スポンサード・リンク

o(^o^)o乳癌の話

乳癌とは

 疫学的要因および内分泌環境、遺伝の影響がみとめられている。閉経前では未産婦・寡産婦、流・早産の反腹、母乳授乳制限などの内分泌異常者に多い。また初経のはやい女性に高率にみられ、初婚年齢のおそい者や、初妊娠年齢がおそい者ほど罹患率は高くなっている。食事では脂肪摂取量が関係するという統計がある。好発年齢は、40~50歳代が多く、60~70歳代および30歳代がこれにつぐ。部位別頻度では乳房の外上四分円に最も多く、ついで外下半円、内上四分円であり、内下四分円には最も少ない。乳癌は転移がおこりやすく、初期にリンパ行性に、またかなり進行すると血行性に転移する。患側の腋窩リンパ節に転移を認めることが最も多く、さらに鎖骨上窩や胸骨旁リンパ節に転移することが多い。血行性に転移すると全身に広がる。転移好発臓器は、肺、肝臓、骨などである。

病態アセスメント

 乳癌の患者には、ほとんど癌告知を行っている。そのため患者は疾患や予後に対する不安が強い。また、女性の形態的シンボルともいうべき乳房を切断することは、女性にとってきわめてショックである。

症状

 乳房内の硬結(しこり)が最初の主要症状。大きさは米粒大から握り拳大ほどで、形はほぼ球形のものが多く、軟骨様のかたさをもつ。境界は比較的明瞭な無痛性腫瘤、辺縁は不規則、表面は凹凸不整のものが多い。症状が進行すると腫瘤の可動性はなくなり、病巣上の皮膚に特徴的なくぼみ(えくぼ症状)や萎縮がおこる。その結果、乳房の変形・萎縮や乳頭の位置の移動がみられる。さらに進行すると、皮膚に発赤・浮腫・潰瘍形成などがおこり、疼痛や悪臭を伴うようになる。

検査

 1.乳腺腫瘤が悪性か良性かを決める診断法

 触診、問診、視診、細胞診、生検、マンモグラフィ、超音波診断法、乳管造影法、ゼロラジオグラフィ、サ-モグラフィ

 2.遠隔転移,全身状態チェックのための検査

 胸部X線、肝臓・骨などのシンチグラフィ、腹部超音波検査、CT、MRI、血液・生化学検査

治療

 1.手術療法

乳癌の進行度に応じて、術式は選択される。術式には、以下のものがある。

定型的乳房切断術、非定型的乳房切断術(Patey法,Auchincloss法)、拡大根治手術、腫瘤切除術、乳房部分切除術、皮下全乳腺切除術、単純乳房切断術、乳腺区域切除術

*乳房再建術(広背筋皮弁移植法、腹直筋皮弁移植法、乳輪乳頭形成)

 2.化学療法

乳癌の根治手術後の再発防止と進行癌や再発癌の治療を目的に、各種の制癌剤の併用療法や、内分泌療法との組合せによる治療が行われる。また、症例によっては超大量化学療法が行われる。

 3.内分泌療法

乳癌の約30%は、その発育にホルモンが深く関連し、対象となるホルモンを除去すると腫瘍は縮小に向かう。使用されるホルモン剤としては、非ステロイド系の抗エストロゲン剤であるタモキシフェン(ノルバテックス)が、副作用も少なく、長期投与の安全性も高い。

 4.放射線療法

乳房温存術を受けた全ての患者に対し放射線療法が行われる。術後2週間後位で上肢の挙上が十分に行えるようになった頃より開始される。但し、創部の全抜糸が終了していることが条件。乳房温存術を受けた全症例の温存乳房全体に接線方法で4600~5000radの照射を行う。

術後の経過と管理

 乳房切断術は、乳癌など乳腺の悪性腫瘍に対する手術療法である。患部の乳腺とともに、皮下脂肪を広範に切除し、鎖骨下・腋窩のリンパ節を郭清し、大・小胸筋を切除するが、胸筋を温存する術式もさまざま工夫されている。術後管理における特徴は、皮膚を確実に生着させることにある。よって、創部は圧迫固定される。皮膚が生着し創部のドレ-ンが抜去され、抜糸、圧迫包帯の必要がなくなれば肩関節の運動を段階的・積極的に行い、患側上肢の機能障害を残さないようにする。

 1.精神的サポ-ト

乳癌の患者には、ほとんど癌告知を行っているため疾患や予後に対する不安は強い。また、手術後に創跡を初めて自分の目で確かめたときのショックは、非常に大きい。女性の形態的シンボルともいうべき乳房を手術によって失い、そのうえ手術後の痛みを克服して機能訓練に取り組むということは、精神的にも身体的にも容易なことではない。そのため、患者が示す言動、表情を注意深く観察し少しでも心の傷が癒されるよう、そしてボディイメ-ジの変化を受容できるよう、適切な助言を行い心理過程にあったサポ-トをしていく。配偶者を含めた家族の支援も欠かせず、家族との情報交換を行い、心理面でのリハビリテ-ションを家族ぐるみで実行できるよう援助していく。さらに、乳癌手術の体験者が集う患者会の紹介を行う。体験者の元気な姿を目前にし、仲間の体験を知ることにより、患者の不安は緩和され、将来への希望が生まれ闘病意欲を高める結果になりうる。また、補整具(リマンマ製品)の紹介を通じて美容上の不安の軽減に努める。

 2.全身管理

乳房切断術は表在臓器に対する手術であるため、手術侵襲は比較的軽度であるが、全身麻酔下手術に対する全身管理を行う。

 3.呼吸系の管理

麻酔、創痛、包帯による圧迫などによって呼吸運動が抑制される。鎮痛をはかりながら喀痰、深呼吸を促す。なお、胸式呼吸が十分にできない状態であるため腹式呼吸を促す。痰の喀出が困難な場合は、含嗽や吸入などによって痰の喀出を促す。

 4.循環器系の管理

心血管系に負担がかからないように十分な除痛が望まれる。

 5・疼痛の管理

手術後の疼痛は、手術形式、麻酔法によって異なり、また、個人差が大きいが、患者に我慢させず、十分に疼痛を和らげるべきである。とくに高齢者の場合、疼痛は心血管系に負担をかけ、血圧の上昇や不整脈を誘発することもあり、十分な除痛が望まれる。創部痛に対しては一般に鎮痛薬が用いられるが、肩の痛みや患肢の重量感の苦痛に対しては、体位変換や患肢を挙上するなどして調整する。

 6.術後の創部,ドレ-ンの管理

乳房切断術の術後のケアの特徴は、皮膚弁を完全に生着させることにある。皮下に細いドレ-ンを挿入し持続吸引をおこない、1日30ml以下の排液量になったら抜去する。腋窩にガ-ゼを多くあて、弾性包帯で圧迫固定しさらに患側上肢は胸の上におきバストバンドで圧迫固定する。なお、弾性包帯を伸展させて貼付するために水疱を形成するなどのスキントラブルが生じ易く、それに対してのケアや予防が必要となる。縫合部その他の皮膚の状態を観察し、また感染を予防する。持続吸引バッグ(SBバッグ)によりドレ-ンが吸引されていることをチェックし、検温毎にミルキングを行う。

 7.患側上肢の保護

手術後は患側上肢からの静脈血やリンパ液の流れが阻害され、細菌感染がおこりやすくなっている。そのため、患側上肢からの点滴、注射は決して行わず採血、血圧測定も避ける。

 8.栄養,輸液

輸液は循環・呼吸動態が安定すれば数日で不要となり、経口摂取は術後1日目より開始される。

 9.患側上肢のリハビリテ-ション

腋窩の皮膚の生着に十分注意しつつ、段階的に運動をすすめる。日常生活で支障のあるところは援助しつつ、肩関節可動域に応じたADLの自立を促す。

術後合併症

 1.肺合併症

乳房切断術は、大・小胸筋が切除されるうえに、術創は緊縛した状態で縫合されたあと圧迫包帯が行われるために、手術後、呼吸運動が抑制される。そこで、浅い呼吸を続け十分な肺の拡張がみられないことや、麻酔の影響で気道内分泌物が増加する一方、痰の粘調度が増し、創痛のため十分に痰の喀出ができないなどで痰が貯留し、無気肺から肺炎を併発しやすい。

 2.術後出血

術後出血は殆ど48時間以内におこる。

 3.皮下浸出液の貯留

皮膚脂肪を完全に削り取られた皮膚は、皮膚縫合により、強い緊張がかかる一方、一部はたるみやすいため皮下に浸出液が貯留しやすい。特に腋窩に貯留しやすい。しかし、浸出液の貯留予防のために腋窩を強く圧迫すると、上腕神経の圧迫による上肢のしびれ、麻痺、腋窩動脈の圧迫による上肢のうっ血などがおこりうる。

 4.皮膚弁の壊死

縫合部その他の皮膚が赤紫色から黒色に変色する。感染、縫合部の緊張、皮下組織切除時に皮膚がきわめて薄くなった所が生じたこと、電気メス使用時の熱傷、皮下浸出液の貯留により皮膚が生着できなかったことなどが原因として考えられる。

 5.患側上肢のリンパ性浮腫

腋窩のリンパ節郭清などから、リンパ液の還流が悪くなるため、患側上肢はリンパ浮腫を起こしやすい。

 6.肩関節の運動障害

大胸筋・小胸筋の切除と、リンパ節郭清による長胸神経の損傷などによって、また創の瘢痕治癒によって軟部組織の収縮が起こるために、患側の肩関節の運動障害が起こる。痛みと圧迫包帯による固定・安静によってさらに障害が助長されやすい。

看護計画(術前)

Ⅰ.病態アセスメント(術前)

 乳癌の患者にはほとんど癌告知を行っている。そのため疾患そのものに対する不安や予後への不安、女性のシンボルである乳房を喪失する悲しみや恐怖を抱いている。その不安や恐怖を緩和しつつ適切な手術や治療が受けられるよう支援していくことが大切である。
また、手術後に創部の圧迫や患肢の安静、リハビリが必要となることが特徴で術前よりそれらがイメージでき術後早期に回復段階をたどれるよう情報を提供して行かなければならない。

スポンサード・リンク