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o(*⌒―⌒*)o内側側副靭帯損傷の話


(#^^#)題名:側側副靭帯損傷の話

●受傷機転

内側側副靭帯損傷は膝の靭帯損傷のなかでも最も頻度の高い外傷である。スポーツ活動ではコンタクトプレーにより受傷するほか、ジャンプの着地、急激なストップ・ターンなどのノンコンタクトプレーでもみられる。性別は男性に多く、年齢と重症度との関連はなく損傷部位は靭帯の近位に多い。受傷種目は、スキー、アメリカンフットポール、ラグビー、サッカー、柔道、空手などに多く、おもに転倒により受傷するスキーには軽症が、コンタクトスポーツのアメリカンフットポールなどには重症が多い傾向にある。

 

●機能解剖

内側支持機構のうち内側側副靭帯は、膝外反および下腿外旋ストレスに対する静的支持機構である。動的支持機構としては縫工筋・薄筋・半腱様筋からなる鵞足、半膜様筋などがある。内側側副靭帯は表層線維(superficial medial ligament)と深層線維(deep medial ligament)に分けられる。

表層線維は前縦走線維(parallel portion)と後斜走線維(posterior oblique portion)に分けられる。前縦走線維は強固な靭帯で全長は約10 cmあり、大腿骨内上顆より起始し脛骨内側顆部に停止する。関節後方1/3の関節包靭帯は後斜走線維となり内転筋結節の近位より起始し、脛骨近位後方で半膜様筋腱やその腱膜と結合している。前縦走線維の下層で関節中央1/3の関節包靭帯は比較的厚くなっており、内側側副靭帯の深層線維として大腿骨遠位より起始し、内側半月の辺縁に付着し、さらに脛骨近位に停止する。深層線維は後方で後斜走線維に連なる。

前縦走線維は外反ストレスに対する主な制御を行っており、膝伸展位から屈曲位までの全可動域にわたり緊張が保たれ、屈曲位では前縁が緊張する。過度の外反および外旋ストレスにより内側側副靭帯が損傷すると外反不安定性と前内側回旋不安定性が生じるが、臨床的に主たる役割はprimary restraint として外反不安定性の防止と考えられる。

 

■診断

膝側副靭帯損傷の重症度は、臨床的には伸展位および30°屈曲位での外反・内反不安定性により3段階に分類することが多い。

I度:伸展位、30°屈曲位ともに不安定性がないもの。

Ⅱ度:伸展位では不安定性はないが、30°屈曲位では不安定性があるもの。

Ⅲ度:伸展位、30°屈曲位ともに不安定性がありとくに30°屈曲位で著明な不安定性(soft-endpoint)を認める。

しかし急性期には膝が伸展できない症例が多く、30°屈曲位で診断することになる。30°屈曲位では、正常膝でも生理的動揺性があるから、必ず健側と比較することが重要である。とくに疼痛のため十分に診察できない場合はⅡ度とⅢ度の損傷の判定はむずかしい。30°屈曲位で不安定性が著明であり、soft-endpointであることによりⅢ度の損傷と判定されることになる。

多くは単独損傷であるが、重症のⅢ度では合併損傷が多いので診断に注意を要する。まず受傷メカニズムを詳細に問診することが大切である。Ⅱ度およびⅢ度損傷の場合、pop音を聞くこともある。診断のポイントは、単独損傷なのか、他の合併損傷を伴うのかの判別が重要となる。とくに十字靭帯損傷の有無により予後が異なってくる。つまり前後方向不安定性の改善の差が内側例副靭帯損傷の治療成績に影響をあたえている。

新鮮例ではまず自発痛と膝内側に圧痛が認められる。圧痛部により損傷部位を確認できる。

腫脹・皮下出血が生じる場合もあるが必ずしも重症度とは一致しない。ついで前述した不安定性の評価を行う。急性期には疼痛のため関節可動域制限がみられ、膝が伸展できない症例が多く、30°屈曲位で診断することになる。

X脚(生理的外反膝)は再発しやすい傾向があり下肢のアライメントも調べておく。

通常の単純X線像では異常は認めない。新鮮例では靭帯付着部の裂離(avulsion)による小骨片を認めたり、陳旧例では大腿骨内上顆に異常骨化像を認めることがある(Stieda陰影)。ストレスX線による評価法もあるが、新鮮例では疼痛を与え筋性防御も生じ正確な撮影はむずかしく、その判定に統一されたものはない。

MRIは非侵襲性の検査で靭帯や半月板などの軟部組織の評価に非常に優れており、とくに内側側副靭帯損傷では、その損傷部位のみならず合併損傷の状態も把握できるので不可欠な検査となっている。冠状断像で、靭帯の連続性の消失、隣接組織の浮腫性変化、周囲の液体貯留などの異常所見が容易に判別できる。しかしⅡ度およびⅢ度の鑑別は不可能の場合が多い。

関節内血症や水腫は単独損傷でもみられるが、Ⅰ度損傷では半月損傷を、Ⅱ度およびⅢ度揖傷では十字靭帯損傷を伴った複合靭帯損傷を疑わなくてはならない。とくにⅢ度の損傷については、過半数が複合靭帯損傷といわれており、MRIなどでおおよその損傷程度は把握できるが限界があり、できれば関節鏡検査を行い、他の靭帯・半月損傷などの合併損傷の有無および内側側副靭帯の損傷程度を確認して正確な診断をつけるべきである。

鑑別診断としては、膝蓋骨亜脱臼・脱臼、タナ障害、内側半月損傷などあるが詳細な診察を行えば診誤ることは少ない。

まとめると単独損傷か否かの判別が、その後の治療方針決定の基本となるので、常に合併損傷の有無を念頭において診断にあたることが重要である。

 

●臨床症状

・膝関節内側の疼痛

・膝関節内側の関節腫脹

・Ⅱ度以上の損傷では、他覚的に膝関節の外反動揺性

【注意】

自覚的症状が比較的少なく、大腿四頭筋の動的代償機能を得やすいため、外反動揺性が見過ごされることがある。

 

膝関節に強い外反力が加わるとMCL単独損傷が生じ、外反力に外旋力が加わるとMCL+ACL損傷をきたしやすい。新鮮MCL損傷の症状は限局性の圧痛。腫脹、皮下出血斑などである。圧痛点は浅層や後斜靭帯の損傷場所をおおよそ特定できるので、損傷部位を特定するうえで重要である。急性期の炎症が鎮静すると膝関節の可動域も正常に復し、 MCL独損傷の場合は自覚的には無症候性のことが多い。陳旧例では不安定性が高度の場合には膝関節の亜脱臼感、「膝が内に入る」などを主症状とする。内側半月板損偽を合併すれば内側を中心に疼痛、クリック、ときには膝関節の嵌頓も伴う。

 

■治療

保存療法

1、2度単独損傷は保存療法が適応され機能障害を残すことは少ない。3°単独損傷は1次修復術を勧める報告がかつては多かったが、近年では保存療法でよいとする意見が多い。しかしKannusによると3度損傷の保存療法の長期成績は不良例が多いと述べており、また3度損傷は他の靭帯、半月板の損傷を合併することが多いのでまだ論争点の多い部分でもある。また陳旧性MCL損傷で高度の安定性が残存した場合、適当な再建術の方法がないことも問題点の1つにあげられる。 1度損傷は湿布剤塗布や消炎鎮痛剤の服用などにより疼痛と腫脹の軽減を図る。局所の比較的安静を保つために弾力包帯を用いることが多い。免荷、固定は不要である。疼痛が軽快したら大腿四頭筋を中心とした筋力強化を図り、2~3週後からスポーツに復帰することができる。 2度損傷は膝関節軽度屈曲位で長下肢ギプスにより2~3週固定後、支柱付きサポーターまたは内外反制御(支柱)付きソフトプレースを4~6週使用する。または初めから装具を装着し関節運動を制限しない方法もある。疼痛や腫脹の理度が強い場合、内側半月板付着部損傷が合併している場合はギブス固定がよい。この場合はギプス固定期間中は荷重を制限する。6~8週後から支柱付きサポーターを装者のうえスポーツ活動を徐々に許可する。3度損傷はACL、 PCL損傷、内側半月板損傷の合併がない場合(実際には比較的少ない)は保存療法が適応されるが、ある程度の外反不安定性が残存することが多い。この不安定性は機能的には問題とならないことが多い。3度損傷の治療は基本的には2度損傷に準じてよいが、疼痛や不安定性が強いので受傷後2~3週は長下肢ギプス固定を行うほうがよい。いずれの例でも固定中は早期からの大腿四頭筋の等尺性筋力訓練を、疼痛が軽減した後はさらに積極的に筋力強化を行う。ただし筋力強化訓練を指導するに際しては膝関節完全伸展位ではMCLは強く緊張することに留意しなければならない。

手術療法

MCL3度新鮮損傷で不安定性が高度の例、ACL・PCL損傷、内側半月板損傷合併例では基本的には手術療法が適応される。とくにACL、PCL損傷合併例では50~60歳代でも手術療法を適応する意見が多い。通常MCLの一次修腹術が行われるが、3度損傷では付着部(通常大腿側)の剥離、または付着部付近の断裂を除いては、損傷線継端がmop-end状の場合は一次修復が不可能な例も多い。この場合はanchoring suture systemを用い中枢、末梢側の健常部同士を架橋するように修復した後、前方の支帯(retinacalar ligament)を短冊状に弁状に形成して修復したMCLを包むように補強する。半腱様筋腱を移行し修復したMCLを補強するように再建する方法である。 術後3週外固定を行った後、支柱付きサポーターまたは内外反制御付きソフトブレースに換える。合併するACL、 PCL損傷については患者の活動性によって再建術の適応を決定する。 MCL陳旧性損傷に対する手術法はいまだ確実なものはないといってよい。代表的なものはMauck法や迎Mauck法(Augustin法)といわれるMCL付者部の移行術、半腱様筋腱を移行固定するBosworth法、人工靭帯による再建術などがあるがいずれも安定した成績は得られていない。

MCLの膝関節屈伸時のlength patternの面から、大腿骨付着部を中枢側へ移行する逆Mauck法はMCL付着部間距離のisometricityがまったく得られない。また脛骨付着鄙を骨片を付けたまま末梢側へ移行し、 MCLを緊張させて螺子などで固定するMauck法は必ず教科書には記載されているが、半月板より末梢側の靭帯弛緩例にはよい適応となるが、実際には大部分の例は中枢側の弛緩例であり、半月板との関係から移行できる範囲に大きな限界があり無効なことが多いので、実際に行われることは少ない。

MCL再建術に際しては、前縦走線継は約lOmmの幅をもっているため、  isometric pointの考え方だけでなく、前録と後縁のlength patternの相互の動きを合わせて考える必要がある。前縦走線維のisometric pointは、脛骨側より大腿骨側がきわめて重要である。筆者は、前縦走線維の再建方法は脛骨側は脛骨付着部内であればよく再建靭帯をまず脛骨側より固定する。膝関節70°屈曲位で再建靭帯を過緊張させずに、前縁後縁を等張下に、大腿骨側は正確に大腿骨内側上顆中央を通り関節面に平行に固定する方法が、前縦走線維の生理的な緊張を再現する方法であると考える。

 

保存療法

新鮮例の単独損傷は、基本的はⅢ度損傷を含めてすべて保存療法が主体となる。不安定性のないI度損傷では、局所のRICE療法を行い、疼痛が軽減したらスポーツ活動に復帰させる。Ⅱ度損傷では、以前はギプス固定が用いられたがまったく不要で受傷直後からの積極的な運動療法を行うことにより、早期に膝機能の回復が得られる。その結果、より早く正常な日常生活やスポーツ活動への復帰が可能となる。Ⅲ度損傷については、保存療法か手術療法か意見のわかれるところである。基礎的動物実験では前十字靭帯と異なり保存療法しかも早期運動が良好であるとの報告が多い。臨床的には他の合併損傷を伴わない単独損傷は保存療法でよいとの報告が多い。保存療法を行う場合、レクリエーションレベルでは自覚的には初期の外固定なしで支障なく十分に元のレベルに復帰できる。しかし他覚的にはどうしても不安定性が残存するので、レクリエーション以上のスポーツレベルで完全復帰を目指すためには、疼痛や腫脹の治まるまで損傷部位を保護する目的で初期の外固定が必要である。この際、ギプス固定などの強固な固定は必要なくシーネ固定で十分である。軽度の不安定性が残存する場合は四頭筋訓練による筋力強化により十分代償でき支障なく復婦できるので、疼痛が軽減するのに応じて適切な早期運動療法を行う。支障のある場合は合併損傷の可能性があり、精査が必要である。前十字靭帯損傷などを合併したⅢ度損傷については、以前は受傷後早期に前十字靭帯に対しては再建術を、内側側副靭帯に対しては修復術を行っていたが、術後可動域制限が生じることも多く満足できる治療成績とはいえなかった。現在では、まず初期の外固定を行いある程度外反不安定性を改善させ、その後に関節可動域訓練を行い、可動域を十分に回復させた後(受傷後数週間)に前十字靭帯に対して再建術を行っている。 筋力訓練は受傷後可能な限り早期より開始する。しかし付着部で骨片付で剥離転位しているもの、関節内に断端が陥入していたり内側半月損傷を合併するものは、保存療法では自覚的・他覚的にも疼痛や不安定性を残すため手術療法を選択すべきである。でも重症例は合併損傷の有無を念頭において診断にあたることが重要である。陳旧例の治療は、単独損傷では筋力訓練を主体とした運動療法を行う。支障のある例では合併損傷が多く、十字靭帯などを合併している場合は、合併損傷の治療が優先される。一般的には多少の緩みのあるⅡ度損傷では保存療法を行い、Ⅲ度損傷では再建術が行われる。再受傷の予防には四頭筋強化を中心とした運動療法が大切である。テーピングは、その力学的安定性は十分ではないが心理的効果は期待できる。再発予防用膝装具の有効性は、いまだ。はっきりしていない。X脚(生理的外反膝)は再受傷しやすいので復帰の際、注意を要する。

 

①新鮮例

治療方針

I度およびⅡ度の損傷では保存的治療で十分であるが、Ⅲ度の損傷では保存的治療か手術を選択するかでは議論があるところである。他の合併靭帯損傷を伴わない単独のⅢ度揖傷症例は比較的少ないが保存的治療でよいとの報告が多い。内側側副靭帯のⅢ度の損傷で、前十字靭帯損傷などとの複合靭帯損傷であれば、前十字靭帯を再建することにより内側側副靭帯の単独損傷となり修復術が必要ではないという報告もあるが、前十字靭帯再建と同時に内側側副靭帯の修復術を行ったほうがよいという報告が多い。しかしⅢ度の内側側副靭帯損傷では関節内に断端が陥入している症例や、付着部が剥離し転位している症例も多くあり、このような症例では修復術を行わなければ外反不安定性は改善しない。しかし断端が関節内に陥入しているかどうか、付着部が剥離し転位しているかどうかは現在のところMRなど術前検査で知ることができない。また陳旧例においてもⅢ度である症例では外反による不安感を強く訴える症例が多く手術が必要となるが、陳旧例の手術成績は後述するように良好とはいえない。したがって単独損傷であっても複合靭帯損傷であっても、Ⅲ度の内側側副靭帯損傷であれば修復術の適応と考える。また基本的にスポーツの種目、レベルにより適応を変更することはない。

手術を行う時期は、前十字靭帯損傷と合併している場合は診断直後より可動域訓練を行い、可動域が回復した時点で前十字靭帯再建術と内側側副靭帯修復術を行う。他の合併損傷がない場合は可動域の回復を待たずに可及的早期に修復術を行う。

手術手技

術前に圧痛点を調べ、大腿骨側の損傷であるか、脛骨側の損傷であるかを推定することは重要である。ただし脛骨付着部の剥離で圧痛がまったくない例もある。また関節鏡検査にて関節包の断裂部位、内側半月の浮き上がりかたなどでも損傷部位を推定できる。また関節鏡検査にて十字留帯損傷の合併の有無、外側の半月損傷、軟骨損傷の有無を調べることは重要である。体位は仰臥位とし、膝15°屈曲位、股関節外転外旋位とする。大腿骨付着部付近の断裂であるならば、前縦走線維前線に沿って大腿骨付者部近位で後方に一曲した4~5cmの皮切をおく。

皮弁を分けて筋膜間で展開し、筋膜を皮切と同様に切開し後方に反転し表層線維を露出する。このとき伏在神経の膝蓋下枝に注意し、これを温存する。表層線耕の損傷部位を確認後、表層線維を反転し深層線耀の損傷部位を確認し縫合する。付着部での損傷であれば骨に小孔を作製し骨に縫合する。同時に周囲の関節包の損傷があれば縫合する。次いで表層線維を修復する。修復法は靭帯実質部の損傷であれば鍵合を、大腿骨付着部の損傷であればステープルあるいは、スパイクワッシャー付きスクリューを用いて膝30’屈曲位、軽度内反位で固定する。後斜走線維に損傷があればこれも縫合する。脛骨付着部付近の断裂であれば前縦走線維前縁に沿い関節裂隙から骨付着部までの縦皮切をおき、同様に修復する。

②陳旧例

治療方針

日常生活やスポーツ動作で膝外反の肢位にて、脱臼しそうな不安感を訴えるⅢ度の損傷が手術適応となる。

手術手技

鵞足を移行し動的な安定性を得ることを目的としたSlocum法、半腱様筋腱を用いるBosworth法やHeller-Payr法などさまざまな再建方法があるが手技が複稚で侵襲も大きいものが多く、また成績も不確実である。通常行われるのは、  Mauk法と逆Mauk法(Augstine法)であり小骨片つきの付着部の移行(advancement)である。Mauk法は脛骨付着部の移行であり、逆Mauk法は大腿骨付着部の移行である。内側側副靭帯損傷は近位部での損傷が多く、また手技上も簡便なため逆Mauk法が一般的であり、ここでは本術式について述べる。体位は仰臥位とし、膝45°屈曲位、股関節外転外旋位とする。新鮮例と同様の皮切をおき前縦走靭帯を同定し、靭帯が弛緩していることを確認する。前縦走靭帯の前縁、後縁を同定し関節裂瞭まで切開する。次いで大腿骨付着部を厚さ約3mm程度の骨片をつけて一度剥離する。大腿骨付着部の剥離面の近位を新鮮化する。膝30°屈曲位、軽度内反位で、前縦走線維に緊張をかけ新鮮化した部位にステーブルあるいはスパイクワッシャー付きスクリュー固定する。

新鮮例に比べ陳旧例では成績は良くない。外反不安定性は術前より改善するものの残存する傾向にある。付着部位を引き上げたことにより正常とは付着部が異なること、また損傷部位は瘢痕のまま緊張させていることも関係している可能性がある。

リハビリテーション:早期運動療法

内側側副靭帯損傷の保存療法は早期運動療法が主体となり個々の症例について理学療法士と緊密に連絡をとりながら行うことが重要である。ポイントは損傷した靭帯が十分に治癒するまでは、種々の動作で膝が外反位や外旋位をとらないように注意し、初期は痛み・不安感の軽微な範囲内で行い、その後、不安定性の改善に伴い徐々に拡大していき、さらに十分な筋力回復を図ることである。一般には不安定性のないⅠ度損傷では、  RICE療法などの適切な救急処置が行われれば、およそ1~2週間で圧痛も消失し競技復帰が可能となる。不安定性の認められるⅡ度およびⅢ度損傷では、競技復帰のためには受傷直後より適切かつ積極的な運動療法が必要となる。Ⅲ度損傷では、軽度の不安定性は残存することが多いが、四頭筋訓練による筋力強化により十分代償でき、自覚的に支障なく復帰できる。 競技復帰の目安については種々の報告があるが、膝伸展・屈曲筋力が十分に回復していることが条件となる。おおよその日安としてⅡ度損傷で4~6週、Ⅲ度損傷で6~8週程度である。復帰に際しては、膝が過度の外反位や外旋位とならないように指導し再発防止にも考慮する。

 

○RICE処置

炎症症状が認められる急性期は、その早期鎮静化を目的にアイシングを主体としたRICE処置を行う。

 

○荷重と装具

急性炎症期が過ぎれば、膝外反を制動するために、大腿と下腿の外側と膝関節内側の3点を支持したストラップの膝装具を装着させ、荷重を開始する。荷重は疼痛や腫脹を目安に部分荷重から全荷重へ可及的に進める。

 

○可動域訓練

急性炎症期が過ぎれば、関節可動域訓練を開始する。

MCLは伸展域で緊張するため、ROM訓練を行う際、最終伸展域でのscrew home movementを考慮して、愛護的に行う。

 

○筋力強化訓練

膝外反動揺性の予防には大腿四頭筋、特に内側広筋の筋力強化が重要であり、膝関節運動時に疼痛がある時期は、内側広筋への電気刺激、さらに装具装着下にSLRや等尺性収縮訓練での大腿四頭筋の筋力強化を行う。

疼痛が軽減すれば筋力の回復程度に合わせて弾性バンドを使用したレッグエクステンションやマシンでのレッグエクステンションを積極的に行う。この際、膝関節外反・外旋でのMCLへのストレスを避けるために膝を伸展する際に股・膝関節の内旋を伴うように意識して行わせる。

動的な内側支持機構である内側ハムストリングスの強化も重要となるので、疼痛が軽減すれば下腿を内旋させることで内側ハムストリングスの収縮を意識させたレッグカールを行う。

可動域が拡大して自転車の駆動が可能となれば、固定自転車で負荷をかけた訓練を開始する。このとき、膝と足尖の向きが一致するように注意する。

荷重をかけても疼痛が出現しなくなればレッグプレスやスクワットなどのCKCでの筋力強化を開始する。また、膝への回旋ストレス回避を学習することを目的にtwistingを行わせる。

 

早期運動療法が主体となり個々の症例について理学療法士と緊密に連絡をとりながら行うことが重要である。ポイントは損傷した靭帯が十分に治癒するまでは、種々の動作で膝が外反位や外旋位をとらないように注意し、初期は痛み・不安感の軽微な範囲内で行い、その後、不安定性の改善に伴い徐々に拡大していき、さらに十分な筋力回復を図ることである。一般には不安定性のないⅠ度損傷では、RICE療法などの適切な救急処置が行われれば、およそ1~2週間で圧痛も消失し競技復帰が可能となる。不安定性の認められるⅡ度およびⅢ度損傷では、競技復帰のためには受傷直後より適切かつ積極的な運動療法が必要となる。Ⅲ度損傷では、軽度の不安定性は残存することが多いが、四頭筋訓練による筋力強化により十分代償でき、自覚的に支障なく復帰できる。

競技復帰の目安については種々の報告があるが、膝伸展・屈曲筋力が十分に回復していることが条件となる。おおよその目安としてⅡ度損傷で4~6週、Ⅲ度損傷で6~8週程度である。復帰に際しては、膝が過度の外反位や外旋位とならないように指導し再発防止にも考慮する。

 

●受傷後1~2週

受傷直後の急性期では、ただちにRICE療法を行う。

痛みや不安定性を診ながらシーネ固定などの簡単な外固定をI~2週行う(Ⅲ度損傷)。

痛みの強いものは松葉杖を用いて部分荷重負荷とし、痛みが軽減するにつれとくに制限せず全荷重負荷にする。同時に自動可動域訓練を開始する。

急性期がすぎれば渦流浴や低周波刺激などの物理療法も併用する。

筋力訓練は、初期の固定時にも筋萎縮に注意を払い大腿四頭筋の等尺性訓練をなるべく早く開始する。

SLR exercise も同時に行う。

●受傷後2~4週

膝装具で膝を保護し徐々に自動・他動運動を行い関節可動域を拡大していく。荷重歩行が可能になったら歩行訓練を行う。

筋力訓練は、徐々にCybexなどを用いた等速性運動および等張性訓練へと移行していく。関節可動域が拡大し屈曲が90°以上となれば自転車エルゴメーターも開始する。これは同時に心肺機能の強化にもなるので有効である。

●受傷後4~8週

関節可動域がほぼ回復したら荷重位のトレーニングを積極的に行う。

荷重位のトレーニングでは、損傷靭帯にストレスが加わらないように注意しなければならない。すなわち膝関節外反・下腿外旋を防ぐように指導する。

ランニングは直線でのジョギングより開始して徐々にスピードをあげてダッシュができるようにする。ついでカッテングやターンなどの方向転換動作を取り入れていく。

復帰スポーツの各種動作ができるようになり、膝伸展・屈曲筋力が十分に回復すれば完全復帰させる。

 

【注意】

種々の動作で膝が外反位や外旋位をとらないように注意する。

膝装具は損傷程度により軟性か硬性かを選択する。

陳旧例の単独損傷でも、新鮮例と同様の筋力訓練を主体とした運動療法を行う。

LCL損傷のリハビリテーションも同様に行う。ただし種々の動作で膝が内反位や内旋位をとらないように注意する。

 

手術療法

術後2週間、膝屈曲30°で装具あるいはシリンダーキャストを用いて固定する。固定中より等尺性運動、部分荷重歩行を開始する。2週で可動域制限付き装具を用いて、可動域訓練を始め、4週で可動域制限を解除し、また全荷重歩行を許可する。装具は可動域制限の程度により4~6週間装着する。2ヶ月でランニングを3ヶ月でダッシュを開始しスポーツ復帰は4ヶ月としている。

ギプス・シーネ固定について

固定は膝関節30°屈曲位とする。この肢位は、MCLが最も弛緩しているとされる位置であり、靭帯付着部間を短く保ち、固定している期間に靭帯に緊張をかけないで修復するためである。


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