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(o^・^o)歯肉癌の話


「歯肉癌」の画像検索結果

上下顎の歯槽突起を被覆している歯肉に原発した癌腫のことである。原発部位の解剖学的特徴のため、極めて早期から隣接する顎骨に進展、浸潤する。さらに発育すると、顎、唇、ロ底および翼突下顎隙などの隣接軟部組織へ進展していく。また所属リンパ節への転移も高頻度に見られ、口腔悪性腫瘍のうちでも予後不良な高悪性度の癌腫とされている。上下顎歯肉癌は全口腔癌の10%~20%を占める。高分化型の扁平上皮癌が90%で、他は腺癌、悪性エナメル上皮腫である。発病に関する要因に、酒、煙草、食事、放射線被爆、ウイルス感染、慢性炎症などの外部要因と遺伝、高年齢などの内部要因がある。癌腫では、男性に多く、女性の約2倍と言われている。

病態アセスメント

 病名告知の有無にかかわらず、口腔領域にあるため、癌の状態を自分で直視できること、食事の摂取障害、術後の顔貌の変形による審美障害などで不安が強く、安易な慰めは通用しない。従って、治療への前向きな姿勢と闘病意欲を高める働きかけが必要である。告知は、解剖学的理由から避けられないものであるため、一般的となっている。

症状

 上顎歯肉癌の発生頻度は下顎歯肉癌の1/2~1/3で、上顎の発生頻度は低い。

 1.上顎歯肉癌

 初期には白斑型、紅斑型、肉芽腫、乳頭腫型、腫瘤型のものが多く、潰瘍型は比較的少ない。一般に自発痛、圧痛は少なく、出血もあまり見られないのが普通である。歯肉より周辺の組織に拡がる頃表面の潰瘍形成、接触痛が著明で易出血性になる。腫瘍塊が上顎骨、上顎洞内に充満する像が認められると、発熱や全身倦怠感などの全身症状が現われるものも少なくない。

 2.下顎歯肉癌

 びらん、潰瘍形成のものが多いが、腫瘤型、潰瘍型、白斑型、乳頭腫型、肉芽腫型などの多彩な病変が現われる。一般に自発痛は少ないが、腫瘍が増大し、二次感染を起こすと有痛性となり出血を伴う事もある。歯の動揺が主訴である時期には、腫脹と疼痛が強い。腫瘍が下顎管にまで及ぶと、三叉神経傾域に麻痺が出現することがある。

検査

  • 血液一般検査
  • 尿一般検査
  • 胸部X-P
  • 心電図
  • 呼吸機能検査
  • 抗生物質皮内反応
  • 合併症のチェックとコントロール
  • 栄養学的検査
  • CT
  • MRI
  • 超音波
  • 核医学検査

治療

 1.上顎歯肉癌

手術療法

上顎部分切除術 上顎全摘出術

術後の変形・機能障害に対して形成再建術(即時、二次)

顎顔面補綴

三者併用療法 動注法と放射線照射、外科的切除

化学療法

 2.下顎歯肉癌

手術療法

下顎骨部分切除、区域切除、半側切除、リンパ節転移のある場合、周囲の脈管・筋肉を含めて原病巣と同時に一塊として切除する頸部郭清術

形成再建術(即時、二次)、顎顔面補綴

放射線療法と化学療法は手術療法の補助的、あるいは強化療法として行う。これは両者とも骨に対する治療効果において手術に一歩をゆずるからである。

術後の経過と管理

 手術直後は、麻酔が完全に覚醒するまでは全身状態の観察を十分に行い、バイタルサインに注意し気道閉塞、後出血、ショックの徴候などの危険を早期に発見する必要がある。術後4~5日より疼痛も局所に限局し、患者の意志表現もはっきりしてくる。創部の感染徴候に注意し、同一体位の持続、拘束に伴う苦痛緩和への援助が求められる。手術後の経過および状態の回復とともに、患者の関心が身の危険から社会復帰や家族へと広がっていく。離床が段階的にすすめられる時期になって、患者は自己の身体的変化、機能の喪失という現実に直面する。この現実を正しく理解し、回復への意欲を引き出す援助が必要である。さらに手術後の機能障害を克服して、家庭生活および社会へ復帰できるよう、個々に適した方法で、退院に向けて計画的指導を行う。

 1.精神的サポート

 術後、行動の制限をされ、摂食、言語、呼吸機能障害の苦痛と変化した顔貌に直面しなければならない。いずれも基本的な生命維持機能の障害である上に、容貌の変化も著しく、手術後、退院後の予期的不安がある。患者の手術、予後に対する受けとめ方やニーズを把握した上で、機能障害に対するインフォームドコンセントが必要である。不安や恐怖が最小限になり、手術と術後の治療に望めるよう、家族と共にサポートする必要がある。

 2.呼吸、気道管理

 術直後では手術侵襲や麻酔による呼吸機能回復の遅れとともに、気道内分泌量の過多、舌根沈下、口腔内よりの出血、頸部における血腫形成と浮腫などにより気道の狭窄、無気肺、肺水腫、肺炎がおこりやすい。

 3.感染予防

 術後感染予防として、ドレーンの除去まで、7日間ほどは抗生物質の点滴静注を行う。

 4.縫合創の管理

 口腔内の創部は、常に唾液で湿潤しており、術後は口腔内の常在菌や真菌が増殖して、不潔になり易い。消毒液で丁寧に清拭と洗浄を行い、創部の清潔に努める。植皮を行った創部は、生着状態を観察し、植皮のために皮膚を採取された部分は、肉芽増殖と上皮化の観察を行う。

 5.ドレーンの管理

 頸部郭清、再建を行った症例では、持続吸引ドレーンによる血液や浸出液の吸引、皮弁の密着、死腔形成の防止を図ることが多い。縫合部からの空気混入の有無、あるいはドレーンチューブ内の陰圧が保持されているかを確認し、また吸引量の過多と排液の内容についてチェックしなければならない。

 6.疼痛の管理

 術後疼痛は呼吸運動を抑制し、精神的にもダメージが大きいことから十分にコントロールする必要がある。

 7.輸液の管理

 術後は、水分、Na、Clの体内貯留傾向があることから、水、電解質バランスの異常が起こり易い。術前からの低栄養が十分に改善されていない場合、出血やショックなどで輸血や大量の輸液が必要とされる場合、術後の経口摂取が不可能なため、経管、あるいは経静脈栄養が必要な場合、高齢者や糖尿病、腎機能障害、浮腫性疾患などの合併症がある場合輸液量は大量になりがちである。また水分、電解質バランスに対する調節機構が十分に働かない時期であるだけに、肺の循環障害や浮腫、創傷治癒の遅れなどの合併症が起こり易い。

 8.経口、経管栄養、中心静脈栄養法(IVH)

 口腔内の創治癒の状態を見ながら、できるだけ早期に経口摂取を開始する。口腔内外におよぶ広範囲な手術においては、術後第1日日に経鼻的にシリコンチューブを胃内に留置し、完全成分栄養剤の注入を行う。IVHは、経口ないし経管栄養に併用、あるいは単独で用いられる。また、発熱の原因となりやすいので清潔な操作が必要である。

術後合併症

 1.肺合併症

 分泌量の過多や喀出困難、換気量不足、術創部の血腫形成などによる喉頭浮腫のため、気道圧迫の可能性がある。

 2.手術創の合併症

 1)血腫

 術後出血は、6時間以内に起こることが多い。血腫は縫合糸の緊張を高め、組織の循環を障害し、細菌感染の培地となって感染を誘発し、創傷の治癒や皮弁の生着を妨げる。

 2)再建材料の壊死

 壊死は再建材料の循環障害によってもたらされるが、血腫による影響も見逃せず、壊死に感染が合併すると広範囲な縫合不全を招きやすい。壊死は術後急速に進行する。全頸部郭清後の頸部皮弁に広範な壊死が生ずると、頸動脈が露出する危険がある。

 3)手術創部の感染

 術後5~7日日に発症することが多い。口腔内では創部が唾液によって常に湿潤しており、小さな縫合不全でも次第に唾液瘻を形成し、感染へと遷延する傾向が強い。放射線照射された創部は循環障害のため縫合不全や創治癒の遅延、感染もきたし易い。

 3.審美障害

 手術領域が顎、顔面、頸部リンパ節に及び、切除範囲が拡大するにつれ、容貌の変化が著しくなる。

 4.機能障害

 術後、嚥下障害、咀嚼障害、言語障害などがおこり苦痛が大きい。

看護計画(術前)

Ⅰ.病態アセスメント(術前)

 全身麻酔で手術が行われるため、全身状態の評価が必要である。高齢者も多いので、既往症や機能の低下には十分注意する。
早期癌は通常無症状であるが、やがて歯肉の腫脹、歯の動揺、義歯の不適合などが初発症状として自覚されるため、食事が十分取れず低栄養状態をきたすようになる。摂取状況と口内症状などの自覚症状を把握する。客観的な評価指標として、ⅩーPや血液検査に着目する。また、口腔領域にあるため癌の状態を直視でき、安易な説明では不安は大きくなるため精神的援助も必要である。

看護計画(術後)

Ⅰ.病態アセスメント(術後)

 口腔領域の悪性腫瘍の手術は、手術領域が顎、顔面、頸部リンパ節に及び、切除範囲も拡大されるため、術後の機能喪失が大きく、容貌の変化も著しい。術後合併症の防止の他に、食事摂取障害に対する援助、会話困難に対する援助、著しい容貌の変化を受け入れるための精神的援助等が必要となる。

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