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(/・ω・)/脳と高次機能の話


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(1)脳波と睡眠

 

1)脳波

大脳皮質の活動レベル(意識レベル)は、頭皮上の決められた部位に接着した電極から振幅数十μV(マイクロボルト)の脳波(EEG)として記録することができる。

 

脳波の種類

安静覚醒時には、8~13Hz(ヘルツと読み、この場合は1秒に8~13の山が出現することを意味する)の波が計測され、これはα波とよばれる。

まどろみ状態となると、4~8Hzのθ(シータ)波となり、中等度の深さ~熟睡状態では2~4Hzのδ(デルタ)波となる。

δ波は徐波ともよばれる。

一方、覚醒状態でも暗算をするなどにより注意を集中すると、13Hz以上の周波数で低い振幅の波が出現する。

これをβ波という。

脳波はてんかんの診断に威力を発揮するほか、誘発電位によって感覚機能障害の部位診断をすることができる。

誘発電位は、特定の感覚刺激を与えたときの脳内の伝導路各所からの脳波を記録するものであり、脳内の伝導路のどこに障害があるかを診断することができる。

 

2)睡眠

ヒトを含めた動物が、なぜ眠らなくてはならないかは、いまだに完全にはわかっていない。

睡眠は、単にからだと脳の休息のために必要であると考えることもできる。

しかし、毎日1時間の睡眠で健康に過ごしている人がいる一方で、毎日7時間の睡眠をとっている場合が最も長命であるという研究結果もある。

このように、睡眠と健康とがどのように関係しているかは不明な点が多く、解明しなくてはならない問題が多く残されている。

睡眠は、普通の睡眠(ノンレム睡眠)とレム睡眠とに分けられる。

ノンレム睡眠は、出現する脳波の種類によって浅い眠りから順に第1期~第4期に分類される。

レム睡眠は、急速眼球運動の頭文字をとって名づけられた睡眠であり、その名の通り急速な眼球運動を伴うのが特徴である。

レム睡眠は、脳波上は覚醒しているようにみえるが、睡眠は持続しており、刺激を与えてもなかなか覚醒しない。

このため逆説睡眠ともよばれる。

全身の骨格筋が弛緩し、心拍数や呼吸数が増加し、成人男性では陰茎の勃起などがおこる。夢をみているのもこの時期である。

レム睡眠は、約90分の周期で一晩に3~6回出現する。

レム睡眠の持続時間は、1回目は5~10分であるが、しだいに延長し、早朝のレム睡眠は30分程度続く。

新生児では全睡眠時間の50%をレム睡眠を占めるが、成人では20%程度である。

レム睡眠を行うことで熟睡感を生じるが、通常の睡眠薬はノンレム睡眠を延長するだけであるため熟睡感は得られにくい。

入眠はノンレム睡眠が残っているうちにレム睡眠にはいってしまうことがある。

これがいわゆる「金縛り」であると考えられ、全身の筋が弛緩しているために身動きできず、恐怖感を味わう。

 

(2)記憶

 

短期記憶

短期記憶は、すれ違った見知らぬ人の顔や服の色を覚えたり、一度だけかける電話の電話番号を記憶したりする場合などに、数秒間だけ保持される記憶である。

数秒間だけ保持された後は、新しい情報がつぎつぎと入力されるため忘却される。

しかし、何度も暗唱するなどして反復することにより、長期記憶に変換される。

 

長期記憶

長期記憶は数分~数年間保持される二次記憶と、死ぬまで保持され忘却されない三次記憶に分けられる。

自分の名前、幼いころの思い出、地球は球形をしているなどの基本的知識などが三次記憶にあたる。

長期記憶はその内容により、大きく陳述記憶と非陳述記憶に分類することもできる。

陳述記憶はエピソード記憶(思い出)と意味記憶(学校で習うような知識)に分けられる。

エピソード記憶は1回だけで記憶されるが、意味記憶は反復によって記憶される。

非陳述記憶は意識にのぼらない記憶であり、自転車に乗るなどの運動技能や、技術・習慣・くせなどがこれにあたる。

 

記憶の保持

短期記憶を一時的に保持し、反復再生を可能にしているのは前頭葉であると考えられている。

そして、反復によってその記憶を長期記憶に変換する際には、海馬が重要な役割を果たしているらしいことが明らかになってきた。

海馬が障害されると短期記憶は正常であるが、それを長期記憶に変換することができなくなり、健忘(前向健忘)となる。

そして長期記憶の保持は、陳述記憶では側頭葉や間脳が、非陳述記憶では大脳皮質運動野-大脳基底核-小脳のほか、綿条体や扁桃体も関与すると考えられている。

記憶が保持されるしくみは、いまだに不明な点が多い。

ただし、シナプスの長期増強や長期抑圧が深く関わっていること、神経細胞のチャネルの性質が変化すること、神経回路が変化する(新しいシナプスが形成されるなど)こと、長期記憶ではタンパク質が合成されることなどが明らかになりつつある。

 

(3)本能行動と情動行動

 

情動と摂食行動や性行動などの本能行動を調節するのは、大脳辺縁系と視床下部である。

 

大脳辺縁系

大脳辺縁系は、大脳皮質の一部である海馬などの辺縁葉(帯状回)、扁桃体、中隔核などを合わせた呼び名である。

辺縁葉は、大脳皮質といっても系統発生的に古く、ほかの大脳皮質とは組織学的に異なった構造を示す。

大脳辺縁系は、情動や本能行動を発現し、それに伴う自律神経系や内分泌系の反応を引き起こす視床下部と、記憶・認知・判断・行動などの最も高級な機能をもつ新皮質との間にあって、両者を中継する役割を果たしている。

新皮質が極めてよく発達したヒトでは、視床下部による情動・本能行動の発現は大脳皮質によって強く制御されており、どれだけ完全に制御できるかがその人の成熟度をはかる尺度ともなる。

 

1)本能行動

 

摂食行動

動物は空腹になると物を食べ、十分に食べると満腹感を生じて食べるのをやめる。

このような摂食行動の開始と終了を引き起こす摂食中枢と満腹中枢は、視床下部に存在する。

摂食中枢が障害されると空腹感を生じないため、動物は摂食行動をおこさずにやせ細る。

一方、満腹中枢が障害されると、いくら食べても満腹感が得られず、過食によって動物は肥満する。

摂食中枢と満腹中枢の働きを調節しているのは血糖値である。

摂食によって血糖値が上昇すると、満腹中枢のニューロンにあるグルコース受容体にグルコースが結合してニューロンを興奮させ、満腹感を生じさせる。

逆に、摂食中枢のニューロンはグルコースによって抑制されるため、血糖値が下がったときに興奮し、空腹感を生じる。

脂肪細胞から分泌されるホルモンであるレプチンは、摂食中枢のニューロンの興奮を抑制する。

脂肪細胞が増加すればレプチン分泌量が増加し、摂食を抑制するという負のフィードバックにより調節されている。

 

飲水行動

血液の浸透圧が上昇すると、それが視床下部で検知され、視床下部から下垂体後葉にのびるニューロンによる神経内分泌によってバソプレシンが分泌される。

これにより、腎臓での水再吸収が促進される。

同時に、同じく視床下部にある飲水中枢が興奮して口渇感を生じ、飲水行動にかりたてる。

 

性行動

視床下部は、黄体形成ホルモン放出ホルモンを分泌して下垂体からの性腺刺激ホルモンの放出を促進し、性ホルモンの分泌を促進して性欲を亢進させて性行動に向かわせる。

また、視床下部には性中枢があり、性行動を発現させる。

これに対して、大脳辺縁系は抑制的に働き、性行動の無制限な発現を抑制するとともに、適切な交尾相手の認知に働いている。

大脳辺縁系の扁桃体などを破壊されたオスの猫では、性欲が異常に亢進すると同時に、適切な相手が分からなくなり、イヌやニワトリにも交尾しようとする。

 

母性行動

視床下部は、プロラクチン抑制ホルモンを分泌することによって下垂体からのプロラクチン分泌を抑制し、プロラクチンによる母性行動の発現にも間接的に関与する。

 

2)情動行動

 

情動とは定義しにくいことばであるが、感情や気分に基づいて対外的に表現される行動(表情の変化なども含む)が情動行動であり、自律神経系や内分泌系による内臓や血管の機能変化を伴うことが多い。

情動行動には、恐怖にともなう逃避行動や、怒りによる攻撃行動などがあり、いずれも大脳辺縁系・視床下部によって制御されている。

ただし、ここで制御されるのは行動あるいは表情のみであり、恐怖や怒りの感情を生じるのは大脳の新皮質である。

たとえば、猫の視床下部(外側視床下部)や扁桃体を電気刺激すると、歯をむき出し、毛を逆立てるなどの怒りの表情を見せる。

しかしその怒りの表情は意味のない対象に向けられている。

私達は、むずかしい仕事を達成したり、重圧から開放されたりすると、快感を生じる。

逆に、失敗したときには気分が悪い。

このような快・不快の気分を生じるのも、大脳辺縁系・視床下部から中脳にかけてである。

快感を生じる部分を報酬系、不快感を生じる部分を懲罰系とよぶ。

 

(4)内臓調節機能

 

内臓の諸機能を調節する中枢は延髄・橋・中脳からなる脳幹にある。

この部分には交感神経と、迷走神経をはじめとする副交感神経の核が網目状に存在し、ここに内臓諸器官からの求心線維、大脳や視床下部からの下行線維が入力する。

これらの入力された情報に基づいて、これらの核から出力が自律神経を経て全身の内臓・血管・汗腺などに送られてその機能を調節している。

 

(5)中枢神経系の障害

 

中枢神経、とくに大脳には、思考・記憶・知性・意識などの昨日が局在しており、器質的・機能的異常によってさまざまな障害が出現する。

 

意識障害

中脳から視床下部にかけて、上行性網様体賦活系が脳内出血などで障害されると、大脳の機能レベルを調節している。

この網様体賦活系が脳内出血などで障害されると、大脳の機能レベルが低下し、意識障害を生じる。

 

意識レベル

意識レベルはまったく正常な意識清明から、覚醒度が軽度に低下した意識混濁、強い刺激を加えないと覚醒できない昏迷、呼びかけに全く反応しない昏睡に分類される。

このような意識レベルを数量的に評価するために、国際的にはグラスゴー・コーマ・スケール(GCS)が用いられる。

これは、開眼、言語および運動機能の3つの評価項目において、患者の反応に応じて4~6段階に分け、その評価点の合計により意識レベル、意識障害の重症度を評価する方式である。

わが国では、ジャパン・コーマ・スケール(3-3-9度方式)が用いられている。

これは、まず覚醒障害の有無により3段階に分類し、さらにこれらの各群を刺激に対する反応性により、それぞれ3段階にわけ、合計9段階に分類する方式である。

意識が清明な場合を0とすると、合計10段階に分類されることになる。

意識障害は、脳内出血や梗塞などの脳血管障害、外傷、脳炎など、脳自体の障害のほか、低酸素血症・尿毒症・糖尿病・急性アルコール中毒・薬物中毒などのさまざまな全身的疾患が原因となる。

 

植物状態と脳死

重症の頭部外傷のあとなどに、大脳による精神活動が完全に、そして永久に失われる場合がある。

これが植物状態である。

一方、脳死は大脳のみならず脳幹までを含む脳全体の機能が不可逆的に失われた状態である。

 

失語

大脳が局所的に障害されると、その障害された部位が担当していた機能が失われる。

大脳皮質運動野が障害されれば反対側の運動麻痺を生じ、感覚野が障害されれば反対側の感覚麻痺を生じる。

同様に、大脳皮質の言語機能を担当している部位が障害されると失語を生じる。

前途したように、言語の構成は前頭葉後下部にある運動性言語野(ブローカ中枢)で行われる。

運動性言語野は大部分の人で左大脳半球にあり、右半球の同じ部位は音楽に関係している。

運動性言語野が障害されると言語を構成することができなくなり、したがって話せなくなる。

これが運動性失語症である。

男性の言語中枢は左半球に局在しているが、女性の場合は右半球にも分散していることが多いため、運動性失語は男性に多い。

また音楽は右半球担当であるため、話すことはできなくても歌詞付きの歌を歌うことはできる場合がある。

また、左半球の側頭葉後上部にある感覚性言語野(ウェルニッケ中枢)は、聞き取った言葉を理解する中枢である。

したがって、この中枢が障害されると、まったく知識のない外国語を聞いているときのように、言語の理解が不可能となる。

そして、話すことはできるが誤りが多くなる。

これを感覚性失語症という。

 

精神疾患

大脳皮質の機能的異常は、さまざまな精神疾患を引き起こす。

代表的な精神疾患である統合失調症とうつ病は、どちらも脳内における特定の神経伝達物質の不足や、過剰によっておこる。

不安神経症や強迫神経症などの神経症も、機能的異常に起因する。

一方、代表的な早期性認知賞であるアルツハイマー病では、大脳皮質へのアミロイドと呼ばれるタンパク質の蓄積が著明であり、器質的障害であるといえる。

アルツハイマー病では、脳内のアセチルコリンやセロトニンが減少し、逆にノルアドレナリンは増加し、記名力障害や妄想などの症状を出現させる。

そして、最終的には人格の崩壊にいたる。

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