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d(⌒ー⌒)!起居移動動作と回復の話


(~_~;)題名:起居移動動作と回復の話

A.臥位から座位へ

1.臥床姿勢

将来の日常機能を考慮した良肢位の保持を心掛ける。良肢位とは機能的肢位と同義であり、仮に関節の拘縮を生じたとしても、日常生活動作を遂行する上で機能障害が最小にとどまる肢位のことである。

 

<良肢位のための臥床姿勢>

仰臥位で臥床する場合は肩関節30~60度外転、肘関節60~90度屈曲し、クッションにのせることで肩関節を軽度前方に屈曲させ、前腕回内位にする。また手にハンドロールを握らせ、手関節軽度背屈、母指軽度外転位にしておく。クッションの高さは手が心臓よりも多少高めになるような高さにする。これによって上肢末梢の浮腫を予防する効果もある。

側臥位では原則として運動麻痺があるほうを上にする。(下にするときは短時間にする。)上にある上肢は肩を前方に出し、肘関節は60~90度屈曲し、両上肢の間にクッションをおいて抱えるようにする。手は仰臥位と同じく、ハンドロールを握らせておく。下にある上肢は肩をほぼ90度前方に屈曲し、肘も同じく90度屈曲し、前腕を回外して手で抱えるように枕を添える。股関節、膝関節は上にある方を30~45度屈曲させ、両下肢の間にクッションを入れ、股関節の内転を防ぐ。下にある股関節、膝関節はほぼ伸転位にし、足関節は自然肢位でよい。運動麻痺のある足関節に対しては尖足予防のためできるだけ中間位に保つよう、砂のうなどを足底に当てておく。

 

<上肢>

脳卒中では初期は筋緊張が低下していることが多いが、中手指関節の伸展拘縮による屈曲制限を生じることがあるので、ハンドロールを握らせる。但し痙性が出現する時期には手を強く握る肢位を取りやすくなるため手指を伸転位に保つほうが良い場合が多い。そのためパームスプリントを使用すると良い。脳卒中慢性期で、さらに強く手指を屈曲し、爪が手掌にくい込むような握り方をする場合は手掌の清潔を保つため、ハンドロールを握らせる。ハンドロールはタオルで代用できる。

 

<下肢>

股関節は外転0度、軽度外旋位、膝関節は10度屈曲位、足関節は0度または軽度底屈位が一般的な良肢位である。片麻痺の場合、股関節は外転・外旋位を取り、足は尖足位を取りやすいので大腿・下腿の外側に長めの砂のうを置いて予防する。膝下にもタオルなどでクッションを置き、10度程度の屈曲位に保つこともある。尖足防止に対しては足底板が使用されるが、砂のうや、小さな座布団をたたんで用いても良い。足底板は臥床期間の長さにもよるが、2~3週間の臥床で痙性が高度でなければ、あまり厳密に考える必要はない。1日2回、10~15回の足関節可動域訓練を行うのみで尖足予防は可能である。

 

<体位変換>

寝返りが自力で不可能で、体動も困難な場合には、褥瘡を予防するために定時的(2~3時間おき)に体位変換を行う。その場合も良肢位を配慮した体位を他動的に取らせる。これは動けない場合や極度の全身安静を要する場合の、関節可動域制限や変形に対する配慮からであるが、関節拘縮の防止と治療には、関節運動が最も有効で大切である。運動麻痺のため自力で関節を動かせない場合は他動関節可動域訓練を行う。

 

2.関節可動域訓練

関節可動域訓練の目的は関節拘縮の予防と改善(可動範囲の維持、拡大)の他に、固有感覚の刺激を介して各関節への促通効果、および姿勢の変化に伴う反射的機能の維持をも有する。運動回数は、全可動域にわたって、各関節を5~10回、1日2度とする。

<注意>

*拘縮を生じていたり、生じかけている関節

急に動かすと、硬化している結合組織の断裂や微小出血を伴い、関節周囲のカルシウム沈着を誘発したり、結果的には結合組織をより硬化させることもあるので、初めはゆっくりと可動域訓練を行う。

*可動域全域にわたって行う場合

注意が必要で、抵抗の大きさや痛みの訴えを目安に加減する。関節によっては機能的に必要な最小可動域の範囲に留めておくのが良い。

 

自分で動かせる患者には指導し、自分で行えるようにする。時に注意が必要なのは肩関節の訓練である。肩関節は複雑な仕組みを有し、その運動は7関節の総合的動きにより行われる。弛緩性運動麻痺や著しい感覚低下を伴う症例では、他動的に行う場合、正常可動域を超えて動かす危険があり、肩関節周囲炎の原因ともなる。

<肩関節を構成する関節>

・肩甲上腕関節  ・肩甲肋骨関節  ・上腕上関節

・肩鎖関節    ・胸肋関節

・胸鎖関節    ・肋骨椎骨関節

 

拘縮性の変化により弾力性を失った組織を過度に伸展すると、侵害刺激となり、その力が急速に加えられると、腱や靱帯の断裂と組織内に微小出血を生じる。これの反復によって関節周囲の石灰沈着を生じる。極端な場合にはその他の要因も重なり異所性骨化と呼ばれる骨性変化を生じ、関節可動域は完全に制限されている。弾力性を失い短縮した組織は、引き伸ばしを反復するたびに少しずつ緩んでくる。できるだけ痛みを生じないようにするためには、ゆっくり持続的に伸展し、少しずつ範囲を拡大することが大切である。痛みを伴い、筋緊張が高い場合にはホットパックなどを利用し、関節周囲を暖めておくと良い。痛みに伴う反射性の筋緊張が抑制され関節の屈伸が容易になるからである。表在感覚障害を伴う場合は過熱の場合があり、熱傷を生じる危険がある。

 

3.起座位訓練

臥位で行える関節可動域訓練が、一通り終了したら、座位姿勢をとらせる。起こしはじめには血圧と脈拍を頻繁に測定する。ギャッジアップ30度で測定し、起こす前と比較する。長期臥床後には、姿勢変化で容易に血圧が変化する。また体位変化によっても血圧の下降が見られる。特に自律神経障害を呈しやすい基礎疾患(脳幹部病変、糖尿病性ニューロパチーなど)を有する場合には血圧の下降が問題となる。起こした時、血圧が30mmHg以上下降する場合には、即座に水平位に戻し、血圧が回復したら再び30度に戻す。起こし始めは2~5分ごと自動血圧計を用いて測定することが望ましい。通常は呼びかけに対する応答、顔色、脈拍の緊張を観察する。決して誰もいない状態で起こしたままにしない。

 

ギャッジアップベッド上での長座位は安定性に劣るため、膝を15~30度屈曲させておくか、あぐらをかかせると安定している。

角度:最終目標は75度~80度とする。

30度→→→→→→45度→→→→→→60度→→→→→→75度

5分可能     5分可能    5分可能

こうした起座適応訓練後は45度程度に戻して30分間ほど同じ姿勢を保持する。

 

座位の目的を持たせるため食事時間に合わせると良い。しかし食事動作も労力要するため、OTと相談しながら行うことが望ましい。

 

起き上がりでは、筋力が3以上でないと自力で起き上がることは困難である。長期臥床していた患者では各姿勢反射や直立位で姿勢保持に働く筋や起き上がるための筋力が低下していることが多い。

*腹直筋のみで起き上がれない場合

両肘を付いて肘を伸展させながら起き上がる。できなければ介助して背中を押し上げる。

*非常に筋力の弱い場合

介助者は患者の両肩甲骨を抱え、患者には腕を介助者の肩から首に巻き付けさせ、起き上がる力に合わせ、抱き上げる。

*ベッドに柵がある場合

両側の柵をそれぞれ握る場合は肘の屈曲により上半身を引き上げる。

(※ベッドの幅が広いと起き上がる途中で力不足になりやすい。)

筋に左右差があったり、片麻痺があると両側の柵を握ることができない。その場合は健側手で柵を握り、体幹をその側に回旋させ横向きになりながら、もう一方の手で同じ柵を握って起き上がる。反対側の上肢がほとんど使用できない場合は起き上がりの途中から肘をついて、肘の伸展を利用して起き上がる。

*片麻痺患者の場合

側臥位からの起き上がりが最も容易である。

寝返りの方法 ①非麻痺側手で柵をつかみ、頭を寝返る方向に向けて腕で引っ張るようにし体幹(頭頸部、腰部、骨盤部の回転)を回旋させる。

②介助するときは肩から肩甲骨にかけて手を当て、転がす様に押し上げて頭頸部の回転を助ける。

(※この方法での寝返りは麻痺側が下になり圧迫される。)

麻痺側が上になるには、非麻痺側手で麻痺側の肘をかかえ、弾みをつけるようにして、体幹を健側に向けて回転する。(この方法意外にもある。)

 

 

4.健側の筋力増強訓練

自力で起き上がるためには筋力が3以上必要であり、長期間、臥床生活を継続すると筋力低下が生じていることが多い。筋力増強させるためには関節運動に対して抵抗を加える方法が最も有効である。しかし自分でできる運動は、それを指導する。起き上がり、座位姿勢保持には腹筋群と背筋群が働く。筋力増強のためにはその動作を実行するとよい。また起き上がりでなく、将来起立訓練を始めるときに必要な下肢筋力や可動性の改善も含めて、ベッド上で行える運動について指導することが必要である。これらは等張運動を主とし、等尺運動が組み合わされている。

<方法>

①膝を60度屈曲させ、背筋をリラックスさせる。

②腹式呼吸をさせ、5~10回繰り返す間に腕から首へ、そして背中から下肢へと、

全身のリラックスした感じをつかむ。

③腹部に力を入れ、背中をベッドに平らに付くようにして、ゆっくり5つ数える。

この時、足底全体でベッドを踏みつけるようにする。

④リラックス姿勢に戻り、1~2回腹式呼吸をして、③を繰り返す。

⑤片方の膝を曲げて両手でつかみ、可動域いっぱいに引き寄せ5つ数え、ゆっく

り元に戻す。(両下肢を交互に行う)

⑥両手を頭の後ろに組んで、膝を屈曲した姿勢で、起き上がるように腹部に力を

入れて頭を持ち上げ、5つ数える。

⑦両膝を曲げて、胸に引き寄せる。5つ数える。

⑧片足を膝伸展位で持ち上げ30~40度に保って、ゆっくり5つ数えてから足を下

ろす。次に反対側の下肢で行う。(SLR)

(ベッド上での運動練習は始めは3回ずつ行い、数日ごとに回数を増し、10回ず

つ行えるようにする。これを1日2回、定期的に行う。)

 

5.片麻痺の回復手技

中枢性麻痺は末梢性麻痺と異なり、筋力低下として解釈すべきものではなく、随意運動の制御困難である。随意運動が連合反応や共同運動パターンで出現することや筋緊張の亢進が特徴である。中枢性運動障害に対する理学療法は諸種の方法が開発され、ファシリテーション(促通)手技と総称される。

皮膚刺激による外受容性入力を治療に応用するものとして、Roodにより体系化された、ブラシで皮膚を急激にこすったり、氷片で皮膚をこすったりする方法がある。皮膚刺激を用いた治療は、刺激の様式、強度、投与方法(急速、反復性、持続性、漸増性など)により分類される。実際に運動機能の回復を引き出すためには、これらの手技を組み合わせて用いる。

脊髄前角の運動ニューロンは大脳皮質、基底核、脳幹、小脳のニューロン活動によってのみ制御されるものではなく、脊髄の介在ニューロンのインパルスも受容しており、これらの出力の一部は直接的に末梢よりの入力に依存している。末梢よりの入力は、意識下に認識する感覚のみでなく、いわゆる固有感覚と呼ばれる言語性意識にいたる前に処理される多数の感覚がある。脳損傷により脱落したニューロンは細胞分裂による再生を防ぐことであり、機能回復には限界があるが、ニューロンの機能には可塑性を有することから、訓練により機能再構成を人間の運動発達の順に従って訓練することで、効率よく再学習される。

<発達の順序>

原始反射の消失→姿勢反射の学習→寝返り、腹臥位→座位、立位機能の獲得

*中枢性麻痺の回復訓練は原始反射や突出した姿勢反射を抑制しながら動作訓練を行うことが有効である。姿勢の制御は、首や肩甲部あるいは腰部といった身体部分の固定により促通される。

最終目標としては連合運動や共同運動は抑制されるべきであるが、筋力が弱い場合には共同運動パターンを利用すると筋力は増大する。これらの異常運動は、麻痺回復初期には利用しても良い。

筋力が著しく弱い場合や痙性が著しくない場合は固有受容性神経筋促通法(PNF)がよく利用される。

 

B.座位から立位へ

1.座位訓練

姿勢の基本としてはベッドから足を下垂し、足台を用いて足底が台につき、踵が浮かないようにする。

<方法>

足台を順次低くしていき、浅く腰掛けるようにする。最終的には両手をベッドにつけ体を支え、足底を床につけてベッドの端に軽く腰掛ける程度の姿勢をとらせる。1分から始めて10分程度行う。座位耐性に応じて、足台や床を踏みつけるように左右交互に片足ずつ力を入れる。注意することとして片麻痺があるため、姿勢が非対称になりやすいので、対称的な姿勢を保持するような指示する。姿鏡があれば自分で視覚的矯正を行うように指導する。また、患側上肢の支持性が不十分な場合は、肩を保持しながら、肘伸転位での体重負荷を訓練する。

 

2.立位訓練

初めは移乗動作において、立位姿勢をとる際に自力で支えるように指導する。立位介助では患者は介助者の方につかまり、介助者は患者の腋から肩甲骨下部を支えて抱き上げるように引き上げる。この時、股関節や膝の伸展力が弱いと患者は非常に重い。さらに立位で膝折れしやすい。

 

*起立時体幹が傾く、健側の骨盤が傾く、股・膝伸筋、足底屈筋の弱い場合

麻痺側の股外転筋の安定性不良が原因であるため筋力増強訓練が必要である。

*腰を後方に引く(股関節の伸展不十分)場合

股伸筋が弱いか、股関節の屈曲拘縮

起立位の観察で最も目に付くのは膝である。以上のごとく膝折れしたり、過伸展している場合は、単に膝の伸展筋が弱いだけでなく、股関節周囲筋や足底屈筋に問題があることも多いので関節可動域や筋力を正しく評価し、それぞれの改善を図る。

 

<方法>

平行棒内での立ち上がりの訓練をする。患者は少し平行棒の中に入り、シートに浅く腰を掛け、健側手で平行棒を握り、立ち上がる。この時、介助者は平行棒内に入り、患者の腰に手をかけ介助する。

移乗動作時の立ち上がり訓練、平行棒内での立ち上がり訓練と並行して座位バランス訓練が行われる。

 

<方法>

座位にある患者に対して、両肩を前後左右へと、倒れない程度に軽く突いて、座位バランスを強化する。また、背筋や腹筋、股関節周囲筋、大腿および下腿の筋へと、それぞれ起立位に必要な筋群の収縮が誘発されて、起立のための筋力と平行機能が訓練される。また座位で上肢を前方挙上し、前腕を組んでゆっくり上半身を前後に倒したり、体幹を左右に回旋させる。それぞれ5~10回ずつ反復する。

 

3.マット練習

筋力増強訓練、平行機能訓練はマット上で行うほうが効果的である。四つ這い位は臥位から立位への機能回復過程での基本姿勢として大切である。

 

<方法>

①四つ這い位が可能であれば、介助者は肩甲骨外側部を両手で支えて前後左右に軽く揺する。

②安定してきたら左右上肢、左右下肢を順に移動、挙上し保持する。

③保持が安定してきたら、並行して膝立ちを始める。膝立ち位でも同じように前後左右に動かし、立ち直り反応を誘発させる。

④膝立ち位が安定してきたら腰を回旋しながら上肢を前後に振る動作をくわえる。

⑤慣れたら一方の下肢を半歩前に振り出す動作を行い、片膝立ちを保持させる。

 

個々の筋力がMMTで3以上4前後であれば、平衡反応がまだ十分に回復していない状態でも、四つ這い位からの一連の動作で立ち上がることは、介助をさほど必要ともせずとも可能になることが多い。

 

4.車椅子訓練

車椅子中心の生活ではベッドの高さと車椅子のシートの高さが同一であれば、いざり這いにより、尻をのせかえて移乗を自力で行える場合もある。移乗ができるようになったら、操作を身につけるように指導する。

 

<方法>

車輪は左右が独立しているため、左右の上肢機能に差があると前進できない。

片麻痺患者では、麻痺側でハンドリムを回しながら、健足を床につけて方向をコントロールする。

立ち上がることができない場合には歩行困難な場合も多いので、障害によっては早期から車椅子中心の日常生活自立を目指したリハ・プログラムを組むようにする。

 

5.起立板

*起立位における循環調節障害が原因で起き上がれない場合

段階的に傾斜角を増し、起立位に慣らす訓練を行う。また下肢や体幹の抗重力筋に対して、立位姿勢による筋緊張の促通効果をもたらす。
垂直位に対する耐久性が獲得されてきたら、テーブルを前において作業をさせたりして、時間を費やす。介護者は常に監視可能な場所にいて、患者の状態変化に注意を払う。

 

C.歩行

共同運動の出現初期、すなわちBurunnstrom ステージⅢでは起立位におくと、下肢の伸筋共同運動により、膝が伸展され、さらに足底が床につくことで陽性支持反応が誘発され立位保持が可能となる。しかし、背臥位において屈筋共同運動やSLRが可能であっても、立位では陽性支持反応と一体になった伸筋共同運動のため下肢を振り出すことができない。それでも体幹の運動を利用することを習得させると下肢の振り出しが可能になる。すなわち、異常な運動パターンを利用して歩行練習することになる。ステージⅣにおいても同様である。但し、老年者ほど早期から歩行練習を開始したほうが廃用症候群の予防と治療のために好結果をもたらすので、介助しながら、あるいは早期より長下肢装具や膝装具を用いて歩行練習する。失調のない片麻痺患者では、ステージⅣに達していると歩行可能になるが、様々な異常歩行パターンが認められる。(共同運動パターンによる。)

 

異常歩行の矯正のためには、共同運動や姿勢の異常を抑制することと、正常運動パターンの促通が必要であり、リハの初期には、マット運動に重点をおき、マット上では、寝返りによる体幹を中心とした回旋運動、四つ這い位での左右対称姿勢保持とバランス、膝立ち歩きでのバランス、骨盤帯や膝を介助した膝歩きなどを基本的な促通手技に加えることが行われる。筋力低下を伴う場合は、主要筋の筋力増強訓練を併用する。

 

能力障害に対するアプローチも大切である。装具、T-caneを用いた歩行が実用的である。

 

1.下肢装具

使用目的として、関節運動制限もしくは免荷による疼痛の軽減、筋骨格系の固定と保護、軸方向での免荷、変形予防、矯正、機能改善が挙げられる。

片麻痺で処方されるものは短下肢装具(AFO)が基本である。

 

<一般的な適応>

(1)遊脚中期に足背屈が不良で足先が持ち上がらないもの。

(2)足背屈が不良で立脚始めの踵接地ができないもの。

(3)立脚期に下腿の内外側安定性を欠く(接地初期の内反で、荷重により直ちに

底屈方向に変化する場合を除く)もの。

(4)立脚期の下腿不安定のもの。

(5)感覚障害のため足の定位がコントロールできないもの。

(6)腱移行術を施行したり、アキレス腱延長術を施工した術後の固定のために保

護を必要とするもの。

 

2.歩行器と杖

歩行練習の段階では、まず平行棒を利用する。平行棒や手すりを利用した歩行についで杖が、処方されるが、麻痺の回復に比し、筋力が不十分であったり、失調症を伴って立位バランスの不良な例では歩行器を利用した歩行練習もおこなわれる。

 

杖のタイプ

 

歩行器のタイプ

 

一般的に杖、平行棒の握りの高さは大腿骨大転子の高さで、杖先は足先の約15cm外側において肘関節を約30度屈曲位にしたときに握れる高さにする。

歩行時の足の送り方のタイプは、崎に出した患側肢より、やや後方に健側肢を運ぶ「後型」、平行に並べる「揃い方」、患側肢より前方へ運ぶ「前型」に分けられ、この順で患側肢の支持性とバランスが必要とされる。後者ほど、歩行速度も大きくなる。

杖を用いた歩行でも3動作歩行、2動作歩行に分けられる。

 

階段昇降は平地歩行より難しいが、手すりのある階段で手すりを利用する。始めは1段2足、すなわち、昇りは、健側上肢を前上方に進め、健側下肢を1段上に上げ、体を引き上げながら患側下肢を先に出して、重心を下方へ移動し、その後に健側下肢を下ろして両足を揃える。杖歩行が安定してきたら、杖をついて階段昇降を練習する。


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