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(^q^)呼吸器と病態生理学の話


(´ω`)題名:呼吸不全と病態生理の話

呼吸不全の基本病態は低酸素血症である。

1)低酸素血症

肺胞からガス交換によって血中にとられた酸素は、そのほとんどがヘモグロビン(Hb)と結合して、酸化Hb(HbO2)となります。総Hb量に対するHbO2の比率HbO2/Hbを、酸素飽和度SaO2で表します。

これは組織に供給可能な、血中の酸素量の指標として重要で、血中の酸素分圧PaO2とSaO2との間には、酸素解離曲線が示すような関係があり、PaO2が60Torrで、SaO2は急激に低下し、それは組織供給のための血中酸素量が危険なほど減ったことを示唆します。

脳は酸素不足に特に敏感で、低酸素血症の障害を受けやすいです。

そしてPaO2が40Torr以下になると、生命を保つことができなくなります。

正常なSaO2としては85%以上、PaO2としては80Torr以上の血中酸素量を要します。

これが酸素吸入の目標でもあります。

 

・低酸素血症のしくみ

血中への酸素取り込み障害は換気、拡散換気、血流の不均等、短縮呼吸不全の、全てのしくみがその原因となります。

(1)高CO2血症、低CO2血症

血中CO2分圧は35から45Torrほどで、45Torr以上は低換気、35以下は過換気状態を意味します。

(2)呼吸不全のしくみ

肺の呼吸機能は大きく分けて換気とガス交換です。

これらのどれが障害されても、呼吸不全を起こします。

①換気の不全(肺胞低換気)

②拡散の障害

③肺の換気と血流比の不均等VA/Qの(肺内不均一性)

④短絡shunt(静脈血混合)

これらの詳細については以下に説明します。

 

2)換気不全―肺胞低換気

換気不全は肺胞より毛細血管へ、酸素を送り込む、O2駆動圧の低下(肺胞低換気)をもたらし、低酸素血症の原因となります。

呼吸中枢の障害、呼吸の物理的な運動器官の障害、肺そのものの障害などに原因がわけられます。

・換気不全の原因

(1)呼吸中枢の抑制:全身麻酔、モルヒネなど中枢神経抑制薬、脳の事故

(2)神経、呼吸筋障害:ポリオ、重症筋無力症

(3)胸郭、肺の運動制限:外傷、肋間炎、気胸

(4)肺実質障害:肺の拘束性、閉塞性障害、気道の閉塞性疾患

換気の呼吸不全(肺胞低換気)には、低O2血症に高CO2血症を伴います。

それは血中CO2の肺よりの排泄が、肺胞における拡散ではなく、主として換気に負っているからです。

 

3)ガス交換(拡散)障害

肺胞と肺胞壁毛細管の間の、極めてうすい、また広大な、面積の隔壁を通して、肺胞気内酸素と血中酸素は、その圧勾配により、肺胞気から血中に移ります。

この肺胞における、肺胞気と肺胞壁毛細管間のガス交換を拡散diffusionというが、この酸素の拡散が、障害されると、最も直接的な呼吸不全を起こします。

肺胞気酸素分圧:PAO2(正常100Torr)と、動脈血酸素分圧:PaO2(正常90~100Torr)の差A-aDO2が、ガス交換の障害の総合的な指標となります。

正常では10Torr以下で、10以上は換気障害を示します。

肺胞と毛細血管の間に浮腫、線維化、硝子膜の形成などで、壁が肥厚して、両者の交流が障害、ブロックされ、O2が肺胞気から、壁毛細管内に移り難くなることが主な原因となります。

肺線維症、ARDS、未熟児のHyaline membrane disease、肺胞毛細管ブロック症候群、サルコイドーシス、強皮症などです。

また肺気腫のように肺胞が障害され、隔壁の全面積が減ることも、O2の拡散を障害する原因となります。

これらでは低酸素血は安静時には認めないが、体動時に毛細管での拡散時間が短縮すると著明となります。

 

4)肺の換気/血流の不均等Disturbed ventilation/perfusion relationship

換気と拡散は肺の呼吸機能を支える2大要素であるが、正常の呼吸機能のためには、肺胞への新鮮な空気の供給量(肺胞換気量)と、流入する肺胞毛細管血量の、バランスが均等に保たれることが必要でこの両者の比を換気血流比という。

肺機能を傷害する病態では、この2つの要素についてのバランスが失われ、換気血流比の不均一が起こってきます。

すなわち換気(肺胞換気量)と肺毛細管血液量の不均等から、両者の機能にアンバランスを生じ、低酸素血の原因となります。

たとえば、気管閉塞では肺胞の換気が十分に行なわれず、肺胞気のPaO2は低下し、血中PaO2は上昇します。

このような肺胞に接する毛細管では、肺胞側からのO2の拡散が、不十分となり、毛細管側から肺胞内へのCO2拡散が不十分となります。

このような状態になると、静脈血の混合venous admixtureと、その結果としてPaO2の低下を来し、動静脈シャントと同じ結果を生じます。

 

(1)VA/Qという表現

いま肺の換気と,拡散(血流量)の均等状態を示すために、肺の単位面積あたりの、換気量と、VA血流量Qの比をとると、正常ではVAは4l /min、Qは5l /minで、その比は0.8であるが、その比は換気障害では低下、拡散障害では上昇します。

換気量VA /血流量Q

低下:換気障害―気道閉塞

上昇:拡散障害―血流障害

この換気―拡散のバランスは、生理的にも肺野で必ずしも均一でなく、肺尖部ではVが大きく、肺底部ではQが大きいのでVA / Qは肺尖部で2~3と大きく、下方ほど小さく、肺底部では0.5~1です。

すなわち、肺底部では血流の割に換気が悪く、肺尖部では換気に比べて血流が悪いということになります。

(2)VA/Q比からみた病態

正常時の一側の肺における肺換気量は、毎分約2l、毛細血流量は毎分約2.5lで、正常のVA/Qは2.0/25=0.8付近です。

しかしVA/Q比が0.8でも、異常なことがあり、逆に0.8を外れても、正常の場合があり、生理的にも肺の上野と下野のVA/Q比は0.8を外れています。

 

正常群

①正常者

②気胸Pneumothorax:VAとQが比例して低下するので、その比は0.8に保たれます。

③運動時:VAとQはこの比で増すので、比は0.8に保たれます。

上昇群

血流に比べ換気が多すぎるとき

生理的な死腔―換気に関与しないspace­―が大きく、無駄な換気状態wasted ventilationにあるときです。

動脈血中PaO2の上昇、チアノーゼを伴います。

①肺梗塞Pulmonary infarct

肺塞栓Pulmonary embolism:大きな肺動脈の塞栓により、血流が消失して、Qは0ないし、小となります。

しかし死腔は残り、換気は保たれるのでVA/Q比は増大します。

肺胞中のPaO2は、外気より上昇(150mmHg)します。

肺胞中のO2の毛細管血への拡散がないので、血中のCO2の肺胞への拡散は起こらないです。

したがって、肺胞内PaO2は、著しく低下します。

②5%のCO2吸入:CO2の中枢刺激により換気のみ刺激され、VA/Q比は上昇します。

③大きな嚢胞Bulla:死腔が著しく大きく、換気が血流量に比し、著しく大きいためです。

低下群

血流量に比して換気が少なすぎるときで、いわば無駄な血流wasted perfusionの状態です。

血中のPaO2は、上がらず、PaO2は低下しないです。

①肺気腫Pulmonary emphysema:部分的に障害された、肺胞の換気が障害され、低酸素血症を来し、これが刺激となって、残った肺胞に血流が集中して、VA/Qが低下します。

②気管支喘息Bronchial asthma:換気障害はさらに強度であるので、VA/Q比低下はより著明であるが可逆性です。

③全身麻酔:呼吸中枢の抑制に基づく換気の抑制のための低下です。

④無気肺Atelectasis:肺胞への循環は保たれているが、気管閉塞のため換気がないのでQは0となります。

 

5)短絡

広範囲の肺胞が虚脱するような事態では、ガス拡散を行わない、酸素化されない血液が、動脈血中に混入するといった、肺組織における動静脈の短絡shuntや、心奇形における静脈血混合では、著しい低酸素血症を来します。

心拍出量の10%にシャントがあると、100%のO2を吸入させても、PaO2は40mmHg以上にはならないです。

もっとも正常でも冠動脈、気管支動脈血は、静脈血となっても肺を通らないで動脈血中に入って、シャントを形成しているが、全体として量が少ないので、特に低酸素血の原因にはならないです。

 

閉塞性肺疾患

閉塞性肺疾患という言葉は、呼吸機能で閉塞性換気障害がみられる疾患群の総称です。

肺機能では1秒率の低下と残気量の増大、身体理学所見では呼気の延長と乾性ラ音を聴取する点が、各疾患に共通しています。

しかし、これらの疾患は互いに合併し実際には判別が難しい例がしばしばあり、また治療方針も共通点が多いため、慢性閉塞性呼吸器疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)として一括して用いられます。

1)病態

(1)何らかの原因により気道に閉塞がおこり換気が制限されるため肺胞低換気の状態にあります。

(2)気道抵抗が増加して非弾性仕事量が増大し、さらにO2消費量を増やす悪循環を生じます。

(3)多くの場合拡散や、VA/Q適合や血流の異常によるO2血症性呼吸不全を伴っており、呼吸効率をさらに低下させます。

 

2)気道閉塞のメカニズム

(1)気道の被圧縮性の増大。たとえば慢性肺気腫。

(2)気管支の攣縮。たとえば気管支喘息。

(3)気管支壁の肥厚と分泌物の貯留。たとえば慢性気管支炎、びまん性汎細気管支炎。

 

3)COPDの病態生理

COPDの中には、多くの疾患が含まれ、傾向として気管支炎優位のものと、肺気腫優位のものとがあるが、そこには共通する病歴としてびまん性、慢性、進行性の気道閉塞が見られ、症状として持続性の、体動時にことに増悪する咳嗽、端鳴、粘裯喀血、息切れ、呼吸困難を認めます。

呼吸困難は呼気時に強い。

COPDに含まれる慢性気管支炎、気管支喘息の慢性閉塞性気管支疾患COBDと、肺気腫には、それぞれに病変主座、病理所見、病態生理についての特色を持つが、いずれもCOPDに共通する病態として、気管支平滑筋の弾性低下、感染アレルギーなどの炎症による、過敏な反応性攣縮と、それに基づく気道抵抗の増大、気管支壁細胞群の病変として粘膜細胞、分泌細胞、せん毛上皮細胞の増殖に基づく、粘膜の腫脹と粘裯な、大量の気管支分泌物と、その停滞と蓄積による、気道閉塞に基づく呼吸困難が存在し、たとえ炎症優位であれ、肺気腫優位であれ、底流においては、多分に共通する病態生理を有することに進行したものでは、ますます共通する原因として、体質的な素因、たとえば抗エステラーゼ因子としての、防禦的因子のα-アンチトリプシンの減弱、それに喫煙、粉じん、大気汚染といった、環境因子の変化が、その発症、進展に大きく関与しています。

COPDことに、肺気腫におけるエステラーゼとα-アンチトリプシンは、肺気腫における肺組織の破壊には、蛋白分解酵素のエステラーゼの増量、活性化の亢進抗エステラーゼ因子としてのαアンチトリプシンの不足、欠損といいます。

攻撃因子防禦因子のアンバランスが関係しています。

喫煙が肺組織中の好中球、マクロファージよりの、エステラーゼの放出を促進し、αアンチトリプシンの抗エステラーゼ作用を障害することも、従来認められてきた喫煙の肺気腫発症における、直接的意義を裏付ける証拠となります。

 

4)疾患別病理

(1)慢性気管支炎

慢性気管支炎は気管支の過度の分泌物を特徴とし、臨床的に定義される疾患です。

1年に少なくとも3ヶ月のほとんど毎日、慢性あるいは反復性の痰を伴う咳が連続2年異常続くものと定義されます。

肺結核、肺化膿症などの肺疾患、気管支拡張症などの気管支疾患および同様症状を呈する心疾患を除外して診断されます。

閉塞の原因は①気管支壁の炎症反応による過剰内分泌物の貯留②粘液腺の肥大などによる気管支壁の肥厚③呼気時の胸腔内圧上昇による気道圧迫です。

病変の主座は気道末梢の内径2mm以下の、いわゆるsmall airway、ないし細気管支レベルである病変としては、気道粘膜の炎症性浮腫、分泌腺の肥大、せん毛細胞の荒廃による、大量の粘裯な膿性喀痰の停滞、蓄積による末梢気道の閉塞が、主なものとなります。

(2)気管支喘息

気管支喘息は種々の刺激に対する気管および気管支の反応性の亢進した状態で、自然にあるいは治療の結果、その程度が変化する広汎な気道の狭窄を特徴とします。

閉塞性換気障害は発作時にのみ現れるが、それを繰り返すうちに平時でも換気障害が消失しなくなります。

閉塞の原因は①気管支の攣縮②分泌機能亢進による分泌物の充満③膜透過性亢進による粘膜浮腫④胸腔内圧上昇による気道狭窄。①の影響が最大ではあるが、他の影響も少なくないと考えられます。

また閉塞の性質上呼気時のみでなく吸気時にも気道抵抗が上昇しています。

病変の主座は末梢気道で、その気管支平滑筋のアレルギー性攣縮と、炎症による気管粘膜の炎症と腫脹、分泌亢進による一過性の気道閉塞を主病変とします。

(3)肺気腫

肺気腫Pulmonary emphysemaはOPCDの代表的疾患であり、病変の主座は、呼吸細気管支から肺胞に至る肺小葉領域で、肺胞壁の不可逆性の破壊を基本病変とします。

FEV1.0%70~55%を肺気腫の疑い、55%以下を強い疑いとする肺気腫研究会の基準も用いられているが厳密に生存中に診断することはできないです。

その変化は非可逆的であり気道閉塞の原因自体を治すことはできないです。

気道閉塞の有効的な対処療法として口すぼめ呼吸があります。

 

肺の換気運動は胸腔内圧の変化により他動的に行われるが、その圧の変化は肺だけではなく気管支にも等しく作用します。

吸気時は肺胞と一緒に気道も拡張するので換気の制約は起こらないです。

しかし呼気時には気道が圧迫されて換気が制限されます。

気道には周囲の組織により内径を拡大する方向に牽引力が働いており、正常では容易に虚脱しないです。

肺気腫のように、肺コンプライアンスが高くなると気道が圧縮されやすくなり、気道抵抗が増大し呼気速度が減少します。

そして気道内外の圧差がその牽引力を上回った部分で虚脱が起こりそれ以上の呼気を不可能にします。

( ̄▽ ̄)参考文献

医療学習レポート.呼吸器と病態生理学


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