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(^w^)慢性関節リウマチの話


($・・)/~~~題名:慢性関節リウマチの話

1.概念

RAは多発性の関節炎を主症状とする原因不明(感染説、分泌説、代謝説、免疫説などいろいろな説がある)の慢性の全身疾患である。RAは左右ほぼ対称に小関節や肘・膝関節などに疼痛、腫脹、発赤、局所熱により初発し次第に滑膜炎から軟部組織破壊そして骨破壊へと全身の関節に及ぶ。その間、緩解と憎悪を繰り返し進行性経過をとり、病像が完成するまで数年あるいは10年以上を要する慢性疾患である。どの年齢層にも発症するが特に中年以降の女性に好発する。

 

2.特徴像

・女性に多い(男女比=1:3~5)

・30~50歳代に発症のピークがある。

・気候的にも人種的にも発症率に差はない。

・慢性多発性関節炎は必発する。

・関節炎は緩解と再発を繰り返しながら徐々に進行する。関節は早期では腫脹、晩期では変形・強直をきたす。

・自覚的には易疲労感、他覚的には皮下結節などの関節外症状が見られる。

・リウマトイド因子が陽性となる。

・骨X線破壊像がみられる。

・対称性に手指の小関節に発症。

・罹患関節のこわばりも比較的初期より高率でみられ、朝の起床時に顕著である。

 

3.関節症状(RAによる変形)

RAの変形はその症状である関節の炎症から破壊による関節構成体の破綻、腱の癒着、痛みによる筋の短縮、腱の偏位などにより生じる。RAの変形にはある程度規則性があり、むやみやたらに形態が崩れるわけではないので、病状が進んだときに起こると思われる変形を予測できれば、早期に変形に気付き早い処置をとることができる。

 

<RA患者に最も多くみられる姿勢の異常>

◎手指に起こる変形

a)スワンネック変形

PIPが過伸展、DIPが屈曲位となる変形。MP、またはDIPの炎症により関節に緩みが生じ、手内筋の反射性痙縮により過度に腱が牽引され、手指の両脇にある腱が背側に偏位し、しばしば同時にMPの屈曲が起こることもある。

装具療法としては3点支持のスプリントを使用するのが普通である。このスプリントは、ピアノ線と革でできたものであり、PIPの過伸展を防止し、指の安静位を保たせる。

 

b)ボタン穴変形

PIPが屈曲、DIPが過伸展となる変形。PIPの炎症により手指の両脇にある腱が掌側に滑り落ち、さらに手内筋の反射性痙縮により腱が強く引っ張られ発生するものである。スワンネック変形の3点支持スプリントを逆さにつけ、PIPの屈曲を防ぐという方法がよくとられるが、PIPとDIPを軽度屈曲位に保たせ、指の安静位を保持する方法が有効な場合もある。

 

c)尺側偏位

第2~5指がMP部より小指(尺側)へ向いてしまう変形。MPの炎症や手指の浮腫などにより、指伸筋が正常な位置から浮き上がり、骨より滑り落ちてしまうために起こる。重度なものになると、MP関節が尺側へ亜脱臼を起こす。また、手関節から尺側に偏位することもある。

 

d)母指のZ変形

MPが強く屈曲し、IPが過伸展をおこす変形。これはMPやCM関節の炎症により母指を動かすさまざまな筋のバランスが崩れてMPが屈曲し、その代償としてIPが過伸展するものである。また、この反対にMPが過伸展しIPが屈曲する変形もしばしばみられる。

 

e)ムチランス変形(オペラグラスの手)

関節側からの骨吸収により指の骨が消失、皮膚が短縮し、ゆるんで余った皮膚がひだを生じる。関節は骨吸収により動揺してグニャグニャになる。縮んだ望遠鏡の外観を呈するため、オペラグラスの手とも呼ばれる。

 

◎足部の変形

a)扁平足

正常な足は縦アーチと横アーチが存在し、足の裏にかかる体重を分散し、足への衝撃をうまく吸収している。これらのアーチは足の筋肉の張力により保たれていて、筋肉の弱化により容易に消失する。この変形により、足底にかかる体重のバランスが崩れ、第2趾の付け根の裏などに痛み(中足痛)やタコが生じる。

いわゆる、横アーチの消失が外反母趾や重複趾へつながっていくため、この横アーチを保たせることが重要となる。そのため、アーチサポートを足底に挿入する方法がよくとられる。

 

b)外反母趾

母趾が第2趾の方向に傾いてしまう変形である。場合によっては母趾が第2趾の下に入り込んだり、母趾の側部にタコができてしまったりし、痛みが伴うことがある。

 

c)槌趾

IP関節が強く屈曲しMP関節が過伸展する変形である。靴にあたることによりIP上部にタコが生じ、痛みを伴うこともある。足趾の下に小さなクッションを入れ、趾屈曲の憎悪を防いだり、アーチサポートによりMP部を下部より押し上げ、趾部の安静を保たせる。

 

4.関節外症状

本症が全身の炎症性疾患とされる所以は患者の70%以上に関節以外の部位にも種々の病変(関節外症状)が同時に観察されるからである。ほとんどの関節外症状は臨床的に前面に出ることは少ないが、中には関節炎よりも日常生活を極度に制限させたり、稀には生命予後にまで影響を及ぼすものもあり、それを知ることは本症の治療上きわめて大切である。

 

<関節外症状>

1.全身症状 ①発熱(微熱、時に高熱)

②易疲労感、全身倦怠感、食欲不振

2.貧血
3.リンパ節腫脹

脾腫

4.皮膚 ①皮下結節(関節周囲、尺骨背側中枢部、後頭部、仙骨部、脛骨前面)

②皮膚潰瘍(下腿、くるぶし、足趾)

③爪床小梗塞

5.心疾患 ①心外膜炎

②間質性心筋炎(巣状)

③冠動脈炎

④心筋梗塞

⑤伝導障害

6.肺症状 ①胸膜炎

②結節性肺炎(Caplan症候群)

③間質性肺炎、肺線維症

7.神経症状 ①多発性神経炎(下垂足、下垂手)

②環軸関節亜脱臼による根症状、脳底圧迫

③圧迫性神経障害

・     手根管症候群による正中神経圧迫

・     足根管症候群による後脛骨神経圧迫

8.眼神経 ①上強膜炎、強膜炎

②虹彩炎

③眼乾燥症状・角膜潰瘍

 

5.評価

1)カルテ・他部門からの情報収集

①基本的情報(氏名、年齢、住所、保険、家族構成、合併症)

②入院目的、主訴

③現病歴、治療歴(投薬内容、手術記録)、既往歴

④X線所見

⑤血液検査所見(赤沈値;RAの活動性を反映する

CRP;RAの活動性を赤沈値よりやや敏感に反応する

ヘモグロビン値;活動性が高くなるほど減少する

白血球数;活動性が高くなるほど値は減少する。機能も減少する)

 

2)問診・面接

①意識状態・理解力・コミュニケーション能力などの確認

②現ADL状況・家屋状況・周辺環境・全般的な悩みや不安

③職業・趣味

 

3)視診・触診

①浮腫・腫脹・筋萎縮

 

4)形態測定

①身長・体重

②四肢長、周径(筋萎縮・変形・浮腫の状態)

 

5)疼痛の評価

①痛みの種類(運動時痛・安静時痛・夜間痛・圧痛・関連痛)

②痛みの部位・程度(鈍痛・鋭痛・深部痛)

 

 

 

6)循環障害の評価

①腫脹・浮腫・末梢循環のチェック

 

7)感覚検査

①環軸椎亜脱臼等による神経症状の有無

②滑膜炎や腱滑膜炎等による末梢神経損傷の有無

 

8)深部腱反射テスト

①環軸椎亜脱臼等による神経症状の有無

②滑膜炎や腱滑膜炎等による末梢神経損傷の有無

 

9)ROM‐test

①関節の強直・変形の程度の確認

②廃用性による筋萎縮・短縮の確認

 

10)ADL‐test

①現ADL能力の評価、今後可能なADL能力の予測

 

11)姿勢・動作分析

①姿勢アライメントの評価

②基本動作能力の評価

 

12)歩行分析

①歩行スピード・耐久性・安定性

②歩行可能であれば異常歩行の評価

 

13)姿勢バランスの評価

①姿勢保持能力の評価

②姿勢アライメントの評価

 

14)呼吸機能検査

①肺活量測定

 

15)精神機能面の評価

①疼痛、長期臥床、手術などによる精神機能面を把握

 

16)筋力テスト

①MMT

②握力

 

17)RAの活動性の評価

①Lansburyの活動性指数

 

18)RAの進行度分類

 

<Steinbrockerによる病期の分類>

StageⅠ

*1.X線像に骨破壊像がない。

2.X線像上骨粗鬆症はあってもよい。

StageⅡ

*1.X線像に骨粗鬆症がある。軽度の軟骨下骨の骨破壊や軽度の軟骨破壊を伴ってもよい。

2.関節可動域は制限されてもよいが、関節変形はみられない。

3.関節周囲の筋萎縮がある。

4.結節や腱鞘炎などの関節以外の軟部組織の病変を伴ってもよい。

StageⅢ

*1.X線上、骨粗鬆症に加えて軟骨や骨の破壊を示す所見がある。

*2.亜脱臼、尺側偏位あるいは過伸展などの関節変形がみられるが、線維性あるいは骨性の強直は見られない。

3.高度の筋萎縮がある。

4.結節や腱鞘炎などの関節外の軟部組織の病変を伴ってもよい。

StageⅣ

*1.線維性あるいは骨性の強直がある。

2.StageⅢの基準を満たす。

※*の項目は必ず満たすことが必要。

※最も進行した関節Stageを患者のStageとする。

 

<Steinbrockerによる機能障害の分類>

ClassⅠ

日常生活動作を完全にこなせる。

ClassⅡ

日常の自分の身の回りの世話及び職場での機能性は果たせるが、趣味・スポーツなどの活動性は限定される。

ClassⅢ

日常の自分の身の回りの世話はできるが、職場での機能性及び趣味・スポーツなどの活動性は制限される。

ClassⅣ

日常の自分の身の回りの世話、職場での機能性、趣味・スポーツなどの活動性が限定される。

 

<アメリカリウマチ学会の慢性関節リウマチの診断基準(1987年)>

分類基準項目

定義

1.朝のこわばり 関節及び関節周囲の朝のこわばりが最大限に改善するまでに少なくとも1時間は持続すること。
2.3個以上の関節域の関節炎 14の関節域(左右のPIP、MCP、手首、肘、膝、足首及びMTP)のうち、少なくとも3つ以上の関節域に、同時に、軟部組織の腫脹あるいは関節液の貯留(骨過形式だけではないもの)があることを医師が確認する。
3.手の関節の関節炎 手首、MCP、PIPのうち、少なくとも1関節域に関節炎のあること。
4.関節炎の対称性 同時に左右の同じ関節域に関節炎があること(MCP、PIP、MTPの関節炎については、完全な対称性でなくてもよい)
5.リウマトイド結節 骨の突出部あるいは伸筋表面あるいは関節周囲の皮下結節(医師の確認)
6.血清リウマトイド因子 正常対象者の陽性率が5%未満の方法で測定したリウマトイド因子の異常高値。
7.X線写真の変化 手と手首のX線写真で、典型的なRAの変化、すなわち、罹患関節内あるいは近傍の骨びらんあるいははっきりとした骨粗鬆症(変形性骨関節症の変化はとらない)

※これら7項目のうち少なくとも4項目について該当している場合、慢性関節リウマチとみなす。

 

<Lansburyの活動性指数>

 

◎問題点

<Impairment Level>

#1.関節拘縮

#2.関節炎症

#3.筋力低下

#4.疼痛

#5.呼吸循環機能障害

#6.感覚障害

#7.薬物による副作用

#8.精神機能面の低下(うつ傾向)

 

<Disability Level>

#9.基本動作能力低下

#10.ADL能力低下

#11.歩行能力低下

 

<Handicap Level>

#12.症例、社会性、経済性に応じて評価

 

◎ゴール設定

RAはStageやClassの程度によってゴールが違ってくる。進行性の疾患であるため長期ゴールを決めることは困難であり、短期ゴールとして生命維持に関わりの深いADLから順次自立させていくようにするのが普通である。(1段階上のADL改善を設定させることが大切である)

[考慮点]

・患者の年齢

・患者のニーズ

・家庭環境

・全身の関節異常の有無

例)寝たきり ⇒ ベッド上での坐位保持、車椅子移動

車椅子 ⇒ 杖歩行

坐位 ⇒ 膝、足関節を90°屈曲し、足底全体を床面に接地させる

立位 ⇒ あごを引き、支持面を広くとる

 

6.RA治療

◎RAの病期・病像と理学療法

①初期・活動期

初期・活動期は薬物療法を中心に、安静と運動のバランスが重要である。

リウマチ体操などを指導し、軽い自動運動を習慣化させ、機能低下を防ぐ。また、水泳などを勧めたり、簡便な温熱療法も自宅で行わせる。

RAと診断されたことで、精神的にフォローすることが大切な時期である。患者個人に加えて、家族の理解と協力も治療の一環として重要である。今後の一貫した治療での患者教育を考慮し、自宅でできる自主訓練の指導や、日常生活動作の指導などするべきことは多いと考えられる。

②中期・亜急性期

病状が徐々に進行し、機能障害によって日常生活にもかなり支障が出てくる。

この時期は薬物療法、運動療法を中心に自宅での運動も積極的に行わせる。そのためには、患者の特徴を把握し、1日の痛みの強弱に合わせて運動プログラムを処方する。また、装具・自助具の使用も考慮する。

③晩期・慢性期

機能障害度の区分がある程度、明瞭になってくる。

関節の破壊が著明なケースでは整形外科的手術が適応される。主に人工関節による置換術が行われ、術後のリハビリが行われる。

重度機能障害が著明な患者では、二次的なさまざまな症状の訴えが出現する。頚部や体幹のコルセットの常時着用により、頚部、肩甲帯、体幹の可動性の減少が著明になる。骨粗鬆症が進行し、容易に胸椎、腰椎の圧迫骨折を起こし、移乗動作の際に肋骨を痛めたりすることがある。また、起き上がり、立ち上がりなどの際に腰痛を起こすこともあるので注意を要する。

<RAの病期・病像と理学療法>

病期

病像

理学療法

初期

(急性期)

朝のこわばり

全身倦怠感

微熱

関節の腫脹・熱感・疼痛

安静

鎮痛・消炎のための温熱・寒冷療法

水治療法

軽い自動運動

家庭での自主訓練指導

(リウマチ体操)

生活指導

中期・活動期

(亜急性期)

関節の可動域制限

拘縮・変形

廃用性筋萎縮

筋力低下

ADL機能の低下

関節可動域訓練

筋力維持・増強訓練

変形防止のための装具療法

自助具

ADL指導

晩期

重度障害期

(慢性期)

関節破壊の進行

拘縮・変形の進行

ADL機能低下と介助量の増加

関節痛、全身倦怠感の持続

温熱・寒冷療法

関節可動域訓練

筋力維持訓練

ADL指導

介助法指導

整形外科手術後の訓練

 

◎Steinbrockerの進行度分類によるStage別の理学療法

  • StageⅠ
①物理療法 (目的)運動療法の準備として、また疼痛除去による患者のモチベーション向上

(内容)ホットパック、パラフィン、赤外線

②ROM訓練 (目的)拘縮予防

(内容)自動または自動介助運動を行う

③筋力増強訓練 (目的)廃用性による筋力低下防止

(内容)手部骨間筋、前腕筋群、大腿四頭筋、大殿筋、中殿筋を重点的に行う。

※注意事項;疼痛をきたす強い運動は禁忌

④全身運動 (目的)鎮痛と疲労減少

(内容)有酸素運動を3回/週×12週

⑤ADL訓練 (目的)ADL低下防止

(内容)日常生活指導

臥位;固めのマットを使用する。時々、腹臥位をとり股関節屈曲拘縮を防止する。足関節より遠位に布団の重さをかけない。

坐位;硬い坐面の椅子に深く座る。背もたれに垂直に接する。

立位;頚部の屈曲を避ける。肩甲帯周囲筋を弛緩させる。股関節・膝関節の屈曲位は避ける。脊柱は生理的前弯を維持する。

歩行;上肢を緊張させず、両手を振る。足部の引き摺り、振り出しの時の膝過伸展を避ける。

家事動作;エネルギー保存・関節の保護のため以下の点を留意する。

1)  体幹屈曲や伸展を必要以上に行わない。

2)  立位・歩行は最小限に止め椅子坐位での仕事を中心に行う。

3)  長時間同じ姿勢で仕事をせず必ず休憩を挟む。

4)  片手で行えることも両手で行う。

5)  手の届く範囲に必要なものを配置する。

6)  重いものを持ち上げない。

7)  道具を工夫する。

 

  • StageⅡ
①ROM訓練 (目的)ROMの維持・改善

(内容)伸張運動(ストレッチ体操)、自動介助運動

②筋力増強訓練 (目的)筋力増強、筋萎縮の予防

(内容)等尺性運動が一般的(軽症例では等張性・等速性運動も可能)

自動運動または抵抗運動(重錘、徒手)

上肢;等尺性運動(肩屈曲、肘伸展、手指内転・外転)

下肢;Patella Setting、股外転運動、SLR訓練、ブリッジ訓練

③姿勢矯正 (目的)関節への負担軽減、筋機能低下の予防

(内容)鏡を用いての姿勢矯正、腹臥位保持訓練、寝具や就寝の姿勢指導

④ADL訓練 (目的)ADL・QOLの維持

(内容)動作の工夫、自助具の使用訓練

⑤歩行訓練 (目的)歩行能力の維持

(内容)歩行器、松葉杖、ロフストランド杖、T字杖などを使用

⑥物理療法 (目的)関節痛の緩和、筋の過緊張の緩和、末梢循環障害の改善

運動療法の前準備

(内容)温熱療法(ホットパック、パラフィン浴)、水治療法

マッサージ

⑦装具療法 (目的)関節痛の軽減、関節変形の進行防止、関節の支持性の補助

ADL向上

(内容)頚椎装具、手関節装具、膝装具、足関節装具、スプリント

⑧患者教育 (目的)RAに対する理解、自己管理の徹底

(内容)疾患に関する知識、生活指導

 

  • StageⅢ
①物理療法 (目的)疼痛の軽減、筋スパズムの軽減、結合識の被伸展性の増大、代謝系の賦活

(内容)・温熱療法(ホットパック、パラフィン)、水治療法(ハバードタンク)、寒冷療法(アイスマッサージ、アイスパック、局所冷水浴、極低温療法)

②ROM訓練 (目的)関節拘縮の予防、筋スパズムの軽減

(内容)関節各運動につき5~10回、それを全関節に行う。

徒手による伸張、滑車の使用

③筋力増強訓練 (目的)筋力低下の予防、筋トーヌスの維持、筋萎縮の予防

(内容)上肢;肩屈曲、肘伸展の等尺性運動、手指の把握訓練

下肢;等尺性運動による四頭筋のセッティング、股外転訓練、SLR訓練、ブリッジ訓練、徒手・重錘による訓練

④補装具療法 (目的)関節痛の低下、関節変形の進行防止、変形の矯正、関節の動揺性に対する支持性の補助、脊椎可動域制限による脊髄の保護

(内容)固定、支持、変形の矯正と予防、免荷

⇒サポーター、各種固定装具、矯正装具、コルセット、靴型装具

歩行の目的

⇒松葉杖、車椅子、歩行補助器、プラットフォーム杖、ロフストランド杖

上肢補装具

⇒特製ナイフ、フォーク、スプーン、リーチャー

⑤ADL訓練 (目的)ADLの向上

(内容)移動動作、身の回り動作、生活関連動作、歩行(松葉杖)

⑥生活指導 (目的)関節の保護、適度な運動、生活全体の活性化、ADL・QOL向上

(内容)疼痛、変形を増強するものを避ける。

安静と活動のバランスを考慮

家庭訪問、家屋改善指導

 

  • StageⅣ
①ROM訓練 ・他動運動;ゆっくりと、運動方向に注意しながら個々の症例にあ    った範囲内で行う。伸張運動は疼痛を起こしにくく有効。

・自動運動;疼痛と可動域を考慮して行う。可動域+筋力の維持

・自動介助運動;疼痛の少ない肢節を使って目的の運動を介助。

②筋力増強訓練 ・     関節運動を伴わない等尺運動が望ましい。ベッド上での四頭筋のセッティングや下肢を開閉するなど重力除去位での運動は有効。

・     炎症に注意し安静と運動の兼ね合いが重要。

③物理療法 ・     温熱療法(ホットパック、パラフィン)や水治療法(部分浴)

・     疼痛の緩和・筋スパズムの軽減・訓練の前処置

④水中運動療法 ・     起立歩行動作不能となったRA患者に大変有意義。

・     ROM改善、筋力増強、立位・歩行感覚の獲得、モチベーションの向上

⑤ADL訓練 ・     現ADL能力を可能な限り維持する。

・     自助具や環境の整備でADL改善を目指す。

⑥基本動作訓練 ・     疼痛や関節破壊、骨折などの問題に注意。

・     頚椎に負担がかからないように注意する。

⇒頚椎カラーを使用し保護することが望ましい。

⑦呼吸リハ ・     腹式呼吸訓練、喀痰訓練
⑧歩行訓練 ・     装具や歩行器を使用し、荷重痛、関節保護、エネルギー浪費防止を考慮する必要がある。
⑨生活指導 ・     非可逆性変化(変形・拘縮・萎縮)を増大させないためにも、自分の生活能力の変化を自己チェックする習慣を身につけさせる。
⑩装具療法 ・     頚椎の亜脱臼が多い。ハローベスト固定術⇒フィラデルフィア装具

・     装具による矯正は困難であるため、THA、TKA後に膝装具、足関節装具を処方し立位歩行訓練。

 

Ⅰ.薬物療法

薬物療法は、非ステロイド抗炎症剤、抗リウマチ剤(免疫調節剤)、免疫抑制剤、ステロイド剤に大別されるが、その他にも漢方薬がある。非ステロイド抗炎症剤も坐薬を含めて多くの薬が開発されている。抗リウマチ剤も以前は金とD‐ペニシラミンしかなかったが、現在では内服の金(リドーラ)、ロベンザリッド、ブシラミンと多くの薬剤が開発され効果をあげている。免疫抑制剤もアザチオプリン(イムラン)、シクロホスファミド(エンドキサン)の他に最近ではメトトレキセートがRAに効果があり使用が増えてきている。漢方薬も最近はRAの治療薬として見直されてきており、適切に使用するならば免疫効果を高め、ステロイドの減量も可能となるなど今後は新しい観点より漢方薬を考えてみる必要がある。

非ステロイド抗炎症剤について、リハ訓練に際して心がける薬の使用法についてふれると、リハで一番大切なのは運動訓練時の関節痛をいかに和らげるかである。したがって、半減期の長い薬を急速に血中濃度が上昇して下降する薬の使い分けが大切になる。すなわち1日2~3回服用する半減期の短い鎮痛剤を訓練の時間に合わせたり、早朝の家事の時間に血中濃度を保てるよう使用する。副作用の神経症状の出やすい時刻に臥床しているよう就寝前に習慣的に使っているインドメタシンの坐剤を、早朝4時から5時に使用させ、1時間位ベッドの中で寝かせておいてから朝の仕事を始めさせたり、午後の訓練のために昼食時にジクロフェナクの錠剤を投与するなど、あまり三食後投薬の原則にこだわらないようにする。

ステロイドの使用法としては、機能障害の予防から治療を行うリハ関係者にとって必要最小限のステロイドの使用は大変重要な武器である。特に炎症、疼痛の強い関節に対するステロイドの関注の効果は劇的なものであり、他の手段ではとても得られないROM、ADLの改善がみられるので、この上手な利用がリハ成功の鍵となるといっても過言ではない。

 

Ⅱ.関節可動域訓練

1)肩関節;ADL上、肩関節の可動域制限の関与の大きい動作は丸首シャツの着脱、髪をとく、背中を洗うなどである。可動域制限を屈曲角度で軽度140°以上、中等度95~135°、重度90°以下に分ける。

 

(1)関節包内運動;上肢挙上の困難を訴える患者で、背臥位での挙上時に肩峰端に痛みの出現する症例において上腕骨骨頭を尾側方向へ動かすと可動域改善が得られることが多い。

 

(2)筋短縮に対する伸張運動;大胸筋の短縮の有無を調べるため、いわゆる「大の字」になれるかをみる。この際、肩90°外転位か、肩外旋位か、肘頭が床面に接しているかを確認する。徒手的な訓練としては肩甲骨の挙上を阻止して肩外転し、最終域と思われるところで外旋を加えて伸張をはかる。小円筋・大円筋・肩甲下筋の伸張の際には背臥位で上肢を挙上する際肩甲骨を固定し、肩甲骨の外転と上方回旋が起こらないようにする。

 

(3)三角筋の収縮-弛緩;背臥位で上肢を介助しゆっくり最終域付近まで挙上し、上肢を徒手的に固定し、さらに挙上する三角筋を等尺性に収縮させる。

 

2)肘関節;ADL上、肘関節の可動域制限の関与が大きい動作はボタンをはめる、顔を洗う、食事をするなどである。このうち洗顔や食事においては屈曲の可動域とともに前腕回外の可動域も重要である。

 

(1)関節可動域訓練;背臥位で関節包内運動を行う。伸展制限に対しては上腕部を固定し最大伸展位とし、前腕近位部にさらにゆっくりと力を加える。20秒間行い痛みの増強なく可動域も拡大するようであれば10秒間休み、これを5回繰り返す。屈曲制限に対しては上肢を軽度挙上しPTの大腿上に上腕部を載せておき、上腕を固定し上肢の重みで屈曲させ前腕部からゆっくりと荷重する。20秒間行い痛みの増強なく、しかも可動域が拡大するようであれば10秒間休み、これを5回繰り返す。

 

3)手関節;ADL上、手関節の可動域制限の関与の大きい動作は洗顔であるが、その他上肢を支持として使う際の床からの立ち上がり、ベッドから椅子へ移る場合にも背屈制限が問題となる。手関節は膝関節とともに罹患頻度が高い。関節炎症状が強いと手に力が入らずADLを阻害するが、強直に至れば強い変形を伴わない限りかえって使いやすくなることが多い。このため手関節においては可動域制限があってもその改善はあまり行われず、良肢位にて固定するよう経過観察を行う。

 

4)手指;ADL上、手指の可動域制限の関与が大きいのはタオルを絞る、ボタンをはめる、箸を使って食事をするなどである。

(1)関節可動域訓練;屈曲制限に関しては関節包内運動を行った後、一側の手で手関節を固定しておき他方の手で患者の手指背側を覆うようにし、曲げるように指示し自動的屈曲をさせ最大屈曲位を5秒間保つ。弛緩させた後、これを10回繰り返す。伸展制限に関しては関節包内運動を行った後、関節の近位側を固定しゆっくりと伸展を行う。最大伸展位を5秒間保ち弛緩させる。これを10回繰り返す。

5)股関節;股関節の可動域制限の関与の大きい動作は、坐位を保持できる、椅子からの立ち上がり、ズボンの着脱などである。床上起立や和式トイレの使用にも当然関与しているが、むしろ膝関節の影響のほうが強いようである。

 

(1)背臥位での股伸展;背臥位の状態から両下腿をベッド端から下ろせる位置に移動する。両大腿部を持ち上げ股関節を屈曲位とし、対側下肢を膝屈曲位のまま股関節最大屈曲位にして保ち治療側の大腿前面に荷重して股関節を伸展する。20秒間荷重し10秒間休む。これを10回繰り返す。

 

6)膝関節;膝関節の可動域制限の関与の大きい動作は排泄動作、床上起立、椅子からの立ち上がりなどである。伸展制限は重度にならない限り直接上記項目を阻害せず、むしろ伸展筋力が問題になる。屈曲制限は上記項目を直接阻害する。

 

(1)関節可動域訓練;伸展制限に対して最大伸展位をする。膝蓋骨の活動性を確認し低下が認められれば他動的に動かす。一方の手で大腿部を固定し、もう一方の手を下腿後面近位部に位置し下腿を前方へ引く力を加えながら膝関節を伸展する。10秒間行い5秒間休むようにし10回繰り返す。股・膝関節を屈曲位とし、大腿部を固定しておき下腿の重みを利用して最大屈曲とし、下腿近位部前面に荷重して他動的に屈曲する。10秒間行い5秒間休み、これを10回繰り返す。

 

(2)筋短縮に対する伸張運動;ハムストリングスの短縮の有無を調べるには臥位と坐位での他動的膝伸展角度の比較をし、その際ハムストリングスの筋の緊張を確認する。そして、背臥位にて膝関節を最大伸展位として挙上し膝関節が屈曲することで短縮の有無を決定する。伸張運動は背臥位で行う。膝伸展位のまま下肢を持ち上げ下腿近位部をPTの肩にかける。さらに挙上し膝屈曲が出現する位置で止める。膝関節を伸展位とし、股関節屈曲を行いながら伸張する。

大腿直筋の伸張は膝関節の自主訓練と同じ肢位とし、大腿部を固定し下腿近位部前面より荷重する。この際固定が不十分な場合、骨盤の前方回旋を起こすため患者自身に対側下肢の膝立ち位および腹筋の収縮を行わせておく。

 

7)足関節;足関節の可動域制限の関与の大きい動作は階段昇降などである。背屈制限があると、特に降りの際に後方肢となった足関節の背屈が得られないため前足部を段の端から出した方法や横向きで行うことになる。底屈制限は歩容、特に、toe‐offの短縮として現れやすい。

 

(1)関節可動域訓練;背臥位で下腿部を固定して距骨の下方へ引き離しと前方と後方への滑りを行う。踵を手掌面上に載せて把持した後、下方へ引くようにしながら足底を圧迫して背屈を行う。足部を把持し前下方へ引くようにしながら底屈を行う。

 

Ⅲ.筋力増強訓練

1)三角筋

(1)背臥位で肩90°屈曲位での等尺性収縮

;背臥位となり上肢を介助しながら90°屈曲位とする。両手で動きを阻止し屈曲方向に力を入れさせる。10秒間力を入れたら5秒間休む。これを20回繰り返す。その際肘や手首を囲むように固定する。終始肩が動かないように固定する。

 

2)上腕二頭筋;徒手的訓練は行わず自主訓練を行う。

(1)背臥位で巻きタオルをおいての肘伸展

;背臥位で肘を伸展していき前腕はできるだけ回外位とする。前腕と床面との隙間に巻いたバスタオルを挿入し、肘を伸展させバスタオルを押し付ける。10秒間保ち5秒間休む。これを20回繰り返す。

 

3)固有手筋;固有手筋も上腕二頭筋と同じく自主訓練を行う。

(1)手指内転・外転の等尺性収縮

;テーブルを前にして椅子坐位をとる。前腕以下をテーブルに載せ前腕回内位とし、手掌をテーブルの面につけ指を軽度外転させる。つぎに3cm程度の棒状のものを母-示指間、示-中指間、中-環指間、環-小指間、小指外側に置く。指の間を閉じるよう力を入れ10秒間保ち5秒間休む。これを20回繰り返す。

 

4)大殿筋;自主訓練を行う。

(1)背臥位での臀部挙上

;背臥位となり10cm程度の固めの枕を膝窩より近位部に挿入する。上肢は対側には置かず腹部上に両手を置き、臀部に力を入れて挙上し10秒間保ち、降ろして5秒間休む。これを20回繰り返す。

 

(2)背臥位での等尺性収縮

;背臥位となり3cm程度の高さとなるようタオルを膝窩より近位部に挿入する。上肢は対側には置かず腹部上に両手を置く。臀部に力を入れて筋を収縮させ10秒間保ち、力を抜いて5秒間休む。これを20回繰り返す。

 

5)中殿筋

(1)背臥位での股訓練

;背臥位となる。PTは訓練側でない下肢の外側に位置する。対側股関節を軽度外転位とし大腿外側へ一側下肢を置き抵抗とする。両下肢の間にもう一方の足を入れ、訓練側の大腿部と下腿部を持つ。患者には対側下肢を股外転しながら訓練側も股外転するように指示する。一方、対側は動きを阻止しておき訓練側は筋力に応じて等尺性収縮を行わせる。ゆっくりと10回行い休息の後さらに10回実施する。

 

6)大腿四頭筋;自主訓練を行う

(1)臥位で等尺性収縮;背臥位となる。膝関節を最大伸展位とすれば、踵が床面から離れる程度の枕か丸めたタオルを膝窩に挿入する。膝窩にあてたものを押し付けるようにしながら踵を浮かせ10秒間保つ。力を抜いて5秒間休む。これを20回繰り返す。

 

(2)坐位での等張性収縮;固めの椅子に深めに腰掛けて背すじを伸ばす。膝関節を最大伸展し10秒間保ち力を抜いて降ろし5秒間休む。これを20回繰り返す。

 

Ⅳ.物理療法

1)適応と禁忌

RAでは温熱療法が主体で、筋肉の痙縮、疼痛を和らげ、こわばりを減弱、血流を改善し、精神的な安静も得られるので、リハの補助手段として有効である。特に水治療法は水の圧力によるマッサージ効果、抵抗による筋力増強、浮力による体重負荷の軽減が温熱効果に加わるので、運動訓練の補助手段になる。

禁忌として、炎症が強く全身状態が悪い場合が挙げられているが、最近では治療法の進歩で、炎症がかなり抑えられるようになってきたので、絶対的禁忌は少なくなっている。循環器系の異常、感染症、妊娠、高熱、衰弱状態では治療法の選択と制限をしなければならない。

 

2)物理療法の種類と使用法

(1)極超短波(マイクロウェーブ)療法

照射導子と照射部位の距離は10cmくらいで、近づければ照射範囲が狭まり、発熱量は多くなる。毎日か隔日に1回10~20分照射するが、取り扱いが簡単で下着をつけたまま当てられるので、一方向しか温められない欠点はあるが、超短波に代って使用されることが多い。金属性のものは照射野から取り除かなければならないので、人工関節や埋め針のある部分には禁忌である。RAでは、汗をよく拭いて、背部・肩・肘・膝を温めるのに使われるが、照射方向に工夫が必要である。出力は、患者の快い温かさが基準となり、強すぎないように距離にも注意しておく。

 

(2)超音波療法

熱の発生は筋肉と骨の境界部に多く、比較的深部まで達するので、股関節のように金属以外の物質が使われている場合は火傷の危険がある。骨の反対側は温まらず、一方向しか照射されない欠点がある。出力は患者の快い温かさが基準となるので、十分注意して火傷や細胞破壊が起こらないようにする。末梢循環不全のある患部には使用せず、また、関節液の貯留した関節に照射すると、液体中に溶けている気体が遊離して気泡を生じ異常に加熱されることがあるので、危険であるといわれている。

 

(3)水治療法

温熱療法に浮力、水圧、抵抗の物理的作用を加えて利用するもので、精神的安静、全身的な筋の痙縮の軽減、鎮静作用もあるので、RAでは運動訓練と並行して利用される。

a)気泡浴

浴槽の底から気泡を噴出させ、温浴にマッサージ効果を加えたもので、気泡は細かくて刺激の少ないものと、大きくて刺激の強いものがある。多少手を貸して入浴できるRA患者に使用し、水温は39℃前後で、15~20分間入れる。

 

b)過流浴

細いノズルからの水流で渦を起こし、温浴中のマッサージをするもので、拘縮を起こした手足に用い、ROM exの前処置にする。水温は部分浴では多少高めにして15~20分使用するが、ハバードタンク内に入れて全身浴の患者に使用する場合、水温は38~39℃にする。

 

c)ハバード浴

寝たきりの患者や浴槽中でのROM exが必要な患者を入れる大きなひょうたん型のステンレス浴槽で、寝たままの患者をクレーンで吊り上げ、そのまま入れられる。水温は38~39℃で15~20分が適当である。

 

d)運動浴

浮力を利用して体重を軽くし、歩行の動機付けをするのによく、歩けなかった患者の自信を回復させるが、水深を徐々に浅くして体重をかけさせ、最終的には地上で歩かせるため、かなり手間がかかることになる。水の抵抗による筋力強化訓練としてもよい。水温は34~38℃がよい。

 

(4)ホットパック

恒温槽で80℃位に温めたものをビニールでくるみ、さらにタオルにくるんで火傷しないよう疼痛のある膝・肩・肘・足関節などに当て、15~20分温めてROM exの前処置として用いる。

 

(5)パラフィン浴

医療用パラフィンを50~52℃の恒温槽中で溶かし、拘縮や変形のある手・肘をこの中に10回くらい出し入れして表面にパラフィンの膜をつくり、この上を油紙やビニールで覆い、さらにタオルを巻いて15~30分放置する。その後、指・肘などのROM exを行う。治療前に患部をよく洗わないとパラフィンが汚れやすい。

 

Ⅴ.ADL訓練

1)起居動作

(1)起き上がり

<1>棚などに足をかける方法

;ベッドの足元の棚、ない場合は幅広い紐を取り付け、これに足を引っ掛け足背部まで十分に入れる。そして、足部を背屈し膝を伸ばして起き上がる。

 

<2>下肢を振り上げて反動を利用する方法

;背臥位で下肢を挙上し降ろす際上半身を床面より浮かし、1回で長坐位まで出来なければ反動を数回繰り返す。頚椎に変化のある場合は頚椎カラーを装着していく。

 

<3>紐を利用する方法

;ベッドの足元の棚に幅広い紐を取り付け、途中に結び目を作りながら背臥位で手の届く長さとする。そして、結び目の部分に手をかけて紐を引くようにし、交互に紐を引くことで体を起こす。

 

(2)床上起立

<1>上肢支持を利用する方法

;背臥位から腹臥位となり、両肘立ちとなり、股・膝関節を屈曲し臀部を挙上し前腕以遠をつき上肢に体重を移しながら膝立ちとなる。前腕以遠を床面上に置き換え、左右どちらかに臀部をつき背臥位となる。

 

<2>しゃがみ位から立ち上がる方法

;背臥位より起き上がり、いざって段差のある場所まで移動し、足を段差より下に降ろし体幹を前方に傾けながら立ち上がる。

 

<3>椅子からの立ち上がり

;手を支持として用いる場合、膝に手掌面を置いて立てればその方法を指導する。上肢を用いても立てない場合、椅子の上に砂嚢や発泡スチロールを置いて補高し、体幹を伸展位のまま前傾し上肢支持を利用しながら重心を下肢に移す。臀部が浮いたら体幹を起こしていく。起き上がる際に左右への体重負荷量を体重計で確認し、機能的によい側への負荷量を多くする。下腿の外旋が起こっている場合はできる限り修正しておく。

 

2)移動動作

(1)平地移動;椅子から立ち上がりながら杖を持ち、杖を腋下に入れて立位となる。一側の杖を前方に出し元に戻す。これを交互に繰り返す。次に両側の杖を前に出しておき一側の下肢を前に出し元に戻す。さらに両側を前へ出し足を一側ずつ前へ出して前進する。これを繰り返す。可能ならば交互2動作歩行を指導する。

 

(2)階段昇降

<1>2足1段で前昇り前降りの松葉杖歩行

昇り;階段の前で基本姿勢をとり比較的機能の良好な側の下肢を1段上に持ち上げる。体重を両上肢と上に挙げた足で支え、この間に対側の足を上げる。次に松葉杖を足の高さに持ち上げる。これを繰り返す。

降り;方向転換し基本姿勢をとる。松葉杖を1段下に降ろし体重を両上肢と比較的機能が良好な側の足で支え、対側の下肢を1段下に降ろし、もう一方の下肢を下に降ろす。これを繰り返す。

 

<2>2足1段で前昇り・2足1段で後ろ降りの松葉杖歩行

昇り;<1>と同じ

降り;基本姿勢をとり、体幹を前傾して松葉杖を1段下に降ろし、体重を両上肢と比較的機能が良好な側の足で支え、対側の下肢を1段下に降ろす。膝屈曲や股伸展が困難な場合は股関節の分廻し運動や骨盤の引き上げといった代償運動を利用する。もう一方の下肢を下に降ろす。必要ならば代償運動を利用する。これを繰り返す。

 

3)更衣動作

(1)丸首シャツの着脱

<1>自助具を用いない方法

着る;シャツの裾を外側へ数回折り返す。裾を通し頭も通す。裾の前側を持って下へ降ろす。体幹を回旋させると降ろしやすい。最後に仕上がりを整える。

脱ぐ;1.体幹を前傾し頭の後ろに手を回して襟を握る。そして、体幹を起こしながら頭を抜き裾を抜く。

2.挙上が困難な側の肘を屈曲して腕を内側へ抜く。反対側の裾も抜き体幹を前傾して頭を抜く。

 

<2>自助具を用いる方法

着る;椅子坐位となり前方に台を置き、両側の裾を通す。次に丸首シャツの内側にリーチャーを入れて襟の後ろ側の部分に引っ掛ける。体幹を前傾してシャツの中に頭を入れリーチャーを台上に立て体幹を元に戻しながらリーチャーをはずすことで頭を通す。その後、リーチャーなども利用して裾を降ろし仕上がりを整える。

脱ぐ;一側の上肢を内側へ抜き、抜いた側の裾を肩のあたりまでリーチャーで引き上げ、リーチャーをシャツの内側に入れ頭を通す襟の内側の部分へ引っ掛ける。引っ掛けたまま体幹を前傾し、リーチャーを台上に立て体幹を屈曲させ頭を抜き、もう一方の裾を抜く。

 

Ⅵ.リウマチ体操

リウマチ体操の目的;寝たきりにならないように、左右の手足を均等に動かし、関節可動域を維持し、筋力を強化し、耐久性を向上し、血液の循環を改善し、関節の拘縮・強直を予防する。

※体操の必要性と継続性の重要性を理解してもらうことが大切である。

!(^^)!参考文献

医療学習レポート.慢性関節リウマチ


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