
一般的に生きている細胞の内側と外側との間には、細胞膜を隔てて陽イオン(Na+、K+)および陰イオン(Cl-、タンパク-)が存在する。
イオンが移動する際には電気的力が働くが、この力は正(+)の荷電と負(-)の荷電とが膜の両側に引き離されて生ずる電位差によって引き起こされる。
一般に膜の内側面はその周囲よりもわずかに陰性で、外側面はわずかに陽性である(分極している)ので、膜を隔てて電位差が生ずる。
この電位差は膜電位と呼ばれ、膜の外側は陽性(+)に荷電しているのに対して、細胞内は常に陰性(-)である。
外液中に高濃度に含まれているNa+がその濃度勾配に従って膜を通り抜けて細胞内に入ってくるよりももっと速やかに細胞外へ押し出されるので、その際Na+の持っている正(+)の荷電を伴って移動する。
この結果このNa+、K+ポンプの働きによって細胞内には外液と比べてK+が20倍以上も濃く存在し、またNa+は10倍以上も低く維持される。
このような細胞膜の内外に存在する陽イオンの濃度勾配によってNa+が細胞内に入り込んでくるよりも速やかにK+が細胞外に膜のイオンチャネルを通って漏出してその際正(+)の荷電を細胞外に運び出すことになる。
ここに細胞内外のイオン濃度について表にまとめた。
表 細胞内外のイオン濃度(哺乳類動物の骨格筋)
1.Na+ | K+ | Cl- | |
細胞外
細胞内 |
142mM
12mM |
5mM
155mM |
103mM
4mM |
上の表を参考にすると、細胞外では、Na+が最も高濃度で、次にCl-、K+の順であるのに対し、細胞内では、K+が最も高濃度で、 次にNa+、Cl-の順である。