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(^0_0^)肺癌の話


「肺癌」の画像検索結果

(@_@;)題名:肺癌の話

●病態生理

肺がんは胃癌を抜いて日本人の悪性腫瘍による死亡の第1位(2005〔平成17〕年1年間で62,063人;厚生労働省「人口動態統計」)になったが、現在も増加の一途をたどっており、2015(平成27)年には肺がんに罹患する人は年間で125,000人に達するものと予測されている。

この増加原因としてもっとも関連が深いのが人口の高齢化と喫煙である。

肺がんは60歳代以降に好発する腫瘍であるため、高齢者人口の増加は肺がん発生数の増加に直結する。

喫煙開始年齢および喫煙量は、肺がんの発生率と密接な関係があることが示されている。

また、受動喫煙も肺がんの発生率に関与するといわれ、夫が1日20本以上喫煙する非喫煙の妻の肺がん死亡率は、夫婦とも非喫煙者である妻の約1.9倍という報告もある。

女性の喫煙率が戦後上昇し、男性の喫煙率が低下しはじめた現在でも下がる傾向がみられないこともあって、女性の肺がんの増加は著しく、以前肺がん発生数の男女比は10:1から5:1であったものが近年は3:1まで差が縮まってきている。

 

●病理

肺がんは組織型によって大きく4つのタイプの腫瘍に分類される。

○扁平上皮癌

扁平上皮癌は、肺門部近くの太い気管と気管支にみられることが多い。

喫煙との間には強い相関関係が認められており、煙の化学的な刺激による気管支粘膜の扁平上皮化生が発生の一因と考えられている。

同じ組織型の癌は食道がん、咽頭癌などがみられ、いずれも喫煙との関係が指摘されている。

これらのがんが一個人に複数発生する重複癌も少なくないので重喫煙者ではとくに注意が必要である。

肺がん全体の3割程度を占め、近年その割合は減少傾向である。

他の組織型に比べ、腫瘍の大きさのわりにはリンパ行性、血行性の転移がおこりにくい傾向がある。

○腺癌

腺癌は肺がんの5割以上を占め、増加傾向にある。

腫瘍は比較的小さいうちからリンパ行性、血行性の転移をおこすことが知られている。

喫煙との関係はみとめられるが、扁平上皮癌に比べると強くはない。

抹消肺野に発生するものが多い。

○大細胞癌

大細胞癌は肺がんの5~10%を占める。

次に述べる小細胞癌と同様に未分化癌であるが、転移の形式や治療への反応性などは腺癌、扁平上皮癌とほぼ同様であるため、治療上はこれら3種類の肺がんを一括して非小細胞癌とよぶ。

○小細胞癌

小細胞癌は肺がんの15%程度を占め、やや増加傾向にある癌である。

腫瘍が小型のうちから血行性転移をおこしやすい一方、抗がん剤がよく奏効する。

このため他の腫瘍と区別した治療方針がとられる。

喫煙との関係は深い。

○その他の低悪性度腫瘍

上記以外の悪性腫瘍として比較的頻度は低いが、肺にはカルチノイド、腺様嚢胞癌、粘表皮癌の3種類の腫瘍が発生する。

これらの腫瘍は他の肺がんに比べ転移する頻度が低く、局所での増大速度も遅いことから低悪性度腫瘍と分類される。

○胸膜播種

腫瘍が胸膜に浸潤し、それを破って胸腔に露出した場合、そこから腫瘍細胞が胸腔内にこぼれおちることになる。

そのなかの一部の細胞が胸膜の表面に着床し、そこで増殖することがある。

胸膜上に形成された腫瘍塊を胸膜播種巣といい、そのような腫瘍の進展形式を胸膜播腫という。

このような進展形式をとる腫瘍としては肺がんが最も多く、次いで胸腺腫、胸膜中皮腫などである。

これは血行性に全身の臓器に腫瘍細胞が運ばれて成立する転移とは異なり、腫瘍の広がりはあくまで胸腔という局所にとどまっているので、治療は胸腔内への抗がん剤や胸膜癒着剤の注入などが行われる。

同じ現象が胸腔内でもおこったものを腹膜播腫という。

 

●症状

○咳・血痰・発熱・たん

癌が比較的太い気管支に発生するか浸潤している場合、血痰や咳が比較的早くからみられる。

さらに、がんが気管支を閉塞しその奥の領域の肺が肺炎を起こすと、発熱、痰など一般の肺炎と同様の症状があらわれる。

○胸痛

癌が胸腔に浸潤したり、肋骨に転移すると胸痛がおこる。

また、がん細胞が胸腔内に入り、癌性の胸水がたまった場合も胸痛が起こる。

○嗄声

声帯の運動を支配する反回神経が右は腕頭動脈の高さで、左は大動脈弓の高さで反転するため、そこに肺がんが浸潤すると反回神経麻痺から嗄声がおこる。

○上大静脈症候群

上大静脈は上縦隔の右端を走っているため、主に右側の肺がんの浸潤により閉塞されることがある。

上大静脈は頭部と上肢からの静脈血が流れるため、ここが閉塞すると顔面と上肢に極度の腫脹が生じる。

時間とともに(通常3~4週間)側副血行路の開通により顔面と上肢の腫脹は消退するが、かわって側副路としての前胸部の血管の拡張が観察されるようになる。

○上腕痛、運動障害

肺尖部のすぐ上を上腕神経が通るため、肺尖の腫瘍の浸潤により上腕の痛みや運動障害がおこる。

○ホルネル症候群

第1、第2胸椎の椎体に沿って頸部交感神経節が存在するが、ここに肺がんが浸潤すると同側の交感神経麻痺による症状(縮瞳、眼瞼下垂、同側皮膚 の発汗停止)を呈する。

これをホルネル症候群という。

その他、悪性腫瘍の全般的な症状として、食欲の低下、体重減少、全身倦怠感などもみられる。

 

●検査

○肺がんの診断のための検査

喀痰細胞診、気管支鏡による擦過細胞診や腫瘍生検、CTガイド下肺生検、さらに胸腔鏡下での病変部を含んだ肺部分切除などがある。

また、腫瘍の存在を間接的に示す検査として腫瘍マーカー検査がある。

 

●肺がんの広がりをみるための検査(病期検査)

肺がんの局所での広がりをみる検査としては、胸部X線検査、胸部CT検査、胸部MRIがおもに用いられる。

局所の情報として重要なものは、肺がんの腫瘍の大きさ、肺がんの胸壁や縦隔臓器への浸潤の有無、縦隔リンパ節への転移を疑わせる腫大の有無、悪性胸水の貯留や胸膜播腫巣の有無、肺内転移巣の有無などである。

肺がんの全身への広がり(遠隔転移の有無)を調べるものとしては、肺がんがとくに転移しやすい脳、肺、肝、骨、副腎をおもな対象として、脳CTまたはMRI、腹部CTまたは超音波検査、骨シンチグラフィ、FDG-PETなどが行われる。

 

●肺がんの病期

肺がんの進行の程度を表すために病期分類が用いられる。

病期は肺がんの本体の広がり(T因子)、リンパ節への転移(N因子)、他臓器への転移(M因子)の3つの因子によって決められ(TNM分類)、病期ⅠからⅣの4段階に分類される。

病期は画像情報から診断される臨床病期(手術前につけられる病期、あるいは手術できない症例につけられる病期)と、手術した検体を病理学的に調べて実際にリンパ節転移があるかどうか確認してからつけられる病理病期がある。

 

●全身の機能検査

肺がんに対して手術を計画する場合は、手術に耐えうるだけの各臓器の機能と、肺切除後も十分な呼吸機能が残ることの確認が術前に必要である。

そのため、肺機能検査だけでなく、心電図や腎機能検査、血液生化学検査、血液ガス分析、さらに必要に応じて心エコー、肺換気血流シンチグラフィ、心プールシンチグラフィなども行われる。

 

●腫瘍マーカー

肺がん患者の血液中に特異的に増加する物質を(肺がんの)腫瘍マーカーという。

ただし、肺がんであれば必ず上昇するという物質はなく、逆に肺がんでしか増加しないという物質も今のところみつかっていない。

したがって、肺に異常陰影のある患者の血液である腫瘍マーカーが高値を示したからといってその陰影を肺がんと断定することはできない。

なぜなら、他の臓器にその腫瘍マーカーを産生している別の腫瘍があるかもしれないからである。

肺がんのおもな腫瘍マーカーをあげると、CEA(肺がんの40~60%で陽性、大腸癌や胃癌でも陽性のものが多い)、CA19-9(肺がんの20~30%で陽性、肺の炎症性疾患でも高値となることがある。膵臓がん、胃癌でも陽性のものが多い)、NSE(小細胞がんで70%以上が陽性、他の肺がんでは30%程度が陽性)、ProGRP(小細胞がんの70~80%が陽性、他の肺がんではほとんど陽性にならない)、CYFRA21-1(扁平上皮癌の70~80%で陽性、他の肺がんでは30%程度が陽性)などである。

 

●治療

肺癌にかぎらず悪性腫瘍は、そのおこりはじめは局所(腫瘍が発生した臓器)の病気である。

しかし、成長するにしたがって血管内に浸潤した腫瘍細胞は全身の血管をめぐり、他臓器に転移巣を形成するにいたる。

この時点で悪性腫瘍は局所の疾患ではなく、全身疾患としてとらえなければならない。

ところが、このような遠隔転移巣の形成初期においては、転移巣は小さすぎて画像診断では発見できない場合が多い。

この現象が、手術は成功したのに数年後に他臓器に再発して死亡するといういわば悲劇の実態なのである。

したがって、肺癌治療の多くは局所療法と全身療法の組み合わせで行われているが、その方針の決定には前述の病期が重要な役割を果たす。

肺癌と診断された患者の治療方針の決定は、臨床病期の進行度にあわせて※のように決定される。

ただし手術が行われた場合は、切除検体を用いて肺癌の広がりを病理学的に調べると、術前にはCTで指摘されなかったリンパ節の中の小さい転移巣が発見されたり、逆にCTで転移が疑われた腫大したリンパ節に実際には転移がなかった場合などもありうる。

このように真の肺癌の広がりを知るうえで病理病期は重要で、これによって手術後の肺癌の再発の確率を知り、必要に応じて化学療法の追加(術後補助化学療法)が行われる。

 

●肺癌の局所療法

肺癌の局所療法のおもなものは、外科療法と放射線療法である。

また、気管支内に浸潤し喀痰や気道狭窄の原因となっている腫瘍に対しては、経気管支鏡的な局所療法としてレーザー治療や光線力学的治療が行われる。

①外科療法

癌に対する局所の制御力は放射線療法よりもすぐれるが、一時的にせよ大きな侵襲が加わるため、適応の決定には腫瘍学的検討ばかりでなく各臓器の機能的な評価も慎重に行わなければならない。

原則として、遠隔転移のある肺癌や心臓大血管に浸潤のある肺癌は手術適応から除外される。

手術は肺癌のリンパ節転移経路にしたがった肺葉切除と系統的縦隔リンパ節郭清が根治手術と考えられている。

治療成績は、病期Ⅰ期の肺癌での5年生存率は60~80%と比較的良好であるのに対して、縦隔リンパ節に転移のあるⅢA期の肺癌になると25~30%と低い。

②放射線療法

原則として外科的切除ができない肺癌の局所の制御を目的として行われる。

年齢や他臓器の機能の問題で外科療法の対象とならなかったⅠ、Ⅱ期の肺癌の放射線治療の成績は、5年生存率で20~40%とされている。

外科治療のⅠ期60~80%、Ⅱ期40~60%と比べ局所制御力に劣る。

局所進行型の肺癌に対しては、抗がん剤との併用(同時型放射線化学療法)によって80~90%の局所での奏効率をあげている。

遠隔転移を伴う肺癌では、局所のコントロールが予後の延長に寄与する、もしくはQOLの改善につながると判断される場合に、本治療が選択される。

近年、腫瘍にだけエネルギーを集めて周囲の正常臓器に放射線の影響を与えないように制御された定位放射線照射(SRT)、重粒子線治療、陽子線治療が腫瘍に対しても行われるようになってきた。

治療成績についてはまだ一定のデータは得られていないが、従来の放射線療法より格段にすぐれた治療成績が得られるものと期待されている。

胸部の放射線治療に伴うおもな合併症は放射線肺炎と放射線食道炎である。

放射線肺炎は放射線による肺間質の炎症で、初期治療が奏効しないと肺線維症に発展し、重大な肺機能の喪失につながるので注意が必要である。

放射線食道炎は照射野に含まれた食道粘膜の炎症で、食物の嚥下時のしみるような痛みと通過障害感が特徴である。

照射の終了または休止により軽快する。

 

●肺がんの全身療法

全身に散ったがん細胞を攻撃にするには、やはり血液を介して全身に行き渡る治療法でなければならない。

肺癌のおもな全身療法としては化学療法、免疫療法などがある。

①化学療法

肺癌に対する抗がん剤の奏効率は小細胞癌ではきわめて高く、80~90%の小細胞癌で腫瘍は消失もしくは50%以上の縮小がみられる。

ただし、小細胞癌では化学療法終了後の再発率が高く、遠隔転移のない症例でも3年生存率は20%程度である。

一方、非小細胞癌では抗がん剤の奏効率は低く、従来使われてきたシスプラチンとビンデシンの組み合わせでは20~25%、ドセタキセル、パクリタキセル、ビノレルビン、カンプトテシン、ゲムシタビンのいずれかとシスプラチンの組み合わせで35~45%である。

さらに、生存期間の延長効果は従来の抗がん剤で3~4ヶ月、新薬で6ヶ月程度と満足の行くものではない。

化学療法は悪性腫瘍を攻撃するばかりでなく、正常組織に対してもダメージを与える。

化学療法に伴う副作用は薬剤によりさまざまなものがみられるが、多くの抗がん剤に共通のものも少なくない。

化学療法に伴う代表的な副作用とその注意点、対象方法を以下にあげる。

(1)白血球(好中球)減少

抗がん剤の投与から1~2週間目にかけて末梢血中の白血球(好中球)は減少する。

この時点で発熱を伴う場合は、抗生剤の投与が必要である。

また好中球数が500/mm3以下では顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)の投与が行われる。

(2)血小板減少

血小板の寿命は約7日と好中球の約8時間よりも長いこともあって白血球(好中球)程の頻度で減少がみとめられるわけではない。

血小板数10,000/mm3以下では、出血の頻度が高くなるため血小板輸血が推奨される。

(3)貧血

赤血球の寿命は約120日とさらに長いため、化学療法開始後すぐに貧血がみられることはあまりない。

シスプラチンのように腎臓に対し強い毒性をもつ薬剤では、赤血球産生因子であるエリスロポエチン(腎臓で産生される)が減少して貧血を生じやすい。

治療はエリスロポエチンの投与(現状では保険適応外)または赤血球輸血である。

(4)悪心・嘔吐

抗がん剤による悪心・嘔吐はそのメカニズムがかなり解明され、薬剤によるコントロールが可能となってきた。

治療の要点は的確な薬物治療により不快な悪心・嘔吐の経験を未然に防ぎ、以後の化学療法に対する嫌悪感を患者にいだかせないようにすることである。

(5)末梢神経障害

化学療法中に手足の末梢を中心とした知覚の過敏あるいは鈍麻、味覚障害、筋力低下、便秘などを生じることがしばしばみられる。

これらは腫瘍自体により生じることもある。

鑑別には注意を要するが、化学療法が原因である場合の有効な治療法は、今のところない。

薬剤の使用中止以外に進行を止める方法はなく、一端発症した症状は薬剤の使用中止後も数年にわたって続くことが少なくない。

②分子標的治療

近年、新しい癌治療の動向として、化学療法のなかに分子標的治療という概念が出てきた。

分子標的治療薬とは、癌あるいは癌を取り巻く微小環境に特異的な遺伝子、遺伝子産物を標的として選定し、その標的に特異的に作用する化合物を選定するという創薬の方法に基づいて生まれた薬剤である。

現在わが国では、肺癌に対しては上皮成長受容体(EGFR)阻害薬であるゲフィチニブ(イレッサ)が保険収載されており、また同効薬であるエルロチニブ(タルセバ)が最近承認された。

イレッサは経口投与という簡便さとアジア人、女性、非喫煙者では約40%という高い奏効率から一時的かなりの症例に使われたが、とくにわが国において約4%の頻度で急性肺炎が発症して多数の死亡例がみられたことから、現在では慎重な投与が求められている。

③免疫療法

免疫療法にはピシバニール(OK-432)のように非特異的に免疫細胞を刺激する方法や、LAK療法のように腫瘍を特異的に認識するリンパ球を体に戻す治療などがある。

いずれの治療法にせよ、肺癌に対する免疫療法は進行癌に対しては効果はほとんど期待できない。

手術後の補助治療としての免疫療法はその有効性を示す報告がある。

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(゜m゜;)参考文献

医療学習レポート.肺癌


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