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v(・∀・*)小脳性運動失調の話


「小脳性運動失調」の画像検索結果

(+_+)題名:小脳性運動失調の話

●小脳の解剖・生理

小脳の位置

小脳は側面から見ると、脳の後ろ1/4の場所に、脳幹に背負われたような格好(脳幹の後方)で位置している。

小脳は、後頭蓋窩といわれる頭蓋骨や厚い膜(小脳テント)により囲まれた狭いスペースに存在し、前面を脳幹(中脳・橋・延髄)および第四脳室、側面・後面・下面を後頭骨、上面を小脳テントで囲まれている。

 

小脳の構造

小脳は小脳皮質と小脳核とに分かれる。

小脳皮質は主に神経細胞からなり、その層の厚さは約1mmであり、分子層、Purkinje(プルキンエ)細胞層、顆粒層の3層構造を示す。

分子層には星状細胞と籠細胞、Purkinje細胞層にはプルキンエ細胞、顆粒層には顆粒細胞とゴルジ細胞がある。

小脳核は小脳の白質内に左右4対あり、内側から外側に向かって室頂核、球状核、栓状核、歯状核となる。

室頂核は片葉小節葉からの線維を、栓状核と球状核は前葉からの線維を、歯状核が最も大きく後葉からの線維を受けている。

外見上は、小脳を横軸方向(発生学による)と縦軸方向(皮質と核の結合による)に分類できる。

横軸方向は新小脳・原小脳・古小脳にわけられる。

新小脳は小脳半球部の大部分および虫部中央部、原小脳は片葉小節葉、古小脳は新小脳に含まれない小脳半球部・虫部と分類し、両側に存在する。

縦軸方向は正中帯(虫部)、傍正中帯(傍虫部)、半球と分類する。

小脳と脳幹を結合している部位が小脳脚という組織である。

小脳脚は上・中・下小脳脚に分けられ、おのおの中脳・橋・延髄で脳幹と結合している。

上小脳脚(結合腕)は遠心性線維と若干の求心性線維を含む。

遠心性線維は小脳出力の主要経路であり、特に大脳皮質-橋-対側の小脳半球―歯状核―赤核―対側の視床―大脳皮質回路と、小脳―歯状核―赤核―オリーブ核―小脳回路は運動制御に重要である。

求心性線維は前脊髄小脳路からのものである。

中小脳脚(橋腕)は最も太い線維束で、小脳求心性線維のみ含んでいる。

その殆どが橋核ニューロンの軸索である。

下小脳脚(索状体)は殆どが求心性線維であるが、若干の遠心性線維も含んでいる。

求心性線維はオリーブ核からの線維が大半を占め、他に脊髄・延髄からも線維を受けている。

小脳の血行は上小脳動脈、前下小脳動脈、後下小脳動脈により灌流されている。

大動脈弓から2本に分岐した椎骨動脈は、頭蓋内でまず後小脳動脈を分岐する(各椎骨動脈で分岐)。

その後、延髄と橋の境界部で2本の椎骨動脈が合流し、1本の脳底動脈となる。

合流後すぐに、脳底動脈は前下小脳動脈を分岐する。

その後、脳底動脈は小枝を脳幹部に分岐しながら上行し、上小脳動脈を分岐し、最終的に2本の後大脳動脈となって終わる。

 

小脳の役割

小脳の果たす役割は、①運動を適切にしかも迅速に開始する、②共同運動を行う、③筋緊張を維持し姿勢を保持する、の3つがある。これらは運動制御を行っており、系統的に次の様に分けられる。

1)小脳の縦軸区分

部位

正中部

傍正中部

半球

結合

室頂核

栓状核・球状核

歯状核・視床腹臥位側核

経路

前庭脊髄路

赤核脊髄路

大脳皮質運動野

機能

・全身(軸性)の姿勢と運動・脊髄反射を調節

・伸筋の筋緊張促進

・身体の平衡

・同側四肢の微細運動・脊髄反射に調節

・屈筋の筋緊張促進

・歩行等の協調運動に関与

・同側四肢の微細運動・大脳皮質・視床・赤核との協調

・同側の随意運動の発現や調節

2)小脳の横軸区分

部位

新小脳(中・後葉)

古小脳(前葉)

原小脳(片葉小節葉)

結合

前庭核

脊髄小脳・外受容

オリーブ核

機能

・平衡―軸性(主に体幹)・姿勢

・筋緊張

・平衡・姿勢

・筋緊張(主に下肢)

・上下肢の相同運動における協調性

 

●小脳性運動失調による疾患

小脳性運動失調(症)の特徴

小脳あるいはそれに連なる部位の障害に基づく運動失調は、頻度の上では最も大きいものである。

小脳性運動失調の最も大きな特色は、筋力低下や深部感覚障害が ないにもかかわらず、随意運動を遂行する際に働く筋群の間に協調が失われ(協調運動不全)、そのために運動が円滑に進まれずにバラバラに分解される(動作の分解)ことである。

小脳半球は同側半身の協同運動の調節をして為、障害時には筋群の協調が円滑に行えず、運動の速度、幅、方向、力などに 異常を認めるようになる。

小脳虫部は脊髄小脳路と連絡し、主に歩行を調整している為、障害時には歩行の障害が認められる。

前庭小脳は前庭核と連絡し、主に 躯幹の平衡を保っている(閉眼で影響されない)為、障害時は平衡性を失う。

 

小脳性失調症起因病変・・・小脳性・実質型

以下に部位別の小脳性失調の起因病変を記載する。

1)晩発性皮質性小脳萎縮症

非家族性・孤発性の原発性小脳萎縮で、50~70歳代の男性に好発する、原因不明の疾患。

小脳皮質の萎縮が著明で、Purkinje細胞の完全消失、顆粒細胞層と分子細胞層の菲薄化、小脳回皮質の軽度減少が認められる。

オリーブ核・橋・小脳脚は 保たれる。

起立・平衡・歩行が主として侵され、小脳性運動失調が進行する。

動揺性および酩酊様歩行は認められるが、上肢・言語の障害は比較的軽い。

眼振・ 深部腱反射の異常は認められない。経過は緩徐であるが進行性。

2)亜急性小脳変性症

ⅰ)慢性アルコール中毒に伴うもの

病理学的にはPurkinje細胞の脱落とグリア細胞の増殖、分子層の菲薄化が小脳虫部上面に最も高度に見られ、中部下面、傍中部半球がそれに次ぎ菲薄化が 見られるが、半球最外側部は最も軽い。

組織学的には病変が巣状、ないし不連続的に強調される事が特徴。

下オリーブ核の背内側部に比較的限局した神経細胞の脱落がある。

ⅱ)悪性腫瘍に伴うもの

本症は圧倒的に未分化な肺癌、卵巣癌、精巣癌などに見られ、悪性腫瘍のremote effect(悪性腫瘍から何らかの物質が発せられ遠隔地で作用するというもの)とされているが、その実態は不明。

小脳皮質病変はPurkinje細胞の 脱落とBwrgmannグリア細胞の増殖であるが、顆粒細胞の脱落は軽度。

病巣には中性脂肪をもった脂肪顆粒細胞の動員が見られる。

病変分布は中部上面に 強調される事が多い。

歯状核に二次変性を見る事があるが、通常は皮質以外に著変を見る事は無い。

3)腫瘍

原発的は要因として、小脳半球では、[神経膠]星状細胞腫・混合[性神経]膠腫・巨細胞腫・髄芽細胞腫・神経節芽細胞腫・血管芽細胞腫があり、小脳虫部:髄芽細胞腫・神経膠星状細胞腫・[脳室]上衣[細胞]腫・[脳室]上衣 芽[細胞]腫・類皮腫[類皮嚢胞[腫]]・脈絡叢乳頭症がある。他にも二次的な転移性腫瘍がある。

幼・小児期に発生するものが多い。

間接的な症状として髄液循環障害を起こし、脳圧が亢進する(腫瘍そのものが占領性病変である事と、小脳が第四脳室の背側に位置している為、腫瘍により脳脊髄液の流出がブロックさ れ、閉塞性水頭症を生じる為と考えられる)。

それにより頭痛・嘔吐・複視、小児では頭囲拡大・メニンギスムス症状が現れる。

直接的な症状として小脳核・その経路・脳間線維、細胞・脳神経とその核が障害を受ける為、臨床症状として、筋緊張低下・運動失調(酩酊歩行・企図振戦・測定障害)・眼球運動障害(眼振振盪(しんとう)・共同偏視)・構音発声障害(言語緩慢・断綴的言語・爆発的言語)・眩暈・腱反射消失などが見られる。

※メニンギスムス:小児や若年者の小脳腫瘍患者で頭痛・頚部硬直・Kernig徴候・せん妄・痙攣などの髄膜刺激症状を呈するもの。脳脊髄液に炎症所見は無い。

4)梗塞

小脳梗塞は、小脳を灌流動脈から分類すると、主に小脳の上半分を灌流する上小脳動脈領域梗塞と、下半分を灌流する前または後下小脳動脈領域梗塞に分けられ る。

頻度としては後者の方が多い。

一般に小脳梗塞は椎骨動脈、脳底動脈の閉塞に伴い、副血行路の不全な部位に生じるが、脳幹部が同時に障 害される頻度は高くない。

後下小脳動脈の閉塞はWallenberg症候群を生ずるが、これは後下小脳動脈よりも むしろ椎骨動脈閉塞に伴う事が多いようである。

後下小脳動脈は、梗塞が大きいか、不整脈、呼吸異常などをきたさない限り、症状は比較的穏やかで、 予後も良好である。

症状としては、同側顔面の温痛覚低下、Horner症候群、同側の運動失調、対側の上下肢の温痛覚低下が認められる。

上 小脳動脈梗塞はPICA梗塞についで多く、とくに小脳症状が前面に出る事が多い。

臨床症状としては同側四肢の運動失調、振戦、不随意運動、Horner症候群、対側の顔面を含む温痛覚低下を示す。

とくに歯状核から赤核、視床への遠心路の障害に伴い、重篤な運動失調を示す。

この部の障害は運動失調の回復不良の原因とされている。

前下小脳動脈閉塞の症状は、発生頻度は低いが、中枢性の聴覚障害、顔面神経麻痺、Horner症候群、顔面の知覚麻痺などが小脳症状とともに出現する。

小脳梗塞は発症初期にはクモ膜下出血や小脳の大出血のように急激な意識障害には陥らないのが特徴。

5)出血

脳内出血の中に占める小脳出血の割合は約5~10%といわれている。

小脳出血は傾向として、左半球に多く見られるが、左半球に多い原因は不明である。

発症要因としては、高血圧症(小脳出血の約90%に認められる)が最も重要である。

橋出血例より小脳出血例の大血管動脈硬化の方が高度であるといわれている。

その他に脳動脈奇形や脳腫瘍、出血性素因、抗凝固剤の使用によるものなどがある。

臨 床症候は、小脳出血の約20%は1~2日以内に死亡する。

死亡例に関しては、出血は脳幹部へ穿破している。

出血が第四脳室に穿破する程度の症例では、第四脳室に大量の血腫を形成すると、髄液の流れを障害し、早期に水頭症を起こし、これが脳ヘルニアを招来するので、早期に後頭蓋窩減圧術など治療を行う必要があり、症状は頭痛などから急性発症し、漸時意識障害を呈し、同時に縮瞳、共同偏視麻痺、対側片麻痺を呈する。

血腫は小脳内に限局する程度の症例では、徐々に小脳症状が出現し、予後良好なものが多く、対側の運動麻痺は約半数近くに見られるが、知覚麻痺は殆ど無い事が多い。

第4脳室に大量の血腫を形成すると、髄液の流れを障害し、早期に水頭症を起こし、これが脳ヘルニアを招来する。

早期に後頭蓋窩減圧術など治療を行う必要がある。

 

小脳性失調症起因病変・・・小脳性・歯状核型

1)Ramsay Hunt症候群

進行性の動作・企図性振戦を主症状とする小脳症状に加え、ミオクローヌス、運動失調が、全身てんかん発作のある患者に10歳代で見られるもの。

構音障害・知能障害(軽度なものが多い)も時に見られる事がある。

常染色体劣性遺伝が考えられるが、弧発例も多い。

深部小脳核、特に歯状核の神経細胞脱落・消失が主な変化。

 

小脳性失調症起因病変・・・小脳・脳幹型

1)オリーブ橋小脳萎縮症

オ リーブ核・橋核・小脳皮質の変性。

中年以降に孤発性に発症し、歩行障害から始まって運動失調、平衡障害、言語障害が徐々に発現する。

深部反射は正常・亢進・消失と様々で、病的反射をみる事もある。

時にParkinson症状を合併し、この場合は黒質・線条体の変性も見られる。

予後不良であり、5~10年で死亡する。

OPCA類似症状に加え、起立性低血圧・失禁・無汗・陰萎などの自律神経症状を呈するものをShy-Drager症候群と呼び、本症との関連が注目されている。

 

小脳性失調症起因病変・・・脳幹型

1)Wallenberg(ワレンベルグ)症候群

延髄背外側障害による症状群。

後下小脳動脈の閉塞によるとされていたが、椎骨動脈の血栓によるものが多い。

急激に始まる眩暈、頭痛、嘔吐、眼振で発症。

血管障害と同側の顔面半側、および反対側の躯幹と上・下肢に温・痛覚消失(温痛覚解離)が出現。

障害血管と同側には次のような合併症状も出現する。

小脳症状としては筋緊張低下、小脳失調。

延髄症状としては嚥下困難や発声困難。

交感神経症状として発汗障 害やHorner症候群などがある。

後下小脳動脈が、延髄外側だけでなく小脳にまで分布している為、複雑な症状群を呈する。

2)Benedict(ベネディクト)症候群

大脳脚上部で錐体路が障害される。

病巣と反対側半身に片麻痺、同側に動眼神経麻痺および反対側の赤核症候群(振戦・舞踏病・アテトーゼ様運動)が出現する事が多い。

これらの多彩な症状群をBenedict症候群とよぶ。

錐体路は脳脚においては脚底部の中央1/3を占め、近くに赤核および動眼神経核からの神経線維があるため同時に障害されやすい。

脳脚部損傷による片麻痺で反対側に脳神経麻痺が加わる場合、交叉性片麻痺と言う。

「小脳性運動失調」の画像検索結果

(´・ω・`)参考文献

医療学習レポート.小脳性運動失調


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