い脊椎の加齢的変化、老化に伴う変性疾患である。

 

頚椎症の4大症状

分類 症状 病態
局所症状 肩こり、頚部痛 洞脊椎神経(椎間板性)後枝内側枝(椎間関節性)

筋・筋膜性、靭帯性、骨性

上肢症状 上肢放散痛、手指しびれ 神経根性、髄節性、索路性
体幹・下肢症状 痙性歩行、排尿困難 脊髄索路性
椎骨動脈不全症状 めまい、耳鳴り、失神 椎骨動脈性、椎骨神経性

 

頚部痛をきたす主な疾患の病態と特徴

疾患名 主病態 痛みの症状と特徴的所見
頚部脊椎症神経根症

脊髄症

骨棘形成、椎管狭小化脊柱管狭窄 頚・背部痛神経根症状

脊髄症状

頚部椎間板ヘルニア 椎間板内髄核の脊柱管内脱出 頚・背部痛神経根症状

脊髄症状

脊髄腫瘍(髄内、硬膜内髄外、硬膜外) 脊髄神経内の腫瘍発生 神経根性痛恨脊髄症状
脊髄空洞症 外傷後、くも膜炎後、髄内腫瘍、キアリ奇形合併 一側性上肢痛での初発解離性知覚障害
脊椎炎 結核性化膿性 主に椎間板と脊椎周囲への結核菌、細菌感染 叩打痛、ときに脊髄症状血液検査で炎症所見陽性
後縦靱帯骨化症 後縦靱帯の骨化 小外傷で重篤な脊髄障害
慢性関節リウマチ 環軸椎脱臼脊椎関節炎 項部痛、多発関節痛ときに脊髄症状
転移性脊椎腫瘍 悪性腫瘍の頚椎転移 安静時脊椎痛、根性疼痛時に急速な脊髄症状
頚部捻挫 頚椎周囲軟部組織損傷 慢性、局所な疼痛
頚髄損傷 外傷による頚髄の損傷 麻痺域の痛みと四肢麻痺
炎症性斜頚 上位頚椎への炎症波及 頚・背部痛、斜頚
多発性硬化症 中枢神経系の多発性脱髄 空間的、時間的多発性中枢神経症状、視力低下
頭蓋頚椎移行部奇形 歯突起形成不全、分離環軸椎脱臼

頭蓋底陥入症

短頚、斜頚上部頚髄圧迫症状

下位脳神経症状

硬膜外血腫 外傷、血管奇形、血液疾患、抗凝固療法、特発性 局所の背部痛急速な横断性脊髄症状
動静脈奇形 硬膜AVM(後天性)硬膜内AVM(先天性) 急性、間欠性、慢性進行性の脊髄症状

 

痛みの発生機序

頚肩腕症候群

頚椎の不安定性の始まりは、病理学的には椎間板線維輪の亀裂形成とその伸展であり、生化学的には髄核、線維輪の軟骨基質の変性である。結果として椎間板の初期機能不全が生じて、やがて同一分節の椎間関節の異常運動を引き起こし、滑膜炎を生じて、不定の頚部痛を発症する。

この頚部痛の痛覚受容には、主に後縦靭帯や神経根に分布する神経幹神経を分枝して一部に交感神経を含む近く神経である洞脊椎神経と椎間関節包を支配している脊髄後枝内側枝が中心的役割を担うと考えられる。

洞脊椎神経は椎間板性疼痛を脊髄後枝内側枝は椎間関節性疼痛としての関連痛を肩や肩甲帯への放散痛として伝える一次求心性神経である。このときに反射的にγ運動神経細胞の興奮を伴って筋緊張は増大する。

神経根痛

神経根を形成する神経線維の機能的あるいは器質的変化に伴い、その支配領域に知覚・運動障害を伴った上肢の関連痛は特に根性疼痛と呼ばれる。その疼痛の放散部位は、皮膚髄節にほぼ一致して自覚される。

しかし、なかにはKeegan型の神経根症や祖夫江らの頚椎性筋萎縮症、あるいは平山病のように神経根疼痛よりも筋萎縮や筋力低下を主症状とする症例に少なからず遭遇する。これらの局所病態生理は脊髄神経根のうち運動神経を主に容れる前根、あるいは運動神経細胞としての前角に対する圧迫、牽引、二次的は循環障害が主病態であると考えられる。

索性疼痛

脊髄横断面にて想定できる索路の障害は大きく前索、側索、後索の障害が考えられるが、前索のみの障害の臨床症状は明確ではない、一方、前側索の障害は前脊髄動脈症候群あるいは脊髄損傷での前部脊髄損傷の型としてきたときに経験され、その大半は疼痛の程度が著明であり、多くの例で麻痺領域の痛みを訴える。後索ないし後根の障害は、臨床的には脊髄梅毒や帯状疱疹後神経痛にて経験されるが、電撃性の疼痛ないし持続性の激痛が特徴である。

多発性硬化症などの脊髄疾患において頚椎の前屈姿勢で誘発される背部痛はレルミッテ徴候として知られれており、脱髄性病変部の牽引に伴う後索疼痛として考えられる。

脊髄空洞症で咳や排便時に認める背部痛はデジェリン徴候として知られているが、胸腔ないし腹腔圧の上昇に伴う脊髄内空洞の伸展と関連があり索性疼痛の一つである。

一方、頚椎症性脊髄症における脊髄内病変の伸展パターンは服部の病型ではⅠ型からⅡ型、さらにⅢ型へと進行すると考えられている。Ⅰ型は脊髄内の主に灰白質が、Ⅱ型は皮質脊髄路が、Ⅲ型は脊髄視床路が障害を受ける。その臨床症状の特徴は1型では頚椎後屈姿勢での上肢のしびれ感の出現ないし増悪であり、Ⅱ型は痙性歩行であり、Ⅲ型は下肢のしびれ感を伴うことである。

頚髄症患者が訴えるしびれ感は、患者がそれまでに経験をしたことがない程度の機能障害を基盤として、感覚障害や運動麻痺に対する不快な感情体験として表現される。しかしながら、脳で認識されるこれらのしびれ感に対応する固有刺激があるわけではなく、感覚受容器から抹消神経、脊髄、脳幹、視床、大脳皮質にいたる神経系のなんらかの構造的あるいは機能的障害により、感覚の統合が障害されて生じるものであると考えられる。

また、関連症状として痛みのほかに、不眠、頭痛、めまい。肩こり、ゆううつ感、イライラなどがあり、相互に訴えを修飾増強させている。そのしびれの言語的表現やしびれの程度は患者の被った機能障害の程度や経過期間と相まって機能の回復が十分でない場合、あるいはまた、その回復性についての医師の十分な説明と患者の納得あるいは障害の受容がうまくいかない場合さらに憎悪して強化される。

 

腰痛症

腰痛には体性痛と根性痛があるため、まずこの両者を区別しなければならない。体性痛は椎間関節、傍脊柱靭帯、傍脊柱筋、椎間板および硬膜などに分布する知覚神経終末が刺激されて起こる腰痛である。根性痛とは神経根になんらかの機械的圧迫、化学的刺激が加わり、神経根の炎症が引き起こされた結果生じた腰痛、下肢痛である。前述したように、知覚神経の終末は腰痛の様々な部位に存在し、疼痛を認知する。

6%高張食塩水と76%ウログラフィン混合液を注入することによって得られた深部腰痛の自覚された部位である。この実験でよれば、腰椎前縦靭帯直下の正中と前側方への刺激では、ともに腰仙部交感神経幹と脊髄神経交通枝を介し、正中刺激では常に腰部に腰痛が現れること、自覚する腰痛はほぼ髄節性の拡がりを示すがいわゆる関連痛としてより遠位の髄節にも疼痛を感じる傾向があることなどがわかった。

椎間関節包および棘上・棘間靭帯周囲の刺激では、ともに脊髄神経背側・内側枝を介し、椎間関節関節包刺激では刺激と同側に、棘上・棘間靭帯刺激では正中にこぶし大の、境界不明瞭な非放散性の深部腰痛が出現する。腰椎後縦靱帯、後方線維輪の刺激では、洞脊椎神経を介し正中からやや大きな拡がりをもった境界不明瞭な非放散痛の深部腰痛が生じる。一方、神経根への刺激では当然片側の腰殿部から下肢への電撃様放散痛が出現する。

以上より、脊柱機能単位の破綻が起こると神経根および上記各部位の知覚神経終末が刺激され、それぞれに特徴的な疼痛が引き起こされることになる。すなわち、各種疾患により障害される部位が異なれば、それぞれに特徴的な腰痛および下肢痛を生じることになる。

椎間板と両側椎間関節よりなる脊柱機能単位は支持性と運動性という相反した機能を要求される。この両者の機能障害は互いに相互作用を受けながら進行していく。この変性過程を初期機能不全期、不安定期および再不安定期の3相にわけた。

初期機能不全期(第1期)

①椎間板:反復するストレスにより椎間板髄核、線維輪のプロテオリカンは減成し、水分量も減少し、線維輪に多数の微細な輪状の断裂が生じる。この断裂は互いに連結し、線維輪から髄核に通じる放射状断裂へと進行する。

②椎間関節:初期不安定期により椎間関節に異常運動が生じ、滑膜炎が引き起こされ、関節裂隙内に滑膜ひだが形成される。

③腰痛の特徴:以上の結果、洞脊椎神経、脊髄神経背側・内側枝が刺激され、深部腰部痛と捻転運動時の急性腰痛が出現する。

不安定期(第2期)

①椎間板:椎間板髄核、線維輪の変性が進行し、水分含量の低下、内圧の低下及び線維輪全体の放射状断裂が生じて椎間板の内部崩壊が進むと、線維輪は全周性に膨張し、前・後縦靱帯は弛緩、椎間関節は狭小化する。さらに変性が進行すると椎間板は全体として線維性となり、吸収される。

②椎間関節:関節軟骨の退行変性が進行し、椎間関節包の弛緩、関節の不適合および亜脱臼が引き起こされる。その結果、当該椎間の不安定はきわめて高度となり、前後、左右のみならず、回旋も含め腰椎すべての方向の不安定性が出現する。

③腰痛の特徴:この時期の腰痛は、脊髄神経背側・内側枝および洞脊椎神経への刺激が慢性化し、傍脊柱筋、腹筋の弱化も加わり、両側性の非放散性の深部腰痛でこわばり感を伴う腰痛となる。さらに、線維輪の断裂が拡大すると、そこに知覚神経の自由終末が侵入する。同時に、後方線維輪の膨隆とそれに伴う後縦靱帯の異常緊張、その結果起こる洞脊椎神経の過緊張、さらに神経根を支配する神経幹神経の刺激により労作時に憎悪する深部重圧痛が引き起こされる。

・腰椎椎間板ヘルニア:線維輪に放射状断裂が形成され、軽微な外傷により線維輪、髄核が後方へ膨隆、突出して神経根を刺激すると、下肢知覚、運動障害を伴う根性疼痛が出現する。

再安定期(第3相)

①椎間板:椎間板内容物が吸収、繊維化されるのと同時に、線維輪の膨隆も靭帯付着部から形成された骨棘により阻止される。骨棘はやがて上下椎でつながり、骨性強直を起こすこともまれではない。

②椎間関節:不安定よりさらに退行変性が進行すると、関節軟骨の完全な消失、骨膜下骨新生による骨棘形成、関節の球状肥大・変性、関節周囲の繊維化が起こり、可動性は減少する。

③腰痛の特徴:馬尾・神経根、脊髄神経が脊柱管中心部および側方で絞扼される脊柱管狭窄症となる。当初、この変化は単椎にとどまるが、進行すれば多椎に及ぶ、症状は、いわゆる間欠性跛行といって、下肢のビリビリ、ジンジンするしびれが主で、ときに脱力を伴う、起立、歩行などで憎悪し、前屈位およびで安静で軽快する。この病因としては、馬尾、神経根の直接絞扼ばかりでなく神経の循環障害も重要とされる。

以上述べたように、脊柱機能単位の編成は脊柱前方部の椎間板、後方部の椎間関節が互いに密接な関連をもちながら経年的に進行していく。この過程のなかで脊柱機能単位の破壊からさまざまな疾患を生じ、腰椎柱部位への負荷により各種腰痛、下肢痛が出現する。

 

痛みの評価

診察の手順は内科診断学となんら異なるところはなく、患者の観察(入室時から)、問診、視診、触診と続き、順に局所の診察に移る。重要な点は頚椎疾患だけでなく、上肢の関節疾患や抹消神経疾患、さらに頚部の痛みを合併する全身性疾患も想定した診察を行うことである。

患者の観察

診察室に入るときから観察する。顔の表情、歩容(痙性歩行や跛行の有無)、姿勢(頭頸部の傾き)、衣服の着脱動作(頭頸部・上肢・手指の動作やその動作の速さ)など観察する。この一連の観察所見が患者の訴えや診察所見と一致しない場合には心因反応や詐病も考慮する。

診察の手順

項目別(視診、触診、理学的検査、神経学的検査)に記載するが、実際の臨床の場ではこの順番にとらわれる必要はなく、各自が手馴れた流れのなかで系統的に診察していけばよい。なお、当然のことながら診察に際しては上半身を完全に露出した状態で行うことが原則である。

①視診

上半身において、発疹、発赤腫脹、色素異常、瘢痕(外傷や手術の既往)、変形(斜頚、Klippel-Feil症候群、側弯、鳩胸、漏斗胸、姿勢異常)、筋萎縮(頚髄障害、神経根障害、末梢神経障害、下位運動ニューロン疾患)、筋の不随意運動(脊髄前角細胞の障害)皮膚の膨隆(砂時計腫、リンパ節炎)などの有無に注意する。

②触診

触診は通常、坐位で行う。

Ⅰ.骨(脊柱、肩甲骨、上肢)の触診

前後両面から行うが、解剖学的ランドマークを中心に左右対称性に触診していく。脊柱では、棘突起の配列に注意する。また、棘突起の圧痛や殴打痛も調べる。

Ⅱ.軟部組織の触診(圧痛を含む)

前面では胸鎖乳突筋、前・中・後斜角筋、鎖骨上窩部、腋窩部、側頚部など触診し、同時に圧痛の有無も調べる。次に肩甲帯から上腕・前腕・手掌を調べるが、特に肩関節周囲炎の圧痛点については入念に調べる。そのほか、喉頭・咽頭、耳下腺、食道、気管、経動脈・腋窩動脈・上腕動脈・椎骨動脈の拍動、上肢の皮膚温なども触診する。

後面では、僧帽筋、傍脊柱筋(板状筋、半棘筋、後頭筋群)、肩甲挙筋、肩甲帯(三角筋、棘状筋・棘下筋)や肩甲間部の筋群を調べる。次に、大後頭神経、肩甲背神経肩甲上神経、肩甲下神経も調べる。

③理学的検査

Ⅰ.ROM検査

頚椎可動域の検査

胸椎・腰椎・骨盤を固定して行う。前屈、後屈、側屈、回旋について自動運動を観察したあとに、他動にも検査する。このとき、各運動における運動痛、上肢への放散痛(頚部神経根症)、四肢や体幹のしびれ感(頚椎症性脊髄症)の有無を聴取する。特に、前屈で四肢や体幹に放散する電撃様の異常が誘発されたら、脊髄視床路あるいは後索の障害(多発性硬化症、頚椎症性脊髄症、頚椎椎間板ヘルニア、脊髄腫瘍、髄膜炎)が考えられる。

肩関節、肘関節、手関節、手指関節の自動および他動運動による可動域を検査する。さらに手指巧緻運動(数を指で数える動作)をみる。この障害、脊髄症状の存在を強く示唆する。

特にヘルニアでは主に体幹・下肢について行う。また、SLRテストやラセーグ徴候も行い、陽性であった場合は坐骨神経の走行に沿った疼痛の誘発があった場合を示す。したがって下肢挙上に伴っておこるハムストリングや膝かの緊張に伴う痛みとは明確に区別し、的確な治療プログラムの立案につなげる。(SLRで70度未満で陽性の場合での腰椎部痛の出現は椎間板の中心性脱出・下肢痛では側方脱出が疑われる。

Ⅱ.運動能力の検査

起居動作などの基本的動作について、どの動作が困難なのか、どのような動作の際に痛みが増悪するのかを検査する。歩行については距離やスピードなどを観ていく。

実際に歩行や駆け足を行わせて、痙性麻痺の有無をみる。また、片脚起立の安定性もみる。さらに、臥床した状態で下肢した状態で下肢の屈伸を左右別々に行わせて、その速さ(一定時間内の回数)や滑らかさを観察する。拙劣な屈伸運動を呈したら、手指巧緻性運動障害と同様に脊髄症状の存在を示唆する。

Ⅲ.反射検査

1)深部腱反射

目的:腱反射の亢進は筋緊張の亢進を意味しており、筋の短縮(拘縮)が生じる可能性を示唆する。強度に亢進している場合運動麻痺を予測でき、協調性の低下がわかり、神経症状がわかる。

2)病的反射

目的:診断の補助

Ⅳ.感覚検査

触覚・痛覚・深部感覚検査をおこなう。

・ロンベルグテストは転倒防止のため必要

・特に振動覚は、深部感覚のテストとして鋭敏

目的:感覚障害に対して直接的なアプローチは出来ないが、感覚障害の変化を把握することで運動麻痺の回復の予測が可能であり、また、術後の起立訓練時の神経症状の悪化や深部感覚障害による転倒のリスク管理の為にも感覚検査を行う。

Ⅴ.徒手筋力検査

評価において徒手筋力検査を行う。

Ⅵ.筋緊張

Ⅶ.指床間距離(FFD)

Ⅷ.脊柱所見(筋緊張・スパズム 視診、触診)

視診では側湾の有無・筋萎縮・腰背筋部の膨隆。触診では脊柱起立筋の筋緊張やスパズムを確認する。

Ⅸ.骨盤の傾斜

前後、左右

Ⅹ.疼痛

評価にはVASを用いる。安静時のみでなく、体幹の前・後屈時や動作時の痛みの増強なども評価していく。

特に変形性頚椎症では椎間板の厚みが減少し、椎間関節部の変形が生じると、脊柱を伸展した時に痛みが増悪する。また、病変の初期には動作開始時痛みが発生し、動作を続けていると次第に痛みが軽減する。変性が進行すると慢性の疼痛となる。

ⅩⅠ.ラセーグ徴候

仰臥位で、下肢を伸展させたまま持ち上げる。正常では股関節を70°ぐらいまで挙上させても疼痛を訴えない。70°以下で疼痛を訴え、それ以上足を挙上できないのは陽性である。本徴候が陽性なときは疼痛を起こす角度と、痛みの部位とを記入しておくとよい。この角度が0°に近いほど、この徴候は強い。

ⅩⅡ.椎間関節の障害部位の検査

ⅩⅢ.ADL

障害されている動作でのVASの結果さらにニーズや社会環境への必要性などと照らして総合的な判断が必要になる。

ⅩⅣ.歩行

連続歩行距離や痛みの出現部位や増強の程度を把握する。また、疼痛性破行などの有無も評価する必要がある。

 

○疾患

椎間板ヘルニア

変形性頚椎症

腰部脊柱管狭窄症

頚椎後縦靱帯骨化症

脊椎分離すべり症

脊柱変形(側弯症)

 

A.椎間板ヘルニア

・疾患の概説

椎間板自体の退行変性を基盤とし、髄核ないしは線維輪の一部が後方または後側方へえの突出した病態をいう。これが神経根や脊髄を圧迫し、根症状や脊髄症状を発現する。いわゆるsoft discヘルニアは30から40歳代に多く、レベル別ではC5、6に最もみられ、ついでC4、5またはC6、7の順である。また、腰痛症患者の10~20%を占め、男女比は1.5~3.3:1と男性に多い。椎体後縁外側やLuschka関節の骨棘形成を伴った退行性の椎間板障害はhard discといわれることもあるが、広い意味では頚椎症spondylosisとして分類される。

・病態

頚椎の椎間板は、常に頭部の荷重や、動的ストレスにさらされている。そのような状況下で、線維輪の変性に伴う慢性的な荷重や外傷などの瞬間的な外力により、髄核が突出すると考えられる。しかしそれらがすべて症状を発現させるわけではない。MRIでみてみると、椎間板の突出自体はよく見かけることである。そこで臨床症状が発現されるには、さらに多くの因子が関与してくるものと思われる。

(1) 静的因子

脊柱管内へ突出した椎間板の存在がその因子になる。

(2) 動的因子

脊髄造影施行時、伸展位にて多少なりともindentationを認めることがある。このような現象は椎間板変性や黄色靭帯の肥厚、たわみが存在すればさらに増強される。すなわち椎間板変性により椎間が狭小し、、加齢により弾性が低下した黄色靭帯にたわみが起こり、そこに頚椎伸展といった動的因子が加わると、前方からは突出した椎間板により、また後方からは黄色靭帯により脊髄が前後から圧迫を受けることになる。これらの因子を軽減・消失させることが保存療法の主たる目的となる。

(3) 脊柱管狭窄症

脊髄症発現の最も重要な因子は、脊柱管狭窄症である。脊柱管狭窄している所に椎間板が突出したり、骨棘が形成されるとその程度がたとえ軽度でも脊髄症が発現してくる。また、症状発現においてこの因子の関与が大きいほど保存療法に抵抗してしまう。

・症状

腰部・殿部・下肢の疼痛、下肢のしびれ感・脱力感、尿閉・便秘、インポテンツである。

疼痛の程度は、軽い愁訴のもの、ADLに支障をきたすもの、睡眠障害をきたすものなど様々である。しかし、疼痛は安静により軽減し、動作時や咳、くしゃみで増強し、また一定の体位で軽減するのも特徴である。疼痛が軽減する体位は一般には腰椎・股関節・膝関節を屈曲した側臥位であるが、椅子坐位や腹臥位で安楽であることもある。

 

○治療

・保存的運動療法

1)安静

急性期には安静臥床が一番である。セミファーラー肢位もしくは側臥位で同様の肢位を取ることが多い。この肢位は腸腰筋を緩め腰椎の前彎を軽減する。また、膝関節を屈曲することによりハムストリングと坐骨神経の緊張も緩める。但し、体幹伸展位で痛みが軽減する場合には伸展位を保持する。

2)温熱療法

血液循環の促進、筋緊張の低下、鎮痛、リラクゼーションを目的としている。

3)牽引療法

持続的牽引と間欠的牽引がある。

一般に間欠的牽引のほうが深部にある脊椎周囲の軟部組織に対する循環の改善やリラクゼーションなどのマッサージ効果があるとされるが、急性期には好ましくない。

持続的牽引は一定期間安静保持のため、主に入院患者にたいして行われるが、この際腰椎が前湾を減ずる肢位をとらせる。

目的―――椎間孔の拡大、椎間板空の拡大、椎間関節面の拡大、椎間関節包のストレッチング、陥入した滑膜の整復、筋緊張の低下である。

4)装具療法

軟性コルセットなどを使用し、固定・腹圧の上昇を図る。長期の装着は体幹筋の筋力低下を招きかねないので注意する。

5)運動療法

ウィリアムズの腰痛体操があるが、屈曲運動時に疼痛の増強が見られる場合は、脊柱への負担を軽減するために等尺性運動から徐々に収縮速度や協調的収縮などを取り入れ体幹の筋力強化を行っていく。

 

・手術療法

1)術前運動療法

①患者教育 ②体幹装具の作成 ③四肢体幹筋の筋力強化

二次的障害として筋力低下がみられたり、術後の安静による筋力低下が予想されるので積極的に行う。起居動作訓練などもこの頃から行う。

2)術後運動療法

①術当日

疼痛のない範囲で、自動運動など行っても良いが原則的には控える。

②術後2~3日

神経根の再癒着防止・腰背部の筋緊張の軽減・全身持久力低下防止目的に、SLR・等尺性運動を行う。

③術後5~7日(体幹装具着用にて)

腰部の回旋を伴わない起居動作訓練を行う。過度の前屈に注意する。

④術後14日

積極的な体幹筋増強訓練を等張性運動にて行っていく。運動量は痛みやしびれの起こらない範囲で行う。また、退院に向けた自宅での運動指導も行っていく。体幹装具は長期着用による筋力低下の恐れから、この頃から徐々にはずしていく。

 

・OPE方法

椎間板ヘルニアの多くは数カ月のうちに縮小または消失する。

しかし、残念ながら保存的治療で効果が見込めない場合や社会への早期復帰を希望する場合など手術が医師によって勧められるようです。

・レーザー治療

高出力レーザー 経皮的髄核減圧術(PLDD)
保存療法と切開しての手術の中間的治療法である。椎間板ヘルニアになると、椎間板の内圧が上昇し、ヘルニア塊が神経を圧迫し痛みが発生します。 レーザー治療は 皮膚の上から数ミリの針を刺し、椎間板中央の髄核にレーザーを照射します。レーザー照射によって蒸散した髄核は容量が減少し、内圧が下がります椎間板の内圧を下げる事によりヘルニア塊を引っ込め、神経への圧迫を軽減させるという仕組みです。 残念ながら、すべての椎間板ヘルニアに有効とは言えず一部のヘルニアでは効果がほとんど無いもの存在します。

・ラブ法(LOVE法)

全身麻酔をかけ、背中側から5センチほど切開し腰椎の一部を削って脊髄神経を圧迫している脱出した髄核を切除、摘出する手術。ヘルニアの手術としてはオーソドックスな手法。

・内視鏡下ヘルニア摘出術 MED法

全身麻酔をし、内視鏡を用いヘルニアを摘出する手術。背部を1.5cm程切開して内視鏡と外筒管を挿入し内視鏡の映像を画像をモニターで見ながら髄核を摘出する。傷口も小さい為目立たなく、術後の痛みも軽い。

・経皮的髄核摘出術 PN法

局所麻酔で行い X線透視下背中に直径4ミリ程度の管を刺し、鉗子を入れて椎間板の一部(髄核)を摘出する。髄核を摘出することにより内圧が下がり、神経への圧迫が弱くなって症状が軽くなる。

・脊椎固定法

除圧(手術により神経への圧力を取り除く)したことで不安定になった脊椎に対し骨の移植や金属金具を使って椎体間を固定する手術

 

B.変形性頚椎症

・概説

頚椎の椎間板、椎間関節はその良好な可動性のため加齢とともに退行変性を起こしやすく一方、頚部脊椎管は頚髄との間隙に十分な余裕がないので、その狭窄は頚髄およびその神経根の圧迫を招きやすい。本症は頚椎の反応性骨増殖と椎間板などの退行変性によって生じる骨棘により頚髄や神経根を圧迫し、発症する。40歳以上の男性にみられ、大部分は神経症状ではなく、脊髄症状を呈する。

治療は初期症状例には椎間板ヘルニアの症例と同様の保存的療法を行うが同治療法で改善されない場合は手術的治療(後方除圧術、前方除圧固定術)が必要である。ただし、神経根症状例は髄節性の症状であるからその責任椎間の前方除圧固定術がよい。
また、脊椎の老化現象の一種で、体を支えている脊椎の変形により、さまざまな症状を現す。すなわち加齢とともに起こる脊椎や椎間板の老人性ないし退行性の変化を基盤とする疾患。

・症状
男性に多く、頚椎の変形では、頚肩腕部の痛み、知覚異常が出現します。これは手のしびれ感・異常感覚として訴えられます。運動障害としてもたとえばボタンがかけにくい、紐が結びにくい、箸やスプーンの使い方がぎこちないなど日常生活の動作で不都合を訴えることがあります。循環障害のため首の運動の際に、一過性のめまいや物が二重に見えるといった複視、さらには意識障害、気を失うようなこともあります。
胸・腰椎の変形では、徐々に背中や腰の痛み、鈍痛が出現し、また足のしびれ感や、時には強い神経痛症状を訴えるようになります。運動時の痛みをおぼえることもあり、脊椎は全体として著明な運動制限、体をまえに曲げたり横にねじったりすることが不自由になります。
症状としては少ないですが、排尿困難すなわち残尿感、頻尿といった何回もトイレに行きたくなったり、尿の出に勢いがない、あるいは排尿時間の延長、開始遅延などが認められることもあります。

 

・注意点
急性期には、脊椎の安静固定が必要です。頚部の過度の曲げ伸ばしは症状を悪化させるため避けなければなりません。また、指圧も余分な刺激を与えるためすすめられません。
症状がほとんどとれたら、頚部あるいは腰部の筋肉増強のため運動訓練もよいでしょう。変形性脊椎症では腹筋の強化と、背骨のゆがみを直す腰痛体操が効果的です。固定するものとして、首のカラーや腰のコルセットの着用も効果があります。マッサージや温熱療法、牽引療法も行われます。

・治療

原則―変性疾患であるため根本的治療ではなく、対処療法を行うことで、生活に適応させていく。

・基本方針

1痛みの軽減

2不良姿勢の矯正

3脊柱の柔軟性の増大

4骨盤・脊柱・下肢の柔軟性

5装具の使用

6生活様式を変える

・手技

~不安定期(椎間関節で、関節包の弛緩・亜脱臼が起こっている状態)~

・温熱療法

限局した痛みの場合は、深部を温められる超音波・極超短波

広範囲の場合はホットパックが適しているが、熱が深部まで達しないため椎間関節周囲までの効果は望めない。この際、背臥位の場合、脊柱を伸展させることになるので、股膝関節を屈曲し台に乗せるなどの注意を要する。

・骨盤牽引

痛みが増強しないように注意し、徐々に牽引力を増やしていく。翌日に痛みを訴える場合があるので十分注意していく。腰椎の前弯を増強しない、腰部の筋を弛緩するような肢位(セミファウラー肢位)にて行う。

・運動療法

 

Ⅰ.脊柱の変形のある場合は不安定部にさらに強い負荷がかかる。痛みのでない範囲で矯正可能な部分を改善していく。

a)骨盤前・後傾運動

b)腸腰筋・ハムストリングス・大腿筋膜張筋・大腿直筋の伸張

骨盤の前傾を増大させるため行う。注意点として、反動をつけることなく痛みの起こらないよう伸張を加えていくことが大切である。

腸腰筋―トーマス肢位で伸張させる

ハムストリングス―代償的に腰椎の前弯が増さないように注意する。

大腿筋膜張筋―骨盤動揺や股関節の屈曲が起こらないよう注意する。

大腿直筋―股関節屈曲・骨盤挙上が起こらないよう注意する。

c)腹筋強化

腰椎の前弯を減少させるために行う。椎間板内圧が上昇しないように等張性でなく等尺性訓練を行う。

d)装具

腹圧を上昇させることで腰椎にかかる負荷の軽減・脊柱の安定を図る。長期使用による腹筋の筋力低下に注意。

Ⅱ.上記a)~d)を行う。

注意点としては、重心位置が変化することによって、歩行などの動作が不安定になりかねないので注意していく。

Ⅲ.脊柱の側屈・回旋・伸展・屈曲運動を自動で行わせ、軽い伸張を加える。疼痛のでない範囲で行う。

Ⅳ.下肢のROM訓練を行う。

日常生活で活動的過ぎる場合は抑制・一日中臥位の場合は運動の促進などを行う。

 

安定期

脊柱の不安定化は減少するが、脊柱管・椎間腔の狭窄が起こってくる。

治療としては不安定期とほぼ同様だが、運動強度や牽引力を増して行う。

 

C.脊柱管狭窄症

広範脊柱管狭窄症とは頸椎、胸椎および腰椎のうち、少なくとも2か所以上の部位で脊柱管が狭窄して神経障害を呈するものをいう。

・病因

先天性の場合は軟骨無形成症でみられるが、後天的には加齢に基づく変性のほか、脊柱の変形または不安定性、脊柱彎曲異常、後縦靭帯骨化症(OPLL)以外の靭帯骨化、その他原因不明などが挙げられる。しかし一般に、本症では基盤に脊柱管腔の全長にわたる発育性脊柱管狭小develop-mental stenosisを有することが多く、これに加齢による変性や不安定性の付加という要素が加わるといわれている。

・症状

主に中年以降に発症し、四肢・躯幹の痛み、しびれ、筋力低下、運動障害が主症状となる。脊髄麻痺のため高度の歩行障害をきたすほか、いわゆる間欠跛行のために歩行困難となることもある。
病変が1か所である単発性の脊柱管狭窄症は定型的な症状を呈するので、診断も比較的容易だが、脊柱管腔の狭小が多発する場合は症状が複雑なため診断がしばしば困難となる。
一般に頸部脊柱管狭窄症は痙性四肢麻痺、胸部脊柱管狭窄症では痙性対麻痺、そして腰部脊柱管狭窄症では馬尾または神経根障害(弛緩性麻痺)を呈する。
広範脊柱管狭窄症では複数の部位における神経障害が発現するため、その症状は複雑となる。

・主要症状は以下の通りである。

(1)四肢・躯幹の疼痛、しびれ、知覚鈍麻

(2)四肢・躯幹の筋力低下、運動障害。

(3)間欠跛行。

(4)膀胱・直腸障害。

(5)症状は増悪、緩解をくり返し、徐々に進行して歩行困難に陥る。

(6)転倒などの外傷により症状は悪化し、重篤な脊髄麻痺をきたすことがある。

広範脊柱狭窄症を診断する際に注意することは、神経学的所見の複雑さを見きわめることである。たとえば頸部脊柱管狭窄症と腰部脊柱管狭窄症が合併すると、四肢深部腱反射が亢進しているにもかかわらず、アキレス腱反射が減弱する。
また発症からの経過にも注意する。複数の高位の障害が同時に発現することはなく、一般に時間的にずれがある。たとえば上肢と下肢の障害の発症時期が異なったり、増悪の時期も異なる。左右の重症度も上肢と下肢で異なることがある。

・画像検査

広範脊柱管狭窄症では全脊柱のX線検査が大切である。
単純側面X線写真により脊柱管の前後径を測定する。
単純CTは脊柱管の横断面を把握するのに必要な検査である。これによって骨棘や靭帯骨化の脊柱管内への突出の状態を知ることができる。とくに腰椎では脊柱管腔の形がみられるが、本症ではクローバー状になったりする。
脊髄の状態をみるためには、脊髄造影法myelographyが行われる。圧迫因子と脊髄との関係を観察するためにはCT-myelo(脊髄造影後のCT)が有用である。脊髄造影で異常のある部位をCT-myeloでさらに精細に調べることになる。
MRIは本症にとってきわめて重要な画像検査法である。無侵襲で脊髄や軟部組識を描出できる点では脊髄造影方よりすぐれ、また脊髄造影方で観察しにくい頸胸移行部も、よくみることができる。
広範脊柱管狭窄症では他に合併症のない限り、血液、尿検査などに異常をみることはない。

 

・診断

前に掲げた6つの主要症状のうち、少なくとも(1)と(2)があり、画像検査上、次の3つをすべて満足する場合に、広範脊柱管狭窄症と診断する。

(1)狭小化の程度として脊髄、馬尾神経、神経根を明らかに圧迫しているもの。

(2)画像上の脊柱管狭小化と臨床症状との間に関連性が疑われるもの。

 

・治療

保存療法(日常的な生活で症状を改善していく)

・薬物療法…馬尾・神経根の血管拡張や血流量の増大される薬が投与されます。とくに下肢の痺れや軽度の間欠跛行を呈する軽度の馬尾型に投与されることが多くあります。神経根型の腰痛や神経痛症状には消炎鎮痛剤や筋弛緩剤が使用されることが多くあります。

硬膜外ブロック法…間欠跛行にも効果はありますが、下肢への神経痛症状がある場合には特に有用です。局所麻酔剤にステロイド剤を加えて硬膜外腔に浸潤させます。入院し、3、4日ごとに1本づつ3、4本注射を打つことが多くあります。

神経根ブロック法…神経根症状がある場合にもっとも適応されます。しかし、多根性の筋力低下や知覚症状を呈する場合はあまり行われません。

装具療法…コルセットを装着し、腰部を安静にさせます。

・物理療法…鎮痛、筋痙直、血行の改善を計るため以下のようなことを行います。主として神経根型に適応があります。

ホットパック療法
マイクロウェーブ療法(極超短波療法)
超音波療法

・運動療法・・・

体幹筋筋力強化訓練

姿勢と骨盤前傾の矯正運動

・手術療法(手術をすることにより症状を改善していく)

保存的治療が無効で、高度の神経障害や間欠跛行が持続するときは手術が適応されます。

・内視鏡手術法・・・手術法は、神経を圧迫している余分な骨や靭帯などを削って脊柱管を本来の太さに戻します。皮膚を大きく切る従来の方法、顕微鏡下手術、内視鏡手術の3種類があります。内視鏡手術は傷が最も小さく、入院も1~2週間ですみます。家事などは退院した日からでき、事務系の仕事なら術後3週間ほどで可能です。内視鏡手術は全身麻酔で行います。レントゲン透視で確認した手術箇所の上の骨を、筋肉を分けるように16ミリ切開して、そこに直径4.5ミリの金属棒を挿入します。次に、棒の外側にひと回り径の大きい金属管を入れるなどして広げていき、最終的に直径16ミリの穴にしていきます。そこからカメラのついたスコープと、5ミリ幅のノミなどの器具を入れます。医師はモニターの映像を見ながら、椎骨や靭帯の脊柱管を狭めている部分を削ります。椎間板が出っ張っている場合はそれも切除します。手術の傷は1ヶ所だけで、所要時間は1~2時間です。手術当日は、ベッド上で安静にしていますが、翌日にはトイレや洗面所に歩行器を使って歩けます。1~2週間で退院でき、事務系の仕事なら約2~3週間で復帰可能です。

・脊柱管拡大法・・・手術では、頸部後方に約10~15cmの切開を加え、頸椎の筋肉をはがし頸椎の背面を露出します。脊髄の後面のふたをしている骨を後方へ開き、脊髄の通り道を広げます。これにより脊髄・神経の圧迫がとれます(除圧といいます)。この操作を第3~7頸椎に加えます。

手術直後は脊髄・神経の圧迫がとれたばかりで、かえって一時的にビリビリとしびれが強く感じることがあります。なお手術後は脊髄・神経の腫れをおさえるため、短期間ステロイド(副腎皮質ホルモン)を点滴します。手術後約3週間で、頸椎装具を装着して歩行が可能になる予定です。頸椎装具は約3ヶ月間つける。

・開窓術・・・神経を圧迫している骨や靭帯を部分的に削り取ります。全身麻酔下で1~2時間程度、術後も2週間ほどで退院が可能です。ただし脊椎に不安定な要素が強い方は、骨を移植した固定術が必要で、金属による固定を併用することもあります。術後はコルセットを2から4ヶ月使用します。発症から時間が経っていない場合や軽症の方は術後にほとんど症状を残しません。
・予後

脊柱管狭窄を生じている頸椎は既に変形しているわけですが、いかなる方法によってもこれをもとの健常な状態に戻す方法はありません。今回の手術は、脊髄・神経を圧迫している原因を取り除き、脊髄・神経の症状(麻痺)を軽減させるものです。

なお、今回の手術部位やそれ以外の脊椎が今後脊柱管狭窄になったりする可能性は、当然あり、場合により治療(手術を含む)を要することがあります。

まれに手術部に細菌が感染し、化膿して治療が困難になることがあります。その予防のために、抗生剤を点滴・内服薬等で投与させていただきます。もし感染を生じた場合は、直ちにその治療を開始します。

脊柱管狭窄による脊髄・神経の圧迫が著しい場合、脊髄・神経が一部分回復できなくなっているときがあります。その場合は、しびれ、痙性麻痺が残ります。手術により持病の悪化、高齢者の場合は痴呆の出現・増悪、肺炎・膀胱炎等の併発、床ずれ等が生じる場合があります。

 

D.後縦靱帯骨化症(OPLL)

・概説

後縦靭帯骨化症とは、脊椎椎体の後縁を上下に連結し、脊柱を縦走する後縦靭帯が骨化し増大する結果、脊髄の入っている脊柱管が狭くなり、脊髄や脊髄から分枝する神経根が圧迫されて知覚障害や運動障害等の神経障害を引き起こす疾患である。骨化する脊椎のレベルによってそれぞれ頚椎後縦靭帯骨化症、胸椎後縦靭帯骨化症、腰椎後縦靭帯骨化症と呼ばれる。また、頚椎に多いが脊椎全体に及ぶ場合もある。40歳以上に多くの発生が見られ、2:1で男性に多く日本では男性1.5%~4.9%、女性3%以下の発病する。

後縦靱帯骨化症は単に骨化による機械的圧迫のみで発生するのではなく、動的要因や頚髄に対する機械的・摩擦的炎症と血行障害などが関与している。よって、脊髄病態も頚椎症とは異なり、臨床症状の経過は複雑で多彩であり、いまだ不明な点も多い。OPLLに対する治療には一定の適応をきめて手術療法を行うものと、まず保存的にある一定期間加療し、その病態の複雑性から、どちらの療法が適しているのかは現時点では結論できない。しかし、保存療法の原則は頚椎症のそれと同様であり、また、保存療法が無効の場合は脊髄に不可逆的病変が出現する前に手術を行うべきである。

 

・原因

全身的要素、場合によっては遺伝(遺伝子はまだ特定されていないがある遺伝子を持った人がその後の環境、食事の摂取歴、局所の因子、加齢などで発病する)遺伝の確立は30%とも言われている。その他に、性ホルモンの異常が存在すること、カルシウム・ビタミンDの代謝異常、糖尿病、肥満傾向、老化現象、全身的な骨化傾向、骨化部位における局所ストレス、またその部位の椎間板脱出などいろいろな要因が考えられている。その中でも特に、家族内発症においては遺伝子の研究から有力視されている。

 

・症状

頚椎にこの病気が起こると、最初にでてくる症状として首筋や肩胛骨周辺に痛みやしびれ、また特に手の指先にしびれを感じたりします。次第に上肢の痛みやしびれの範囲が拡がり、下肢のしびれや知覚障害、足が思うように動かない等の運動障害、両手の細かい作業が困難となる手指の運動障害などが出現してきます。重症になると排尿や排便の障害や一人での日常生活が困難となる状態にもなります。胸椎にこの病気が起こりますと上肢の症状以外の頚椎の時と同じ症状となります。初発症状として下肢の脱力やしびれ等が多いようです。また腰椎に起こりますと歩行時の下肢の痛みやしびれ、脱力等が出現します。これらの症状は年単位の長い経過をたどり、良くなったり悪くなったしながら次第に神経障害が強くなってきます。慢性進行性のかたちをとるものが多いようです。中には軽い外傷、たとえば転倒して特に頭等強く打たなくても急に手足が動かしづらくなったり、いままでの症状が強くなったりする。

 

・治療

治療には保存的治療と手術療法があります。
保存的治療は骨化によって圧迫されている神経を守ることが治療の主目的になります。頚椎における保存的療法ではまず頚椎の安静保持を保つため、頚椎の外固定装具を寝ている時以外に装着します。この時頚椎は快適な位置にあることが必要です。後屈する姿勢は避ける必要があります。2、3週間で症状の軽快を見ます。場合によっては入院して、持続的に頚椎を牽引することもあります。通院しながらの牽引は他の頚椎の病気の時に行うのと比べ効果があがりません。入院管理の下に持続牽引する期間はおよそ一ヶ月程度です。胸椎や腰椎では頚椎よりも牽引療法の効果は少ない傾向にあります。牽引で経過良好な場合は装具療法に切り替え経過観察していきます。

その他薬物療法として消炎鎮痛剤、筋弛緩剤等を内服して自覚症状の軽減が得られることがあります。

症状が強い場合は手術治療します。これには神経の圧迫を取るため骨化部位を摘出して、その部位を自分の骨で固定する前方進入法と骨化部位はそのままにして神経の入った脊柱管を拡げる後方進入法があります。胸椎では背骨が丸くなっているため、前方進入法が選ばれますが、難易度の高い手術です。腰椎では後方進入法がよく選ばれます。前方固定を行うと約3カ月の骨がつく期間を要します。 しかし、滅多に行うことはない。
E.脊椎分離・すべり症

分離症

脊椎分離症は椎間関節突起間部の骨性連絡がたたれた状態であり、成長期に多発する。その成因については先天性素因説と過労性骨障害説の2説に大別される。また、脊椎分離症はスポーツ障害としての腰痛の原因疾患の一つである。幼少期における密度の高いスポーツ活動により未成熟の腰痛に加えられるストレスがその原因と考えられている。

 

すべり症
椎体が前後に位置異常を起こしている状態を言う
多発部位はL5,L4が多い

腰椎分離すべり症 前屈位において、腰の突っ張り感や不安定感など
腰椎変性すべり症 長時間立っていることなどで腰痛、臀部痛が増す
下肢にシビレが出ることも
先天性腰椎すべり症 先天的な形成異常によるもので、出っ尻のような姿勢になる
のが特徴腰痛・下肢痛などが生じる

 

原因

先天的に椎弓根が長い場合
椎間関節の中の軟骨がすりへって関節内の隙間が広くなり前方にすべる
分離症の場合などがある。

 

症状

痛み 放散痛や鋭い痛みがある
椎骨上に痛みを感じる
椎間孔が狭窄すれば痛みや痺れる
神経学的検査
(知覚異常)
母指の場合は、L5
筋力テスト L5L4の場合は母指背屈テストで筋力低下
SLR 仰臥位のあしあげテストで35度~70度で痛みや張り
姿勢 椎間孔の狭窄の位置により逃避姿勢(前屈)をとる
その他 一般的に身体の後反り(伸展)痛み、前かがみ(屈曲)で痛みが軽減

○治療法

・保存療法

急性期・・・安静が一番、無理に動かすと更に悪化コルセット装着
我慢が出来ない痛みの場合は、ブロック注射、鎮痛剤,筋弛緩剤など

慢性期・・・基本的にはコルセット装着。ストレッチ、筋力訓練(脊柱起立筋などの腰背筋、腹筋、側腹筋、ハムストリングス、殿筋など)、牽引療法、マッサージ。

 

・運動療法

脊椎分離症における腰椎前弯角は減少している症例が多い。これに対し、すべり症では腰椎前弯角が増強し、腰仙角が増大している。腰椎前弯角は腰椎背筋群の筋内圧と密接な関係があり、腰椎前弯角の減少・消失している症例では腰椎背筋群の筋内圧が上昇している症例が多い。したがって、脊椎分離症で腰椎前弯角が減少している症例に対しては椎間板内圧が最も低く、椎間関節へのストレスが最小となり、腰椎背筋群筋内圧が最も低くなる姿勢をとらせるのがよい。無理な運動療法は行わせるべきではない。

これに対し、すべり症では均整のとれた腰椎指示機構をつけるために、腹筋と背筋の筋鍛錬が腰椎前弯の緩和および腹腔内圧の上昇のために必要と考えられている。

 

Active flexion manipulation

仰臥位で下肢を屈曲させ、術者は踵に手を当てゆっくりと律動的に頭上に下肢を挙げまた戻し、これを繰り返す。これを約5分間行うことにより殿部が床から浮上するようになり、腰椎の可動性が増加する。その後は患者自身に行わせる。すなわち、仰臥位で下肢を屈曲し、上肢で床を押し付けるようにしてゆっくりと殿部を挙上させる。この際の注意点としては、下肢を下降させて足底部から着床するように指導することである。下肢伸展位のままで着床すると、椎前弯が増強されて椎間関節にストレスが加わりかえって痛みを増加させてしまう。もう一つの注意点は、頚部に枕をあてて頚椎に負担をかけないようにすることである。これを10回程度1日3回行う。

 

装具療法

腰椎前弯の防止、矯正と脊柱の制動のために様々な体幹装具がある。下部腹筋の補強による脊椎良姿勢の維持のために軟性コルセットを処方している。体幹の運動や生活、作業を制限するような高めのものは使用すべきでない。装着期間は初診時亀裂型分離を呈している症例や亀裂型分離が疑わしい症例に対しては3ヶ月を目安としている。

 

温熱療法

筋スパズムと筋肉痛に対するものである。一般的に温熱療法は鎮痛・鎮静効果があり、局所の血行を高め、代謝を促進する。外来診療において用いるのに便利なものはホットパックと極超短波である。前者は湿性温熱の代表的なものである。極超短波療法の注意点は、金属により、火傷を生ずることがあることである。

ヽ(;▽;)ノ参考文献

医療学習レポート.脊椎症(頚椎、胸椎、腰椎)の話


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