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o(^▽^)o頚髄損傷と社会参加の話


(´Д` )題名:頚髄損傷と社会参加の話

1)就労

脊髄損傷者の理想的なゴールは前職に復帰し、健常者とほぼ同じ条件で就労できることである。車椅子使用者の労働能力は単に仕事する能力だけでなく、作業環境、生活環境、住宅、都市構造(通勤)などを含め、総合的な面から考えなければならない。

①職種

頚髄損傷者においては、摘み、握り動作などの手指機能の低下があるため、就労職種に制限がみられるため、これをカバーするOA機器を使用しての作業に従事していることが多い。したがって、単純作業とは行かず、相当程度の学力が必要になるため、就労は胸腰髄損傷者に比べて困難といえる。

 

②就労の諸類型

重度障害者授産設などの福祉的就労を除く一般就労には、いくつかの類型が考えられる。

a)一般企業への就職(復職も含む)

b)公務員など

c)自営

である。

一般企業・国や地方の機関への就職については、一定以上の割合の障害者を雇用する義務を規定した「障害者の雇用の促進等に関する法律」を基礎とした雇用対策により、障害者の採用に積極的に取り組む事業所が増えてきている。

自営については、最近では企業に採用されながら、自宅で勤務をする在宅雇用の形態を取るケースが報告されている。在宅雇用については、通常と違う労務管理となるため課題は多いが、通勤や時間に拘束されることなく自分のペースで仕事を進めることが可能な点で、脊髄損傷者(特に健康管理や生活基盤の確保に困難を伴う重度者)にとって一つの選択肢になっている。

 

③就労上の医学的な留意点

a)褥瘡・尿路感染症の予防

就労中にも身体を動かし、30分ごとにプッシュアップを行なう。

b)体温調節障害

空調設備を使用し、温度や湿度を一定にする。

 

④就労の持つ意味

仕事を持つということが単に経済生活を維持するという側面にとどまらず、社会と自分とのかかわり、あるいは集団の中における役割分担であるという社会的な観点も忘れてはならない。

また、ある時点で仕事を得るというだけでなく、長期にわたり安定した職業生活を確保し、そのなかで向上していくチャンスが与えられるよう長期的な支点からの取り組みが必要である。

身体障害をかかえて社会生活を営むということは、必要な援助を得つつも同時に自分にできることとできないことを受け止め、己の人生に責任を持ち、それを全うすることにおいてのみ成立するものと考えられている。脊髄損傷者がこれほどまでのさまざまな制約のなかで生きていることの重みを、リハビリテーション関係者は真剣に受け止め、接していく必要がある。

 

2)就学

頚髄損傷となった学生・生徒が復学するためには解決しなければならない様々な問題がある。

かつて、頚髄損傷となった学生・生徒は重い障害ゆえに学業の継続を断念せざるを得なかったり、特殊教育の対象とみなされた時代があった。今日では、医学の進歩とあいまって、受傷以前と変わらぬ教育を受けることも可能になってきている。

 

*復学・進学にあたっての留意事項

①一般的留意事項

a)物理的環境の確認

・車椅子使用者が自由に移動し、長時間を過ごせる環境かどうかの確認。スロープ、自動ドア、車椅子対応エレベーター、車椅子用トイレなど。

b)支援活動・制度の確認

・障害を持つ学生・生徒に対する何らかの支援活動や制度が設けられているか。サポートセンター設置、コンパニオン・チューター制度、ボランティアサークルなどの有無。

c)医学的管理の拠点の確認

d)活用できる制度の確認

・災害共済制度、就学奨励、特別児童扶養手当、障害児福祉手当、障害基礎年金育成医療、各種健康保険、生活保護、身体障害者手帳の交付、補装具の交付、障害学製のための奨学金制度など。

②就学先別留意事項

a)義務教育普通学校

・本人に対するメンタルケア。思春期の難しい年齢でもあるため特に注意が必要。

・同級生に対する、障害理解の育成。

・教職員に対する、障害理解の育成。

b)養護学校

・学習内容の確認:卒業後本人の希望する進学先の入学が可能かどうか。

・同級生の障害を理解する。

③専門学校、大学、大学院

・進学に際してはまず、受験という関門がある。大学入試センター試験では、身体に障害のある志願者のために、特別措置をしている。

・学校によっては、障害を持つ学生に対しさまざまな受験上の配慮を実施している。

・卒業後の人生設計(進学、就職、結婚など)との関連性を念頭においての取り組みが求められる。

 

3)スポーツ活動

①スポーツの効用、

a) 全身運動を介しての、身体の協調力・忍耐力などの向上。

b)長期ベッド臥床による褥瘡形成の予防など身体面の効果。

c)目標に向かって訓練する喜び、目標を達し得られる自信、気力の充実などの精神的な効果。

d)スポーツ技術を介して社会復帰後の社会への適合能力の育成。

 

②訓練上の諸注意

a)訓練開始前の排泄管理を怠らない。

b)高位脊髄損傷者に起こるうつ熱現象(発汗障害による)

c)皮膚の外傷や圧迫による褥瘡

d)起立性低血圧症候群

e)ウォーミングアップをし、全身の調整、当日の身体状況の確認をする。

f)国際競技大会ではドーピング検査が厳しい。使用中の常備薬の名前は選手自身が控えておくように指導する。

 

③スポーツ訓練の実際

頚髄損傷では起立性低血圧が改善され始めた頃、開始される。通常、PTによる車椅子の基礎的訓練は終了している時期であるが、時には、レクリエーションの意味をも含め、理学療法と平行して実施する例もある。

損傷部位、手術の有無、全体的なリハビリテーションプログラムなどを確認のうえ、必要な筋力、運動能力、心肺機能などを検査の後、個々の能力に合わせて訓練プログラムを組む。

内容は車椅子操作の習熟訓練と平行して、立位バランス訓練も実施する。キャスター挙げ訓練、段差乗り越え、坂道の走行訓練など応用動作訓練を中心に行なう。

 

④理学療法士の役割

PTの役割として欠かせないのは障害者のQOLの向上、競技スポーツそして障害者スポーツ活動につながる理学療法プログラムを作成することである。身体障害者の運動不足からくる弊害を少なくするためにも、スポーツ活動を取り入れた理学療法プログラムを組み立てる意義は大きく、身体、精神面の健康の維持・向上につながるものといってよい。

身体障害者スポーツ大会では、障害のクラス分けに関わったり、各種スポーツのコーチとして直接スポーツ指導に携わっているPTもいる。今後、身体障害者スポーツ大会参加者の障害の多様化と重度化が予想され、参加者の安全対策、リスク管理が重要になってくる。そのためにも、障害について熟知しているPTがスポーツ指導員と共に協力しあい、障害の程度の把握、リスク管理に役割を果たしていくことが求められる。

高齢社会の進展に伴い、障害者自身も当然のごとく高齢化していく。健康的な老後の生活を営んでいくためにも、ますます適切な運動をすることが大切になってくる。PTは今後、在宅・地域リハの幅を広げて積極的に身体障害者スポーツに関与し、障害者のQOLの向上、健康な生活を実現するための援助を心掛ける必要があるだろう。

 

4)自動車の運転

①生活圏の拡大

公共機関の利用により重度四肢麻痺者が一人でも旅行ができるようになったとはいえ、日常的には制限も多く設備的にも十分とはいえない。社会生活の独立のためには屋外移動手段の確保、特に自動車運転能力の有無が大きな問題となる。能力による限界はあるものの、自動車運転は頚損者にとって大きな目標となる。

②身体機能の把握

a)麻痺レベル

b)体幹バランス

c)体幹、上下肢の痙性出現の状況

d)視覚反応時間

e)訓練経過の把握

③身体機能の向上訓練

筋力やバランスの改善は、基本動作からADLまでの一連の訓練のなかで現れる。直接的な筋力強化としては、上肢帯から体幹の残存筋のすべてを十分に行なう。肩内転筋、肩甲挙筋、僧帽筋上部、大小菱形筋、特に大胸筋鎖骨枝の力のわずかな差が移乗やハンドル旋回に影響を及ぼす。負荷を変更できるハンドル型機器があれば有効だが、所有する施設は稀である。右肩屈曲70°位で壁に手をつき、上肢の筋力で左右に旋回操作する訓練を行なう。ADLでは困難度の高い排泄や入浴(移乗を伴う)動作の自立やスポーツ訓練も自動車運転に役立つ。

④運転のための動作訓練

運転席への乗車と車椅子積み込みの順序を項目別に評価し、不可項目を訓練する。訓練回数とともに時間が短縮され、目標となる5分に近づける。

車椅子の積み込みが不可の場合には、積み込み補助装置が必要となる。またハンドル旋回力も普通のパワーステアリングでは操作しきれず、操舵力を落とす改造を行う必要がある。

⑤装具、自助具

a)旋回装置

・個別に手部を採型し、手掌方旋回装置を作成する。

b)移乗板

・プッシュアップ能力の低い人は車椅子シートと運転席の間に移乗板を置く。

c)開脚防止ベルト

・下肢が開脚して左側の装置を押さぬよう、両大腿部をベルトで結ぶ。

⑥麻痺レベルと運転能力

機能レベル 運転能力獲得の可能性
C6A、C6A 困難
C6A,C6B1 特殊装置と改造で可能性あり
この間は個人により異なる
C6B1,C6B1 円滑性不十分ながら何とか可能

⑦自動車運転免許

⑧試乗評価

運転は残存機能を補う自動車の選択から始まる。自動車は健常者のデータをもとに作られ、その性能は車種ごとに若干異なり、わずかな相違が運転操作に影響する。試乗評価により乗降性、操作性などの確認を行い、ベース車両と改造内容を決定する。

その項目は、乗降できるか、運転姿勢は保てるか、ハンドルは円滑にまわせるか、急停止はできるか、運転席周りの確認、である。

⑨運転しやすい自動車

a)運転用補助装置

・身体障害者用運転座席

・手動装置

b)自動車メーカーが開発した障害者用自動車

 

5)結婚生活

独身者で受傷した脊損者にとって、結婚問題が最大の悩みでもある。これは、既婚者とて同様だが性生活、妊娠、分娩に対する不安ははかりしれないものがある。

わが国においてもこの方面の研究が進められ、脊髄損傷者の人工受精や女性四肢麻痺者の自然分娩の成果が報告されている。しかし、十分に普及するに至っていない。一般に男子脊損者の性機能としては勃起、射精機能と受精能力の障害が挙げられる。直腸から電極を肛門に入れ、射精の神経を刺激する方法や、人工射精でも射精できない人には、副睾丸や睾丸を切って精子を取り出す方法もある。女性脊髄損傷者において男性が正常であればほとんど支障はないが、妊娠、分娩にいたるときには産婦人科・泌尿器科・リハなどの総合的なプロジェクトを組み対応することが望ましい。

心理的問題などに対して、指導ができるようなカウンセラーの配置やさまざまな情報の提供ができるようなシステムづくりが望まれる。

結婚生活で最も重要なことは、お互いの理解と協同のなかで励ましと安らぎが得られる場作りであり、障害者の結婚生活には周囲の理解と支援が不可欠であることを強調したい。

 

6)地域生活

①心理的準備

地域生活をする場合、自分の身体障害を他人の目にさらさなくてはならず、脊髄損傷者にとっては健常者の頃の日常意識、つまり人並み意識や、他人に変に思われたくないといった意識がどこかの時点で根底的に揺さぶられることになり、健常者の頃の日常意識を捨てない限り、外出すら不可能になる。こうした心理的準備が整ったときに初めて地域生活が可能となる。

②生活しやすい環境

a)車椅子を特別視しない環境

b)車椅子で利用できる建物が用意されているか

c)障害者福祉の整った環境

d)坂道、積雪の有無など

e)脊髄損傷者が働ける職場の有無

③観光旅行

脊髄損傷者が観光旅行する場合、観光地に身体障害者用トイレ、スロープ、宿泊できるホテルがあるかどうかも切実な問題である。関連するものとして「全国車椅子宿泊ガイドマップ」が出版されている。また、女子の脊髄損傷者は、身体障害者用トイレがない場合、自家用車を利用せざるをえないので、目隠しができるカーテンの設備も必要となる。

(・∀・)参考文献

医療学習レポート.頚髄損傷と社会参加


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