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v(・∀・*)呼吸器と基礎医学の話


1.肺の構造

1)空気の流れ

呼吸器は、気道(鼻腔・咽頭・喉頭・気管から細気管支)と肺胞、胸郭に分けられる。主な空気の流れ(酸素を血液の取り込むまで)は下記に示す。又、肺を覆っているのが胸郭である。胸郭は12胸椎と、12対の肋骨、胸骨および、これらに付着する筋と筋膜からなり、下方は横隔膜で腹部と境されている。内部には心臓、肺を含む。

 

鼻腔…   鼻腔粘膜には静脈と粘液腺があり、取り込まれたが外気が肺胞内に達する前に、これを濾過し、温め、湿り気を持たせる。

咽頭…   鼻腔、口腔の後面で下包は喉頭と食道に連なる。食物の嚥下時、鼻腔と喉頭の出入り口はふさがれ、呼吸運動は停止する。

喉頭

 

気管…   内面は線毛で覆われた粘膜と平滑筋からなり、外部(後面を除く)には弾性線維とC型の軟骨がある。

★線毛は、分泌物や異物を咽頭へ押しやる働きをする。

★軟骨は、気管を輪状に保つのに役立つ。

気管支…気管が二分して左右の肺に至る。

 

葉気管支・区気管支

 

細気管支…軟骨は消失する。

終末気管支

 

呼吸気管支

←ここで、ガス交換が行われる。

肺胞・肺胞壁の毛細血管

2)気道の動態

気道閉塞の最大の指標となるのは、1秒率の低下である。1秒量(FEV1.0)とは、できるだけ吸い込んだ空気を、1秒間にできる限り速やかに吐き出した量をいい、1秒率(FEV1.0%)とは、努力肺活量の何%を呼気のはじめの1秒間に吐き出すことができるのかを表す指標である。

この1秒率低下は、努力呼気時の主気管支ないし、下葉気管支の動的な虚脱ないし縮小を直接に表現するのである。気道の動きを、気管支造影により観察すると、努力呼気時には正常者では縮小の程度は軽度であるが、肺気腫症では下葉気管支が糸のように細くなるのが認められる。そのメカニズムは、肺胞から呼出気流の減少と気管支を支える張力密度の減少などが考えられ、気道それ自体には病変がない。

気道に主病変がある慢性気管支炎では、努力呼気にもかかわらず気道の縮小は比較的軽度である。このように気道動態は、気道そのものの病変よりも、呼気細気管支以下の病変に強く影響されるので、呼吸運動に関して気道を考える場合、気道のみにとらわれず、さらに末梢の中間領域や呼吸部の病変に注意する必要がある。

肺気腫症とびまん性汎細気管支炎は、呼吸細気管支領域の破壊や閉塞を特徴とする病変を呈し、いずれも基本的に中枢側の気管支には変化がないにもかかわらず、中枢側の気管支の縮小ないし虚脱を表現する1秒率低下がその機能的特徴となっている。

呼気時の虚脱は、気管支の狭窄ないし閉塞のため、気道抵抗が上昇し、努力呼気による肺胞からの駆動圧が吸息に低下すると、等圧点(気道内圧と胸腔内圧の等しい点)は末梢へ移動し、中枢側の気管支の虚脱が生じるものと考えられる。

 

3)呼吸細気管支の構造と障害

呼吸細気管支は、肺胞細気管支とも呼ばれ、この中のガスの移動は拡散の原理で起こり、気管支周囲には多少ずつ肺胞が付属し、ガス交換に直接関与するので、この理由から気腔の一部とみなすことができる。

吸入時は、肺の中で内腔の中で最も狭い(1~2mm)終末細気管支から、多少とも広い呼吸細気管支にはいるうえ、反回枝があるので過流運動が起こり、空気の動きは停滞する。したがって、吸気とともに入り込んできた細菌や化学的物理的粒子状物質は、この部分に沈着しやすい。これは炭粉沈着巣が呼吸細気管支周辺に好発する事実からも裏付けられている。

さらに呼吸細気管支では、細毛上皮細胞が乏しいうえに、種々の刺激や、細菌、ウイルスなどに対して、抵抗力の弱い肺胞が存在するので、気道に比較して明らかに障害が起こりやすい。また呼吸細気管支は、壁が薄いため炎症は壁の全層に及ぶだけでなく、周囲の肺胞にも波及し、用意に呼吸細気管支周囲炎を起こす。一方、中間領域を素通りして反回枝肺胞嚢に達した細菌や刺激性微粒子が炎症を起こすと、呼吸細気管支周囲炎から連続的に、呼吸細気管支に炎症が広がる。

2.呼吸の運動学

1)呼吸筋の種類

呼吸は、外呼吸(換気)と内呼吸(拡散・肺循環・大循環)に分かれるが、呼吸の主体をなす換気は、多くの呼吸筋による胸郭運動、横隔膜運動から生じる胸郭内圧の変動によってなされる。

肺は内部が陰圧で気密になっている胸郭の中にあり、気道を介して外界と交通している。胸郭を構成している胸壁や横隔膜など、呼吸筋の緊張によって、胸郭が拡張すると、胸腔内の陰圧が高まり、肺は外側へ引っ張られ拡張し、鼻や口、気管、気管支を通って空気が肺内に流入する。次いで呼吸筋が弛緩すると、胸腔内の陰圧が減少し、肺はそれ自身の収縮力におり自然に縮まり、肺内のガスが再び気道を介して外界へ呼吸される。

 

(1)吸息筋

吸息筋には、横隔膜、外肋間筋、内肋間筋前部があり、強制吸息では他に肋骨挙筋、上肢帯筋、頚部筋などが補助動筋として活動に参加する。

 

①横隔膜

横隔膜は胸腔と腹腔の境となる膜状の筋で、その起始部により腰椎部、肋骨部および胸骨部の3つに区分される。全体として円天井型に胸腔内にもり上がって集まり、中央部に腱中心(central tendon)という腱組織がある。横隔膜下降に際して、横隔膜の3つの筋構成部はそれぞれ異なった役割を果たす。腰椎に付着する腰椎部は、中心腱の後部を抑制するので、動きは横隔膜のみにとどまる。胸骨部および肋骨部は横隔膜を緊張させると同時に、肋骨を上方へ引き上げ胸郭の動きを強め吸気を容易にする。

吸気に際して、横隔膜は垂直方向に下降するがこの動きは、中央の腱中心よりもその周囲の筋線維の部分で著しい。横隔膜の動きは、安静1回換気量位で1.0~1.7cmである。1回換気量の横隔膜の平均振幅を1.0~1.7cmとし、その面積を250~300cm2とすれば、横隔膜による1回換気量は1.0cmでは250~300ml、1.7cmでは425~510ml換気量が400~500ml(1回換気量の正常値)であるから、横隔膜による換気は少なくてもその約60%を占める。また、横隔膜は努力呼気時に10cm以上移動する。

慢性閉塞性肺疾患では、横隔膜は常時下位に保たれ、胸骨部と肋骨部は平たくなり、換気効率を憎悪する。

また、横隔膜は弛緩すると、その弾力性によって間接的に呼息作用を行う。

 

②肋間筋と補助筋

外肋間筋と補助筋(斜角筋・胸鎖乳突筋,trapezoidを含む)は吸気運動と胸郭の前後径の拡大に働く。

外肋間筋は肋骨結節付近から、前端は前鋸筋、外腹斜筋の起始部付近まで存在する。それより前部は外肋間膜となって胸骨に達する。外肋間筋の短縮で肋骨が挙上され、胸郭の前後・左右径が拡大する。吸息筋として横隔膜についで重要な役割をしている。

内肋間筋前部線維は下外方から上内方へ走行するため、胸肋関節を支点とする肋骨の挙上運動(吸息運動)に作用する。

肋間筋の収縮は、おもに胸郭の安定性に寄与し、横隔膜の収縮による胸郭の変形を防いでいる。分時換気量が最大換気量の50%以上になると、腹筋群と内肋間筋が収縮し、胸郭内容積の収縮をきたす。

 

(2)呼息筋

通常の呼息は、肺自身の弾性による収縮・拡大した胸郭自身の弾性による復元・横隔膜の弛緩による胸郭の縮小で起こり、筋収縮の必要はない。ただし、強く息を吐き出す強制呼息では筋活動が必要になってくる。

内肋間筋は外肋間筋の内側にあって、前端は胸骨縁から、後端は肋骨角付近に終わる。これより後部は内肋間膜となって胸椎に至る。内肋間筋は肋骨を引き下げて肋間隙を狭くし、胸腔を縮小することから呼息筋(強制呼息)となる。

呼吸運動には胸郭の筋の他に多くの筋が補助的な作用をしている。腹筋また、呼息筋の重要な筋に腹筋群(腹直筋・腹横筋・内および外斜筋)があげられる。一般的に呼気、特に深呼気、努力呼気に関するが、一方腹筋の緊張は横隔膜の緊張を助け、吸気にも重要な役割を果たす。

 

2)呼吸筋の機能

(1)安静吸気

安静換気時吸気には、主として横隔膜が働く。

①横隔膜が収縮し、横隔膜は下方に下がり、胸郭は上下方向に拡大する。

②同時に外肋間筋、肋骨挙筋、斜角筋が収縮すると、第2~6肋骨はその椎骨端が胸骨端より上方にあるので、胸骨は引き上げられ、胸郭の前後径は増大する。

③また同時に、第7~10肋骨の中央部は椎骨端および胸骨端よりいずれも下にあるので、これらの筋の収縮により、胸郭の横径が増大する。

 

(2)安静呼気

安静呼気では、呼吸筋の関与はない。吸気時収縮した横隔膜など各呼吸筋が弛緩すると、胸郭および肺の弾性収縮力により、吸気時に拡大した横隔膜、肋骨、胸骨はそれぞれもとの状態にもどり、胸郭の上下、前後左右の径は元の大きさに戻る。

 

(3)その他の機能

呼吸筋は、換気機能以外にも、横隔膜と腹筋の緊張による腹圧の亢進により、咳、嘔吐、排便など体内の産物の排除機能に重要な役割を果たす。

 

3)呼吸筋の疲労・呼吸不全

横隔膜および胸鎖乳突筋は高度の気道低下で任意に呼吸を繰り返させると、疲労するが、その際にはあらゆる刺激に対する収縮力が低下することが観察される。

 

3.呼吸の生理学

呼吸のリハビリテーションは、生態の形態学的および生理学的機能を効率的に、十分に作動させるのが基本である。そのために、肺野呼吸筋の構造や呼吸の生理学などの基礎医学を把握する必要がある。

 

1)呼吸とは

呼吸とは、生態の細胞にO2を供給し、細胞の代謝産物の1つである炭酸ガスCO2を除去する営みである。空気中のO2が、気管支、肺胞、血液を経て、末梢の細胞まで運搬される。CO2の除去はそれと逆に組織から血液へ、さらに肺毛細血管を経て、ガス液相から肺胞の気相へ移り、気動を通って呼出される。

 

(1)換気

正常な肺の機能とは、組織が必要とするO2を肺胞内に十分に用意し、肺胞内に集まってくるCO2を速やかに除去できる動力学的機能である。

★正常では安静時のO2必要量は200~250ml/分である。

★運動量に応じてO2必要量が増加し、最大運動時には正常の20倍ものO2が必要になってくる。

この必要量に対応して、呼吸は無意識に調節され多くなったり少なくなったりする。

例えば走った後、あえぐように大きく速い呼吸をするのは、必要となったO2を自働的に早く補おうとする呼吸の調節によるものである。

①肺胞での換気

通常、空気は約21%のO2と79%の窒素を含み、760Torrの大気圧をもっている。そのガス分圧は、O2が159Torr、N2が601Torrである。

空気が気管支内に吸い込まれると、体温により47Torrの分圧を持つ水蒸気で飽和されるので、O2分圧PO2は149Torr〔(760-47)×21/100〕に低下する。

肺胞に達する空気の量は、呼吸の深さ(1回換気量)、気道の容積(解剖学的死腔)、1分間の呼吸数によって決まる。死腔とは、呼吸に際して肺に出入りする空気の内ガス交換にあずからない空気で満たされた空間をいい、上気道から気管、気管支を経て終末細気管支までの領域が含まれ、その容積は通常150mlである。

 

②気道の抵抗

空気が上気道、気管、気管支の抵抗に打ち勝って肺胞に入り、呼気時には肺胞ガスを、これらの管を通して呼出するためには、駆出量が必要であり、以下の公式が成立する。

抵抗=駆出圧/気流量

気道抵抗=肺胞気圧/気流量

安静時の呼吸では、呼吸筋の仕事は肺や胸郭の弾性復元力に打ち勝つのみのものである。呼吸を速くすると、空気の流入流出が増し、気道内の抵抗に打ち勝つために、より大きなエネルギーが必要となる。

気道抵抗は流れるガスと分子間およびガスの分子と管壁との摩擦によって生じる。気流が流相ないし線流の場合には、気道抵抗は気体の粘性と管の長さに正比例し、管の内腔の、半径の4乗に反比例する。

管内気流速度=気体の粘性×管の長さ/管の半径

しかし、以上の原理は内面が滑らかで硬い管に適用されるものである。実際の気管支の内面は平滑ではなく、分岐が多く、呼吸の仕方で内径が変わり、そのために乱流が生じ、抵抗が増す。抵抗は吸気と呼気で異なり、気流速度や肺気量によって異なる.呼吸速度からみても,気道抵抗を少なくするためには,呼吸はゆっくりと行う必要がある.

気管支は区域気管支から末梢になると,分岐するごとに気道の全横断面が著しく大きくなり,その結果,気管支よりも細気管支では,はるかに抵抗は小さくなる.

 

(2)拡散

肺胞と肺毛細血管の間をO2とCO2が移動するのは両者の間のガス濃度差を平衡させようとする拡散によるものである.例えばO2は肺表面液相,肺胞上皮,間質,肺毛細血管壁,血漿,赤血球膜を通過してHbに達する.

 

(3)肺循環

拡散の可能な,すなわち血流のある毛細血管のある肺胞表面積を拡散面積という.拡散面積は約60~70m2あり,その全容積は140mlともいわれる.しかし肺循環は循環系に直列に配置され5l/分という大量の血液が流れることの負担は少なく,そのために都合のよい機構も備わっている.血管壁の伸展性もその1つである.平均血圧は約15mmHg,血管抵抗は大循環の1/10で程度しかない.さらに予備力が大きいため運動時や肺切除など血流量が増えてもこの値は変わらない.

 

(4)換気と毛細管血流の適合性

肺におけるガス交換障害の原因の中で,最も重要なものが換気と毛細管血流がうまく適合しない場合であり,これは換気血流比(V()AQ())不均等分布と呼ばれる.ヒトは正常では,安静時に1分間4lの肺胞換気量(V()A)と,5lの肺毛細管血流(Q())がある.したがって肺全体としては,換気血流比V()AQ()は4l/5l=0.8となり,正常のガス交換が行われている.


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