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v(^o^)耳鼻咽喉科と手術の話


(~_~メ)題名:耳鼻咽喉科と手術の話

耳鼻咽喉科領域にはさまざまな手術が含まれるが、代表的な4つの手術、鼓室形成術、鼻・副鼻腔手術、アデノイド切除・口蓋扁桃摘出術、喉頭全摘手術を取り上げる。

 

●鼓室形成術

◎術前検査

・鼓膜、中耳の視診と触診:顕徴鏡下に、鼓膜、耳小骨、中耳の病変を調べる。

・聴力検査:標準純音聴力検査、語音明瞭度検査などを行い、患者の気導・骨導城値および語音最高明瞭度などを知る。

難聴の程度とコミュニケーションの障害の関係

良聴耳の平均聴力レベル WHO(1980)
25dB以下 小さな話し声でも不自由さなし
26~40dB mild 小さな話し声に不自由さあり
41~55dB moderate ふつうの会話でしばしば不自由を感ずる
56~70dB moderately severe 大きな会話でも不自由
71~90dB severe 非常に大きい声か、補聴器による会話のみ聴取できる
91dB以上 total loss,profound 補聴器を用いても理解できないことが多い

 

・X線検査:単純(三方向)・断層・CT撮影を行う。中耳病変の広がり、合気蜂巣の状憩、頭蓋底の高さなどを調べる。

・耳管通気度検査:耳管カテーテル法により、耳管通気度を調べる。

・耳漏細菌検査:細菌を同定し、感受性のある抗生物質を選択する。

・必要例には、さらに平衡機能検査、顔面神経検査を行う。

◎術前処置(手術前5日~当日)

1.手術4~5日前の処置

・術前の保存的治療:感受性のある抗生物質の点滴治療を開始する。

・局所の清掃:生理食塩水(37℃に加温)でくり返し耳内洗浄する。肉芽やポリープは適宜鉗子で除去する。

2.手術直前の準備

・耳内清掃:耳内の清掃を徹底的に行う。

・手術直前の説明:耳手術の危険性、成功の可能性、術後合併症に聴力悪化の危険性などについて十分な了解と納得を得る。

・耳周囲の剃毛:頭髪の生え際から5cm幅で、耳周囲の剃毛を行う。

 

◎帰室時の患者状態のチェック

・バイタルサイン:意識状態、血圧、脈拍、呼吸、体温、尿量など。

・創部の状態:出血によるガーゼ汚染の程度を調べる。

・内耳障害の有無:耳鴫、めまい、聴力について問診あるいは検査し、内耳障害の有無について確認する。

・顔面神経の状態:麻痺があるかどうか、開眼、口唇のとがらしをやらせチェックする。

◎術当日の管理のポイント

・帰室時と同様の内容をチェックする。

・聴力検査:術後できるだけ早い時期に内耳障害がないことを確かめるため、聴力検査を行う。以後、定期的に1週間に1~2度の検査が必要である。

・血液検査:麻酔剤、抗生物質の影響を調べるため、1週間に1度は検査する。

・必要例には、めまい検査、顔面神経検査を行う。

・抗生物質をしみこませた耳内ガーゼは術後7日目まで、問題がなければそのままとする

 

・創部の当てガーゼのみを毎日交換し、創部に圧痛がある場合は血腫形成か感染の可能性が高いので、縫合糸を1~2針抜糸し、この部を消毒し、ガーゼドレーンを挿入する。

・7日目に耳内ガーゼを抜去し、感染がないかどうか顕微鏡下に観察する。

・以後、耳内ガーゼは毎日交換し、10日目くらいから耳内は乾燥しはじめ、耳管通気を開始すると聴力改善を伴うことが多い。

◎おこりうる合併症とその処置

1.顔面神経麻痺

・術直後の麻痺は、直接の神経損傷で起こり、ただちに神経の縫合や移植手術などが必要。

・術後数日たって走こる麻痺は、予後良好で、タンポン抜去やステロイド投与を行う。

2.内耳障害

・めまい、耳鳴を訴える場合は内耳障害の合併の可能性を考える。眼振の方向の推移や聴力検査は内耳障害の程度を知るよい指標となる。十分量の抗生剤、ステロイドの投与を行う。

 

●鼻・副鼻腔手術

◎術前検査

・鼻鏡検査、内視鏡検査、X線検査:病変の性状、拡がり、頭蓋底や眼窩などの周辺臓器との関係などをみる。

・そのほかに鼻腔通気度検査、細菌検査、皮内反応検査、鼻の手術は局所麻酔でも行われるので、局所麻酔剤、ボスミンの皮内反応も必要である。

◎術前処置(手術前3日~当日)

・手術の説明:局麻手術の場合、患者の協力を得るため、術式の十分な説明を行う。

◎帰室時の患者のチェック

・バイタルサイン:術中に出血量が多かったものや、全身麻酔下に手術を施行したものでは、血圧、意識状態、呼吸状態などをチェックする。

・ロを開けさせ、後鼻孔からロの方へ血液が落ちてこないか、出血の有無を確かめる。

・視力障害、眼球運動障害の有無は必ず確認する。

◎術当日の管理のポイント

・出血の有無の確認:持続的な新鮮血の流出が鼻孔や口腔にないか調べる。口腔に流れるものは、のみ込まないようティッシュで喀出させる。

・術後、トイレ歩行は可能であるが、介助が必要である。高齢者などは無理をしないでベッドサイドで排尿させる。

◎術後に必要な検査

・手術で出血が多かった症例は、術当日、翌日の血液検査を行う。

◎術後の一般的経過

・鼻腔内のタンポン抜去:術後2~3日で抜去、この時挿入枚数を確認し、取り残しがないように気をつける。タンポン抜去後は副鼻腔内を洗浄し、創傷治癒を促進する。

 

◎起こりうる合併症とその処置

・出血:術後、大量出血を見る時は、前・後篩骨動脈、または翼口蓋動脈からのものであることが多い。出血部位を確認し、ガーゼタンポンによる圧迫を確実にする。

・眼窩内合併症:眼球運動障害や視力障害がみられた場合は、ただちに術創の再開放減圧をはかる。減圧後は十分な抗生剤、ステロイド剤の投与を行う。

・髄膜炎:発熱、頭痛、髄膜刺激症状や意識障害に注意する。腰椎穿刺による髄液検査で化膿性髄膜炎の有無を確認する。髄膜炎が疑われた場合には早期にガーゼの除去を行い、抗生剤の大量投与を行う。

 

●アデノイド切除・口蓋扁桃摘出術

・扁桃機能検査:扁桃細菌検査、血清検査(ASO、ASK、免疫グロブリン)、尿検査、病巣感染診断法(誘発診断法、打消診断法)。

・その他の検査:鼻・アデノイドⅩ線検査、鼻腔通気度検査、聴力検査、その他に術前に必要な一般検査一式。

◎術前処置

・対象となる患者が幼小児が多いため、保護者とともに、手術の説明をわかりやすい言葉で十分説明する。

・血管確保:補液や緊急時に対処できるように血管を確保する。

◎帰室時の患者状態のチェック

・バイタルサイン、覚醒状態をチェックし、舌根沈下による呼吸障害、出血、誤嚥などがないか確認する。

・体位は側臥位あるいは臥位とし、嘔吐しやすい体位をとる。

◎術当日の管理のポイント

・幼小児はあばれたりして、口を開けず出血が十分観察できないことがある。術後出血のサインを※5に示した。

 

後出血のサイン

1.何度も嚥下運動をくり返す2.術創に凝血が付着している3.咽喉頭部で喘鳴様の呼吸雑音がある4.突然、大量の血液を嘔吐する。5.チアノーゼが出現する6.頻脈から徐脈になる7.ショック状態になる

◎術後に必要な検査

・血算・生化学、尿検査、さらに誤嚥が疑われる時は、胸部X線撮影を行う。

◎術後の一般的経過

・術後覚醒状態がよく、局所および全身状態がよければ、覚醒後数時間から水分摂取、歩行も可能である。水分・食事の摂取は創部疼痛のため、保護者や看護師の援助が必要。

◎起こりうる合併症とその処置

・後出血:手術当夜に起こることが多い。幼児では飲み込んだ血液を嘔吐して出血に気づく。止血処置は全麻挿管下に出血部位を確認して結紮止血を行う。

・気道閉塞:凝血塊、創部浮腫、舌根沈下により気道閉塞が起こり致命的状態となる。気道確保のため、エアウェイの挿入、あるいは緊急気管切開も必要となる。

・脱水:術後咽頭痛が強いため、十分な水分の経口摂取ができないことが多く、脱水状態となる。静脈路を確保して補液を行う。

 

●喉頭全摘手術

◎術前検査

・内視鏡検査、画像診断(断層、CT、MRI):腫瘍の大きさ、広がり、声帯運動の状態、周辺臓器への浸潤の状況、頸部リンパ節転移の有無などを診断する。さらに、喉頭腫瘍の部位、Stage分数、治療法の選択を考える。

・一般的な術前検査:血液一般(血算、生化学、凝固能)、胸部Ⅹ線、心電図、腎・呼吸機能検査。

◎術前処置(手術前3日~当日)

・手術の説明:手術で喉頭をとってしまうので、術後、声を失うという大きな障害を背負うことになる。手術の必要性、内容、術後の状態、合併症など、本人、家族に十分説明し納得、了解してもらう。

 

・術後の意志疎通のため、あらかじめ簡単なサイン、カードなどを利用した約束事を決めておく。

・術前経口摂取が不十分な患者には、術前から経管栄養あるいはIVHを行う。

◎帰室時の患者状態のチェック

・血圧、脈拍数、呼吸数などのバイタルサインと麻酔からの覚醒状憩の確認。

・出血量、補液量とその種類、さらに術中尿量をチェックする。

・カフ付き気管カニューレの装着状態、創部ドレーンの位置(※7)、点滴ルート、尿路バルーンカテーテルや経管栄養チューブの状態の確認。

 

◎術当日の管理のポイント

・バイタルサインの定期的チュック。

・頭位:頭の下に枕を置き、頸部は伸展禁とし、さらに頭部固定のため両脇に砂のうを置く。

・気管力ニューレの状態:出血など下気道への流入を防ぐため、カフ付きカニューレを使い、加湿酸素を投与する。気管内分泌物を適宜吸引し、聴診で両肺野に空気が十分入っていることを確認する。

・尿量のチェック:時間尿計測を開始し、尿量に合わせて輸血量を調節する。

・持続吸引ドレーンのチェック:空気が入ってこないことを確認する。

・口腔内唾液は適宜吸引し、嚥下は禁止し、ティッシュでふきとらせ創部に嚥下圧がかからないようにする。

◎術後に必要な検査

・胸部X線検査、血算、生化学検査:手術当日か翌日に行う。

・食道造影検査:術後2週間目ごろに、食道造影を行い、下咽頭瘻孔の有無を確かめる。

◎術後の一般的経過

・包帯、ガーゼ交換:毎日交換を行う。歩行は1週目ころより開始し、抜糸は7日目に処置室で行う。

・気管カニューレ交換:カフ付きカニューレは48時間後に抜去、その後はカフなしカニューレかカニューレは抜去する。

・ドレーン抜去:術後3~4日目ごろに排液量が10ml/日以下になったら抜去する。

・経管栄養:食道造影で問題がなければ、経口摂取を2週間後から開始する。

◎起こりうる合併症とその処置

〈頸部膿瘍、瘻孔形成〉

・通常、術後1週間あるいは経口摂取を開始して2~3日たって、急に熱発、創部痛がある場合は膿瘍、瘻孔の存在を考える。同部を開放し膿汁を排出する。

・壊死組織を鉗除し、イソジン洗浄後、開放創としてペンローズ・ドレーンを置いて圧迫しておく。

・感染が消退すれば時間はかかるが自然に閉鎖することが多い。

 

<内視鏡手術およびマイクロサージェリーを受ける患者の看護>

耳鼻咽喉科治療の画期的な進歩の1つは、内視鏡手術およびマイクロサージェリーである。これらは、手術療法の1つであり、マイクロサージェリーは顕微鏡下に、内視鏡手術は患部をテレビモニター上にうつし出し、その監視下で手術的手技を行うものである。

内視鏡手術およびマイクロサージェリーは低侵襲手術であり、複雑で狭い管状の形態をなしている耳鼻咽喉領域において、形態・機能を温存し、後出血や術後疼痛を最小にとどめることなどの利点がある。

これらの手術を受ける患者の看護では、用いられる機器や患部へのアプローチ方法など手術法の特徴を理解し、それらに伴う合併症の予防、術後回復過程の促進をはかることが重要である。

1)患者の問題

①手術の危険性を過小評価する可能性がある:これらの手術は手術創が小さく、痛みも少なく、術後回復もこれまでに行われてきた手術に比べて早いという利点がある。一方で、耳鼻咽喉領域は、解剖学的に非常に複雑で直視できない死角となる部位が多く、周囲に頭蓋底や視神経など重要な器官が存在することから、手術には高度の技術を要し、機器操作や手技に伴う種々の危険性を伴うこともある。

利点ばかりが認識されると、手術に伴う危険性を小さく見積もったりして、手術の理解が十分にはかられなかったり、術後回復を急ぐあまりにむりをして安静がまもれなかったりする可能性がある。手術をどのように理解し、受けとめているのか十分に把握することが重要である。

②局所麻酔下で行われる際の不安や緊張が強い:安全で低侵襲の手術を行うために、手術は内視鏡下で行われる。局所麻酔下で手術が行われる場合、手術器具の音、術者と看護師との会話などが聞きとれる場合がある。手術に対する不安や緊張が高い患者が会話などを聴取することにより、さらに不安や緊張のレベルを高めてしまうことがある。

手術アプローチにより、声を発することができない場合は、患者の不安や緊張を把握しづらいため、表情や身体の緊張状態などをよく観察する必要がある。

③術後合併症の把握がむずかしい:手術創が小さく、手術侵襲も少ないことから、術後回復が順調に進んでいるように見受けられても、術式の特徴から生じる術後合併症が潜行していることがある。たとえば、副鼻腔の手術操作により頭蓋底や視神経などを損傷した場合に、髄液漏や視力障害をきたす可能性がある。これらの合併症は、患者が訴えない場合、把握するのが遅くなり、生命にかかわる危険性をもたらすことがある。

2)アセスメント

(1)自覚症状:原疾患に伴う症状(例:副鼻腔炎では鼻漏、鼻閉塞感、嗅覚の変化など、声帯ポリープでは嗄声、高音発声困雉、長時間の会話による疲労感など)の性状、持続期間などを聞く。術後の自覚症状は、術後合併症の早期発見のために重要であり、後鼻漏、視力低下、視野欠損、顔面腫脹感などを術後経過に伴って把握する。

(2)他覚症状:後出血はどの部位においても少量である。創部のガーゼやタンポンへの滲出の程度のほか、喀たんや鼻汁に混在した血液の性状と量を把握することが重要である。

(3)検査所見:原疾患の広がりと悪性度を把握するために、Ⅹ線所見、MRIやCTの所見について把握する必要がある。また、内視鏡下で切除された切片の病理学的検査結果を把握することも重要である。悪性度が高い場合には、術後の化学療法や放射線療法が計画される。

(4)心理・社会的側面:手術への期待とともに、複雑な手術に対する心配や不安をいだいていることもあるため、手術をどのように理解し、受けとめているかについて十分話を聞く。

3)看護目標

手術の利点と危険性の適切な理解のもとに手術に対する心身の準備ができ、術後の早期回復が促進できるよう援助する。

4)看護活動

○手術に対する心身の準備

手術に対する理解度や受けとめ方を把握し、過度の緊張や不安のある場合、手術を過小評価して術後経過を的確に描けていない場合には、再度手術ならびに術後の経過に対する説明を行う。

術前の身体的準備として、口腔内の保清や禁煙を指導する。喉頭の手術では、術後に一時的に発声が禁じられるため、非言語的コミュニケーションが行えるよう筆記用具などの準備について説明する。

術後経過については、クリティカルパスなどを用い、術後の状態や経過、経過に伴って実施すべきセルフケアなどについて、具体的に理解ができるようオリエンテーションを行う。

○術後合併症の予防、早期発見と対処

術式の特徴から後出血は少量と考えられるが、切除組織周辺の血管への侵襲がある場合には術後に持続した出血がおこってくる。止血のために挿入したタンポンガーゼの汚染状況を観察したり、近隣の器官(後鼻孔、咽頭、あるいは気管など)に流出する血液について患者の流出感の訴えを聞いたり、喀痰や唾液の性状などを観察する。

創部感染に関しては、発熱の持続やCRP、赤沈検査など炎症所見を継続的に観察する。創部の腫脹や痛みが強度であったり、遅延する場合には感染が疑われるため他の検査結果と総合して感染の兆候を把握する必要がある。

その他、頻度として多くはないが、手術操作による侵襲から顔面神経や反回神経など近接している神経障害をおこす可能性もある。顔面麻痺や嗄声、嚥下時違和感などの症状の出現に注意をはらう。

○コミュニケーションのくふう

喉頭、中耳、副鼻腔の手術では、原疾患自体により聴力や発声などの機能低下があるため、それらを補うコミュニケーション手段を用いることが必要となる。筆記やサインなどの方法を手術前に打ち合わせて準備しておく。また、一時的に沈黙をしいられる喉頭の手術の場合は、それに伴うストレスを緩和する方法(列:リラクセーションや散歩など)を患者とともに考えられるとよい。

(#^.^#)参考文献

医療学習レポート.耳鼻咽喉科と手術


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