スポンサード・リンク

((+_+))運動イメージと運動学習の話


(+_+)題名:運動イメージと運動学習の話

運動イメージは実際に運動遂行することなしに、視覚情報や筋感覚などの感覚を用いて一人称的に脳内イメージを行う。

脳卒中後遺症片麻痺患者を対象とし、麻痺側上肢を用いた日常生活動作のイメージトレーニングを行うことで、上肢機能が有意に向上したことを報告されている。

脳卒中による機能障害だけではなく、脊髄損傷患者に対する運動イメージの効果が明らかにされている。

運動イメージと脳活動の関係性に関して、一人称的運動イメージを想起している際、一次運動野・補足運動野・運動前野などの実際の運動に関連する領域が賦活したことを報告されている。

運動イメージを正確に想起するには、非常に高い運動イメージ能力が要求されることも明らかとなっており、運動イメージのなかでも、視覚的運動イメージは年齢によって想起する鮮明度について差は認められないが、筋感覚運動イメージは高齢者では喚起することが困難であると報告されている。

身体の一部である手足の写真を用いたメンタルローテーション(mental rotation:以下,MR)課題が用いられている。

2 つの物体を対象者に提示し、その物体の異同を判断させた際の反応時間を測定後、その結果、2 つの物体間の角度が増加するにつれて、反応時間(reaction time:以下,RT)もほぼ一直線に増加することを報告された。

ポジトロン断層法(positron emission tomography:以下,PET)を用いて MR 課題時の脳活動領域を計測され、その時の責任領域として、一次運動野・上頭頂小葉・下頭頂小葉・島・BA6・BA9の活動が明らかにされている。

また、機能的磁気共鳴画像法(functional magnetic resonance imaging:以下,fMRI)を用いた研究では、手の MR 時における両側の上頭頂小葉・視覚領域・運動野の活動が報告されている。

脳磁図(magnetoencephalography:以下,MEG)を用いて手のMR 課題時の脳神経活動領域の経時的変化(以下,順序性)では、画像呈示後 100-200 msec では提示された手の視覚情報処理、200-300 msec では頭頂連合野、270-390 msec では運動前野の活動を認め、視覚関連領域・頭頂連合野・運動前野という情報処理過程を可視化された。

RT が速いほど運動イメージ想起能力が高い。

MR 課題を用いた同年代のスポーツ群と若年者群や高齢者の非転倒群と転倒群におけるRTの比較にて、スポーツ群や非転倒群のRT が速いことが示されている。

実運動と類似した筋感覚運動イメージの想起には高いイメージ能力が必要とされる。

MR 課題において RT の速さが実際の運動能力にも関係するとされる。

信頼できるデータ解析のためには正答率は 80%とされている。

視覚は後頭葉の一次視覚野から 2 つの情報処理経路で処理される。

1 つは視覚野から側頭葉へと投射される。

この経路は腹側経路と呼ばれ、対象の色や形などそれが何であるかといった形態知覚やその後の記憶のプロセスを担当している。

もう 1 つは、視覚野から頭頂葉へと投射される経路である。

この経路は背側経路と呼ばれ、物体がどこにあるのかといった空間認知に加え、行為を制御するための情報処理を行っている。

また、行為のための領域(頭頂間溝の AIP 野と LIP 野)は感覚統合を行う領域、身体図式を生成する領域と言われている 。

運動手がかりによる形態知覚時に右上側頭溝の活動がみられることを報告されている。

ワーキングメモリ機能とは、認知課題のために必要な情報を一時的に貯蔵・操作し、様々な活動や課題の要求に柔軟に対応できる性質を有する機能である。

上側頭溝領域は下頭頂小葉などと連絡を持つ。

背側経路は空間の情報処理に加えて、行為により密接に結びついた情報処理を担当していると考えられている。

370 msec 時に両群で認められた前頭葉の賦活について、眼窩前頭前野は意思決定に、また内側前頭前野は葛藤の同定と行動の制御に働くことが報告されている。

リハビリテーションにおいて運動イメージや MR 課題は運動学習や脳損傷後の機能回復ツールとして有用である。

しかし、運動学習プロセスや脳損傷後の機能回復では、運動学習初期には多数の領域の活動がみられるが、運動学習が進むにつれ必要最低限な運動関連領域のみの活性化に収束される特徴がある。

運動学習の際に重要な運動関連領域のみを賦活させることが、運動を学習させるための効果的な課題となると報告されている。

(#^.^#)参考文献

Dickstein R, Deutsch EJ: Motor imagery in physical therapist practice. Phys Ther, 2007, 87(7): 942-953.

Page SJ, Levine P, Leonard A: Mental practice in chronic stroke-results of a randomized, placebo-controlled trial.Stroke, 2007, 38(4): 1293-1297.

Cramer SC, Orr ELR, Cohen MJ, et al.: Effects of motor imagery training after chronic, complete spinal cord injury.Exp Brain Res, 2007, 177(2): 233-242.

Jackson PL, Lafleur MF, Malouin F, et al.: Potential role of mental practice using motor imagery in neurologicrehabilitation. Arch Phys Med Rehabil, 2001, 82(8):1133-1141.

Mulder T, Hochstenbach JBH,Heuvelen MJG, et al.: Motor imagery the relation between age and imagery capacity. Hum Mov Sci, 2007, 26(2): 203-211.

Shepard R, Metzler J: Mental rotation of three-dimensional objects. Science, 1971, 171(3972): 701-703.

Kosslyn SM, Digirolamo GJ, Thompson WL, et al.: Mental rotation of objects versus hands: Neural mechanisms revealed by positron emission tomography. Psychophysiology, 1998,35(2): 151-161.

Vingerhoets G, Lange FP, Vandemaele P, et al.: Motor imagery in mental rotation: An fMRI study. Neuroimage, 2002, 17(3):1623-1633.

菊池吉晃:脳機能イメージングで高次脳機能を観る.日保学誌,2008, 10(4): 205-214.

Moseley GL: Why do people with complex regional pain syndrome take longer to recognize their affected hand?.Neurology, 2004, 62(12): 2182-2186.

山田 実,上原稔章:運動イメージ想起能力の年代別基準値の作成および高齢者における転倒との関係─手・足の写真によるメンタルローテーションを用いた検討─.理学療法学,2008,23(5): 579-584.

Kodama T, Morita K, Doi R, et al.: Neurophysiological analyses in different color environments of cognitive function in patients with traumatic brain injury. J neurotrauma, 2010,27(9): 1577-1584.

森岡 周:リハビリテーションのための脳・神経科学入門.協同医書出版,東京,2005,pp74-76.

Grossman E, Donnelly M, Price R, et al.: Brain areas involved in perception of biological motion. J Cogn Neurosci, 2000,12(5): 711-720.

森岡 周:リハビリテーションのための認知神経科学入門.協同医書出版,東京,2006,p57.

森岡 周:リハビリテーションのための神経生物学入門.協同医書出版,東京,2013,p294.

Kringelbach ML: The human orbitofrontal cortex: linking reward to hedonic experience. Nat Rev Neurosci, 2005, 6(9)691-702.

菊 池 大 一, 森  悦 郎: 前 頭 前 野.Clin Neurosci, 2010,28(10): 1125-1128.

森岡 周:神経科学とEBPT─脳損傷後の神経可塑性と運動学習の脳内機能─.理学療法学,2009, 36(8): 440-443.

Naito E, Kochiyama T, Kitada R, et al.: Internally simulated movement sensations during motor imagery activate cortical motor areas and the cerebellum. J Neurosci, 2002, 22(9):3683-3691.


スポンサード・リンク