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(o^O^o)固定法の話


<固定法>

■目的

(1)小児の持続点滴が安全に確実に維持できるよう、年齢や点滴部位、活動に応じて固定する

(2)皮膚の圧迫障害、合併症を予防し、小児の活動を妨げない固定をする

 

■必要物品

刺入部固定テープ ・伸縮性のテープ(エラテックスなど):1.5×2㎝程度のもの3枚で、1枚には半分くらいまで切れ込みを入れておく、0.5×1㎝程度のもの1枚

・透明のドレッシング材(3MテガダームTMIVなど):学童後期以上に使用

シーネ ・固定部位に合ったもので、重さを測定しておく

・乳幼児の場合に使用する。学童でも部位によっては使用する

シーネ・ルート固定テープ ・キープシルクやマイクロポアなど
ネット ・コンネット包帯など

・固定部位に合った大きさ、長さのもの

 

■刺入部の固定

子供は発汗が多く、抜去を防ぐために粘着力の高いテープを使用すると皮膚トラブルを起こしやすい。しかし、皮膚への刺激を最小限にするために粘着力の弱いテープを選択すれば、抜去や固定のずれによる点滴漏れが起こり、刺し替えを行うことで子供に苦痛を与えてしまう。

一般的に刺入部位は静脈炎の徴候を観察するために透明のドレッシング材で固定するが、発汗が多い患児はドレッシング材が蒸れて剥がれやすい。感染予防と事故防止の両面から検討し、刺し替えによる苦痛を避けるため、刺入部位のみ粘着性の強い収縮テープで固定するのが望ましい。刺入部が見えないため、刺入部の皮膚や部位全体を十分に観察する必要がある。粘着力が強いため、剥がすときはリムーバーを使用する。

 

■固定の実際

1)乳幼児の手背の固定方法

(1)刺入部を伸縮性のあるテープで固定する

(体動などにより留置針の先端が動くと血管壁を傷つけ、留置針が抜けてしまうなどのトラブルにつながるためしっかりと固定する)

①留置針と皮膚を固定し、潰瘍を予防するため留置針と点滴ルートの接続部位の下の皮膚に小さいテープを貼り、ルートのロックをはずしておく。

②刺入部の上とルートを、切れ込みを入れたテープで固定する。その上の刺入部周辺にもう1枚テープを貼る

 

ルートのロックをはずしておく刺入部の上とルートを、切れ込みを入れたテープで固定する

 

(2)シーネを固定部位に沿って曲げて、刺入部位と反対側に当てて固定する。

(刺入部位に近い関節をしっかりと固定する。循環障害を予防するため、テープはきつく止めないようにする。シーネは手関節が固定できるように最小限の長さと前腕と同じ程度の太さを選択する)

①親指は玩具を触ったり、絵本のページをめくったりできるよう動かせるようにする。循環障害の徴候を観察するため、指先は見えるようにテープで固定する。

②前腕の固定は、皮膚と接触する面にはテープを貼り合わせ、テープの粘着面が皮膚と接触する面を最小限にする。

 

テープの粘着面は最小限に皮膚にあてる

(3)手背側の点滴ルートにループをつくり、1~2本のテープ(子供の手の大きさに合わせてテープの幅は変える)でシーネと固定する。

(水泡やかぶれを防ぐため、ルートが直接皮膚に当たらないように刺入部を止めたテープの上にループをつくる(※4))

①点滴漏れなどを観察するため、刺入部周囲の皮膚が見えないように固定する。抜針を恐れて手背全体を固定しないようにする。

②ルートと指に隙間があると固定が不安定になる。ガーゼなどを小さく折りたたみ、土台をつくって固定し安心させる。

 

テープの上にループをつくると皮膚にガーゼで土台をつくり安定させる

直接接触しない

(4)シーネの裏側にもループをつくり、ルートを引っ張っても手背に直接力が加わらないようにする。

(ループ全体をキープシルクで覆うように固定する)

 

シーネの裏側にもループをつくり固定をより安定させる

(5)刺入部に触れないようにするためネットをかぶせる。

(指先から手が入らないように、ネットの先端をテープで止めたり、結んだりしてミトンのようにする。ネットがとれないように、前腕を固定しているテープの上から固定する)

①刺入部を頻繁に触る場合は包帯を巻く。その際、1時間ごとに刺入部位の観察を確実に行う。

②テープの上に子供の好きなキャラクターのシールを貼ったり、イラストを描いたりして、シーネを子供になじみのあるものに近づける工夫をする。

 

ネットがとれないようにテープのうえから固定する

 

2)学童期以降の固定方法

子供の発達や性格には個人差があるため、家族から普段の様子や行動、性格などを聞き、処置に対する子供の反応を見極める。子供が入院や点滴をどのように理解しているのかをアセスメントし、固定方法を選択する。

刺入部位の安定が得られればシーネを使用しないが、行動が活発で抜去する可能性がある、発汗が多くドレッシング材がはがれる可能性がある場合、乳幼児の固定方法を選択する。

①刺入部周辺が見えるように、テガダーム周囲をテープで固定する。

②ループをつくり、テガダーム周囲をテープで固定する。

 

ループをつくり、テガダーム周囲をテープで固定する

 

<抑制法>
■目的
(1)子供が動くことによっておこりうる事故を防止する。
(2)特定の部位の安静を確保する。

■必要物品
抑制ジャケット、抑制ひも、肘関節抑制帯など

■注意点
(1)抑制は子供の人権を侵害しうる行為であり、実施にあたっては必要があるかどうかについて複数の看護師および医療者で協議してから行う。抑制はそれ以外の方法では不可能なときのみ行うことを原則とし、抑制以外の方法について検討してから行う。
(2)抑制を行う前には、子供・家族に、目的・方法、解除する目安や時期について説明し、可能なかぎり本人の納得・同意を得る。一時的であることを保証しておく。
抑制についての説明事項
① 抑制する利点
② 抑制しているときの注意点
③ 抑制している間にできる遊び・生活動作について
④ 抑制を解除する目安
⑤ 抑制を解除している間の注意点(主として面会中の家族などに対して)
⑥ 抑制を終了する目安
(3)子供は本来、動きたいという気持ちが強い。このため抑制は苦痛を与えるばかりでなく、抑制をとこうと激しく動いたりすることがあり、危険を伴うことがある。安全かつ最小限の抑制方法を選択する。
(4)過度の圧迫や拘束によって循環障害が起こらないように注意する。また四肢を激しく動かすなどの方法によって、擦過傷がおこることもあるので、児の動きにあわせて無理な力がかからないように装着するなど、工夫が必要である。
抑制中の観察項目
項目
内容
全身状態
バイタルサイン、きげん、不定愁訴の有無など
穿刺部位に関連した症状
抑制ジャケット:呼吸・腹部の動きが妨げられていないか
四肢抑制:無理な姿勢になってないか
抑制部位周辺の皮膚状態
色、腫脹の有無、温度、擦過症などの傷の有無など
認知面
抑制についてどのように理解しているか
抑制をはずそうとしたり、いやがっていないか(乳幼児)
抑制されていることを意識しないで動こうとしていないか(幼児・学童)
精神状態
不安・恐怖、ストレスなどがたまっていないか
生活面
抑制によって遊び、食事など、必要な動きが妨げられていないか
抑制を解除できる時間・状態があるか
(5)抑制を実施するときは、子供や家族にもその効果を確認してもらいながら行い、意向を取り入れ、緊張や不安や緊張の軽減を図る。できる限り、抑制する時間を短縮できるように、子供の身体・状態変化に合わせて常に他の方法を考える。
(6)抑制は不要と判断したら、ただちに解除する。

 

■実施

1)体幹の抑制

体幹の抑制は、採血や胃管挿入時など一時的に行う場合と、手術後の絶対安静や人工呼吸器使用時など、重症度の高い患児に継続的に行う場合とがある。

●おくるみ:

①ベッドにバスタオル(シーツ)を広げ、その上に患児を寝かせる。バスタオルの右端で患児の右上肢を覆い、そのまま背部を通して、患児の左側へ出す。

(患児の体格により、はじめに寝かせる位置をくふうする)

 

②左側に出したバスタオルで、患児の左上肢を覆い、そのまま背部に敷きこむ。

→両上肢をしっかり覆わないと、処置中に手を出してしまい、効果的な抑制が行えない

 

③バスタオルの左側で、患児の全身を覆い、右側から背部に敷きこむ。

(頸部や胸腹部が圧迫されていないか、呼吸状態を観察する)

 

●抑制ベスト:

①患児に合ったサイズのベストを選択し、まず、ひもをベッド枠にしっかりと結びつけて固定する。

(抑制ベストは、ひもをベッド枠にしっかりと結び付けて固定する。結び目が、ゆるまないよう注意。ベッドに固定してから、患児に着せる)

 

②ベストを開いて、その上に患児を寝かせ、ベストを着せる。ベストは肩と前のひもを結んで着せる仕組みになっている。

(頸部・腋窩部などが圧迫されていないか、皮膚の状態を観察する。胸郭が圧迫されていないか、呼吸状態を観察する。上体を起こす場合、体が足側にずり落ちてくるので、臀部を砂嚢などで固定する。背部に発汗しやすいので、背中にタオルを敷く。必要時、ベストを交換する)

 

2)四肢の抑制

●肘関節抑制帯:

①肘関節抑制帯は、芯の入った厚手の布製で、マジックテープでとめる仕組みになっている。患児に合ったサイズの抑制帯を選択する。

(かわいらしいデザインで、できるだけ拘束のイメージを和らげる)

②衣服の上から、抑制帯の中央に肘関節がくるように当てて巻きつける。患児の上肢のサイズに合わせて、マジックテープでとめる。

(肘関節が中央にくるよう巻く。必ず、手指を露出し、末梢の循環状態を観察する。きつく締めすぎないよう注意)

 

●四肢抑制帯:

①抑制帯を患児の手首に巻き、手首の太さにあわせて、鋲を調節穴に通す。

(調節穴による固定では締め具合が難しい場合は、内側にガーゼやハンドタオルを巻くなどして微調整する)

 

②ベルトを金具に通して折り返し、調節穴を先ほどの鋲に通す。

(金具に通して、折り返す)

 

③ベルトの端をベッド柵にかけて折り返し、再び、同じ鋲に調整穴を通す。付属のマグネットを鋲にかぶせて固定する。

(手首をきつく締めすぎていないか、観察する。上肢の抑制は、睡眠時に手が患部にいかないよう、寝かしつけてから行うことが多い。アトピー性皮膚炎などの場合、無意識に患部を掻かないよう、上肢を抑制する)

 

●紐による抑制:

①幅3cm以上のひもと、手首に巻くタオルを用意する。

(両腕を抑制する場合は、同じ物品を2セット用意する)

→ひもは幅が広いほうが、手首への接触面が広く、締めすぎを防止できる

 

②ひもの両端をそれぞれ左右の手に持ち、写真のように8の字形にしておく。

(左右の手で、それぞれ左回りに輪を作る)

 

③左右の輪の部分を持ち、2つの輪をあわせる。片手で2つの輪をまとめて保持する。

このとき、ひもの下端は台の上に置いたままにする。

(輪がくずれないようあわせる)

 

⑤片手を輪に通し、手首の部分まで入れる。

 

⑥もう片方の手で、ひもの下端を2本同時に引くと、輪が引き絞られる。適度に引き絞り、輪をタオルを巻いた患児の手首に通し、ひもの下端をベッド枠に結びつける。

(紐が手首に食い込まないよう、必ずタオルを巻く。上肢は、肩より上にならない位置に固定)


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