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(/o\)聴神経腫瘍の話


(^0_0^)題名:聴神経腫瘍の話

 良性腫瘍であり、脳腫瘍の7~8%を占める。腫瘍は聴神経(聴力に関係する蝸牛神経と平衡感覚に関係する神経から成る)の前庭神経の部より発生する。また、この神経がシュワン鞘で被覆されはじめる部、すなわち内耳道に入ったばかりの所より発生する。初期は内耳道入り口で大きくなり、内耳道は漏斗状に拡大する。しかし、この程度で発見されるものは少なく、多くの場合、小脳橋角部で腫大し、三叉神経、顔面神経を圧迫し、また、橋の側腹部を圧迫陥凹させ、神経症状・小脳症状を伴い発見される。中脳水道、第4脳室を圧迫閉塞し、水頭症、頭蓋内圧亢進を来すことがある。腫瘍は淡黄色で比較的軟かく、内部に多房性の嚢胞を作っていることが多い。組織学的にはAntoniA型とB型とに分けられる。前者は細長い紡錘形の腫瘍細胞が太い束を作って絡まり、クロマチンに富んだ核が柵状に並んだもので、後者はA型が変性したもので、細胞が網目状となり、小嚢胞を作ることも多い。

●病態アセスメント

 腫瘍の発生場所が小脳橋角部で、腫瘍の進展度によって症状に差異がみられる。小脳症状のある患者では歩行障害が出現し転倒等の危険が多い。聴力障害のある患者では健側から話しかける等コミュニケーションに配慮が必要である。多くは耳鳴・難聴で発症し、近傍脳神経症状(顔面神経、三叉神経)さらに進行すれば小脳症状を呈し、中脳水道圧迫による水頭症で頭蓋内圧亢進症状が出現する。そのため、臨床症状やCT等の所見から腫瘍の進展度を把握し、手術の侵襲、危険度等を知っておく必要がある。 また、手術による機能喪失、外観の変化の可能性があり、それによる患者への身体的・精神的影響も大きい。

●症状

 発症は耳鳴・難聴が多い。前庭神経から発生することから、めまいの訴えが多いように思われるが、これを初期に訴える患者は少ない。これは健側で代償されているためと考えられている。まれに突発性難聴の形で発症することもある。聴力障害は次第に進行していく。耳鳴は聴力障害の進行とともに減少することが多い。顔面神経麻痺は少なくて、顔面の感覚障害、角膜反射の減弱のほうが先に見られることが多い。腫瘍が大きくなるにつれて、橋と小脳の圧迫症状が現れる。患側の手足の運動失調、歩行障害などである。この頃になると、第4脳室の閉塞またはテント切痕部での髄液の流通障害により水頭症を来し、頭蓋内圧行進症状として頭部全体の頭痛、うっ血乳頭等が現れる。さらに下位脳神経(迷走神経、舌咽神経)の障害のため発音障害、嚥下障害を来す。

 臨床症状は次の4期に分けることができる

第1期:患側の耳鳴、難聴、眩暈

第2期:患側の角膜反射消失、顔面知覚鈍麻、末梢性顔面神経麻痺、小脳半球症状

第3期:構音障害、嚥下障害、歩行障害、片麻痺

第4期:頭蓋内圧亢進

●検査

 神経耳科的検査

聴力検査

前庭・平衡機能検査

 神経放射線検査

頭蓋単純撮影

CT、MRI

血管造影

●治療

 腫瘍が小さいときには、顕微鏡を使用して手術を行うと全摘出することができる。生命に対する予後は良好である。小型であれば、聴力、顔面神経の両方温存できるが、直径5センチメートル以上のものになると聴神経のみならず顔面神経を残すのも難しくなる。良性腫瘍であるから、高齢者の場合、顔面神経を犠牲にしてまで全摘しない場合もある。手術のアプローチは耳介後部の後頭下開頭で行なうことが多い。顔面神経を損傷した際は後ほど舌下神経や副神経と吻合することがある。

●経過と管理

 1.聴力障害

 聴力障害は腫瘍の進行とともに次第に進行し、術後も変わらず続くため、術前、術後を通して健側から話しかける等コミュニケーションに配慮が必要である。

 2.小脳症状

 腫瘍が大きくなるにつれて、橋と小脳の圧迫症状(患側の手足の運動失調、歩行障害など)が現れる。また、腫瘍は平衡感覚に関係する前庭神経より発生するため前庭機能障害による平衡感覚の異常も出現する。眩暈や平衡機能障害、歩行障害による転倒等の危険性が高いため患者の日常生活のおける安全に特に注意した援助が必要になる

 3.近傍神経症状(顔面神経、三叉神経)

 聴神経腫瘍は、小脳橋角部にあり、大きくなると顔面神経以外に舌咽神経、迷走神経の下位脳神経や三叉神経にも接している。したがって摘出術に際しては、多かれ少なかれ、これらの脳神経への影響は避けがたい。顔面神経麻痺や嚥下障害、三叉神経麻痺による角膜知覚喪失は術後むしろ憎悪する可能性がある。とくに兎眼と合併した角膜知覚の喪失は、角膜炎や角膜損傷をきたしやすいので眼球の保護に注意する必要がある。また、顔面神経麻痺による顔貌の変化に対して精神的援助が必要である。嚥下困難や喀痰排出困難は呼吸器合併症を助長するので気管切開や経管栄養が必要となることがある。

 聴神経腫瘍の術後、顔面神経を健全に保てなかった時には、顔面神経~舌下神経(あるいは副神経)吻合術が行われる。

●術後合併症

 1.髄液漏、髄液の皮下貯留

 聴神経腫瘍に限らず、一般にテント下(後頭下)開頭術の術後では、硬膜を密に縫合していないと髄液が皮下に貯留したり、手術創からドレーンを通じていつまでも排出されることがある。髄液漏出による手術創ガーゼの汚染や髄液鼻漏の有無、創周囲の皮膚のブヨツキ等観察をおこなう。髄液漏や皮下貯留液が改善しない場合は、感染の温床となりうるので、穿刺・吸引後の圧迫包帯、あるいはスパイナルドレナージの適応となる。あるいは硬膜閉鎖術が必要となる場合もある。

 2.空気塞栓

 手術が坐位で行われたときには、頭頸部の静脈圧が陰圧になるので、空気が静脈内に入り空気塞栓をおこしやすい。空気塞栓の予防のため術後も12~24時間坐位保持を続ける。空気塞栓に次いで注意が必要なのは、術中の低血圧であり、循環血液量を維持するために両下肢に弾力包帯を巻く。

 3.後出血

 後頭下開頭術の術後はわずかな後出血でも呼吸停止を来しうるので十分な注意が必要である

●看護計画(術前)

Ⅰ.アセスメントの視点(術前)

 聴神経腫瘍では、腫瘍の進展度によって患者の症状に差異がみられる。即ち、ごく初期の聴神経症状(耳鳴・眩暈・難聴)や顔面神経麻痺(味覚障害・目や口が閉じにくい)を呈するものから、三叉神経麻痺(顔面の知覚鈍麻と角膜反射の消失)、舌咽・迷走神経症状、頭蓋内圧亢進症状を示すものまで様々である。腫瘍の進行により中脳水道が圧迫され水頭症を来した患者は見当識障害、記憶障害の出現することもある。したがって、腫瘍の進展度を把握した上で患者の日常生活の安全に特に注意し、それぞれの段階に応じて個別に適切な援助を行うことが必要である。特に難聴は避けられないので患者とのコミュニケーションには十分な配慮が必要である。
患者や家族は、開頭術を受けることに対して、知的な活動が障害されたり、運動機能が障害されて社会的役割が果たせなくなるのではないか、生命の危険を伴うのではないか、といった不安をもっている。そのため精神的援助も重要である。

●看護計画(術後)

Ⅰ.アセスメントの視点(術後)

 腫瘍が小さいときには、顕微鏡を使用して手術を行うと全摘出することができる。生命に対する予後は良好であるが、腫瘍が大きいと術後に顔面神経麻痺をきたすことがある。ときに、顔面神経が損傷され、舌下神経や副神経と顔面神経の末梢の吻合術を必要とすることがある。多くの場合、嚥下困難や痰の喀出困難を伴うので、術後肺合併症に注意が必要である。後頭下開頭術のあとには合併症として髄液漏が起こりやすい。そのため、バイタルサイン・意識状態のほか、とくに髄液漏出による手術創ガーゼの汚染、気道内分泌物の喀出状況、嚥下状態に注意する。また兎眼のある場合には、眼軟膏や点眼薬で角膜乾燥や潰瘍形成の予防につとめる。後頭蓋窩手術の場合には、手術後にめまいを訴えることが少なくないので、まず座位になれさせてから徐々に歩行へとすすめる。坐位での手術に際しては特別の注意が必要である。頭頸部の静脈圧が陰圧になるので、空気が静脈内に入り空気塞栓をおこす危険性が高い。空気塞栓の予防のため術後も12~24時間坐位保持を続ける。空気塞栓に次いで注意が必要なのは、術中の低血圧であり、循環血液量を維持するために両下肢に弾力包帯を巻く。

(^_-)参考文献

医療学習レポート.聴神経腫瘍


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