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o(*⌒―⌒*)o正常歩行と加齢的変化の話


「正常歩行と加齢的変化」の画像検索結果

(・_・;)題名:正常歩行と加齢的変化の話

●正常歩行

(重心の移動)

人間の歩行は身体の個々の部分の運動が三次元空間で同時に重なり合う複雑な現象であり、その分析はなんらかの原則に基づかないかぎり不可能に近い。移動は基本的には空間での重心点の移動であり、それに必要なエネルギー消費を最小限度にするようなパターンになるものと仮定されている。

身体を一個の剛体と考えると、成人の重心の位置は正中線上で、足底を基準にしたとき、下から身長の55~56%の高さ、仙骨の前面にある。歩行によって起こる重心点の位置移動の軌跡は上下方向と左右方向に正弦曲線を描く。

①上下移動

重心点は立脚期に最高、踵接地期に最低となる正弦曲線で、振幅はおよそ4,5cmである。頭部の上下方向の動きを測定すると、普通の歩行では4,8±1,1cm、はやい歩行では5,0±2,1cmとなる。

②左右移動

重心点は立脚中期が限界となって、振幅が約3cmの正弦曲線となる。頭部の左右方向の動きで測定すると、普通の歩行で5,8±2,0cm、はやい歩行では5,0±2,1cmとなる。

上下方向と左右方向の移動による二つの正弦曲線が組み合わさった軌跡を重心点が移動していくが、エネルギー消費からみると、この2方向への振幅を最小にして、円滑に直線方向に進むのが最も経済的な歩行といえる。

 

(関節の屈曲と伸展)

①股関節

一歩行周期に伸展・屈曲を各一回行う。踵接地後、支持脚の股関節は伸展を続けて体幹を前方へ移動させる。対側脚が着地して支持期になると、遊脚相への準備として屈曲をはじめ、遊脚相に入ると急速に屈曲して下肢を前方に振り出す。

②膝関節

一歩行周期に二回屈曲・伸展する。支持脚は踵接地後ただちに少し屈曲する。立脚相後半に体幹が支持脚より前方に移動すると、膝は伸展する。対側肢が着地すると、再び膝は屈曲し、屈曲速度を増して遊脚相となるが、後半では急速に伸展する。遊脚期の膝屈曲は遊脚相初期に足を地面から引き離すのに役立ち、伸展は次の一歩を踏み出すのに役立っている。

③足関節

一歩行周期に二回屈背屈・底屈する。踵接地では足関節は軽度背屈しているが、次に底屈して足底接地になり、ただちに底屈から背屈へと変化する。この背屈は体幹が支持脚の前方に移動するまで続いている。その後、再び足関節は底屈して踵離地となり、足趾離地後は急速に背屈にかわる。遊脚相では比較的長く背屈位にある。

 

(体幹の回旋〉

正常歩行では、各分節はその長軸に関してある角度は回旋運動を伴う。骨盤・大腿骨・脛骨の内旋は、体重負荷がまったくない遊脚相からはじまり、立脚相の初期に体重負荷が完全に負荷されるまで続く。最も内旋が強いのはこの立脚相の初期である。骨盤の回旋は相対的に少なく、脛骨が最も回旋をする。内旋から外旋への急激な変化は立脚相の初期に体重が負荷されるときに起こり、外旋は遊脚相のはじめまで続く。外旋は足および足関節からはじまり、脛骨、大腿骨へと中枢側に波及する。骨盤の回旋は約8°、大腿骨と骨盤の相対的回旋は8°、脛骨と大腿骨の相対的回旋は約9°、この三分節の回旋角度の合計は約25°である。

 

(歩行の決定要因)

エネルギー消費の面から効率の良い歩行は重心点の上下・左右方向の移動が低振幅で、なるべく床面に平行な直線に近い移動である。効率の良い歩行パターンを生み出すための身体各部分の動きをSaundersらは次の五つの要素に分けている。

①骨盤回旋

正常歩行では、骨盤は垂直軸・水平面に関して回旋運動をする。運動は股関節で起こり、内旋は立脚相初期、外旋は遊脚相初期に最大となる。片側で4°、両側で合計8°の回旋がある。この骨盤回旋によって重心点の垂直方向の振幅の下降部分が少なくなる。大腿骨・脛骨も長軸に関して回旋運動を行うが、内・外旋が最大になる時期は骨盤のそれと一致する。

骨盤は水平前額軸・矢状面に関しても若干の回旋をする。前方回旋は踵接地時期、後方回旋は立脚中期が最大となる。

②骨盤傾斜

遊脚期の骨盤は水平の位置から約5°下方に傾く。最も傾斜が大きくなるのは立脚中期である。この傾斜によって立脚側の股関節は相対的に内転し、遊脚側は外転する。体幹が支持脚の直上を通過するときにこの骨盤傾斜が起こるので、遊脚側は下肢を前方に振り出すために膝関節を屈曲しなければならない。骨盤傾斜によって重心点の垂直方向への移動の振幅を減少させる。

③立脚相での膝屈曲

支持脚は膝関節を完全伸展位で踵接地して立脚相になり、その後に膝関節は屈曲して、足底接地まで屈曲を続ける。立脚中期の後、体重が完全にかかる時期に膝関節はふたたび伸展し、踵が地面から離れると同時に屈曲を始める。この膝関節の伸展‐屈曲‐伸展‐屈曲の変化を二重膝作用(Double Knee Action)といい、接地後の衝撃防止と重心点の垂直移動の振幅減少に役立っている。

④足関節と膝関節の機構

足関節と膝関節の動きには密接な関係がある。踵接地時期には膝関節は完全に伸展し、足関節は背屈している。逆に膝関節が屈曲しているとき、足関節は底屈している。この両者の関係も重心点の垂直方向への移動を少なくするのに役立つ。

⑤骨盤の側方移動

骨盤の支持脚側への側方移動は立脚側の股関節の内転でも起こる。もしも両下肢が完全に平行で、両股関節間が15cmくらいとすると、自然歩行の場合、立脚側に体重を完全にのせてバランスをとるには7,5cmの側方移動が必要である。しかし、股関節が垂直軸に関して内転位であること、および大腿骨と脛骨が生理的外反肢位にあることから、側方移動は実際には3cmくらいしか起こらない。人体構造の上からも、重心位置の側方移動の振幅は少なくてすむ。

 

(歩行時の筋活動)

・踵接地期

落下してきた足が地面に打ちつけられ、そのまま体重を引き受けなくてはならないという歩行の中で最も不安定な時期である。足関節0°で移動してきた踵が接地した瞬間から猛烈な力が足底を床に打ちつけようとする。足関節背屈筋群がこれを防ぐが、その力は下退を前方へ倒す力へと変化する。膝伸展0°で踵接地するが、この力と床反力で強い膝屈曲力が生じる。これに対し大腿四頭筋が働いて膝折れを防ぎ、その力は大腿を前方に運ぶ力となる。一連の力の伝達で重要なことは、これにより重心の前方への慣性力を妨げること無く、両足間で体重移動が為されることである。股関節は30°屈曲位で踵接地するため外力による屈曲モーメントが生じ、大殿筋やハムストリングスの伸筋がこれを防いでいる。また、重心の踵接地側への移動を受けるため外転筋群が活動する。

・足底接地期

足底全面が接地しており、その上方を体幹(重心)が後方から前方へ滑らかに移動する時期である。片脚バランスを保ちながら、慣性による重心の前方移動を足関節底屈筋群が後方に引いて制御している。この力は膝伸展力ともなっており、初期には外力による膝の屈曲モーメントが残っているため大腿四頭筋が働くが、すぐに活動が止まる。片脚バランスを維持するために股関節外転筋群が引き続いて働く。

・足底離床期

重心は足部より前方に位置し、かつ膝は伸展している。この状態で足関節が底屈すれば床反力が体重以上になり身体は前上方に持ち上がる。歩行の加速は常にここで生み出されている。底屈筋群がおおいに働く時期である。

・二重支持期

歩行周期50%時点で反対脚が踵接地し、両脚支持となる。歩行初期と全く同じで、反対側には急激な体重移動が起こっており不安定な状態となる。前足部は床に着いているが床反力が急激に低下し、最後には足尖部が床に着いているだけとなる。この状態は、反対脚のバランスを補助しているとみるのである。このみかたが正しいかどうかは解らないが、この時期をPreswing(前遊脚期)と称して振り出しの機能が起こる時期とするみかたも捨て難い。股関節屈筋群、内転筋群が働き、この時期の最後には膝は約65°屈曲位、足関節は20°底屈位となる。

・遊脚期(初期)

前状態から引き続き大腿が前に振られ、つま先が床から離れる。膝は約70°まで屈曲するが大腿直筋の働きによりブレーキがかかり、すぐに伸展運動が起こる。足底が床から1~2cmの所をクリアするため足関節背屈筋の求心性収縮が不可欠である。このとき股関節と膝関節は屈曲しており、下肢は相対的に最も短くなる。背屈筋群が麻痺すると足尖が垂れ、極端に股と膝関節とを屈曲させて歩くいわゆる鶏状歩行となる。

・遊脚期(後期)

最後の相である。ここでは前方に振られた足部が最も合理的な位置に下りるように、歩幅の最後の調整がなされるところである。この調節はハムストリングスの遠心性収縮によるブレーキである。足部が低下しないよう背屈筋群は働き続け、この期の最後には大腿四頭筋、股関節外転筋群が働き出して次の踵接地の準備をするのである。

 

●正常歩行の加齢的変化

植松らの文献によると、歩行速度は、50歳以降から若年群より有意に低くなり、急激な低下がみられるのは男女とも62歳頃とされている。歩行速度の低下に伴って歩幅、歩調も低下するが、歩幅の低下度の方が大きい。

歩行の1周期は加齢と共に長くなり、立脚期が延長し、遊脚期が短くなる。歩行各期を時間比(1周期の時間を100%とする)でみると、立脚期において単脚支持期の割合が減少し、両脚支持期の割合は増加する。単脚支持期の短縮は、加齢に伴う下肢筋力の低下やバランス機能低下に対する安定性確保のための身体対応である。

下肢関節角度については、加齢に伴って踵接地期における足関節背屈角度の減少、股関節屈曲角と膝関節伸展角度の減少、蹴り出し期における足関節底屈角度の減少と股関節伸展角度の減少などがみられ、それらが高齢者の歩幅減少、歩行速度の低下の要因と考えられる。

身体各部の動きに関しては、①体幹の前後動揺および前傾度が大きくなる。②骨盤の水平回旋運動域が若年者より小さく、胸より骨盤の回旋運動がより低下しており、この骨盤回旋運動域の低下は歩幅減少の大きな要因となる。③足先部の動きは、遊脚期において60歳代で一時的に高くなるがその後は低くなり、踵接地期の足先高は加齢と共に低下の一途を辿り、共に高齢者の「つまずきやすさ」の要因となる。

 

(下肢関節可動域と歩行機能との関係)

下肢10ヵ所の関節可動域の中でも、足関節背屈・底屈の可動域の加齢変化(低下)が最も著しいことが解っており、この要素が、歩行機能の加齢変化として指摘されている立脚期蹴り出し期の足関節機能の低下と、遊脚期接地直前の足先の高さの低下(“つまずき”の危険性増大)の要因の一つであることは間違いないであろう。

 

(下肢筋力と歩行機能との関係)

歩行速度と歩幅に相関するのは膝伸展筋である大腿四頭筋筋力と足底屈筋力である。これらの筋群において歩行速度、歩幅を低下させる編曲点は、膝伸展筋で250N、足底屈筋で400N、足背屈筋では150Nであるとされている。歩行の自立度と筋力の関係をみると、高齢者の膝伸展力が1,2N・m/kgを下回ると歩行速度が著明に低下し始め、膝伸展力と最大歩行速度との間に高い相関がみられる。独歩自立の目安としては0、58N・m/kg、もしくは体重比膝伸展力44,5%との報告がある。高齢者における下肢筋力低下の歩行時の下肢関節モーメントへの影響としては、筋力が低下するほど歩行の前方推進力が股関節の伸展運動に依存するようになる。

転倒に関してみると、膝伸展力(体重比)が両下肢とも35%以下になると屋内転倒のリスクが非常に高まり、一側だけが35%でも筋力の左右差が著明であると転倒しやすいと指摘されている。それゆえ、転倒防止のためには膝伸展力が体重の35%以下にならないように維持・強化に努める必要がある。

 

(平行機能と歩行機能との関係)

平行機能は加齢により低下が著しい運動要素の一つである。高齢者は平行機能の評価指標である重心動揺距離が増大する(バランス低下)と、歩行率が減少し、振り出し期の足底屈力のピーク発揮も遅くなり、平衡機能低下の中でも視性による代償的な姿勢制御の大きい人は、接地直後と単脚支持終了時に働く膝屈曲力を大きく作用させる歩行パターンをとることが解っている。動的バランス評価指標である重心最大移動距離は、20~30歳代では、足長に対して60%の範囲で前後移動が可能であるが、80歳以降では20%以内であった。前方への身体傾斜限界値は転倒経験のある者の方が、転倒経験のない者より有意に低下しており、転倒のリスクの判断指標となりうる。また、片脚立ち保持時間は転倒歴のある者では30秒以内であったことから、転倒リスクを予測する感度の高い評価指標である。動的平衡機能評価指標である開眼・閉眼片脚立ちおよび立位最大前後傾時の重心動揺距離が低下し始める下肢筋力閾値は、前述した歩行速度および歩幅を低下させる筋力の編曲点である、膝伸展筋250N、足底屈筋400N、足背屈筋150Nとほぼ一致するものであった。これらの知見は、高齢者において平衡機能や歩行機能維持のための筋力維持・強化の重要性を改めて認識させる。

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(^o^)参考文献

医療学習レポート.正常歩行と加齢的変化


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