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(-_-メ)股関節と機能解剖学の話


(^u^)題名:股関節と機能解剖学の話

●骨組織

長管骨は中央部の骨幹と両端とやや膨大した骨端をもつ。幼児期、少年期には骨端部の破骨細胞が骨細胞を貪食して、骨髄腔を広げる。そのために骨細胞は長軸方向に移動することにより、骨の成長がもたらされる。骨は表層の緻密質と内部の海綿質からなる。緻密質には血管を通すハーバース管を中心に骨細胞が同心円状に配列する。この管にはフォルクマン管が直行する。海綿質は薄い骨板で構成され、その中に骨髄を入れる髄腔がある。骨髄は赤色骨髄と黄色骨髄に区分される。赤色骨髄は造血を行い多数の血球成分を含む。幼児期では全ての骨が赤色骨髄であるが、成人では一部の長骨、短骨、扁平骨の海綿骨に赤色骨髄が存在する。黄色骨髄は長骨の髄腔にあり脂肪化し、造血作用を有しない。骨は関節部分を除き結合組織性の骨膜により被られている。骨の長さの成長は骨端軟骨で行われる。増厚は骨膜からの骨細胞の付加にて行われる。したがって骨膜は骨の保護に加えて骨の再生にも大きな役割を有する。老人では幼児と成人と比較して骨折がおきやすい。これは骨の化学的成分が異なるためである。骨の化学的成分では幼児では有機質(膠様質)が多く、老人では無機質(石灰塩)が多い。骨の硬さは無機質による。

個々の骨は互いに結合して、関節、腔所を形成する。関節は運動性に最も富み骨膜の続きである関節包で包まれる。骨間の間隙は閉鎖性の関節腔をつくる。関節腔に向かう骨の関節面の表面には0.5~2mmの関節軟骨がある。骨の凸面は関節頭で、それを受ける凹面は関節窩を形成する。関節腔の深さ等を補うために股関節では関節窩の縁に線維軟骨性の壁をつくる。関節包は骨膜の続きの結合組織からなる外層の線維膜と内層の軟らかい結合組織の骨膜の2層よりなる。滑膜はしばしば滑膜ヒダとして関節腔内に突出する(関節半月)。この大きなものは脂肪を含み隙間を埋める。関節包内面は滑膜よりの滑液により潤っている。さらに関節は関節包のほかに靭帯、筋肉、皮膚で補強されている

 

●大腿骨の形態

最大の長骨(約40cm)であり、頑丈で、その大部分がほぼ円筒形である。

大腿骨頭は球体の2/3。

大腿骨頚部は骨幹に対し120~130°内上方に突出する。これを頚体角という。この角度は幼児期が最も大きく、成長とともに小さくなり、思春期には骨幹軸とは緩やかな角を形成する。頚体角は女性の場合、骨盤の幅が増加するため男性よりも直角に近くなる。この角度は成長とともに減少していくが、いったん成長が完成した後は、ほとんど変化しない。角度は同年齢でも個体によりかなり異なり、長い骨より短い骨の方が小さく、骨盤が広い方が小さい。

大腿骨頚部は前後に偏平で中央部はくびれていて、内側よりも外側の方が広い。外側半分の垂直径は、下縁が小転子の高さで傾斜して骨体と合するために増加し、前後径よりも1/3以上も大きくなる。内側半分はより小さく、より円形をなす。大腿骨頚部の前面には多くの血管孔が穿通している。大腿骨頭と前面との結合線に沿って浅い溝があり、高齢者ほど著しい。

大腿骨頭を上から見るとやや前方に向いている。これを前捻角といい、10~20°の角度がある。

大腿骨頭・頚部の基部の外側に大転子・内側に小転子(ともに筋の停止部)が隆起する。

骨幹は前方へ軽く彎曲し、その後面を縦走する隆起(粗線)にも多くの筋が停止する。下端は肥大して外側顆と内側顆を形作り、中間の前面に膝蓋骨が関節する。後面には深い陥凹(顆間窩)がある。

 

●骨梁

大腿骨頚部は120~130°の頚体角と10~15°の前捻角をもって連結しているため、力学的弱点となっている。大腿骨近位部ではこの弱点を補うために、骨頭および骨幹端の骨梁は骨頭にかかる力を巧みに分散・伝達するように配列している。この骨梁は、骨頭に加わる圧迫と張力に対応している。頚部の内下方の骨皮質(Adams弓)はよく発達し、骨梁に伝達された力を吸収するような静力学的に合目的性をもった構造となっている。

骨梁の形態の分類としてSinghの指標が一般に使用されている。この指標はgradeⅠ~Ⅵの6段階に分かれていて、骨粗鬆症の程度分類に利用される。

正常大腿骨近位部の骨梁は、頚部内側に縦に骨頭の荷重面に走る一次圧迫骨梁と、大転子の直下から頚部の外上方を通り、骨頭の内下方に彎曲して広がる一次引っぱり骨梁が主な骨梁を形成している。一次圧迫・引っぱり骨梁と二次圧迫骨梁に囲まれた三角形の部分をWard三角という。骨萎縮が進んでも最後まで存在するのは主圧迫骨梁であり、頚部骨折の整復・ピンの刺入の際には主圧迫骨梁の数や方向を参考にする。

 

●骨粗鬆症について

この定義から局所的骨粗鬆症と全身的骨粗鬆症があり、局所的現象には骨萎縮と呼ばれ、一般的には全身的な方を意味する。また、一次性と二次性に分けられる。一次性は加齢現象とみられ、それ以外に現在のところ原因不明なものを指す。二次性は他にはっきり疾患があり、それによって引き起こされたものを意味する。一次性は、閉経期後骨粗鬆症(Ⅰ型)と老人性骨粗鬆症(Ⅱ型)に分けられる。

 

一次性骨粗鬆症の分類

Ⅰ型(閉経期後骨粗鬆症)

Ⅱ型(老人性骨粗鬆症

閉経期後のエストロゲン低下骨破壊細胞活動増加 老人性ビタミンD吸収障害骨増生細胞活動現象
主原因 更年期 老化
因子 骨吸収 骨形成現象胃腸カルシウム吸収現象
骨組織像 骨梁質減少骨皮質正常 骨梁質減少骨皮質減少
年齢 50~75歳 >70歳
性別(女:男) 6:1 2:1
骨折箇所 椎骨・橈骨末端 大腿骨骨頭・股関節

男性の骨量は女性に比較して、約30%以上多いので、男性は骨粗鬆症に罹患しにくいが、70歳以上の高齢者ではⅡ型のビタミンD吸収障害による疾患がみられ、男性にも多い。骨皮質にも罹患がみられる。

高齢者で高度の骨粗鬆症を有する人たちはやせている人が多く、大転子部の軟部組織肥厚の少なさも転倒時、骨への衝撃吸収を大きくさせ、骨折を生じやすくしている。

 

●骨頭・頚部の血行

大腿骨頭の血液供給には3つの経路がある。一つは大腿骨頭を覆う滑膜下の皮膜支帯(Weitbrecht(バイトブレヒト)靭帯)に沿って上行する大腿回旋動脈の枝、2つ目は大腿骨体内を上行する栄養動脈、3つ目は大腿骨頭靭帯に沿う小動脈(多くは閉鎖動脈の枝)である。主要路は大腿骨頚部に沿うものであり、回旋動脈の枝と関節包への動脈枝との吻合が大腿骨頚部の基部に存在する。そこで大腿骨頚部骨折はたいてい骨頭の循環障害、特に骨頭壊死をおこす。転子間骨折は、回旋動脈が骨折線より近位において骨頭に入っている時だけ、循環障害をもたらす。

 

●股関節の構造と機能の特徴

寛骨臼と大腿骨頭の間につくられる臼状関節である。

運動軸は多軸性で屈曲・伸展・内転・外転・内旋・外旋・ぶん回し運動が可能である。

関節窩は骨頭の2/3を入れ、深さを補うために関節窩周囲に、関節唇と寛骨臼横靭帯がある。

関節包は強靭で関節唇のすぐ外側からおこり大腿骨頭・頚部を包み、大・小転子近くの解剖頚の縁に付着する。

生体で上前腸骨棘と坐骨結節を結ぶ線をRoser-Nelaton線という。大転子はこの線上で、皮下(実際は大殿筋の腱膜下)に触れられる。X線上で閉鎖孔の縁と大腿骨頚とにつくられる連続線をShenton線という。両線とも、その関係が崩れると股関節脱臼・大腿骨頚部骨折などが疑われる。

大腿骨頚の大半が関節腔内にあり滑膜を欠くことは、頚部骨折が治りにくい理由ともなる。

直立姿勢において大腿骨は垂直ではなく、上方では骨盤の広さに相当して反対側の大腿骨と著しく離れており、下方では次第に下内方に向かって対側の大腿骨の方へ傾き、膝関節で体の重心線に近づく。この傾斜の度合は人によって異なり、女性の方が骨盤の幅が広いため男性より傾斜が大きい。基本的肢位では、大腿骨の解剖軸は、垂直軸に対して9~10°の傾きがある。股関節の運動は骨頭と膝関節中心を結んだ運動軸で行われる。運動軸は垂直軸に対して約3°傾いている。これは、大腿骨頭・頚部と骨幹部が頚体角として120~130°の角度があり、骨頭が上内前方を向いているからである。

安静時肢位では体重は両側骨頭に等分に配分されるが、歩行時の立脚側の大腿骨頭にかかる力は踵接地期は体重の約4倍、離尖期は体重の約7倍の重量に達する。高所から飛降りた時の衝撃では、瞬間的に体重の10倍以上の力が骨頭にかかる。遊脚側の骨頭にかかる力はほぼ体重値に等しい。運動時に股関節に作用する力は、体重、重力加速度、筋収縮で発生する張力である。

股関節における回旋運動と筋の関係は、大腿骨頚部の存在により複雑になっている。大腿骨頚部により、骨幹と筋が付着する大転子は、回旋運動の中心から離れた位置にある。立位での回旋運動の軸は、骨頭の中心と大腿骨外顆を結ぶ鉛直線である。歩行時には1歩ごとに骨盤が揺れ、回旋運動が起こる。立位では回旋軸の前方を走行する筋(長内転筋など)は、大腿骨後面に付着していても、股関節を内旋させ、後方を走行する筋は外旋させる。しかし、もし大腿骨頚部が骨折すれば、骨幹は股関節に関係なく、自由に回旋できるようになる。このような場合、強大な大殿筋などの作用で大腿骨は外旋する。

股関節周囲の筋

筋名

起始

停止

支配神経

機能

腸腰筋 腸骨筋:腸骨内面大腰筋:Th12~L小腰筋:Th12~L 小転子 腰神経叢、大腿神経L~L 股関節屈曲、骨盤前傾
縫工筋 上前腸骨棘 脛骨粗面内側 大腿神経L~L 股関節屈曲・外転・外旋膝関節屈曲・内旋
大腿直筋 下前腸骨棘臼蓋上縁 膝蓋靭帯(脛骨粗面につく) 大腿神経L~L 股関節屈曲膝関節伸展
恥骨筋 恥骨櫛 大腿骨前上面(恥骨筋線) 閉鎖神経、大腿神経L~L 股関節屈曲、内転
大腿筋膜張筋 上前腸骨棘中殿筋膜 腸脛靭帯(脛骨粗面につく) 上殿神経L~S 股関節内旋・屈曲・外転膝関節伸展
大殿筋 後殿線後部、腰背筋膜、仙骨、尾骨外側、仙結節靱帯 大腿骨上後面、腸脛靭帯 下殿神経L~S 股関節伸展・外旋
大腿二頭筋 長頭:坐骨結節短頭・大腿骨後下面 腓骨頭 長頭:脛骨神経短頭:腓骨神経L~S 股関節伸展・外旋膝関節屈曲・外旋
半腱様筋 坐骨結節 脛骨粗面 脛骨神経L~S 股関節伸展膝関節屈曲・外旋
半膜様筋 坐骨結節 脛骨内側顆、膝窩靱帯、下腿筋膜 脛骨神経L~S 股関節伸展膝関節屈曲・内旋
中殿筋 腸骨後面 大転子外側 上殿神経L~S 股関節外転
小殿筋 腸骨後面 大転子 上殿神経L~S 股関節内旋・外転
薄筋 恥骨下枝下縁 脛骨粗面 閉鎖神経L 股関節内転、膝関節屈曲・内旋
長内転筋 恥骨結節 大腿骨後面中央 閉鎖神経L~L 股関節内転股関節屈曲補助
短内転筋 恥骨下枝と坐骨下枝の境 大腿骨後面上部 閉鎖神経L~L 股関節内転股関節内転に伴う股関節外旋
大内転筋 坐骨結節、恥骨下枝 大腿骨後面中央、内側上顆 閉鎖神経、坐骨神経L~S 股関節内転股関節内転に伴う股関節外旋

深層外旋六筋

梨状筋 仙骨後面大坐骨孔を通る 大転子後面 仙骨神経S~S 股関節外旋
外閉鎖筋 閉鎖孔前面(閉鎖膜外側と周囲の骨) 転子窩(下部) 閉鎖神経L~L 股関節外旋
内閉鎖筋 閉鎖膜内側小坐骨孔を通る(小坐骨孔中間) 転子窩(上部)骨盤に巻きつくように停止 仙骨神経叢からの枝(L~S 股関節外旋
上双子筋 坐骨棘小坐骨孔を通る(小坐骨孔上部) 転子窩骨盤に巻きつくように停止 仙骨神経L~S 股関節外旋
下双子筋 坐骨結節小坐骨孔を通る 転子窩骨盤に巻きつくように停止 仙骨神経叢からの枝L~S 股関節外旋
大腿方形筋 坐骨結節前面(外側) 大転子下部(転子間稜) 仙骨神経叢からの枝L~S 股関節外旋

 

股関節・膝関節の動きの分析

屈曲

伸展

外転

内転

外旋

内旋

屈曲

伸展

外旋

内旋

股関節

腸腰筋

膝関節

半腱様筋

縫工筋

半膜様筋

大腿直筋

大腿二頭筋

恥骨筋

大腿四頭筋

大腿筋膜張筋

大腿筋膜張筋

大殿筋

縫工筋

大腿二頭筋

薄筋

半腱様筋

腓腹筋

半膜様筋

膝窩筋

中殿筋

足底筋

小殿筋

※短頭だけの作用

薄筋

長内転筋

短内転筋

大内転筋

深層外旋六筋

 

●靱帯

股関節の靭帯は、寛骨大腿骨間に張る3つの靭帯(腸骨大腿靭帯・恥骨大腿靭帯・坐骨大腿靭帯)とそれ以外に2つの靭帯(寛骨臼横靭帯・大腿骨頭靭帯)がある。

腸骨大腿靭帯(Y靭帯)は人体で最強の靭帯で、下前腸骨棘から扇状に広がり、転子間につく。中央部分は薄く、比較的弱いが、上・下部は強い。

恥骨大腿靭帯は股関節前下方にあり、恥骨と小転子を結び、関節前面を補強している。

坐骨大腿靭帯は股関節後面にあり、関節窩縁の坐骨部からおこり、一部は輪帯に、一部は大転子内側につく。

寛骨臼黄靭帯は月状面の切れ目を連結し、寛骨臼切痕をトンネルに変える。

大腿骨頭人体は寛骨臼窩と大腿骨頭窩を結ぶ約3cmの強靭な靱帯で45kgの張力にも耐える。この靭帯は股関節内転時だけ緊張し、骨頭固定の力学的機能はほとんどない。主な働きは、大腿骨頭への血液供給の経路である。

輪帯は関節包内面に密着する靭帯で関節窩上縁から二分して大腿骨頭を取り巻き、関節包の過度の伸展を制限するはたらきがある。

(*^。^*)参考文献

医療学習レポート.股関節と機能解剖学


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