スポンサード・リンク

(*^_^*)慢性関節リウマチと評価の話


“(-“”-)”題名:慢性関節リウマチと評価の話

慢性関節リウマチの検査・測定および評価(評価表の作成、ADLの評価も含む)

Ⅰ.診断基準

診断は6週間以上持続する対称性の多発関節炎と検査所見や骨X線所見により、アメリカリウマチ学会による診断基準がよく用いられる。

リウマトイド因子は70~80%に陽性で、赤沈亢進、CRPの高値、貧血は炎症の程度と関連する。

病期が進むと、骨X線にて骨破壊像が認められる。

1.少なくとも1時間以上持続する朝のこわばり(6週以上持続)

2.3個以上の関節の腫脹(6週以上持続)

3.手(wrist)、中手指節間関節(MP)、近位指節間関節(PIP)の腫脹(6週以上持続)

4.対象性関節腫脹

5.手・指のX線の変化

6.皮下結節(リウマトイド結節)

7.リウマトイド因子陽性

以上の7項目中、4項目を満たすものをRAと診断する。

 

Ⅱ.活性度評価

1.Steinbrockerの分類

後述するためここでは省略する。

2.Lansburyの評価法

後述するためここでは省略する。

3.ACRコアセット

活性度評価(関節炎の評価)としては、最近では、アメリカリウマチ学会が提唱しているACRコアセットが症例の経過、治療効果の判定に広く用いられている。

圧痛関節数、腫脹関節痛などの他覚的な関節炎の評価に混じって、患者の疼痛、患者の全般評価、医師の全般評価などの主観的な項目が赤沈値、CRPなどの炎症の指標と同格に扱われている。

また、日常生活、生活の質(quality of life;QOL)に対する評価が盛り込まれている。

薬効評価にもこの1~7までを用いた改善基準が用いられている。

ACRコアセット


1.圧痛関節数:68関節の圧痛関節数

2.腫脹関節数:68関節の腫脹

3.患者による疼痛評価:10cmスケール

4.患者による全般活動性評価:10cmスケール

5.医師の全般活動性評価:10cmスケール

6.患者による運動機能評価:AIMS、HAQ、QWB(quality of well being)、MHIQ、MACTAR

7.急性期反応物質の測定:赤沈またはCRP

8.X線写真または他の画像検査による評価


Ⅲ.機能障害の評価

1.Steinbrockerの分類

多彩な要素を持った症状を整理して、慢性関節リウマチの活動性、機能解剖、解剖学的変化の三要素に大別し、それぞれの程度を4度に分類したものがSteinbrockerの分類である。

1)SteinbrockerのStage分類

関節構造上の変化を分類した病期(stage)は、主としてⅩ線写真上の骨、関節の変化をもって示され、数多くの罹患関節のうちもっとも進行した関節の状態を持ってその患者のstageを決めるので、簡単ではあるが罹患全関節の状態を把握するには無理があり、非活動性のものでもstageの進んでいる場合があって、活動性の指標とはならない。

 

Steinbrockerの分類

(アメリカ・リウマチ協会、Steinbrockerほか 1919年)

<進行度の分類>

Stage

Ⅰ.早期

 1.骨破壊はない(X線)

 2.骨萎縮は少しあってもよい(X線)

Ⅱ.中等期

 1.骨萎縮がある。軽度の軟骨下の骨破壊があることも、ないこともある(X線)軽度の軟骨破壊があってもよい

 2.関節の運動制限はあっても、関節変形はない

 3.近接筋の萎縮がある

 4.関節外の病変(結節,腱鞘炎など)はあってもよい

Ⅲ.高度期

 1.骨萎縮のほかに軟骨および骨破壊がある(X線)

 2.関節変形(亜脱臼、尺側偏位、過伸展など)がある。線維性あるいは骨性強直はない

 3.広範囲の筋萎縮がある

 4.関節外の病変(結節,腱鞘炎など)はあってもよい

Ⅳ.末期

 1.線維性あるいは骨性強直

 2.StageⅢの基準

<機能障害の分類>

class

 Ⅰ.健康人と同様で、まったく完全である

 Ⅱ.少数関節に運動制限があっても、普通の活動ができる

 Ⅲ.普通の作業や身のまわりの自用ができないか、はなはだ困難である

 Ⅳ.身のまわりの自用もほとんどできないで、病床に寝たっきりか、もっぱら歩行車を利用しなければならないほど高度である

<リウマチ活動性に対する治療効果の基準>

grade

Ⅰ.完全緩解

 1.発熱、白血球増多などの全身症状がない

 2.関節炎症、関節内外の腫脹の徴候がない

 3.新しい部位(関節、結節、腱)の発症がない

 4.残存している関節運動障害は、炎症や筋緊張によらない

 5.血沈は正常 もしこの完全緩解が少なくとも5年続いたら停止したといってよい

Ⅱ.高度の改善

 1.発熱、白血球増多などの全身症状がない

 2.熱感、発赤、圧痛などの関越炎症の徴候は完全にない

 3.非可逆的病変による軽度の関節腫脹や関節肥大はあってもよい

 4.新しい関節内外の病変はない

 5.筋緊張による関節運動障害はないが、ごく軽度にある。

 6.中等度の血沈亢進はあってもよい

Ⅲ.軽度の改善

 1.上記(gradeⅡ)症状の改善がみられる  リウマチ疾患の自然経過や治療効果の評価が困難である点からみて、gradeⅢは有意義とするべきではない

Ⅳ.無効または増悪

 1.リウマチ活動性あるいは機能の不変

 2.罹患関節の再熱あるいは新しい関節の活動化

 3.上記があれば血沈の正常化、低下は意義がない

 

2)Steinbrockerのclass分類

機能障害の分類はおおまかすぎるきらいがあり、とくに薬剤の効果判定には役立たないが、これらの分類は慢性関節リウマチのおおよその状態を推定するには便なる方法として現在でもなお使用されている。

 

3)Steinbrockerのgrade分類

使用薬剤の効果判定を目的として作られたgradeⅠ~Ⅳの分類は、発熱、白血球増多、血沈などの全身症状と、関節の局所症状を加味して作られているが、腫張、疼痛、熱感などの評価は実際にはなかなか困難であり、かつ多彩な経過を示す慢性関節リウマチ患者を、この4群のいずれかに組み込まねばならぬ点で評価する者の、主観が入りやすい。

その上、特有な症状の朝のこわばりや疲労など信頼性が少ないとはいえ、自覚症状はまったく盛り込まれていない。

また、薬剤の効果判定に使用して有効と考えられても、実際にgradeⅢ以上の改善を示すことは少なく、もう少し細かい評価方法が望まれていた。

その後、改良法が開発され現在に至るが、活動性がもっと細かく表現される方法としてLansburyの方法が発表されている。

 

2.Lansburyの評価法

Lansburyの評価法の評価表を要約すると、慢性関節リウマチの諸症状のうち、活動期にはその程度とは無関係につねにみられ、かつ定量的に判定できる症状を選出し、これらを評価項目としてこれらの項目に関する数値をもとに一定の表から換算して指数を算出し、それらの総和から活動性を細かく数量化して表現する方法である。

現在この方法は多少の批判があるにせよ、世界的に最も広く用いられているので、以下多少詳しい解説を試みる。

 

慢性関節リウマチの諸症状(Lansburyによる)

A.リウマチ活動期にみられ,定量的に判定できる症状(項目)

 1.リウマチ活動期にはその程度とは無関係に常時みられるもの 朝のこわばり、疲労、疼痛、筋力低下、血沈亢進、関節の炎症と機能障害程度

 2.常時みられるとは限らないもの 体重減少、発熱、頻脈、白血球増多、血漿グロブリン異常、炎症の非特異的検査成績の陽性

B.リウマチ活動性の判定には不確実な定性的症状(項目)

  抑うつ、食欲不振、胃塩酸欠乏、水血漿、知覚異常、血管運動神経変化、湿冷、筋攣縮や緊張、血清学的検査(洋血球凝集反応、ラテックスおよびベントナイト結合反応)、基礎代謝低下

C.リウマチ活動性に続発した構造変形を示す症状(項目)

  筋萎縮、腱鞘炎、腱断裂、関節拘縮、線維性強直、骨多孔症、軟骨びらん、骨吸収、骨性強直、リウマチ結節、血管炎、肺炎、弁膜炎、神経炎、リンパ腺症、脾腫、虹彩・毛様帯炎、回帰性結膜炎、アミロイドーシス

 

関節点数のつけ方(Lansbury評価法)

関節

おのおの

手指、足指、顎および肩峰鎖骨関節

1点

足の母指の中足指節関節

2

胸鎖関節

3

手首

4

手根部、ショパール関節、および距踵関節

5

足首および足根部

9

肘および膝関節

12

膝および股関節

25

 

前述した基準にしたがって選出された項目は、朝のこわばり、疲労、疼痛、筋力低下血沈亢進、関節の炎症、機能障害程度の6項目である。

1)朝のこわばり

必ずしも慢性関節リウマチのみに特有なものではないが、重要な自覚症状である。

起床時間とこわばりの消褪時間を正しく聞いて、こわばりの持続時間を算出するのがよい。

2)疲労

こわばりと同様に起床時間と疲労の発現時間を聞いて算出する。

この項目は不確実で頻度も少ないので除外すべきだとの意見もある。

また朝のこわばりも疲労も変動が大きいので、患者の生活動作を詳細かつ明確に規定した上で計測すべきだとの報告もある。

3)疼痛

痛みの程度を数量化するのに、疼痛を軽減させるに必要としたアスピリンの錠数をもってする。

わが国ではアスピリンによる胃腸障害を訴えて服用不能となる患者が少なくない上、アスピリンの服用による血中濃度は、一般的に不安定で変動が大きく、わずかな服用量の差に応じて血中濃度が算数的に増加するものがある。

また適宜に錠数を加減して服用するという主観に患者もなれていないので、この項目は実際的ではないとして、わが国では省略する意見が強い。

4)筋力低下

筋力の数量化には握力をあてている。

握力計はべつに特殊なものではなく、水銀血圧計の圧迫帯を握りしめ、その際の上昇する水銀柱目盛り20mmまで膨らませておき、水銀柱の目盛りを読む。

左右3回ずつ試み、それぞれの最高値の平均をもって握力とする。

これには日内変動があるので、なるべく一定時間に測定することが望ましい。

また関節疼痛のため低値になったり、PIP関節の過伸展変形(スワンネック変形)では低値に出やすく、MCP関節の尺側偏位では低値にならないなど純粋な筋力の測定としては欠点はあるが、慢性関節リウマチの活動性のわずかな変化をも反映すると言われる。

5)血沈亢進

Westergren法あるいはCutler法による。

6)関節局所症状

関節については活動性の有無を、圧痛および他動運動による疼痛によって調べ、各活動関節それぞれの判定値を表から算出し、それらの総和をもって関節指数とする。

自発痛、著名な局所熱、関節液貯留などがあれば1.5倍、活動性の有無が不確実なら1/2倍にするが、この操作は概して不要という。

この表は手・足などの関節を1とした場合の関節軟骨部の面積の比較から算出作成されたものであって、局所症状を主として関節面積すなわち炎症の広がりにしぼっている点、やや無理があるといえる。

7)各指数

前述した各項目の数値をもとに,あらかじめ作成されてある表から判定値を求め、これらを加算するだけで各種の指数が得られる。

ⅰ.全身指数(systemic index)

こわばり、疲労、アスピリン錠数、握力、血沈の5項目の判定値の総和を全身指数という。

ⅱ.臨床指数

こわばり、疲労、アスピリン錠数、握力、関節指数の5項目の判定値の総和。

ⅲ.全活動指数

こわばり、疲労、アスピリン錠数、握力、血沈、関節指数の6項目の判定値の総和の5/6を全活動指数といい、薬剤の効果判定にはこれが最良という。

ⅳ.関節指数

前述

全身指数と関節指数あるいは全活動指数を定期的に測定算出して、その時点における慢性関節リウマチの活動性を評価しておければ、ある程度客観的数量的に記録しうるし、また薬剤の効果判定にもきわめて有意義であるとしている。

この方法はLansburyのいうように、確かに特殊な装置を必要とするわけでもなく、複雑な操作も必要としないので、簡単かつ便利な方法のようにみえる。

8)Lansbury法への批判

評価項目のいくつかについて欠点のあることは各項目ごとに前述した。

またわが国においてこのまま使用するには難点があるため、日本人向きの変法あるいは意見が提唱されている。

9)活動性評価の実際

いずれにせよ診療上、自覚的訴えや意志の漠然とした印象にとどまらず、慢性関節リウマチの活動性を客観的に表現することは、経過を知る上にもまた治療の方向づけをするためにもきわめて重要なことである。

Lansburyの方法を一つの参考として、こわばり、疲労、血沈、C反応性蛋白、白血球数、貧血、発熱、頻脈、体重減少などが数量的に示される全身的評価としての参考となる。

また局所評価として関節症状には、腫張の指標として貯留算出量を計測しておくとか、宝石商の用いる指輪番号を用いてその程度を表現するとか、両足の腫張の手足を水中に入れて排出する水量で表すとか、腫張の皮膚に一定の印をスタンプしてその消長を計測して記載しておくとかの工夫が望ましい。

また関節の疼痛に関しては圧痛計(palpameter)、痛覚計(dolorimeter)などの使用も一方法である。

その他、関節可動域の測定や握力、一定距離歩行時間、日常生活動作なども参考となる(以下に述べる)。

今までの漠然たる記載にとめず、より系統的に患者を診療し、上記活動性に関係する項目のうち数項目についてでも数量的に表現しておくことが、活動性の評価とともに経過を知り、治療に反映させる近道であるだろう。

 

3.関節可動域(ROM)

ROMを規定している因子は、関節の構築学的因子、作動筋の収縮力、それに拮抗筋の伸展性の3つである。

本来ならこれらの因子の評価には自動ROM(A‐ROM)と他動的ROM(P‐ROM)の両者を測定し、両者の差(ラグ)を知るのが望ましいが、慢性関節リウマチ(RA)患者においては疼痛が強く、またP-ROM測定時に関節を痛めることもあり、A-ROMの測定法が用いられている。

注意点として、①角度は十分な長さの柄が付いているものを使用し、②変形、拘縮などで所定の肢位がとれない場合は測定肢位が分かるように明記のうえ異なる肢位を用いる。

ROM測定は、日本リハビリテーション医学会と日本整形外科学会が制定する関節可動域表示および測定に基づいて行われる。

ADLとの関連をみるために測定は椅子坐位で行っている。

表示はzero方式で行う。

またROMの制限因子が分かればそれを記述し、ROM訓練やADL訓練の参考にする。

 

※関節可動域の評価の実際

関節可動域の(ROM)の評価は関節の動き角度を示すだけでなく、セラピストに関節の一般状態、疼痛への耐久性、および機能的能力の一部を評価する機会を与える。

ROM時に、(1)動きに伴う疼痛がある、(2)動かさなくとも疼痛がある、(3)コツコツ音がある、などを記録すると、治療計画を立てる上で参考となるばかりではなく病期の活動性を示す簡単な方法とし有効である。

これに加えて、評価日時、抗炎症剤または鎮痛剤の量と種類を評価に先立って注意を向ける必要がある。

これらの薬は客観的に評価に大きな影響を与える。

 

1)角度計使用による関節測定

特別な配慮を必要とする関節のみ以下に示す。

※まず、慢性関節リウマチには、環軸椎の亜脱臼があると言う点から、関節可動域を計る際に、頭頚部屈曲伸展肢位が禁忌となる。したがって、関節可動域の測定の際には「腹臥位(prone)」肢位以外で測定する。

[肩]

患者は痛みまたは関節変化によって純粋な外転や屈曲ができないかもしれない。

しばしばこのような患者は斜め方向の屈曲で代償する。

したがって、その運動は基本運動面以外の動きであることを記録すべきである。

外転を行うときは、患者に外旋を行わせ上腕骨の大結節が肩峰に挟み込まれないようにすることは大切なことである。

 

[肘]

肘を完全に伸展した場合、橈骨と尺骨は上腕骨の延長線上になくある角度を持っている。

これをしばしば運搬角度(carrying angle)とか外反肘と呼ぶ。

通常女性の方が大きい。

この角度は特に前腕の回旋が制限されている場合には、屈曲や伸展の角度と間違えやすい。

肘の角度を計る標準的な方法は、前腕を回外(解剖学的肢位)して測るが、関節炎を持つ患者ではこの肢位がとれない事がよくある。

手術や装具療法のために正確な肘の角度を測定するときには、この前腕の回旋角度(または肢位)を記録することによって正確さを期す。

 

[前腕]

前腕の回内、回外を測定する場合、肩の回旋による代償を避けるために肘を90°にして、体側につける事が大切である。

 

[手関節]

・屈曲と伸展

角度計の軸心と橈骨手関節の軸心を合わせる。

固定軸は橈骨に沿っておき、移動軸は第二中手骨に沿ってあてる。

第五中手骨に軸を合わせるよりも第二中手骨に軸を合わせる理由は、(1)手関節の動きは主に橈骨手関節で行われること、(2)第五中手骨の回旋方向の力が手関節の動きの測定不正確にすることによる。

医師が関節の可動域を説明するときに異なった測定方法を使っているかもしれないことにセラピストが気づくならば、相互の情報交換が円滑になるだろう。

・尺屈と撓屈

前腕の正中側に沿って固定軸を合わせ、移動軸を第三中手骨体に合わせる。

移動軸の先端は必ず第三中手指節関節の延長上にくるべきである。

注意:骨体に合わせるのであり伸筋腱に合わせていないことを確かめること。

 

[指]

目標は骨体間の角度である。

亜脱臼がある場合は、関節の本来の軸心は失われ、単軸心角度形で測定したものは近似値で、正確な値は測定できない。

この問題を解決するために次のように行っている。

・亜脱臼関節の測定

①近位軸を安定した(一般に近位)骨に合わせる。炎胃軸を亜脱臼または遠位骨に平行して合わせる。この方法では普通、亜脱臼骨に遠位軸が触れない。

②筆者は亜脱臼を測定するときはこの方法で毎回試行し、この方法で得た結果の角度にSの印をつけておく。

③正確さが特定の治療のために特に重要視されるときは、標準化された方法と亜脱臼のこの方法とで測定する。

この方法は完成された解決方法ではないけれども、全く系統だった方法がないよりもより信頼性のある方法と考え使用している。

・屈曲と伸展

全関節の屈曲は角度計を関節の背面に置き測定するのがもっとも正確である。

しかし、変形、腫張、結節があると角度計をあてがうことが困難なので、隆起の少し外側へずらし、角度計の軸を測ろうとする骨体に合わせる。

中手指節関節:(外科医は通常MCP関節を近位肢節関節とよぶ。)

注意:「握りこぶしを作って下さい」と命じることは、PIP関節の完全屈曲を引き出すには効果があるが、MCP関節の完全屈曲を引き出すには効果的ではない。なぜなら、最大限に把力把握(拳)を作ったとき、示指と中指のMCP屈曲は制限されるからである。MCP屈曲の測定では患者にできるだけ中手肢節関節(knuckles)を(PIP関節はリラックスさせたまま)曲げさせる。

・近位肢節関節(中間指関節)

注意:AAOSの手引書と他のROM書では、DIPとPIP関節の測定は、MP関節を伸展させて行うべきであると指示している。この方法では手内筋の筋短縮のある患者では、測定が不正確になる。

PIP関節の測定ではMCP関節を屈曲(中間域での)させ、手をラクナ肢位にした上で行うべきである。

・遠位趾節間関節(遠位指関節):DIP関節の測定は、DIP関節最大屈曲位で行うべきである。しばしばこれは拳を完全に握った肢位であり、この肢位では角度計をあてるのが難しい。このような場合でも、この肢位でROMを測定したほうが、患者に拳を開かせて可動域を失うよりもよい方法である。

・過伸展

●中手指節関節:筆者が見つけたもっとも正確なMCP関節伸展測定方法は、示指と小指のMCP関節の軸心に使用角度を合わせ、環指と中指を推測または“目測する”ことである。手掌側からMCP関節の測定を行うと可動域が不正確になる。円形角度計での測定法をある人々は擁護するが、それは角度計の軸心から遠くになりすぎると筆者は考えている。MCP関節を測定するときは、短い角度計を使用することが大切で、さもないと近位端が手関節にあたり、測定可動域が不確かになる。標準化された小型の角度計もまた小関節を測定するには測りにくい。

●過伸展の重要性:MCP過伸展の測定は、関節炎をもつ手の評価には重要な局面を持っており、また、この運動を維持する訓練は、特に初期の手に対し、重要な治療であると考えている。関節炎(または他のいかなる問題)がこのMCP関節に影響を及ぼすとき、失われる初めの動きが過伸展である。それゆえ、過伸展の維持は正常な機能を維持するのに欠かすことができない。

過伸展の役割があまり論じられないのは、多くの男性が過伸展可動域をもたないためである。それは屈曲や伸展のように手の基本的機能としては考えられてこなかった。なぜなら、過伸展がなくても日常の課題はこなせるからである。正常域も様々(0~50°)で、どの領域を異常とするかの判断が困難である。正常手の過伸展度は関節によって、また個々の手によって様々である。ある主要なROM書を過伸展の正常値を設定するために概観したが、過伸展は含まれてさえいなかった。

考慮するほかの点では、ほとんどの指の関節では、自動ROMと他動ROMでは同じであるかあるいは5°以上は違わない。正常手における自動と他動の過伸展の差は20°程であり、たぶんある人はそれ以上であろう(あなたの手で試し、その違いを見てみるといい)。

もし患者がMCP屈曲拘縮を持つならば、過伸展は議論にならないであろう。しかし、正常に近いまたは最小過伸展を持つすべての患者に対し、筆者は患者のROMを記録し、簡単な訓練と過伸展を維持したり改善したりする方法、たとえば祈るように手を合わせて持っていき、そこで中手骨骨頭をつけたまま自動的に過伸展させるなどを指導する。

●近位ならびに遠位指節間関節:角度計を関節の外側縁に置き、角度計との関節の軸心を合わせる。外側から角度計をあてがうほうが掌側からあてがうよりも、脂肪層と腱鞘炎によるずれがないので好ましい。

・中手指節関節の尺側偏位

この運動の測定方法は、すべての関節運動の中でたぶんもっとも物議をかもしだす。方法の多様性は国内中で見いだせる。あるセラピストは自動伸展時のMCP関節を測定し、別な人は机上に手を置かせて測定し、また別の人は安静肢位に手をもっていき測定する。

過去には筆者も自動伸展位で測定していた。その理由はそれがもっとも正確で一貫性があると考えていたことによる。ただ1回のみの測定である場合はこれがたぶん最良な方法と考えられるが、しかしこれは手の機能と尺側偏位の完全な関係像を浮かび上がらせてこない。効果的に患者を評価し治療するために、コップを持つときのような伸展位での尺側偏位の測定と、軽度屈曲作業(例、タイプ)時の偏位の影響を評価するため安静肢位での尺側偏位の測定が必要であることを筆者は気づいた。強い握り時の尺側偏位の評価は、今までのところ議論にならなかった。

自動伸展時と安静時の両方の手の測定を行う別の利点は、どちらの肢位がより尺側偏位を増すかを決められることである。ある患者は伸展時により偏移し、他の患者は屈曲時により偏位する。

筆者は机上に休ませた肢位での測定は勧めない。なぜなら机上に置いたままでの測定は、いろいろな歪みの程度を作り出し、追跡評価の信頼性をなくしてしまう。

●自動伸展時の測定方法:患者に手を浮かせたまま回内させ、偏位を修正させずに天井方向に向けて指を伸展させる。ある患者は手掌を保持して上げさせることが必要かもしれない。角度計の軸心はMCP関節背側に置き、軸は基節骨と中手骨に合わせて置く。伸筋腱に角度を合わせないように注意する。MCP関節を測定するとき、示指は通常約20°尺側偏位していることを忘れてはいけない。それゆえ、もし患者が中、環、小指10°偏位、示指30°偏位であった場合は、示指の測定は病理学的に10°のみ偏位となるので、患者はMCP尺側偏位10°ありという報告が正しい。ほとんどのクリニックでは角度計の示す30°と記録するが、これは患者を見誤り、患者のみでなく医師やセラピストも見誤らせる。

可動域の程度は、単なる角度として記録し、可動域として記録しない。たとえば40°尺側偏位として記録し、0°~40°とは記録しない。

関節や筋の健全さを示す付加情報は、偏位の自己修正の程度を測定すると得られる。患者に指を自動伸展させ、机の上に手掌を置き、指をリラックスさせ、MCP関節亜脱臼測定を同時にできる。この高精度量を必要とすることはめったにないが、特定な状況下では役に立つだろう。

・母指

●中手指節関節と指節間関節:屈曲、伸展、過伸展を、他の指のPIP関節と同じ方法で測定する。

●手根中手関節:手根中手(CMC)鞍関節の独自の構造はより複雑な運動を行う。リウマチ学または整形外科学では、CMC関節の運動は下記の用語を使用して述べる。

・外転(掌側)

●運動:手掌に対し母指垂直角または直角の最大角。

●測定方法:第一中手骨と第二中手骨間の角度で、角度計の軸心は手掌に垂直に立てた母指のCMC関節上に直接置く。

●重要性:掌側外転は丸い物体を握るのに重要である。この制限は関節疾患や軟部組織(母指指間腔)拘縮によるか、またはその両方によっておこる。

・伸展位での外転

●重要性:これは組み合わされた運動といえ、外転位での伸展ともいうことができ、現実的にそのほうがより意味を持つ。すなわち、伸展は物体を操作したり大きな物を取り扱うときの手のスパンを増す役割は幾分少なくなる。

・内転

●運動:ほぼ母指が手掌の橈側にくる。

●測定方法:母指と第二中手骨の距離が内転の制限を示す。

●重要性:自動内転の制限は通常内転筋の低下と尺骨神経損傷を意味する。

・対立

●運動:外転、屈曲、回旋の組み合わせ、対立は、第一中手骨のほぼ外転から第五中手骨までの動きを表す。

●測定方法:母指の指先中央を第五指の示指に触れるようにもっていく能力によって決める。小指が制限されている場合は、患者が対立を試みるとき母指の爪の回旋を観察する。

●重要性:対立は他の指と精密なつまみを行う。リウマチ疾患では、対立の制限は外転の制限に伴っておこる。

・屈曲

●運動:母指中手骨の中間位から内側への運動、屈曲は第一中手骨を第二中手骨の掌側面に持っていく能力である。

●重要性:これは母指を掌側に、安全なところに、もっていき、握りや拳や把力把持が作れるようになる。屈曲可動域は少なく約20°である。関節疾患による屈曲制限は一般的でなく、重度で明らかな伸展や外転の制限に隠れる。外傷は伸展拘縮を引き起こす。

・伸展

●運動:第一中手骨遠位骨頭を第二中手骨遠位骨頭にもっていくすべての運動、伸展は屈曲からの戻しと対立からの戻しである。外転がいくらかおこる。

●測定方法:伸展は同時に5つすべての中手骨頭を平らな表面につけるように持っていく能力によって決める。伸展は終点であり、目標はゼロ伸展である。

●重要性:伸展は手掌を平らに置くことを許す。ゼロの伸展位をとれない状態は、現実にはそれがたぶん内転・屈曲・対立拘縮の組み合わせによるものであっても内転拘縮と呼ばれる。

・後方伸展

●運動:後突(retroverpulsion)は、CMC関節の過伸展と同義語である。机上に手を平らに置き(机上面にすべての中手骨をつける)、机上から中手骨遠位骨頭を持ち上げる能力。

●測定方法:患者が正常なMCPとIP関節機能を持っているならば、後方伸展の測定として母指の先を机上から持ち上げさせてその距離を使ったほうがよいかもしれない。

●重要性:この運動は長母指伸筋(EPL)によって可能となる。CMC関節が正常あるいは制限されているならば、後方伸展はEPLの断裂は、慢性関節リウマチでは比較的よくみられる断裂の1つである。また、後方伸展は、修復後に続いて行われるEPL筋力への抵抗負荷時の推奨する運動や抵抗負荷面でもある。

 

2)ROM評価の別法

(1)機能的ROM

この種の評価は、体の各部分に触れさせ、身体各部位での身の回り動作遂行に十分なROMがあるか否かを調べることを含む。したがって、この方法は特定の単関節の可動域よりも複数関節可動域についての情報を提供する。

示指MCP関節は、機能より反映するのでその利用を勧める。たとえば、その人が指先で自分の口にやっとさわることができるようであれば、顔の衛生動作、歯みがき、または食事には可動域がたぶん十分でない。もし示指のMCPが口に触れるようであれば機能に必要なROMがある。

 

機能的関節可動域の身体部位(示指の)MPC関節で触れる部位

しばしば使われる身体部位

可動域の目的

 頭頂

整髪、洗顔、肩の外転と屈曲

 項(頸の後)

頸の衛生、衣類操作、肩外転と外旋

 口

摂食、顔と口腔衛生

 腰の後

衣類操作、肩内旋

 (坐位での)靴の先

下衣の操作(脊柱・股関節・膝関節屈曲と肘伸展を評価する)

 

(2)指の総合屈曲ROM

①指先と遠位手掌(中央手掌)皮膚線との距離を測定する。

a.用具:

①端がゼロより始まる定規

②指の測定具

b.方法:患者に指を屈曲させ、指先(指腹ではない)または爪先と遠位皮膚線の間の距離を測る。正確を期すためには、皮膚線に対し指先が近位にあるか遠位にあるかを記録するべきである。たとえば、皮膚腺より2.5cm近位にあり、手掌より1.25cm離れているということは、MCP屈曲が大きいということを示し、一方、皮膚線より2.5cm遠位にあり、手掌より1.25cm離れているということは、MCP屈曲がほとんどないことを示している。測定で選ぶ部位(指先または爪)は任意であるが、クリニックでは統一し同じ部位を使用すべきである。指先の延長線上に爪がない患者を多数見かけるので、筆者は爪先の利用はあまり正確でないと考えている。

②指先と遠位掌側手首皮膚線との距離を測定する。この方法は重篤な指の屈曲制限がある手に限定して使うことを勧める。

③指の外転と指間腔(web space)可動域

・小指と示指の指先間と小指と母指の指先間を測定する。

a.方法:紙の上で患者に指を外転させる。小指と示指または母指の上に印をつけ、手をどかし、印と印の間を測定する。

注意:MCPに尺側偏位があるとこの方法では正確を期すことは困難かもしれない。

この方法は強皮症の患者に対し外転運動を記録するのに特に価値がある。患者の手の輪郭の写しと指間腔の記録には、過程で運動を維持する道標として使うために与えることができる。

・指間腔の測定。指間腔の最大伸張の肢位は手掌に対し約45°母指外転位である。もし正確な測定が必要であれば、指間腔の始まる部位で第一と第二中手骨骨頭間の距離を測定するのが最善の方法である。印の入っている積み重ね用円錐形の利用がこの目的を果たすのに好都合である。もし一般的評価が必要であれば紙上で指間腔を写す方法がよいであろう。もしあなたが母指と示指の指先間を指間腔の測定として使うならば、MCP関節の側方偏位とIP関節の過伸展を含めていることに留意することが大切である。指での連続した指間腔の利用は、紙上の写しでも正確な情報を提供してくれる。

 

④手関節または指の偏位

手と前腕部の輪郭をなぞり、偏位の程度を記録する。

最大に偏移したところでなぞり、次に筆記世具の色を変えて自己修正させたいところで再び輪郭をとる。

 

4.筋力

筋力の測定法には個々の筋をと腫によって測定する徒手筋力検査(manual muscle testing:MMT)と器具を用いて複合動作の筋を測定する方法がある。

上肢機能では下肢機能と異なり個々の筋より複合動作にかかわる筋力が問題になることが多いので、ここでは器具を用いた方法を紹介する。

1)握力

握力とは母指と残り4指の屈筋による把握共同最大筋力をいう。

測定法には握力計を用い、kgで表す方法と水銀握力計を用いる方法がある。

前者では握力の握りの長さは第二指の基根部から先端までの長さの半分が適当といわれている。

ただこの方法は手指関節に負担が大きいので後者の方法(水銀握力計)が通常用いられている。

はじめに水銀柱を20mmHgまで上げるようにカフを膨らませ、カフを患者に握らせて水銀柱の目盛りを測定する。

2回ずつ計測し高いほうを採用する。

2つの方法とも患者に目盛りを隠しておく必要がある。

この2つの方法はきわめて高い正の相関を示し、水銀握力計の100mmHgが握力計の8kgに相当する。

この数値の換算は身体障害者手帳の作成やADLの状態把握に役立つ。

2)ピンチ力

flatによれば手指の把持パターンは、①3点つまみ、②側方つまみ、③指腹つまみに分類される。

ここでいうピンチ力は指腹つまみと側方つまみ(L‐P)を指す。

ピンチメーターを使用し、第Ⅰ~Ⅱ指間、第Ⅰ~Ⅲ指間のピンチ力、L‐P力を測定する。このとき測定していない指はできるだけ離すように指示する。握力と同様に左右交互に(休息を入れながら)2回ずつ測定し、値の大きいほうを記録する。

 

※筋力評価

関節炎患者の徒手筋力検査

(1)方法

筋群および個々の筋力検査を行なう際の肢位と評点についての基本的な考え方は、主要な筋力検査の本に述べられている。しかし、これらの方法は正常な関節を持つ患者向けであるので関節炎患者の評価時には工夫が必要となる。

関節炎患者と他の障害を持つ患者とでの筋力評価時の重要な違いは、痛みがおこらない範囲で抵抗を加え、自動可動域の最終域で抵抗を加えるのではないということである(標準化された筋力検査では抵抗は完全域の最後に与えることになっている)。関節炎の患者はよく自動可動域の最終点で痛みがおこったり、自動関節運動の最後30~40°の所で著名な不快感がおこったりする。痛みによって筋力が抑制されるので、抵抗は関節が痛みをおこさない反以内で加えるべきである。これが、患者が機能的に筋力を発し得る範囲である。たとえば、S氏は肩の屈曲で、他動ROM 0~120°、自動ROM 0~90°(最大屈曲位で疼痛)である。もし肩の屈筋の筋力を自動可動域の最終点で検査すると、疼痛による抑制のため屈筋は段階3(良-重力に抗せるが抵抗には抗せない)と評点される。しかし、45°位(痛みが起こらない範囲)で検査すると、段階④(優-中等度の抵抗には抗し得る)と評点されるかもしれない。この患者の抵抗量を、疼痛が起こらない範囲で評価すれば、患者が行なえる機能的活動の種類が推測できる。たとえば、S氏は中等度の重さの物を引き上げたり運んだりすることができたりするであろう。この患者の実際の筋力を正しく述べていないことになる。

(2)記録

疼痛関節周囲の筋群の筋力の記録は、簡単な印号(例、*印)方式を使うとよく、*印で記録される評定は、標準化された可動域最終域での部位の代わりに(比較的)疼痛のない範囲で抵抗をかけたことを示す。痛みの強い関節で、標準化された検査方式で最大または中等度の抵抗を加えられないときは特別の記述もまた必要である。もし痛みがあると正確な評価は不可能であるが、少なくともわずかな抵抗に抗し得るか否かを決めることは可能であり、またそれを知ることは価値がある。評定3.5は拮抗筋群に抗するのに最低限必要な筋力である(拘縮を予防するのに大切である)。

表記例:“痛みにより正確な評価はできない。肘と肩の筋は少なくとも、わずかな抵抗に抗し得る。”記録には評価日時と、評価前に服用した抗炎症剤または鎮痛剤の量を記録すべきである。これらの薬剤は客観的評価に影響するからである。

(3)握力

関節炎の人は幅広い手の障害を持っており、握力評価するために2つの方法を勧める。Jamar握力計による握力測定

Mathiowetzとその共同研究者によって開発された標準値を利用するためには、口頭指示をも含め標準化された方法を使用しなければならない。少しでも方法を変更するようであればあなたのデータは標準値と比較すべきではない。

(4)Mathiowetzとその共同研究者による標準化方法

用具:標準Jamar握力計(デジタル型でない)で、工業規格による正確な目盛りの物。

方法:

①手の利き手を決める;はじめに利き手を検査する。

②つまみの前に握りを検査する。

③患者を座らせ、次の肢位で検査する。

a.肩内転、回旋中間位

b.肘90°屈曲

c.前腕中間位

d.手関節0~30°伸展、0°~15°尺屈

④3回連続試行を記録する。

⑤どの患者に対しても調整式持ち手をダイアルから2番目のくぼみにセットする。

⑥万が一落とすことを防ぐため、ダイヤル付近を持ち握力計を軽く支える。

⑦口頭指示:「このように持ち手を握って、できるだけ強く握って下さい。」検者は実演し、握力計を被検者に渡す。被検者が適切な肢位になったら、検者は「いいですか。できるだけ強く握ってください。」と言う。被検者が握り始めたら「もっと強く…もっと強く…はい、休んでください。」と言う。一回目の試行値を記録し、2回目3回目と同じ指示で繰り返し、反対の手にも行なう。(注意:堅い握力計を使用して行うこの検査方法は、MCPやPIP関節に炎症をもつ人には、過度の力をかけて損傷をおこしてしまうので、適切ではない。)

⑧記録の仕方:3試行の平均を使う(この測定値が最も高い信頼性がある)。

(5)工夫した血圧計による握力測定

標準水銀血圧計は、300mmHg(約70ld、32kg)以下の握力の患者すべてに使用できる。70dlまたはそれ以上の患者には握力計を使用する必要がある。

血圧計の工夫は、マンシェットの裾をまきしっかりと止める。こうすることにより空気を特定の目盛りまで入れて膨らませたとき、常に同じ周径になる。膨らませ方と周径は任意であるが、多くの場合周径15、17.5、20cmのとき、それぞれの目盛りが20、30、40mmHgの初期値を示す。しかし、今までの研究では20cmの周径で、初期値を40mmHgにしたものしか標準化されていない。

注意:この目的で血圧計を入手するときは、布性のマンシェットを頼む。新しいモデルではナイロン製があり、これは巻きづらいし安定しない。

方法

次に2つの方法で握力測定のための血圧計を工夫する。アネロイド血圧計も使えるが、水銀血圧計のほうが初期値合わせが容易である。

第Ⅰ法

①マンシェットを包む袋を、滑らず伸びない洗える素材で作る。

②袋の大きさは、初期値まで空気を入れたときに大きくする。(たとえば、8.8cm幅の袋は、17.5cmの周径を作る)。

第Ⅱ法

①空気を抜いたマンシェト空気袋の方から周径15cmになるまで巻く。そしてガムテープで止める。

②空気を入れて20、30、40mmHgのどれかの初期値を選ぶ。そして周径が15、17.5、20cmの望みの周径になるようにマンシェットの巻き方を調整する。

③ガムテープをはずし,空気袋をパンクさせないように縁を縫う.

測定のために患者を座らせる。設定した初期値(例:30mmHg)まで血圧計に空気を入れる(初期値設定のときはマンシェットに圧を加えない)。患者にそれぞれ3回ずつ、疲労を最小限に止めるため左右交互で測定する。前腕や手は机の上や膝の上にもたせておかず、中間位の肢位で始める。各記録がおわるごとに、水銀計が設定した初期値に戻ることを確かめる。

結果の器を句をするためのあらゆる方法が文献に報告されているが、次の方法がもっとも信頼性があり、著者が使用している方法である。しかしこれは妥当性や信頼性は検査されていない。

①3回の値を記録し、その平均を報告する。これは有意に誤差を少なくし得る(スコットランドでなされた握力の研究では、第1回目の値は第2、第3の値に対して、有意に大きな誤差があると発表している)。

②各検査で最大の持続力を記録する。これは難しいことではある。患者がゆっくりと握ってくれれば問題はないが、激しく握ったり速く握ったりすると、水銀の弾みで(筋力でなく)高い初期噴出を示してしまう。この水銀のはずみで生じる初期噴出を記録せずに、持続する高い目盛りを記録する。

注意:患者の機能的握力を調べるのであれば、血圧計は患者に見えないようにし、がんばらせるための声掛けもしないようにすべきである。しかし、筋の持つ絶対的な力を調べる目的(例、薬剤研究)であるならば、かけ声や視覚的フィードバックは望ましい。要するに検査を行なう場合、各患者と各再検査に一致した方法で行なうべきである。

(6)つまみ力

つまみ測定用具と指が接触する面は小さいので、握力測定用具ほど難しい問題はない。もっとも標準的なピンチ計でも、弱いつまみに対して十分な感度がある。Mathiowetsと共同研究者は、B&L Engineeringで生産されているピンチ計がもっとも正確であったと報告している。3種類のつまみの標準値が、次に示すプロトコールを使用して成人と子供に対して設定された。

 

Mathiowetsと共同研究者による標準化方法

用具:B&L Engineeringピンチ計で、正確な目盛り付けをされたもの(これは指の溝で知覚できる重さを吊るすことによって決められる)。

方法

①利き手を決める。初めに利き手を検査する。

②つまみの前に握りを検査する。

③患者を次に示す肢位で座らせる。

a.肩内転、回旋中間位

b.肘90°屈曲位

c.前腕中間位

d.手関節0~30°伸展、0~15°尺側

注意:テスト中標準化された肢位を維持するために、ピンチ計のダイアルは側面つまみでは上向け、2点指先つまみと3点指腹つまみでは横に向ける。

④赤い印の針の横の目盛りを読む。

⑤3回連続試行を記録する。

⑥ピンチ計を落とすのを防ぐためピンチ計の端を検者が保持する(新しいピンチ計は落ちるのを防いで安全測定できるように、検者の手首に紐をかけるようになっている)。

⑦口頭指示を与える。

a.3点指腹つまみ:「私がしているように、この横に親指を置き、できるだけ強くつまんで下さい。」検者は肢位を実演し、次に被検者にピンチ計を渡す。被検者が適切な肢位をとれたなら、検者は「いいですか。できるだけ強くつまんで下さい。」と言う。被検者が強くつまみ始めたら、検者は「もっと強く…もっと強く…はい、休んでください。」と言う。初めの試行値を記録し、2回目、3回目試行し、次に反対手を行う。

b.2点指先つまみ:「輪の形を作るように、親指の先をこちら側に、人差し指の先をこちら側に置いて下さい。私がしているように他の指は掌の上で丸めて下さい」検者は肢位を実演し、被検者にピンチ計を渡す。被検者が適切な肢位をとれたなら、検者は「いいですか。できるだけ強くつまんで下さい。」と言う。被検者が強くつまみ始めたら、検者は「もっと強く…もっと強く…はい、休んでください。」と言う。初めの試行値を記録し、2回目、3回目試行し、次に反対手を行う。

c.側面(腱)つまみ:「私がしているように、親指を上に、人差し指を下にして、できるだけ強くつまんで下さい。」検者は実演し、次に被検者にピンチ計を渡す。被検者が適切な肢位をとれたなら、検者は「いいですか。できるだけ強くつまんで下さい。」と言う。被検者が強くつまみ始めたら、検者は「もっと強く…もっと強く…はい、休んでください。」と言う。初めの試行値を記録し、2回目、3回目試行し、次に反対手を行う。

⑧記録の仕方:3試行の平均を使う(この測定値が最も高い信頼性がある)。

注意:母指と他の指の関節に急性滑膜炎がある患者には、声掛けテストを使うテストはするべきでない。

 

※ADL評価・訓練に影響する諸因子

(1)女性に多く、特に中年以後の女性にリハビリテーションの対象が集中するが、その中でも家族の多い家庭の主婦と老人ではADLニーズの差がある。

(2)骨・関節の破壊は大部分進行性で、その程度は個人個人、各関節による差があり、侵される関節の数、場所によってADLが大きく影響される。拘縮は膝、肘、肩に多く、強直になりやすい手・足関節、変形が起こる手指・足趾、四肢麻痺になるまで至る頸椎亜脱臼など特徴的な症状がある。下肢の関節の侵され方が同じでも、上肢の関節の置かされ方が違うと起居動作、杖の使用ができないことがあり、将来あらゆる関節が侵される可能性があるので、対麻痺のように下肢筋力を代償させる上肢の筋力を鍛えることなどができない。

(3)炎症症状はとくに関節付近の疼痛がADLに大きな影響を及ぼし、その疼痛は季節、気温、湿度に左右され、1日のうちでも変化する。消炎鎮痛剤の影響も大きく、コルチコステロイドの内服・関節注入で別人のようにADLが改善されることがあり、インドメタシン、ジクロフェナックのように比較的速く血中濃度が下がる薬では使用前後での疼痛の差が大きく、関節可動域、ADLが変わってくる。したがって、ADL評価は薬の影響が安定している状態で行わなければならない。

(4)疲労しやすい慢性関節リウマチ患者では、耐久性を考慮に入れないと実生活での応用ができないことがあり、このためADLの改善目標を高くしすぎないようにする。

(5)うつ状態、心気症の患者が多く、半数近くに及ぶといわれ、患者は長い闘病生活のため迷いやすく、意識を失い、積極性に乏しく、依存心が強くなっている。

 

5.リーチ

リーチを測定する事により、個々のA-ROM測定では推定できない動作の障害を把持することが可能となる。リーチに関する定まった記載の方法はないが、中伊豆温泉病院で実施している方法を紹介する。所定の位置を頭上から足趾までADLと関係する11項目に決め、椅子坐位で手掌または手背(MCP関節)が届く範囲を、3:所定の位置にスムーズに届く、2:所定の位置に指先が届く、0:不可、の4段階で評価する。また位置により以下のような基準を設定している。

表 リーチの評価表(0~3の4段階で表示する)

項目

3 2 1 0

3 2 1 0

・ ・ ・ ・

①頭上

・ ・ ・ ・

・ ・ ・ ・

②頭頂

・ ・ ・ ・

・ ・ ・ ・

③額

・ ・ ・ ・

・ ・ ・ ・

④後頭(大後頭隆起)

・ ・ ・ ・

・ ・ ・ ・

⑤口唇

・ ・ ・ ・

・ ・ ・ ・

⑥咽頭

・ ・ ・ ・

・ ・ ・ ・

⑦反対側の肩峰

・ ・ ・ ・

・ ・ ・ ・

⑧肩甲骨下角5cm下方

・ ・ ・ ・

・ ・ ・ ・

⑨肛門部

・ ・ ・ ・

・ ・ ・ ・

⑩腓骨外果

・ ・ ・ ・

・ ・ ・ ・

⑪母趾末節骨頭

・ ・ ・ ・

項目①頭上:頭頂より20cm上方。

項目⑧肩甲骨下角:反対側肩甲骨下角の下方とし、第II指MCP関節との距離。

項目⑩腓骨外果、項目⑪母趾末節骨頭:足底を接地した肢位とし、足底が床面より離れた場合は代償動作とみなし2とする。

各項目1または0の場合にはADL上問題になることが予想され、ROM訓練や自助具の処方の適応となる。

 

6.一定歩行距離

社会保険広島市民病院理学診療科では、ADL評価表(厚生省神経・筋疾患リハビリテーション調査研究班)の項目8の『平地を移動する』に関しては、100~200m歩行の評価が要求されているが、実際このような評価を行った場合患者の負担が著しいため、10m歩行時間を計測し、19秒以内に10m歩行が可能であれば「3」または「2」、20秒以上かかれば「1」と注釈をつけ、必要に応じて100mあるいは200m歩行を評価してる。

 

7.変形

手関節は腫張がみられればメジャーで橈骨手根関節の周径を測定し、また表3に示したような状態がみられれば記入する。手関節装具によって手関節の腫張の軽減が可能であるので、その効果判定のためにも周径の測定は必要である。変形関節の状態は手指関節では、母指変形、スワンネック変形、ボタン穴変形、尺側偏位を評価し、下肢、足趾についても評価する。

趾変形は、Nalebuffの分類に沿って評価している。スワンネック変形はPIP関節のROMにより4段階に評価している。ボタン穴変形はPIP関節のROMにより4段階に分けている。下肢は表に示すようなチェックを行う。足趾関節では外反母趾、槌趾、立ち趾の変形をチェックする。また足底の胼胝(?)、バニオンの位置を観察する。靴底の磨り減り方も変形の把握に役立つので観察しておく。

表 母趾関節の変形などの記載方法

部位

Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅴ・他

Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅴ・他

疼痛・脱臼・腫張・可動性なし

CMC

疼痛・脱臼・腫張・可動性なし

動揺関節・掌側外転・内転

動揺関節・掌側外転・内転

疼痛・脱臼・腫張・可動性なし

MCP

疼痛・脱臼・腫張・可動性なし

動揺関節・ムチランス

動揺関節・ムチランス

過伸展・伸展不全

過伸展・伸展不全

屈曲不全・側方偏位

屈曲不全・側方偏位

疼痛・脱臼・腫張・可動性なし

IP

疼痛・脱臼・腫張・可動性なし

動揺関節・ムチランス

動揺関節・ムチランス

過伸展・伸展不全

過伸展・伸展不全

屈曲不全・側方偏位

屈曲不全・側方偏位

第Ⅰ類:MCP屈曲→IP過伸展→CMC掌側外転

第Ⅱ類:CMC内転→MCP過伸展→IP屈曲

第Ⅲ類:MCP側方偏位→CMC内転

第Ⅳ類:ムチランス

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

表  下肢関節(股関節,膝関節,足関節)の変形などの記載方法

部位

疼痛(自・運・荷)・脱臼・腫張・可動性なし

股関節

疼痛(自・運・荷)・脱臼・腫張・可動性なし

伸展拘縮・屈曲拘縮・THA

伸展拘縮・屈曲拘縮・THA

疼痛(自・運・荷)・脱臼・腫張・可動性なし

膝関節

疼痛(自・運・荷)・脱臼・腫張・可動性なし

伸展拘縮・屈曲拘縮・TKA

伸展拘縮・屈曲拘縮・TKA

疼痛(自・運・荷)・脱臼・腫張・可動性なし

足関節

疼痛(自・運・荷)・脱臼・腫張・可動性なし

内反足・外反足・扁平足

足部

内反足・外反足・扁平足

 

表 手関節などの記載方法

腫張(周径  mm)

腫張(周径  mm)

疼痛・可動性なし・掌側亜脱臼

疼痛・可動性なし・掌側亜脱臼

橈側偏位・尺側偏位

橈側偏位・尺側偏位

 

8.疼痛の評価

疼痛の評価ではVisual Analog Scale(VAS)最もよく使われる。10cmの線の上に自覚的痛みの程度をチェックして長さで現す方法である。

 

Ⅳ.日常生活動作の評価

1.Leeの自己申告法

他項目ADL評価の経験を重ねることにより、その利点、血点が明らかになるとともに、障害に悩まされている患者自身が自らの機能状態を最もよく知っているのであるから、それを主観が入りにくい表現で正確に記録させる方法があれば最も信頼性の高いデータが得られ、リハビリテーション・プログラム遂行に有用であろうと考えられるようになった。この視点から開発されたのがP.Leeによる慢性関節リウマチの機能指数(functional index)である。この方法については、信頼性が高く、再現性もよく、満足はできないまでも比較的よい方法とされている。1980年代に入って発表された2つの方法もLee法の延長線上にある自己申告法であり、社会活動、精神的圧迫,性などADL法では評価項に入っていないものを加え,より広い視野で機能状態を把握しようとする試みに発展している.間はLee原法に日本的生活では重要な2項目を加えた変法を考案し詳細な検討を加えた結果,OTもしくは他のパラメディカルスタッフが評価したADL評価ときわめて高い相関を示し,Lowton以来慢性関節リウマチ患者リハビリテーション評価の主流であった第3者の技術者によるADL評価に自己申告法の間変法は表Ⅰ-12としてあげる.表Ⅰ-12の第1,2項目は原法に加えられた項目である.評価点数はLee原法にしたがって,0:困難なしにできる,1:可能であるが痛み,筋力的か,こわばりなどのため困難を伴う,2:まったくできないの3段階評価とし,これら得点の単純和を機能指数(functional index)とする.Leeの機能指数は最高0点,最低42点(原法では19項目で38点)までの細かな順序尺度であるが,Leeの原著ではそのまま等間隔尺度に準じて取り扱い,平均値の比較なども行っている.係数処理しやすく,評価に時間がかからず,かつ再現性もよいとされているので広く利用されている.

 

2.ADL

中伊豆温泉病院で採用しているADL評価法はBarthel-Index(BI)を基礎にしたものと厚生省特定疾患神経・筋疾患リハビリテーション調査研究班(厚生省班)のものの2つである.BIは表に示すように10項目からなっている.自立度の評価によって各項目に重み付けをしているのが特徴である.また,おもに脳卒中患者を対象としているので排泄の項目に比重が高いのが特徴でもある.同時に厚生省班のADL評価も行っているが,あくまでも時間がかかっても可能かどうかを評価している点がBIとは異なる.厚生省班は表に示したように8動作32項目からなっており,0(全介助)~3(正常)までの4段階の評価を行い点数をつける.満点は96点である.評価の方法は詳しい手引きをもとに患者に実際に行ってもらい客観的評価を行うのが特徴である.ADL評価の結果は高い正の相関を示す.ただBIのほうの点数が高いのは自立度の分類がおおまかなためであり,小さなADLの変化を把握するのには厚生省班のほうが適切といえる.各項目で0~2ではADL訓練や指導の対象となるが,3でも関節保護の指導の対象になることを忘れてはならない.

 

3.少数項目のADL評価法

表  Leeの間変法

1.はし(食事の)を使う

14.他人の助けなしで歩く.

2.字を書く

15.松葉杖なしで歩く.

3.頭を左右にまわす.

16.ステッキなしで歩く.

4.頭の後の毛をとかす.

17.階段を昇る.

5.引き出しを腕だけでしめる.

18.階段を降りる.

6.ドアを開ける.

19.膝を伸ばして立っている.

7.湯水の入ったポットをもちあげる.

20.つま先立ちをする.

8.片手でコップをもちあげて水を飲む.

21.腰をまげる(たとえば床のものを拾うために)

9.鍵をまわす.

10.ナイフで肉を切る.

評点 0:困難なしにできる

11.パンにバターをぬる.

    1:困難だができる

12.腕時計のネジをまく.

    2:まったくできない

13.歩く.

(Leeの設定項目に1,2項を一部追加)

Lowtonをはじめとする多項目ADL評価法の再現性が乏しい原因は,多項目評価に長時間を要するための患者の疲労が消耗性疾患である慢性関節リウマチでは主因となり,さらに個々の動作項目ごとの判断基準のあいまいさも評価者間エラーの原因となり,さらに同一評価者でも間隔をおいた場合の不一致の原因となっていた.厚生省特定疾患研究「神経・筋疾患リハビリテーション研究調査班」(班長:佐々木智也)では,この2点のADL評価の欠点を踏まえ,昭和51年度より少数項目で再現性の高いADL評価法の開発に取り組んだ.昭和55年度に完成した評価法の評価項目と評点を表Ⅰ-13に示してある.この方法の特色は,①現在利用されているADL評価法のすべてを調査し,採用されている4000項目以上から動作としては異なっていながら実は同一の運動単位障害の組み合わせであるものを整理し32項に縮小しながら,多項目評価と同じ成績が得られるようにしたこと,②それに加えて,よりマクロの動作別評価を加えたこと,③さらに正常の3から不可能もしくは全介助の0までの4段階をどの基準で評点すべきかを32項目のそれぞれについて詳しいマニュアルをつけて評価者間エラーを低く抑えるようにしたこと,の3点である.

現時点において比較的実施しやすく信頼できる慢性関節リウマチの全身的機能評価表は研究班法とLeeの間変法である.次に述べる長所を生かして利用するとよい.

1)Leeの間変法の長所:医療スタッフの負担は極めて軽く,OTなどの評価表を欠く施設でも応用可能である.また,繰り返し実施することにより患者自身が機能状態に関心と知識を持つようになり,リハビリテーション・プログラムに積極的になるmotivation効果が顕著である.

2)神経・筋疾患リハビリテーション研究班法:患者の非協力,もしくはより悪い状態を訴えたい心理に支配されず,客観性がおり高い.身体障害をADLで表現する限り,他疾患による障害と比較することができる.

 

4.家事動作

近年生活の質(QOL)の考えの導入によりQOLを高めるためには,従来のADL,すなわち“ひとりの人間が独立して生活するために行なう基本的な,しかも各人ともに共通に毎日繰り返される一連の身体動作群”を拡大した,日常生活に必要な動作の評価の必要性が強調され,これを“生活関連動作”と呼称するようになった.これはinstrumental ADL(IADL)やactivities parallel to daily living (APDL)と一致する概念である.とくにRAの患者のかなりの部分を占める主婦の分担となっている家事動作の評価と援助は大切である.RA患者による家事動作を行なう上で問題になる項目として,①移動,②手指関節の巧緻性動作,③リーチ,④体力とくに持久力などをあげることができる,これらの総合的評価を基礎に家事動作の簡素化,自助具の処方,心理的サポートの方法が決められる.具体的に調理,掃除それに洗濯がどの程度可能かまず問診し,必要なら実際に行なわせてみることもある.

 

5.把持機能

 

6.書字機能

通常使用する鉛筆を用いて住所や氏名を書いてもらい,書く動作や文字から変形やピンチ力の程度を総合的に判断し治療の参考にする.初回のみでなく治療後も再評価する.

 

7.簡易上肢機能検査(STEF)

上肢の機能を検査する方法で,10項目の検査からなっている.器具は市販されており,詳細な検査の手引きがついている.表8のような記載を行なうが,検査のときにリーチやピンチパターンの観察も行なう.

 

8.より広範囲な全身機能評価法(QOLの評価)

QOLを含めたより広範囲な評価がなされるために、Friesらが列記した。

しかし、これに収録されているすべてを一丸として、①数量化,②妥当性(validity[content,concurrent,constructを含め]),③信頼性もしくは再現性(reliability or reprobucibility)の5つの観点から満足されるものはなく,これからの開発研究に待つほかない.

1)障害指数法

Friesらが1980年に発表した方法で、患者の自己判断による深刻法と十分に訓練された第3者の判断が満足すべきレベルで一致するので、Lee法と同じく自己申告法が原則となっている。

4段階評価法で、1~9の異なった内容を持つQ1~Q9にグループ分けしてある。

Q1~Q9はさらに1~4の小項目に区分されている。

患者は各小項目が“できますか”の設問に答え、容易、やや困難、他人の介助が必要、不可能に相当する横棒に✓でマークする。

ただし、性交だけは当然表現が異なっている。

評価点数はQ1~Q9の9グループごとの評点とし、a~dまであるような場合には、もっとも悪いスコアの小項目の評点でQ1……Q9のグループ別評点とする。

点数は0:容易,1:やや困難,2:要介助,3:不能とする。

評点は合計し、Q1~Q8の場合に8で除し、Q1~Q9の場合は9で除して全般の評価点とする。

これらの評価点を慢性関節リウマチによる障害指数(disability index)と呼んでいる。

 

2)関節インパクト尺度(AIMS)によるQOL調査表

1980年にR.F.Meenanが発表した方法で、これも結果的には患者の自己中心法をとっている。

この方法の長所は、これまでにも何度の説明した統計処理の難しさをあらかじめ考えて、Guttman scoreとして扱えるようにデザインされている点と、患者申告による負担の軽減にあり、さらに評価項目選定と表現のあいまいさとに疑点は残っているものの、新体制約に止まらず広く心理・社会面およびQOL評価を取り入れている点もあげられる。

表 AIMS スコア表

項目

スコア

移動

0

1

2

3

4

身体活動

0

1

2

3

4

5

巧緻性

0

1

2

3

4

5

役割分担

0

1

2

3

4

5

6

7

社会活動

0

1

2

3

4

5

日常活動動作

0

1

2

3

4

疼痛

0

1

2

3

4

抑うつ

0

1

2

3

4

5

6

心配ごと

0

1

2

3

4

5

6

AIMS質問表は表として出してある。

評価は9項目で、それぞれに4~7の設問がされている。

設問は上段の数字の多い項目ほど重いインパクトに対応するようにデザインされている。

被検者は上段から解答をはじめ、それぞれyes、noまたは数字で答える。

9項目全部の記入が完了したら、評価者(医師など)は表のようなスコア表にマークし、Guttman法による解析に備える。

表は上ほど重くなっているので、身体活動の項であれば、装具や杖なしで歩け、自宅の階上、階下を移動するには困らないが、エレベーターのない3階のビルでは最上階に昇るのが難しい人では3の評点にマークする。

なお、表の0は各項目の質問のどれに対しても正常の返事であった時に与え、もっとも制約を受けていないことを意味している。

原報告では、信頼性、再現性などのチェックをしてあるが、心理面のスコアにはまだ完全といえない成績が出ている。

このまま使用することには疑問があろう。

※AIMS(関節インパクト尺度)変法によるQOL調査表

表 AIMS変法によるQOL調査票2)


名前           年齢 歳   検査日  年  月  日

最近の1ヶ月の生活について番号で答えてください.

(はい-1,どちらともいえない-2,いいえ-3)

1.杖・補装具あるいは誰かの手を借りないと外出できない.    (   )

2.階段を昇るのが困難である.                 (   )

3.歩くことが困難である.                   (   )

4.ペンを使用することができない.               (   )

5.家の鍵を使うことができない.                (   )

6.ボタンをはめることができない.               (   )

7.自分で靴を履くことができない.               (   )

8.鍋のふたを開けることができない.              (   )

9.薬を自分で服用することができない.             (   )

10.お金を支払い,おつりをもらうことができない.       (   )

11.洗濯をすることができない.                (   )

12.一人で服を着替えることができない.            (   )

13.一日中家にいることが多かった.              (   )

14.公共の交通機関を利用して外出しなかった.         (   )

15.電話を使用できなかった.                 (   )

16.知人と出掛けることがなかった.              (   )

17.知人の家を訪ねることがなかった.             (   )

18.買い物に出掛けることができなかった.           (   )

19.部屋の掃除ができなかった.                (   )

20.一人でトイレに行けなかった.               (   )

21.一人で風呂に入れなかった.                (   )

22.スポーツに参加できなかった.               (   )

23.一人で食事を作れなかった.                (   )

24.性交渉がなかった.                    (   )

25.死んだ方がいいと感じたことがある.            (   )

26.なにもしたくない。                    (   )

27.たいへん憂鬱である。                   (   )

28.自分のしたいことができない。               (   )

29.毎日がつまらない。                    (   )

30.楽しいと感じたことがない。                (   )

31.興奮状態になったことがある。               (   )

32.神経質である。                      (   )

33.心を沈めるのに苦労する。                 (   )

34.心が穏やかであると感じたことがない。           (   )

35.いつも心が穏やかというわけではない。           (   )

36.現在の治療に満足している。                (   )


 

3)改訂スタンフォード健康調査質問票(modified stanford health assessment questionaire;MHAQ)

身体的・精神的・社会的・経済的要素を含む包括的QOL評価である。

表 MHAQ質問票2)


名前            年齢  歳   検査日   年  月  日

次の動作ができますか。困難の度合いを下記の表現で答えてください。

《容易、やや容易、非常に困難、できない》

1.着衣:一人で洋服を着る、靴紐を結ぶ、ボタンを留める。    (        )

2.起居:ベッドで寝たり起きたりする。             (        )

3.食事:水のいっぱい入ったコップを口に持っていく       (        )

4.歩行:平らな戸外を歩く                   (        )

5.衛生:身体を洗い拭く                    (        )

6.物を取る:床の洋服を取るために身体を曲げる         (        )

7.その他:自転車の乗り降り                  (        )


 

Ⅴ.個々の関節における機能評価1)

1.股関節

1)Larsonの評価法

1963年Larsonは股関節諸疾患について機能的評価法を発表した。

これは慢性関節リウマチのみならず、すべての股関節疾患、特に変形性股関節症を目的としたものではあるが、慢性関節リウマチにおいては下肢の総合的機能が股関節のみならず、膝関節、足関節の病変によっても大きく影響されると言うことさえ念頭に置けば、十分慢性関節リウマチにも適用されるよい方法と思われる。

この詳細は表Ⅰ-17,18にあげたが、チャート1は点数制をとっており、チャート2はパーセントをとっている。

おのおの100点、100%をもって満点としている。

チャート1においては、日常動作の機能と疼痛に35点、歩行能力、変形および関節可動域におのおの10点を与えている。

チャート2においては、疼痛に40%、日常動作に30%、歩行に15%、そして最後に関節可動域、脚長差の有無、トレンデレンブルグ(Trendelenburg)徴候の有無の合計でもって15%としている。

Larsonはこの機能評価を持って、Vitallium cup形成術、およびその他の股関節手術の術前・術後の評価に実際用いており、とくにチャート1、チャート2の使い分けについては言及しない。

 

2)D’AudigneとPostelの評価法

表 D’AudigneとPostelの股関節評価法(点数基準)

痛み

可動性

歩行能力

0 痛みは強く持続的である

股関節の不良肢位での強直

歩行不能

1 痛みは夜間にも強い

疼痛によりまったく動かないかまたは強直であっても、肢位はあまりわるくない

両松葉杖でのみ歩行可能

2 痛みは歩行のさい強く行動はまったく制限される

屈曲40°以下

両杖でのみ歩行可能

3 痛みは行動を制限すれば我慢できる

屈曲40°~60°

1本杖で1時間以内ならば可能、杖なしではきわめて困難

4 歩行時に軽く痛みがあり安静で消失する

屈曲60°~80°       足に手が届く

1本杖で長時間歩行可能杖なしでも短時間歩行可能、しかし跛行がある

5 時々軽い痛みがある     行動は正常である

屈曲80°~90°       少なくとも15°外転可能

杖なしで歩行可能、軽度に跛行がある

6 痛みなし

屈曲90°以上         外転30°まで可能

正常

ヨーロッパ諸国において、代表的な股関節評価法とされているものに、この方法がある。

これは表のように関節機能を疼痛、可動域、歩行能力に分け、おのおの7段階(0~6まで)で評価する方法である。

この3項目におけるおのおのの点数を別個に記載し、たとえば、疼痛3、可動域2、歩行能力4という具合に記載する。

3項目の総合法としては疼痛と歩行能力の総合点が11~12の場合がvery good、9の場合をmedium、8をfair、7以下をpoorとしている。

これに関節可動域を加味する際に、関節可動域が4の場合は、上記の評価を1段下げ、さらに3以下の場合は2段階下げるということで評価している。

術前、術後の状態を比較する場合は、3項目のうち、疼痛、歩行能力をいっそう重要視し、これらの項目においては、術前・術後の差を2倍にした上で、可動域の差と合算し、合計点数を出している。

そして術前・術後の差が12点以上がvery improvement、7~11点をgrade improvement、3~7点をfair improvement、3点以下をfailureとしている。

 

3)Charnleyによる評価法

表 Charnleyの股関節評価法

痛み

運動性

歩行能力

1 強度であり安静時にも痛む

1 0~30°

1 両松葉杖や両杖で数m歩行できるか、または寝たきりである

2 歩行時強度、すべての行動は制限を受ける

2 60°

2 杖を使っても、使わなくても、時間と距離は強く制限を受ける

3 我慢できるが、行動は制限される

3 100°

3 1本杖で1時間以内ならば可能。杖なしでは困難。長時間立つことはできる

4 ある程度行動した後のみ出現し、休めばすみやかに消失する

4 160°

4 1本杖で長時間歩行ができる。杖なしでは制限を受ける

5 軽度、または間歇的で、歩き始めは痛むが、まもなく軽くなり、正常の生活は可能

5 210°

5 杖なしで歩けるが跛行はある

6 なし

6 260°

6 正常

この評価法は表のように、3項目として疼痛、関節可動域、歩行能力をあげていることはまったく同様であるが、D’Audigne and Postelと異なることは、0がなく1~6までの6段階であること、関節可動域は簡略化し、屈曲、外転、内転、回旋の各可動域の合計でもって評価していることである。

 

4)日本整形外科学会による変形性股関節症の判定基準

現在のところの最終案として表にあげた判定基準が決定され、実用化されている。

この表は臨床像の評価であるが、これにさらにX線所見の評価が加わって一つのセットとなる。

これは、変形性股関節症の評価を主要目的としており、必ずしも慢性関節リウマチの評価を目的としたものではないが、決定的なものが現在わが国にない以上、慢性関節リウマチの股関節の評価に用いてみてもよいと考えられる。

この評価項目としては疼痛、可動性、歩行能力をおのおの点数としてあげたことは、D’Audigne and Postel法と同様であるが、おのおの点数としては疼痛40点、歩行能力20点、可動性20点を与えてあり、さらにこれらの3項目に加えて日常動作を10項目に分け、おのおのに2点ずつをあたえ、満点20点としていることの大きな特徴があり、その上参考として患者の満足度を4段階に分けて取り上げていることも興味のあるところである。

 

2.膝関節

1)Potterらの評価

これは表のような罰点(demerit point)法であり、疼痛、可動域、屈曲拘縮、内反・外反変形、不安定性、大腿四頭筋筋力、歩行補助具の使用の有無の7項目に分け点数をつけ、その合計が0~2までがexcellent、3~6がgood、7~10がfair、11以上がpoorとしている。

 

2)三大学試案(愛知大、信州大、岡山大)

この評価は、疼痛、可動域、自動伸展不全、内外反変形、歩行能力、日常活動にもとづいて評価したものであり、それによれば疼痛との間にきわめて関連性が深いことがわかる。

 

3.肩関節

1)Neerの評価法

Neerは慢性関節リウマチの肩関節の機能評価については、表における評価法を用いている。

これは、疼痛に35点、筋力、手の到達部位、肩の安定性の3項目を合計した関節機能に30点、可動域に25点、X線像および、手術所見における関節内外の病変に10点、合計100点の点数を与えている。

他の関節の評価法と同じく疼痛に最大の点数を与えているのは、慢性関節リウマチにおいてはとくに重要な事項であると考える。

これ以外には、肩関節の評価を細かく取上げたものを、われわれは目にしていない。

 

4.手

1)Treuhaftらの簡便法

表  Treuhaftらの手の変形評価法(その1)

point

symbol

score

capsular laxity

CL

1

irreducible dislocation (A P of lateral)

ID

3

tendon dislocation with motion

TDM

1

tendon dislocation with rest

TDR

2

tendon rupture

TR

3

correctable ulnar deviation  (active)

CUD

1

uncorrectable ulnar deviation

UUD

2

loss of active MCP hyperextension

LH

1

hyperextension of IP joints dislocation of wrist

HE

1

dislocation of wrist

DW

5

dislocation of ulnar styloid

DUS

3

機能

 角度、可動域計測の順序

 1.患者の握りこぶしを作らせて最大自動運動の測定

 2.最大自動運動伸展角の測定

 3.各関節の屈曲角と伸展角の記録、たとえば,90°/0°,45°/30°

 4.もしある関節がより以上伸展される時は過伸展(HE)として記録される。たとえば,90°/HE20°

 5.点数評価

   屈曲角45°以下

2

   屈曲角45°以上はできるが、90°には達しない

1

   伸展角45°以上

2

   伸展角45°以上ではあるが、0°には達しない

1

   手関節屈曲角30°以下、または伸展度40°以下

2

これは表にみるように項目としては、変形と機能に分け、とくに変形の項目に関節の不安定性、腱の脱臼ないし自然断裂の有無、尺側偏位の程度、手関節の脱臼などを各関節において検査し、かつ可動域を主体とした手の機能においては、可動域の著しい障害のあるものに限って点数をつけ、これらすべてを合算する罰点システムを主体としたものである。

これにピンチおよびグリップのさいの握力と、各関節における可動域を参考として記入し、手の各関節に相当する部分に記号でもって記入する方法である。

この図において、母指はIP関節ともに、capsular laxityのために1点、hyperextention30度までいくことで1点で計2点となり、PIP関節においては屈曲が45度以上いかないことで1点で、伸展が15度以上いかないことで1点の計2点、PIP関節においては伸展が15度以上でないということで1点の計2点、PIP関節においては伸展が15度以上でないので1点、合計5点になる。

彼らは、外来における臨床検査法として、角度計による関節の細かい計測は煩雑であること、X線による評価もよいが、これは必ずしも検査の際にとっていないことなどから、これを意識的に除外し、かつ通常行われる日常生活動作テストも煩雑さの点からしいて省いている。

慣れれば全検査が20分で終わるものであり、かつ反復して行えば検者間での差も少なくなるという。

 

2)Swansonらの慢性関節リウマチ上肢の機能評価法

1968年Swansonらは、表におけるように極めて細かい記載法を提唱した。

しいて日本語訳にしなかったが、これは慢性関節リウマチの手の手術、とくにSwanson型、Silastic implantの成績を調べることを直接の目的として作られたものであり、筆者の1人山内もこの企画に参加したが、初めはなるべく簡便な方法をということでスタートしたものの、最終的には関節可動域、日常生活動作、物体把持能力、および筋力などをすべて取り入れ、記入法については表におけるように25の項目をおのおの程度によりA、B、Cの3段階に分けて、たとえば、尺側偏位が25度であれば、7.Bと記入する方法をとった。

これは単に記載方法であるが、近い将来コンピューターによる解析を一応念頭において作ったため、つい項目が多くなり、かつおのおののパラメーターの軽量ないし点数評価を、今後の問題としてとりあげていない中間的なものである。

これを熟練したOTにしてもらう方針としたが、忠実にこの評価法を全項目にわたって実施するには、かなり技術的、時間的困難さが伴うものであり、所見を系統的にとるということには役立っても、実際の臨床面で、簡便に手の機能を把持し、闊数量的に扱うという点では、必ずしも適していない。

 

以上、個々の関節についての現在までに発表された評価表について概説したが、必ずしも慢性関節リウマチの評価を目的としたものでないものが多いことにも問題がある。

今後リウマチの薬物療法、リハビリテーション、手術的治療のおのおのにつき、また総合した慢性関節リウマチ治療の効果を判定するさい、適当な慢性関節リウマチの評価表が作られることがぜひ必要であるが、国際的にできるのが理想的であるにしても、少なくともわが国において標準化されたものができることが望ましい。

これを作る際に、種々の項目のみを残し、他を捨てる取捨選択のほうが困難で、かつ項目それぞれの点数配分がいっそう困難な問題である。

作っても実際に用いられないような複雑なものではなく、簡便にしてかつ十分患者の病態・病像を把握できる評価法であることが望ましい。

 

Ⅵ.実例

1.海里マリン病院リハビリテーション科のRAに対する評価

評価(外来初診時、入退院時)

理学療法サイドの評価項目

・問診(主訴、RA発症、既往歴、住所、交通手段など)

・ROMテスト(上肢:肩、肘、前腕、手指、下肢:股、膝、足)

・リーチ動作テスト

・ADLテスト

・10m歩行速度

RA活動性指標としてカルテの検査所見よりチェック

・ESR(mm/h):血沈値、赤血球沈降速度(貧血や炎症状態で速度上昇)

・CRP(mg/dl):C反応性蛋白(炎症性疾患や体内組織の壊死などで血中に増加)

・薬物(特にステロイド)服用の有無

:ステロイド剤の抗炎症効果は絶大だが、副作用も軽視できない。

安易な使用は避け、適用を十分に選んで最小の副作用で最大の利点を引き出せるような上手な使いかたが望ましい。

〈副作用〉

注意すべきものとして

感染の誘発や増悪、消化性潰瘍、副腎不全、糖尿病、オステオポローゼ、骨折、神経障害など

軽症のものとして

満月様顔貌、食欲異常、肥満、多毛、痤瘡、高血圧、白内障、白血球増多、皮膚萎縮、皮下出血、色素沈着、毛細血管拡張、筋脱力、月経異常、発汗、浮腫腫など


スポンサード・リンク