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(/o\)痴呆と臨床症候の話


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( ☆∀☆)題名:痴呆と臨床症候の話

痴呆の臨床症候

老年期痴呆の症候は、中核症状と周辺症状に分けて考慮することが、治療などを考える意味において必要である。

A.痴呆の中核症状

痴呆の中核症状として下記のようなものが上げられる。中核症状は痴呆に必須な症状である。これが存在するために痴呆を診断される症状であり、これのない場合、痴呆とはいい難い。これらがほとんど一様に出現するのが常であるが、症例によっては、とくに脳血管性痴呆では、記銘力・記憶力障害が顕著であるのに計算力はほとんど冒されない場合もある。また、記銘力・記憶力が顕著である割に判断力が必ずしも強く冒されない場合もあるが、病勢の進行とともに全てが冒されることになる。最終的には記銘力・記憶力障害を免れることはない。

1.記銘力・記憶力障害

記銘力とはものを覚える能力であり、記憶力とは覚えた事柄を持続して有することである。加齢ともに記銘力・記憶力が低下してくるが、これは生理的なものである。軽度の記銘力・記憶力障害は生理的なものとして、どこに線を引くかが問題であり、ときには判別が微妙なことがある。しかし、ある程度進行した状態では区別は明確である。

老年期痴呆では、記銘力とくに最近の事柄についての記銘力障害(近時記憶力)が著明である点が特徴的である。目前にいろいろなものを提示して、その後に提示した物品の名前を言わせる場合、一つを示した場合でも答えられないほどになる。例えば食事をした直後に食事をしたことを忘れる。また、今述べたことをすぐ忘れてしまうなどが認められる。このようなことは、日常生活、社会生活に重大な影響を与えることから問題になる。また、記銘力障害は注意力散漫、自発性低下などにより増強される。

一方、比較的昔のことはremote memoryは保持されており、明確な対象を示しやすい。とくに生まれた場所などはほとんど全ての記憶力が障害されていても保持されることが多い。これは生まれた場所は若い時から記憶されており、かつ変わらないためである。

また言葉も忘れ、固有名詞、抽象名詞がとくに忘れやすい。これは生理的な老化でも見られるものであり、健常人でも最初に固有名詞を忘れやすくなる。

 

2.見当識障害

痴呆の初期の診断にもっとも重要な症状である。見当識障害は時、場所、人物に対する見当がつかなくなるものである。見当識障害は通常、時に対するもの、ついで場所に対するものがより敏感に変化する。今日は何月何日であるか、今いる場所はどこかについて答えられない場合はまず痴呆と考えてよい。

見当識障害が高度になると昼と夜の区別も困難となる。場所に対しての見当識障害から自分の部屋を忘れること、便所の場所がわからないことなどがしばしば経験される。また人物に対する見当識障害も病勢が進行するほど顕著になる。子供や配偶者も認識できなくなることもある。

また、記銘力・記憶力低下が生理的老化である場合は見当識障害はない。見当識障害の存在の有無は生理的範囲の健忘と病的である痴呆を区別する最も信頼できる症状といえる。

 

3.計算力障害

痴呆例では計算力が障害される。足し算より引き算が障害されやすい。計算の場合、金の単位である円をつけて聞くと、単なる数字の計算より正解が多くなる傾向がある。また元来数字を取り扱うことの多い職業(営業関係、銀行関係など)の場合は、他の知的機能がかなり障害されていても計算力は比較的保たれている場合が多い。脳血管性痴呆の比較的軽症例では、記銘力がかなり冒されていても計算力はほぼ正常に保たれていることが稀ではない。

 

4.思考力障害

記憶力障害に加えて系統的な思考が障害される。連想も緩徐、貧弱となり判断力は低下する。思考の内容が貧弱となり、頑固で質問に対して同じことを繰り返すことも多い。また、環境の認識が不十分であることから、とんちんかんな答えを繰り返すことにもなる。また自分の考えを固執することも多い。一部にはまとまったこともあるが、全体としてはとりとめがない形になる。

 

B.痴呆の周辺症候

痴呆の周辺症候という意味は必ずしも全症例に出現するわけではない。周辺症候は主として各種の

精神症候を主とし異常行動もこれに含まれる。

1.自発性低下・意欲減退

痴呆の初期に見られるもので病勢の進行とともに増強してゆく。全ての日常生活に対する意欲が減退してくるが食事に対しても積極的に食べない状態にもなりうる。テレビや新聞を見ていてもその内容はわかっていない唯漠然と見ている状態である。女性の場合は、簡単な副食物のみ、また毎日同じ献立の料理を作るなど知的機能低下とともにやる気のない状態が見られる。

自発性低下・意欲減退は脳卒中後遺症の精神症状として最も多いものの一つであることが、脳血管痴呆でも多く見られる症状である。これらは能循環代謝改善薬にある程度反応することがある。

 

2.うつ状態

痴呆の初期に認められやすい症状である。発後が少なくなり、外出することや人と会うことが嫌いとなり全てに懐疑的になることもある。被害妄想や、関係妄想などの出現するきっかけともなりうる。

 

3.せん妄

せん妄は意識混濁に錯覚や幻覚をともなった錯乱状態をいう。老人ではよく見られ特に夜間せん妄が起こりやすい。初期には易疲労性、意欲低下、集中力低下感情の不安定、記銘力低下などを伴うことがある。妄想状態もよくみられ、脳の器質的変化ではあるが、その人の素質、環境的・心理的因子が関係深いものと考えられる。

痴呆に合併しておこることも少なくないが、その他の疾患でも多く見られるため痴呆との鑑別が必要となる。せん妄が見られる疾患としては、脳血管障害、糖尿病、パーキンソン病、悪性腫瘍、心不全、電解質異常や各種薬剤の副作用(あるいは作用)などでもみられる。初期の症状として老年者では診断してしまいがちであるが、その他の疾患の存在の有無を確認する必要がある。

 

4.幻覚・妄想

幻覚は痴呆の症状として必ずしも多いものではないがしばしばみられることがある。幻覚には動物は比較的少なく、人物、とくに死亡した家族などが多いようである。

妄想は被害妄想が多く、とくに経験されるのは物を盗まれたこと、なかでも財布が盗まれたとするものが多い。嫉妬妄想も時に経験され、配偶者の不倫を強く信じて全てをこのことに集中することもある。その他には、他人が悪口を言ったなどという被害妄想もある。

 

5.不安・焦燥

痴呆では、知的機能低下が著明であることからいろいろなことに対して鈍感であろうと思いがちであるが、実際はそうでない。極めて気の小さいところ、敏感なところがありこのため不安や焦燥を感じている状態が少なからず経験される。例えば、病院受信の日、朝からそわそわしており、服装その他を気にして落ち着かないなどが見られる。

 

6.精神興奮

精神興奮は痴呆例の場合ではとくに環境の変化した場合に出現しやすい。精神興奮は、住居などの変化のみではなく、対応する人、看護する人、同居する人などの変わったときにも出現する。そして落ち着くまでには長時間が必要である。夜間にとくに興奮しやすく典型的な夜間せん妄などを示すことも稀ではない。痴呆例では易刺激性が強く興奮しやすい面があるといえるが、凶暴となることは比較的少ない。

 

7.攻撃的態度

痴呆の症例によっては診察その他に対し攻撃的な態度を示す場合がある。診察を拒否したり、体に触れさせないなどである。しかし必ずしも頑固である場合も少なくない。

 

8.異常行動

行動異常が明らかになれば痴呆は中程度であるといいえる。行動異常には徘徊や不潔行為が多くとくに前者はアルツハイマー型痴呆にしばしば経験される。

暑いのに雨戸を閉めきって寝る。ご飯にお汁その他の副食物を入れてかき混ぜる、無断で家や病室を抜け出し想像もつかないほど遠いところで見つけられるなどである。また同じ物を買いあさるなどもみられるが、本人は否定したり、また必要性を主張したりするが理由などは明確に述べ得ないのが常である。不潔行為には便を弄ぶ、あるいは食べるなどの行動も見られる。

性的行動としては、性器を露出したり、男性では女性のベッドにもぐりこんだり、女性ではいたずらされたとか、接吻されたとかの妄想を口にしたりする。性的行動は痴呆例では頻度は少ない。

 

9.失禁

尿失禁が多いが、症例によっては便所を認識していないことから便所でないところ排尿する場合がある。痴呆例であっても尿失禁に対して羞恥心や不潔感がないわけではなく家族にしられないように処置を行おうとしたり、隠そうとする。尿失禁を自分で認めなくなるのは相当病勢が進行していると考えてよい。

 

10.失行

痴呆例では着衣の失行などがよくみられる。下着をつけずにズボンをはいたり、着物の前後が解らなかったり、衣類をつけたまま風呂に入ったりする。このような失行は痴呆の中程度以上の進行を意味すると考えられる。

 

11.無為・自閉

痴呆例の末期となると一日中呆然としているようになるが、症例によっては比較的初期から、無為・自閉の状態を示す場合がある。

 

C.痴呆の原因疾患と鑑別

痴呆の原因として以下のものが挙げられる。出現頻度については脳血管性痴呆が42,8%、アルツハイマー型痴呆が32%でこの二つで全体の約8割を占める。その他混合性痴呆が14、4%、その他が10%程度である。

脳血管性痴呆 脳出血、脳梗塞、クモ膜下出血、多発性ラクナ梗塞
退行変性疾患性痴呆 アルツハイマー型痴呆、進行性核上性球麻痺、ピック病ハンチントン舞踏病
内分泌・代謝・中毒性痴呆 甲状腺機能低下症、ビタミンB12欠乏症、肝性脳症、Wilson病、低酸素症、薬物中毒
感染性痴呆 遅発性ウイルス感染症、脳腫瘍、Creutzfeldt-Jakob病、進行麻痺
腫瘍性痴呆 脳腫瘍、髄膜癌腫症、癌の遠隔効果
外傷性痴呆 頭部外傷後遺症、慢性硬膜下血腫、punch-drunk症候群
その他 正常圧水頭症、多発性硬化症、SLE、Behcet病、AIDS

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( ・∇・)参考文献

医療学習レポート.痴呆と臨床症候


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