スポンサード・リンク

(ToT)神経症の話


(=_=)題名:神経症の話

 器質的な病変がなく、患者をとりまく環境や患者自身の性格からおこる心因性または反応性の精神障害である。身体的機能障害のみられることもあるが、それは患者の持つ不安や心的葛藤などから二次的に派生したものであり心的症状の消退とともに消失するものである。心因としては、過労、対人葛藤、離別、死別、試験、遭難、転勤、昇進、転居、身体疾患の罹患などがある。防衛機制による葛藤の処理に失敗したり、異常な防衛が働いた時に神経症が発症すると考えられる。また、身体疾患の罹患がなく、このような心因が作用して(本人が気づいていない場合もある)発症することもある。
主なものに、不安神経症、強迫神経症、恐怖神経症、心気症、ヒステリーなどがある。

病態アセスメント

 神経症の治療は、殆どが外来通院で行われているが、外来治療で困難な事例、家族との分離が適切と考えられる場合などに入院治療が選択される。看護の基本的なことは、受容的、共感的態度で接し、患者をあるがままに受け入れ、理解しようとする姿勢であり、支持的、感情表現を助ける、洞察を促す、訓練を助ける看護が必要となる。

治療

 神経症の治療の中軸は、精神療法および心理療法である。精神療法の補助手段として、患者の心的葛藤の軽減のために緩和安定剤を中心とした薬物療法も行われる。個人精神療法と同時に集団精神療法、森田療法、催眠療法、行動療法、自律訓練法も有効である。

1.不安神経症

 過度の不安を主徴とする神経症である。内的葛藤や欲求不満によって、自我が危機的な状態に陥ると強い不安が出現する。不安はすべての神経症の根底にあるが、不安神経症は内的葛藤に基づく不安が十分に防衛されないで症状として現れてきたものである。

人格特性

・強迫および依存パーソナリティースタイルが全面に出ている。

・真面目で仕事はできるが完全に自立はしていない。常に誰かに依存している。

・自尊心が強く野心家であるが、失敗を恐れる。

・緊張感が強く、周囲の刺激に対して敏感である。

・見捨てられ不安が強く、依存欲求はあっても依存できない。

・自我の経営能力が低く、超自我は懲罰的である。

症状の特徴

 1)不安発作

突然強い不安に襲われパニックに陥り、苦悶感や死の恐怖に襲われると共に、自律神経系の異常興奮による身体症状(心悸亢進、頻脈、呼吸困難、発汗、震え、胸部絞扼感、心臓痛、不整脈、過呼吸、意識混濁、下痢、嘔吐など)が出現する。発作は夜間に多く、激しい不安と苦痛を訴えて騒いだ後、数十分で睡眠に移行する。

不安発作を起こす患者は、一人の時や乗り物の中で発作を起こすことが心配で、外出や乗り物に乗ることができず、家に閉じこもることが多い。また、呼吸促迫の結果として、過呼吸症候群を呈することが多い。

 2)持続性の不安

 現実不安:

その個人に脅威をもたらす、現実的で具体的な(期日の明確な)外界のストレスに対して生じる不安。

 予期不安:

自分の起きて欲しくないことが起きるのではないかという危険の予感。

 浮動性不安:

個人にとって原因不明の不安が、常に身のまわりに漂っている状態。したがって、明確な恐れの対象を欠き、何であれ身近な対象に結び付いて気持ちが浮き沈みする。自律神経系の過敏状態や心気症状、集中力の低下、易疲労性、睡眠障害などが出現する。

検査

身体症状の注意深い精査:身体症状に関する明確な所見を提示して、身体症状に対する不安を解消する。
(ルーチン検査で身体症状の鑑別を行う。)
心理検査:STAI、MMPI、MAS、CMI、ロールシャッハ等

治療

 1)薬物療法

心の緊張を緩和する目的で抗不安薬を使用する。薬物依存を予防するために効果の強い薬は使用しない。

 2)個人精神療法

・信頼関係を築き、健康に依存できる対象を明確にする。

・現実吟味を援助する: 浮動性不安によって現実状況の認識がゆがむ。現実を吟味する手助けをしながら、現実と現実状況認識の歪みを区別する助けをする。同時に懲罰的超自我を軟らかくする。

・患者のペースで不安が出現したプロセスを逆にたどり、不安が出現した直接的な原因と不安が出現するに至った心の緊張状態の原因を明確にする作業を助ける。

 3)集団精神療法

・浮動性不安は、自分だけでない仲間の体験を聞くことによって大きく支えられる。

・不安を集団の中で、間接的に扱われることで、不安を暴くことより上手に抑制すること、さらには抑圧すべきものは抑圧することを学習する。

看護

1)強迫と依存以外のパーソナリティースタイルを刺激して、患者の性格特性の偏りを調整する

2)症状を観察して身体的なアセスメントを行い、必要なケアは実施するが、不必要なケアはしない。

3)患者の能力を活用する。できることはできるだけさせて、自我自律性を高める。不必要な世話はしない。

4)患者の不安や苦痛を理解する。心理学的には共感が重要だが、同情とは区別しておく必要がある。不安神経症の患者は不安に耐えることには慣れているので、同情すると薬や看護者への依存が起きる。

5)現実を吟味して、現実と現実状況の認識のゆがみを区別する助けをする。看護者は患者の安らぎの助けをすると同時に、現実検討のできるモデルでもある。

2.強迫神経症

 強迫症状を主症状とする神経症である。強迫症状とは、自分では不合理で馬鹿げていると自覚している観念や行動が、自己の内部から自己の意志に反して反復的に現れ、その際に不快感、不安感を伴うものである。

症状の特徴

 症状には強迫観念と強迫行為がある。強迫症状は、自分の意志の力では抑えることができないが、自分の内部から出た現象であると自覚されていること、症状の無意味さ、不合理さが自覚されているにもかかわらず、それに束縛され、そこから逃れられないことが特徴である。

 1)強迫観念

・疑惑癖 : 何でも疑ってみないと気が済まないもの

・詮索癖 : 些細なことを際限なく詮索しないでいられないもの

・質問癖 : 次々に質問を繰り返すもの

・計算強迫: 何でも数の計算しないと気が済まず途中で間違えると最初からやり直さずにはいられないもの

 2)強迫行為

・洗浄強迫: 不潔感が強く、手や衣類を何回となく洗いなおさずにはいられないもの

・確認強迫: ガス栓や鍵などを繰り返し確かめないと気が済まないもの

・就眠前儀式: 就眠前に一定の行為を行ってからでないと眠れないもの

・汚言症 : 会話中に突然卑猥な言葉を言わずにいられなくなるもの

 いずれの場合も日常生活が極度に儀式化され、その行動の遂行に多大なエネルギーと時間を要する

検査: 不安神経症を参照

治療

1)薬物療法

精神療法と併用し、緊張感を緩和する目的で抗不安薬、抗うつ薬、少量の抗精神病薬を使用することが多い。

2)行動療法

強迫行為を改善するために、達成可能な行動上の目標を設定し、緊張を緩和すると同時に、達成感をもたせて安全感を強化する。

3)精神療法

信頼関係を築き、完全癖に固執しなくても安全感をもらう体験をする。

(個人精神療法、精神分析的精神療法、支持的精神療法、集団精神療法など)

4)森田療法、精神分析など

看護

1)症状の変化を観察する。

2)達成可能な目標を定め、達成感を味わえるように援助する。同時に頑張り過ぎないようにコントロールすることを助ける。

3)完全にしなくても認めてもらえる体験ができ、安全感がもてるように援助する。

3.恐怖神経症

 特定の人物、事物、状況、環境に対して激しい恐怖を抱き、それが不合理だと自覚しながらその恐怖に打ち勝つことができないものをいう。

症状の特徴

恐怖の対象は明確で多岐にわたる。恐怖の対象を遠ざければ症状は解消し、恐怖の対象が避け難い状況におかれるとパニックになる。また、対象を避けながら自分から近づいていこうとする傾向がある。

1)対人関係に関するもの

日本人の青年期に好発。対人恐怖、赤面恐怖、醜形恐怖、正視恐怖、男性恐怖、女性恐怖

2)特定の場所に関するもの

広場恐怖、閉所恐怖、高所恐怖

3)不潔や病気に関するもの

不潔恐怖、細菌恐怖、梅毒恐怖、癌恐怖

4)動物に関するもの

害のない種々の動物

5)その他

先鋭恐怖、雷恐怖、暗闇恐怖、死恐怖、乗り物恐怖、水恐怖、睡眠恐怖

検査:不安神経症を参照

治療

 1)症状形成のメカニズムを解明する。

 2)行動療法

発症の初期には効果がある。症状形成のメカニズを理解し、原因を絞って行動療法を実施する。

 3)薬物療法

心的緊張を緩和する目的で抗不安薬を補助的に使用する。

 4)個人精神療法

・安定した対人関係を築く。

・感情や欲求を明確にする助けをする。

・自我自律性を刺激する。

・恐怖は恐怖としてくくること(バウンダリング)で、健康な側面から切り離す助けをする。

・外在化している攻撃衝動や欲求を、自分のものとして認識する手助けをする。

 5)集団精神療法

・集団の中で受け入れられる体験が、強すぎる懲罰的超自我を和らげる。

・症状は象徴的な意味を持っているので、お互いの症状を語り合うだけでも、本来の葛藤への恐れは和らぐ。

・集団に支えられる体験を通して、弱さと極端さの修正が可能になる。

看護

1)安全感のもてる環境を提供する。

2)自己愛パーソナリィースタイルを活性化する。

3)感情や欲求を明確にする助けをする。

4)恐怖は恐怖としてくくることで、健康な側面から切り離す助けをする。恐怖に関わり過ぎないことが重要。

5)健康な側面を活性化することで、患者の能力をできる限り活用し、自我自律性を高める。不必要な世話はしない。

4.心気症

 身体的な病変が認められず、医師の保証にも関わらず病苦による身体症状を執拗に訴えて、自分の健康状態や身体の機能について過剰な関心を示しおびえるものをいう。

症状の特徴

どのような症状でも、どの身体の部位へのこだわりでも、不快なこと全てが症状になりその為に、自分の欲求を満たしてくれる医師を探して納得いく迄転々と医師巡りをして、その結果として症状の悪化になることがある。

人格的特性

1)自己愛パーソナリティースタイルが全面に出ている。

2)猜疑心、不信感が強い。

3)自分に過剰な関心を向ける。

4)自己愛に傷つきへの恐れがあり、自己愛が傷つきそうになると、他人のせいにするか、不信感を募らせて自分への関心を更に強め、自己愛の傷つきを防ぐ。

検査:不安神経症を参照

治療

 1)身体症状の精査

身体症状を除外するために、徹底的に検査を行う。異常がないことが判明すれば、患者の訴える症状には出来るだけ触れないようにする。

 2)薬物療法

 先ず症状を緩和することに留意する。症状を緩和する為に薬に対し執着するので薬物依存に陥りやすい。症状の緩和に伴い各段階で医療スタッフ関で同様の対応を行う。

 3)集団精神療法

自分の事しか考えられない状態で人との相互作用が起きない。しかし、集団の中では自分と同じ自己愛的な人を自分を写す鏡にして自己を認知する。

 4)個人精神療法

患者の苦痛の根底にある葛藤を理解し、真の心の調和が得られるように図る。治療者は、身体症状を訴え続けるという形での攻撃性の発露を、患者の苦悩として理解し受け止めることが重要である。

看護

1)症状を観察して身体的なアセスメントをする。

2)症状の訴えの変化を継続的に観察する。

3)患者の症状の訴えと要求に振り回されない。

5.ヒステリー

 ヒステリーは性格的要因の濃いものと、反応性の一過性のものに分けることができる。ヒステリー性格とよばれる性格は自己中心的で自己顕示的であり、感情が未熟で変わりやすいなどの特徴をもつ。

症状の特徴

 1)身体症状 : 転換の機制が主に用いられた症状であり、過呼吸症候群、失明、失声、痙攣などがある。

 2)精神症状 : 解離の機制が主に用いられた症状で、もうろう状態、遁走などがある。

検査:不安神経症を参照

治療

 1)精神療法 : 支持的、表現的精神療法が中心となる。

 2)薬物療法 : 不安興奮を伴う発作時以外はあまり効果がない。

看護

1)症状出現時の安全性を保持する。

2)症状以外の患者の諸側面に積極的な関心を示す。

3)依存欲求を認めながら、操作の有無に関わらず一貫した態度をとる

4)健康な側面を活性化し、興味のあること、やってみたいことは積極的に支持し、出来たことは評価して達成感をもたせる。

5)自分のことは、可能な限り患者の能力でさせ自我自律性を高める。不必要な世話はしない。

6)現実への直面化を助ける。

7)対象がもてず症状が悪化するようならば、信頼関係がとれている対象を特定して援助する。

6.離人神経症

 自己の精神・身体・外界が自己から離れ、疎外されて独特の変化感、疎隔感、非現実感を訴え、生命感や実存感の喪失に悩むものを離人症といい、この症状を呈する神経症を離人神経症という。

症状の特徴

 1)外界疎隔感:

外界と自分にベールがかかっているように感じて、外界のものが生き生きと感じられない。目の前に白黒のフィルムがかかったようで、色彩があせ、灰色で立体感がなく、現実的でない、物がある感じがしないと訴える。

 2)自己疎外感:

喜怒哀楽の感情が失せて何を見ても感動しない、自分が自分でないようだと訴える。また、何をしても自分がしているという気がせず、まるでロボットのようだ、影のような存在だ、など訴える。

 3)身体・身体感覚疎外感:

手や足が自分のものと感じられない。自分の顔を見ても、自分の顔という実感がないなどと訴える。また空腹感や満腹感がなく、運動した後も疲労感がないなどと訴える。

検査:不安神経症を参照

治療

 1)身体症状の精査

気質的疾患、精神分裂病、鬱病の初期症状を除外するために徹底して検査を行い、身体的な異常のないことが判明すれば、離人神経症であることを説明して認識を持たせる。

 2)薬物療法

症状緩和の目的で抗不安薬を使用する。

 3)精神療法

・対象性の明確な信頼関係を築き、安心感をもらう体験をする。

・自我自律性を高める。

・患者が自己理解を深め、自分の回避しているものに直面化する助けをする。

 4)集団精神療法

・自己感覚を増していくために、安全な他者との距離を保ちながら、他者経験の調整をする。

・脅威にならない空間を保ちながら、対人関係の安全感のなかで傷つきに対処する能力をゆっくり身につける。

看護

1)患者の性格特性の偏りを調整する。

2)患者に積極的な関心を示す。

3)信頼感、安全感のもてる関係を築き、症状の変わらない辛さを共有する。

4)患者が自分の傾向や行動パターンに気づくことができるように援助する。

5)症状の消失には時間がかかることを伝え、症状を受け入れながら日常生活に適応する助けをする。

6)健康な面を活性化し、興味のあること、やってみたいことは積極的に支持し、できたことは評価して達成感をもたせる。

7)患者が自分の回避しているものに気づく助けをする。

看護計画(不安神経症)

Ⅰ.病態アセスメント(不安神経症)

1.強迫と依存以外のパーソナリティースタイルを刺激して、患者の偏りを調節する。

2.症状を観察して身体的なアセスメントを行い、必要なケアは実施するが、気休めに不必要なケアはしない。

3.患者の能力を活用する。できることはできるだけさせて、自我自律性を高める。不必要な世話はしない。

4.患者の不安や苦痛を理解する。同情しないことが大切である。心理学的には共感が重要で、同情とは区別しておく必要がある。

神経症の患者は不安に耐えることには慣れている。同情すると薬や看護者への依存が起きる。

看護計画(強迫神経症)

Ⅰ.病態アセスメント(強迫神経症)

1.症状の変化を観察することが重要となり、細かな観察が必要。

2.達成可能な目標を定め、達成感を味わえるように援助する。同時に頑張りすぎないようにコントロールすることを助ける。

3.完全にしなくても認めてもらえる体験ができ、安全感がもてるように援助する。

(@_@;)参考文献

医療学習レポート.神経症


スポンサード・リンク