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(*ToT)脊髄損傷の話


「脊髄損傷」の画像検索結果

(^ム^)題名:脊髄損傷の話

●脊髄損傷の特徴

脊髄損傷の75%が頸髄損傷

10~20代(労働災害,交通事故)、50代以上(頚椎に加齢的変化が生じることで、簡単に損傷が起こりやすくなる)に多い

8割が男性

C6、7レベルに多い(解剖学的に最も力が加わりやすい)

 

●損傷発生のメカニズム

①過伸展(強力な外力で首を背屈したとき)

脱臼を伴うこともあるが、多くは骨に異常はなく、椎間板、隣接する前縦靭帯と脊髄が損傷される。

このタイプの損傷は上下に広範囲に及ぶが、脊髄の中心部のみの病巣となることがある。

頸椎に加齢変化のある高齢者に発生することが多く、シュナイター型麻痺と呼ばれる。

下肢の麻痺は比較的軽度だが、上肢の障害が重度になる。

②過屈曲(強力な外力で首を前属したとき)

前方に脱臼することで脊髄が強く傷害される。

③頭頂部から垂直方向の外力

頸椎は圧迫骨折を起こし、骨片で脊髄を圧迫する。直接脊髄が損傷されることもある。

④回旋力

上記の頸椎の変化にねじりが加わると、複雑な力が頸椎にかかる。骨折が生じることも多い。

 

●麻痺のプロセス

外傷により神経細胞、神経線維が損傷される。

脊髄出血や微細血管の収縮、血栓形成、神経組織への酸素欠乏により壊死が発生する。

この変化によって生じた代謝障害や血管収縮物質や細胞障害物質が、二次的に壊死と浮腫の部分を急速に広め、麻痺が短時間に完成する。

(損傷を免れ、浮腫や二次的な障害のために一時的に麻痺を生じていた損傷周辺は、部分回復に伴って、徐々に麻痺が回復する。(受傷後数週間~半年))

痙性麻痺は頸髄・胸髄の損傷に多く、弛緩性麻痺は腰髄の損傷に多い。

 

◎脊髄損傷によって起こる初期の運動麻痺

脊髄ショック期:中枢神経である脊髄がなんらかの外傷で損傷されると、脊髄の機能は損傷部位以下が一時的にすべて停止し、運動や知覚,反射といった身体の基本的な機能が失われる。

脊髄ショックは、24時間から3週間程度続き、やがて損傷された脊髄の部位から下位の脊髄固有の反射から復活し始める。

*脊髄固有の反射

ⅰ球海綿体反射:陰茎ないし陰核の亀頭部を圧迫刺激すると、球海綿体筋および外肛門括約筋が収縮する。反射弓は陰部神経と仙髄。

ⅱ肛門反射:指を直腸に挿入すると、内肛門括約筋が収縮する。

 

●脊髄ショック期の症状として

・ 損傷高位以下の反射の消失

・ 弛緩性麻痺

・ 尿閉

・ 自立神経麻痺による徐脈

・ 血圧低下

・ 低体温

 

●脊髄不全麻痺

①ブラウン・セカール症候群

障害側:運動麻痺、触覚・深部知覚

非障害側:温・痛覚消失

障害髄節野:全知覚脱失

②中心性頸髄障害

血流の低下により脊髄の中心部が障害される

運動麻痺:上肢>下肢

知覚障害は正常

痙性は強い

③脊髄前部障害

受傷直後:痛覚、運動の全麻痺

尿閉

触圧覚、位置覚、振動覚は正常(後索を上行するため)

痛覚、運動覚の消失

 

●全体的な症状として

1.自律神経機能障害

「延髄一脊髄血管運動路」が遮断されたり、脊髄血管運動中枢が壊れたりすることによって起こる。

①血管運動機能障害

麻痺した部分の血管は張力を失って拡張し、体温も上がり、皮下静脈も拡張する。

②起立性低血圧(たちくらみ)

第5胸髄損傷以上では内臓神経の離断や、上記の血管運動機能障害による血液配分の不均衡などにより、起立性低血圧を生じる。

詳しくは5で説明する。

③体温調節障害(発汗障害)

発汗の障害がおこり、汗の蒸発による体温冷却作用が起こらず、体温が体内に蓄積されて熱っぽくなり、体温が上がり、重症では意識がもうろうとする事がある(うつ熱状態)。

夏期に直射日光に当たる、気温の高い場所に長くいる、25~26℃以上の室温で発生する。

④消化管機能障害

急性期や慢性期には消化管の運動機能が障害されることがある。症状が重い場合には麻痺性イレウス(腸間の運動障害によって腸内容が停滞し,腸管が拡張する。大腸でよく見られる。)になることがある。

詳しくは3で説明する。

⑤自律神経過反射

頸髄損傷や高位(T5以上)の胸髄損傷時に現れる。

尿や便が充満した結果、上向性の刺激によって交感神経の髄節のスイッチを入れることで交感神経が過敏に反応し、異常な発汗や頭痛、血圧の上昇、徐脈、顔面の紅潮などを起こす。

詳しくは5で説明する。

⑥異常高体温

頸髄損傷の受傷直後に40°以上の異常高体温となる。伝導路の廃絶、麻痺域の発汗不能、延髄の体温調節中枢などの損傷などが理由となる。

*徐脈の起こる機序として

交感神経の働きとしては頻脈であるが、自律神経過反射の症状として徐脈が起こる。

心拍数が上昇する→圧受容器が感知する→迷走神経から命令が出る→心拍数が下がる→不十分になる→徐脈

脈拍を減らそうとする→十分に反応する→徐脈

 

2.排尿機能障害

●支配神経

①下腹神経(交感神経):Th11~L2

膀胱弛緩

内括約筋収縮

触、温痛覚の情報

 

②骨盤神経(副交感神経):S2~4

膀胱収縮

内括約筋弛緩

膀胱壁の伸展、収縮の情報

 

③陰部神経(体性神経):S2~4

外括約筋収縮

 

これらの神経経路が頸髄の部分で障害されることによって正常な排尿ができなくなる。

 

排尿に最も重要な核はS2~4であり、ここよりも中枢で障害を受けた場合を核上性膀胱といい、ここよりも末梢で障害を受けた場合を核、核下性膀胱という。

脊髄損傷の場合、脊髄ショック期には弛緩性となり、ショックが回復すると痙性の膀胱になる.

 

核上性膀胱(自動性膀胱、反射性膀胱、痙性膀胱)

腹を押さえるなどの、膀胱の求心性刺激により、排尿反射が誘発される。

核、核下性膀胱(自律膀胱、弛緩膀胱)

随意的、反射的排尿が共に障害される。尿を止める事ができない為、ポタポタと、尿が絶えず漏れる。細菌が逆流して、感染をおこす危険性が高まる。

 

主な問題として、4つ挙げられる。

①尿意がなくなる

正常な機能の場合、尿が溜まると膀胱が充満したことを大脳の前頭葉で「尿意」として感じるが、この神経が損傷することによって、膀胱が充満してもそれを感知することができなくなる。

(しかし、尿が溜まると自律神経の反射で血圧が上昇し、首から上の部分で発汗、寒け、頭痛を感じるので、こうした状態を「尿意」の代わり、尿が膀胱に溜まったサインとして使うことができる。(代償尿意))

 

②損傷直後は尿が出なくなる

脊髄ショック期に、排尿神経が麻痺して膀胱が収縮せず、外尿道括約筋も開かないため、尿が出なくなる。(尿閉)

この状態を放置すると、膀胱には1、000ml以上の尿が溜まり、この状態が続くと尿毒症になる可能性がある。

カテーテルを膀胱に留置する、数時間毎に導尿する、などの対応がされている。

 

③慢性期に反射性排尿(尿失禁)となる

尿が一定以上溜まると反射的に尿が出てくる現象(反射性排尿)がおこり、自分の意志で止める事ができず、尿失禁となる(受傷後3ヶ月~1年、その後も続く)。

一般に200~300mlの間で漏れるようになる。

 

④尿が出にくくなる

利尿筋括約筋協調不全(外尿道括約筋が開かないことによるもの。膀胱の筋肉は収縮を起こす。)尿が出ないと自律神経の反射で血圧が上がり、寒けや発汗、動悸や頭痛を起こす。

 

●麻痺レベルの状態

C6以上 排尿動作は不能
C7 叩打動作のみ可能
C8 叩打、手圧は可能だが、集尿器装着や尿器の始末に問題がある

 

3.消化管の合併症

消化管は二重の神経支配を受け、副交感神経は消化管の運動を促進、交感神経は抑制的に働く。

 

胃から横行結腸までの上部消化管の支配神経

副交感神経系:第Ⅹ脳神経の迷走神経

交感神経:第5~第11胸髄節を出て腹腔・上腸間膜神経叢を形成

 

下行結腸以下の支配神経

副交感神経系:第2~4仙髄に由来する骨盤神経

交感神経:第12胸髄~第2腰髄節から下腸間膜神経叢を構成

脊髄損傷時、胃から横行結腸までは副交感神経の支配により正常に働くが、下行結腸以下は支配神経が機能しないため、正常に働かない。このため、便が腸にたまって便秘となる。

 

両者のバランスが崩れ、受傷初期においては麻痺性イレウス、消化管潰瘍、また慢性期においては宿便や便秘が問題となる。

 

①排便機能障害

ⅰ.急性期(脊髄ショック期)の排便障害

大腸機能も括約筋コントロールが脊髄損傷により失われ、排尿機能と同様に障害される。

脊髄円錐以上の傷害では横行結腸より近位で詰まり、馬尾損傷では遠位の結腸で詰まる。この違いは、横行結腸が迷走神経と骨盤神経の副交感神経支配の境界であるために起こる。

仙髄節障害では骨盤神経を介する下位の大腸の動きが低下する。

急性期には全身がショック状態に陥っており、腸管運動も低下し、便も硬くなり、便秘になる。

また、交感神経経由の求心性刺激が欠落して副交感神経の機能が低下し、しばしば麻痺性イレウスを起こす。頚髄および上位胸髄損傷に多く現れる。

必要に応じて「嫡便」を行う。

その後、水様便や泥状便の状態になる。

 

ⅱ.慢性期の排便障害

慢性期の排便障害の主なものとして便秘がある。小腸の通過は正常と違いはないが、横行結腸から下行結陽にかけて便が溜まる。便秘が続くと「宿便」と呼ばれる状態となり便意も消える。しかし、自律神経の反射による動悸や発汗、頭痛などを「代償便意」として感じることができる。

対応としては、反射を利用してスムーズな排便を訓練する。

肛門反射:括約筋の弛緩と大腸の収縮をもたらす。

大腸反射:外肛門括約筋の伸張により行われ、反射性に内括約筋をコントロールする。

 

②ストレス性潰瘍

脊髄損傷患者では、胃液の分泌が亢進し、排出が遅れ、潰瘍を形成しやすい機序が潜在的にあるため、ストレスによる潰瘍を作りやすい。攻撃因子である胃酸、ペプシン、ガストリン、の増加や、防御因子である胃粘液、プロスタグランジンなどの減少や、血流障害などが考えられる。

 

3.急性腹症

突然の腹痛を主症状とし、全身状態も不良であり、早期に緊急手術の適応を決定すべき疾患の総称。

急性腹症の原因として、消化管潰瘍の慢性化・重症化とともに、虫垂炎や無石性の胆嚢炎の可能性がある。慢性期においても、脊髄損傷患者では胆石の保有率が健常者に比して高く、胆嚢炎の併発や自律神経過反射の誘因となる。

 

対応として

慢性期では便秘を呈するが、結腸自信の運動機能は保たれているため、食事後の胃腸反射を利用して食後の排便を促し、1回/2日の排便習慣を目指す。

 

4.呼吸器系の合併症

呼吸に使用される筋

安静時の吸気 外肋間筋による胸郭の前後・左右方向横隔膜の収縮に伴う上下方向の拡大
安静時の呼気 肺および胸郭の弾性によって受動的に呼出
努力性の吸気 斜角筋群,全肋間筋,大胸筋,胸鎖乳突筋,前鋸筋,憎帽筋上部,小胸筋、腹筋など
強く息を排出する呼気 内肋間筋と内外腹斜筋

 

 

Oc-C3は、受傷直後から人工呼吸器なしでは生存できず、終生人工呼吸器を必要とする。

C4は横隔膜の機能は温存され腹式呼吸となるが、急性期には十分な換気量が得られず人工呼吸器を必要とする。

C5以下でも頸髄損傷では肺活量は正常の1/2くらいに減少し、肺活量は予測肺活量の30%に減少することが多い。

さらに呼吸機能は脊髄ショック期に自律神経機能障害により大きく影響を受ける。また交感神経系は中枢からの調節機構を欠くため、気管支拡張や分泌抑制機能が不良となり、喀痰の排出が困難な状態にある。

横隔膜で安静時呼吸の約70%を補っている。

 

5.循環器系合併症

消化管と同様に自律神経の神経支配の破綻により生じる。

迷走神経(副交感神経) :延髄に中枢をもつため、損傷を免れる。

交感神経:T6~L2髄節に二次中枢を有するため、視床下部からの支配が失われる。

損傷レベルがT5以上の場合、起立性低血圧、自律神経過反射などの自律神経機能障害が出現する。

 

●心臓の調節

心臓は迷走神経と交感神経の両者の支配を受けている。

迷走神経:心臓に対し全般的に抑制的に作用する。主に洞結節および房室結節にその末梢を有しており、その興奮により心筋の収縮力を減弱し、徐脈をきたす。脳神経より直接洞房結節と房室結節に向い、ここに細かく分布し、この興奮は徐脈を起こさせ、心臓の刺激伝導系を遅延またはブロックする。

交感神経:促進的に作用する。上・中・下頸神経節から、上・中・下の心臓神経として心臓を支配する。このほかC1およびC2の胸部神経節から直接心臓に向う神経線維を有する。そして交感神経の興奮により洞房結節よりの刺激を増加させたり、心筋の自動性、被刺激性収縮力を高める。

これら心調律は交感神経と迷走神経とのバランスが適合することによりうまく行われている。さらに心臓はカテコールアミンやブラディキニン、ヒスタミン、セロトニンなどの伝達物質の影響を受ける。

 

①受傷初期低血圧・徐脈

脊髄損傷後、特にそれがT6以上の場合には交感神経切除と同じ状態となる。血管が開き、四肢に血液が貯留して血圧が低下する。

 

②起立性低血圧

斜面台による血圧下降が30mmHg以上となるもの。

臥位から立位への体位変換によって血圧が著しく低下し、脳血流量が減少して立ち眩み、心身などを呈する。

頸髄損傷では一般に最高血圧が90、最低血圧が60くらいの人が多い。

腹帯、呼吸訓練、立位訓練などの全身調整により、将来的には問題にならないことが多い。

治療方法としては、短期的な治療は頭部を低くして、四肢を高くする。

斜面台を用いた訓練により時間をかけて患者を直立位にもっていくことが必要となる。

患者には、坐位の前に水分を多く飲んだり、腹部や下肢にバンドを巻いたりすることを指導する。

受傷早期からの体位変換が神経系の回復を促進する上で重要。

仰臥位のまま長期間保たれていた患者や、尿路感染を伴った患者では遷延化する。

 

③自律神経過反射

T5以上の高位脊髄損傷において、麻痺領域からのある種の刺激(大腸や膀胱の拡張など)が原因となって血圧上昇など一連の交感神経亢進状態が生じる。

受傷後6週間以後,脊髄の反射が回復してから起こることが普通で、多くの場合3年間くらい続く。

膀胱カテーテルが何らかの原因で詰まり、膀胱が充満している場合が多い。

また、便秘が誘因となっている時は、浣腸や摘便が逆に増悪因子となることもあり、注意が必要である。

稀ではあるが、自律神経過反射が急性腹症の最初の徴候であったり、脊髄損傷患者の分娩時に過反射が原因で異常な高血圧を伴う事を知らなければならない。

 

④静脈血栓症

麻痺域の血管収縮の消失による血流低下、筋麻痺によるポンプ作用の喪失により静脈血栓症を生じる。

下肢静脈血栓症からの塞栓子により、肺動脈などが閉塞する可能性がある。脊髄損傷患者では受傷後数ヶ月にわたって危険性がある。

 

6.褥創

脊髄損傷患者に最も多くみられる合併症である。

骨髄炎、直腸膀胱痩、異所性骨化、敗血症などの原因となる。

無知覚領域の皮膚に対する慢性圧迫による血行障害により、皮膚壊死とともに、皮膚よりも血行の悪い皮下組織の壊死が広がった状態である。

好発部位は皮下に筋組織などのクッションを有さない骨突出部である。

完全麻痺患者の約2割は常に褥瘡を有している。

 

●予防方法

ⅰ.急性期

定期的に十分圧力から解放しないと、皮膚は損傷し、祷瘡を形成する。これを防ぐため、2時間毎に体位を変換し、骨性隆起にはパッドを当てなければならない。

患者が回復して車椅子に坐れるようなったら、体重支持位置の変換を訓練する。局所的な圧迫を防ぐために、通常数個の枕を要する。

 

ⅱ.慢性期

主として坐位を保持する時間が増すため、坐骨の褥瘡が問題となる。

しかし、高位脊髄損傷を除く多くの患者では、坐位姿勢のコントロールが可能であるため、プッシュアップにより定期的に除圧を図る。

また、フットレストを低くして坐骨結節にかかる圧迫力を大腿部に移行させたり、背もたれを5~10°の傾斜をつくるなどの工夫をする。

ベッドでは同一体位で寝る時間を6時間から7時間までとし、体位変換なしで一晩寝ることを目標にする。

 

7.異所性骨化と骨折

麻痺域の大関節周囲に生じ、関節拘縮をもたらす。

また、麻痺域では、不動化や神経支配の欠如などから骨萎縮が起きて、長管骨の病的骨折が生じることがある。

 

①骨折

完全麻痺では、骨吸収が促進し、骨萎縮が急速に進行することがある。

骨萎縮をきたした例では、麻痺域の骨への体重負荷の減少、筋ポンプ作用がないといった理由から、受傷後3年間の早期に急速に骨萎縮が進む。3年間の骨皮質幅の減少率が24%、10年間で33%という報告がある。また、腰推でも、受傷後1年で同年齢健常者の50%以下の骨濃度となる例も報告されている。

 

②異所性骨化

20~30%の患者に生じる。通常、大関節周囲、特に股関節が多く、次いで膝関節・肩関節である。骨化は受傷後1~4カ月で現れる。

症状としては、はじめに下肢の腫れと発赤で始まり、静脈炎との鑑別が必要となる。他の早期の徴候は、罹患関節のわずかな可動域低下である。X線を撮影すべきだが、腫れや可動域低下の出現から7日から、21日経たないと骨化陰影はみえない。

治療は、循環改善剤、極超短波、EDTAなどが挙げられる。

 

8.痙性と拘縮

①痙性

脊髄ショックから回復し、反射弓が再び機能するようになると、痙性が出現する。

完全損傷であっても、痙性の程度に差があり、頸髄損傷でも25%は弛緩性麻痺である。

ADLが障害されることが多いが、軽度の痙性は筋の膨らみを維持し、骨性隆起へのさらなる保護になる。歩行機能を補助する場合もあり、痙性を除去するとかえって、歩行機能や他の活動が困難となることがある。

*痙性とは、一種の中枢からの開放減少であり、頸髄損傷でも必ずしも痙性麻痺を起こすとは限らない。

②拘縮

拘縮は、不適切な四肢の管理および筋力の不均衡を原因とし、麻痺領域の関節にも,健常な関節にも生じる。

治療早期には特に肩関節の可動域に注目する。牽引のためベッド上で安静にしている時や、ハローベストを使用している初期に肩関節の拘縮が生じる。この状態は早期から適切な肢位をとることや、1日3回の肩の可動域訓練により防止できる。

下肢については,足と足関節が容易に拘縮する。すべての関節は受傷後早期から毎日可動域訓練を行うべきである。

リハビリテーションの機能回復期には拘縮の予防がその第一目的となる。受傷初期から、麻痺している関節の可動域訓練やストレッチングを行えば拘縮の発生は予防できる。患者に退院後も家庭で定期的に可動域訓練を行うよう指導することは重要である。

 

9.その他の機能障害となりえる問題

①痛み

脊髄損傷では痛みもしばしばみられる合併症である。急性期の疼痛や幻肢痛、麻痺域の異常知覚、慢性期の脊椎起源の痛みなどがある。

ⅰ.根性疼痛:神経根に一致し、損傷の高位に帯状痛として現れる。

ⅱ.知覚脱失性疼痛:麻痺域全体に広がる疼痛で、幻覚痛とも呼ばれ、天候や体調に左右される。

ⅲ.内臓痛:交感神経性疼痛の一種。

ⅳ.精神的疼痛:心理状態によって現れるので、スポーツなどで、情緒の安定を図る。

 

②発熱

脊髄損傷患者では感染と発汗障害から体温が上がる傾向にある。受傷直後には呼吸器感染、亜急性期の発熱の原因は尿路感染であることが多い。ときに、圧迫部位での褥瘡や皮下膿瘍の発生や化膿性脊椎炎の併発に留意する。

また、脊髄損傷患者では麻痺域での発汗が障害されるためうつ熱状態となり、体温が上昇する。顔面発赤と著しい発汗がその徴候である。この場合、解熱薬は無効で、冷房など物理的方法で体温を下げる。

 

③性機能

脊髄損傷の多くは30歳以下に起こるため、患者の全身的な治療の上で、性機能の問題も重要な領域である。男性では損傷レベルがLl以上の場合、正常な勃起は不可能であるが、反射性の勃起は可能である。正常の射精は不可能であるが、人工授精に必要なだけの量と質の精液を、電気的射精やワゴスチグミンのくも膜下腔注入により得られる。

女性では、快感を感じることに関しては限界があるが、妊娠に関しては問題がない。ただし、出産時には自律神経過反射の発生に留意すべきである。

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(^ム^)参考文献

医療学習レポート.脊髄損傷


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