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(^_^)不動と拘縮の話


(*_*)題名:不動と拘縮の話

病態

拘縮は、皮膚、筋肉や関節構成体である関節包や靭帯の変化により、正常の関節の動きが制限された状態といわれている。

拘縮の発生機序について組織学的研究として、

  1. 固定期間と組織変化の関係では、30日以内の固定では筋、関節包、関節内結合組織の増殖と癒着が生じるが、可逆的変化であり、60日を越える固定では非可逆性の関節軟骨障害をきたすとされる。
  2. 関節固定による循環障害との関係では、局所の循環障害により軟部組織の細胞浸潤をまねき、結合組織の増殖、関節包の狭小化、関節腔癒着へ進展するとされる。

といわれている。

さらに結合組織に対する生化学的研究の発展に伴って、関節拘縮の生化学的検討が行われている。

不動による結合組織の変化は、細胞レベルで生じるもの、基質とコラーゲンに生じるもの、組織レべルでの反応に分けられる。

 

●細胞レベルでの反応

9週間の不動によっても,関節周囲の結合組織のコラーゲン総量には、有意な変化がみられなかったとの報告がある。

これは、コラーゲンの合成率が変化しなかったのではなく、不動に伴いコラーゲンの新陳代謝の増大、すなわち合成と分解の両者が増大するためと解釈されている。

このようにコラーゲン総量に有意な増加がみられないということは、線維化や瘢痕形成以外のメカニズムが拘縮過程に関与している可能性があることを示唆している。

不動解除後→細胞レベルでは、運動によってGAGの産生が剌激されている間はコラーゲンの合成と崩壊が持続する。

 

●基質とコラーゲンの反応

不動に対する結合組織の基質での反応として、水分とグリコサミノグリカン〔GAG、ムコ多糖〕、特にヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸の減少が著しい。

これによってゲル‐線維比が変化し、組織の粘稠度が減少するとされている。

この変化はコラーゲン原線維間の潤滑作用と線維間距離を減少させるため、GAGの減少は、関節の硬化と深い関係があるとされる。

コラーゲン原線維間のGAG緩衝効果の低下は、隣接するコラーゲン原線維間の交差部位での架橋(crosslink)形成の増加を促進する。

時間の経過とともに架橋はより強固となり成熟する。

そして変形(deformation)に対する抵抗性を増大させることになる。

固定後の関節構成体の生体力学的な履歴現象(hysteresis)を観察し、他動運動に要するトルクと仕事量を生化学的検査と比較検討した結果、ヒアルロン酸の減少率が生体力学的測定結果と統計学的に最もよく一致したと報告されている。

関節と周囲組織の運動は、コラーゲン原線維間のGAG緩衝効果を維持するために重要である。

不動解除後→基質では、不動の間に失われた構成要素である水分ならびにGAGの増加がみられる。これによってゲル‐線維比は正常に戻り、コラーゲン原線維の潤滑作用、繊維間距離は増加する。こうした回復の速度は、不動によって潤滑作用や線維回距離が失われていく際の速度より速いといわれている。このような生化学的・生体力学的な結果は、良好な修正がなされていることを示している。すなわち基質の構成要素が増加するにつれて、関節拘縮は改善されていく。

 

●組織における反応

不動が持続すると、時間経過とともに新しいコラーゲンの形成と堆積が重要な意味をもつ。

すなわち不動によって、原線維は乱雑に配置され、適切な関節のメカニクスと組織の変形を妨げる。

こつ乱雑な原線維配列は、結合組織内の癒着形成を生じさせる。

また関節内には線維脂肪性増殖が生じ、運動を妨げることになる。

次に筋組織における反応について述べる。

短縮位に固定された筋は5~7日間で筋腹の短縮を生じる。

これはコラーゲン線維の短縮によるものとされている。

3週以上の短縮位固定では、筋と関節周囲のloose connective tissue は徐々にdense connective tissueへと変化していく。

この新しいdense connective tissue を構成するコラーゲン線維タイプの比率としては、typeⅠがtypeⅢよりも多い。

こうしたtypeⅠとtypeⅢのコラーゲン線維比率の変化が、軟部組織の伸展性低下に関与すると考えられる。

短縮筋では、筋の長さ‐張力曲線は左方に移動し急勾配を示す。

これは第1に筋組織の減少よりもゆっくりした速度でおこる結合組織の減少によると推察されている。

すなわちこれは、相対的な結合組織の増加を意味している。

またこの相対的な結合組織の増加とともに、筋周膜と筋内膜に肥厚が生じることが報告されている。

第2に筋が短縮位で固定されると、筋線維内の筋節の数が正常と比較して40%以上も減少し、筋の柔軟性は低下するとされている。

不動解除後→組織レベルでは、運動に伴って新しいコラーゲン原線維が加えられる伸張ストレスの方向に沿って組織化されていく。筋節の数と長さが適切に修正され、長さ‐張力関係が再確立される。これらの変化によって関節可動域は増大し、関節のメカニクスは正常に復帰する。そして、正常な運動機能と動作を回復させることになる。

 

以上のような反応が矯正されないまま経過すると、運動障害がさらに不動を引きおこすという悪循環をきたすこととなる。

 

※loose connective tissue (疎性結合組織):コラーゲンやレチクリンが網状に走り各方向に可動性をもつものであり、関節包、筋膜、皮下組織がこれにあたる。

※dense connective tissue (定形結合組織):コラーゲンが網状に多層にわたり堆積し、可動性を失ったものであり、瘢痕部や拘縮した関節嚢がこれにあたる。

※コラーゲンのタイプ

  1. typeⅠ:間隙性組織、皮膚、腱、靭帯、筋膜、骨、血管など。もっとも一般的なタイプで広く分布。大きな帯状の原線維を形成、螺旋分子内でα1とα2が2:1の比で含まれている。
  2. typeⅡ:軟骨、核小体、髄質、硝子体など。螺旋内で3つのα1が含まれる。
  3. typeⅢ:タイプIと同様の分布だが、骨には分布していない。Looseな配列である3つのα1が含まれる、膨張性・伸張性に富んだ組織に顕著に含まれる。
  4. typeⅣ:基底膜(筋細胞膜)。螺旋内で3つのα1が含まれる。
  5. typeⅤ:血管組織、胎膜、骨および軟骨にも少量含有。3つのαBまたは2つのαBと1つのαA鎖配列。

 

予防・治療

拘縮については予防が非常に重要である。

長期の安静臥床によって頚部屈筋、肩関節内転筋、肘関節屈筋、前腕回内位、股関節屈筋、大腿四頭筋、膝関節屈筋、下腿三頭筋に拘縮が発生しやすいので注意を要する。

クッションや足底板、ハンドロール、大転子ロールなどを用い、良肢位を保つようにするのが基本である。

そのうえで、ROM訓練を行う。1日2回、各々の関節を全可動域にわたって最低3回ずつは行う。

拘縮をきたしてしまった場合には、温熱を加えながら持続伸長を20~30分間行う。

急激に強い力で伸長するよりも、痛みに注意しながら中等度の力で持続的な伸長を行う方が効果的である。

また、温熱により結合組織は伸長されやすくなると同時に、疼痛の軽減や筋の弛緩作用も期待できる。

超音波は深部の温熱に有用である。

持続伸張を行う場合には、体の近位側をうまく固定しなくてはならない。

たとえば、股関節屈筋群の伸長にあたっては、腰椎下部の痛みを誘発しないように、坐骨結節から骨盤をしっかり固定しておく。

持続伸張で改善が得られない場合には、装具、自助具やシリアルキャスティングによる数日間の持続伸張も考慮する。

シリアルキャスティングは、重度の足関節の尖足拘縮や膝関節の屈曲拘縮の場合に用いられることが多い。

最大に伸長させた状態でキャスティングを行い、3~4日ごとに巻き直していく。

手指や肘などの小関節には動的スプリントも良い適応である。

保存的治療で効果があがらない場合には関節受動術,癒着剥離,腱延長術などの外科的治療も検討する。

その適応としては、拘縮の改善により歩行やADLに改善が得られる場合、介護がしやすくなる場合などである。

o(^▽^)o参考文献

医療学習レポート.不動と拘縮


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